人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カルデア

ゴルドルフ「だぁーっ!?なんなのかねどす黒いオーラが漏れだしているんだが!?何事!?」

シオン「うわっちゃー!あの第六天魔王、発生したバグとノイズを一気に取り込んで加速度的に装置に付加をかけています!このままだとシミュレーションの耐用限界を越えて・・・!」

ムニエル「越えて!?越えてどうなるんです!?」

「あっちからこっちに来ちゃうかも♪」

「可愛く誤魔化せるとでも思っているのかねアトラスの天才どもはこれだから!」

ニャル【まーそう慌てる事でもない。リッカちゃん達が勝てばいいだけの話。いつもの事だろう?】

ムニエル「おぉ!それなら安心だな!」

オルガマリー「なんの問題もないわね。皆を作戦に参加させている以上、命はとうに懸けている。共に戦うとはそういうものです」

ゴルドルフ「バカモン!!」

オルガマリー「!?(ビクッ)」


「命を懸けるなら負ける場合など想定するな!此処にいる私以外の誰もが、決して代わりのいない精鋭なのだ!命をチップにするなら、絶対に勝つ戦いにしてから懸けなさいよ!それなら負けないだろう!?」

オルガマリー「────」

ニャル【───ふ、ふふははは。ははははははは!!あっはっはっはっ!あははははははははははは!!】

(ひっ!?邪神が笑ってる!?)

【あぁ失敬。しかし全くその通り!全くその通りだ副所長!そもそも勝ち負けがある戦いなどつまらん。一流の勝負師は勝つ戦いしかしないものだからね。だろう、所長?】

オルガマリー「・・・ワンコイン感覚で命を懸けるのは悪い癖ね。ありがとう、副所長。流石は唯一無二の副所長よ」

「あ、ありがとう・・・?」

ダ・ヴィンチちゃん「意外なところから真理は飛び出すものだね愛弟子!さ、気を取り直して!」

ロマン「号令を!ボク達なりのやり方を、貫こうじゃないか!」

オルガマリー「そういう事。各員、勝利に向かって前進よ!」

「「「「「止まるんじゃねぇぞ!!!」」」」」

ゴルドルフ「・・・し、士気は上がったかな?うん・・・」

ニャル【最高だよボンレスハム・ムジーク。君は私の出逢った人間の中で十本の指に入る愉快さを示してくれた。今度御礼するからね♪】

(ろくでも無さすぎるのに気に入られた!?)






天魔轟臨!三千大千天魔王!!

【天下などォ!最早かかずらう暇は無し!!滅ぼすべき相手が此処におったわァアッ!!!】

 

天地を揺るがす雄叫びと共に、完全なる魔王と化したバサラ信長がリッカ達目掛け荒れ狂う。手にした波動の刃と闇の焔を、天地を引き裂かんとばかりに振り回し暴れ狂う。巨体が故に狙いは定まってはおらぬが、剣を振るえば天空に亀裂が走り、言葉を叫べば大地が震撼する。シミュレーションの世界総てを浸食し破壊する、戦慄の大魔王たる存在が顕現していた。最早野放しには出来ない。再現されてしまった魔王を討ち果たさねば、この世界もあちらの世界も焦土と化すのだ・・・!

 

【我が息吹に焼かれよォ!!あまねく命の総てを此処に滅ぼすゥウゥア!!!】

 

【シャウト効かしとるのー・・・まぁ是非も無しよ。あぁせねば魔王が魔王足り得ぬと言うのであれば、速やかに引導を渡すまで】

 

「──秘策か何かがおありですか?無いのならば私がやるつもりですが」

 

人智を越えた魔王の顕現に、景虎も神妙なる面持ちで問い掛ける。サーヴァントの枠組みすら越えかねない戦慄の第六天を前に、彼女は命を捨てる覚悟を決めていた。

 

「リッカちゃん、マシュと共に逃げなさい。強きを頼り、生き延びるのは人の在り方。あなたが人であるのなら──」

 

【逃げないよ。逃げた先に私の望む未来は無いから。どんな困難にも、真っ直ぐ立ち向かうのがグランドマスターだからね!】

 

景虎の忠告を、真っ向から返答するリッカ。景虎はその答えに、静かに目を細める。

 

【心配するでない。アレを討ち果たすとっておきは持っておるからの。ニコニコ軍神、マシュなすび、リッカ先輩で一撃を堪えて隙を晒させてくれれば充分じゃ。ケリはわしがつけようぞ】

 

「──信じていいんですね、織田信長」

 

【わしを誰と心得る?楽園特産グランドノッブじゃ!そら、我が道を拓く為に走れ走れぇい!】

 

ノッブは笑い、リッカとマシュの背中を押す。景虎はその意を組み、愛馬放生月毛を召喚し二人を同乗させ一直線に魔王へと加速していく。

 

「あのうつけに懸けましょう!大丈夫です、魔王なんかに毘沙門天は負けません!」

 

【張り合う所ソコなんだね!?と、とにかく行くよ二人とも!!】

 

「はいっ!先輩のためなら、例え地獄の果てであろうと怖くありません!」

 

【ルァアアアアァアァアァウ!!!】

 

咆哮する魔王、突撃するグランドマスター一行。第六天における最終決戦の幕が上がる・・・!

 

【共に懐かん!破滅の焦土ォ!!】

 

疾走する三人に向けて、魔王が攻撃を開始する。闇を形にした波動が天空から降り注ぎ、左手より凝縮した闇が叩き付けられる。景虎操る月毛は完璧な馬術により制動され、紙一重でそれらを回避していく。

 

【滅せぬ者のォ!在ぁるべきかカアァアァアァ!!!】

 

力の限り振るわれた左拳を、景虎は神業にて月毛を操り腕へと渡り腕部を疾走する。大地は余さず砕け散り、その場の総てが崩れ去る。大地が消し飛ぶなか、頭部目指して一直線に月毛が駆ける。

 

『霊核の反応は頭部よ!なんとかしてダメージを与えるためにも、絶対に吹き飛ばされちゃダメ!』

 

『魔力防御を何重にも張るからね!気休めだろうけど、無いよりはましの筈さ!』

 

オルガマリー、ロマンの激励と防御を受け、更に疾走のペースが上がる。目指すは頭部、軍神に導かれリッカとマシュは一息に魔王の身体を駆け抜ける。が── 

 

【煩わしき者よォ!天から堕ちよォ!!】

 

【わぁあっ!?】

 

魔王が迎撃とばかりに蒸気の如く闇を吹き出し、身体を登る小さきものを吹き飛ばさんと猛り狂う。物理的に強力なベクトルの攻撃に、体勢を大きく狂わされ空へと投げ出されてしまう。リッカはマシュと月毛にアルテミスの弓矢からアンカーを放ち保護したが・・・──

 

「見てください先輩!あれを!」

 

【虎ちゃん!?凄い・・・!?】

 

目に飛び込んできたのは驚愕の光景。なんと景虎は第六天魔王の身体を己の脚一つで駆け抜けていた。先に吹き飛ばされた際に、素早く体勢を整え張り付いたのだろう。あらゆる妨害をものともせず、白き軍神は驚愕的な速さを以て魔王の身体を登りきり、白刃を抜き放つ。

 

「巨大な魔王と言えどやりようはいくらでも。その眼、最早開く事は無いと知れ!」

 

そのまま回転し、一閃にて景虎は魔王の『眼』を奪った。時間稼ぎをする為に最適な破壊部位。その合理的判断にて、景虎は武器を振るったのだ。魔王の慟哭と絶叫が、第六天へと響き渡る。

 

【ヌゥウゥオォオォオ!!!おのれ、おのれェイ・・・!!】

 

「マシュ!次はあなたの番ですよ!あなたに向けて、リッカちゃんに向けて攻撃が来る筈!──受け止めなさい!」

 

受け止め、動かず、全霊を誘発すれば防御は手薄になる。魔王の攻撃すら受け止められるサーヴァントは、この場にはマシュを置いて他にはいない。

 

【マシュ、ただのいきりなすびじゃないってところを見せちゃって!誰かを護るって意味で、楽園一番だって証明しちゃってよ!】

 

「はいっ!!お任せください先輩!『来たれ、天の聖杯(サモン・ホーリーグレイル)雪華の鎧よ、我が身を纏え(オルテナウス・プットオン)』!!」

 

展開される、楽園マシュにのみ赦された至高の絢爛礼装。古今東西の防御概念を束ね、重ね合わせた宝具原典集合礼装たるオルテナウスを纏い、マシュは息を吐き魔王を見据える。

 

【滅せィ!滅びよ!!塵も残さぬわァアァアァアァア!!!】

 

大地を削り裂きながら、振るわれる超巨大なる魔王の剣に臆する事なく、マシュはただ静かに、厳かに円卓を掲げる。

 

「──これは総ての疵、総ての怨恨を癒せし我等が故郷」

 

オルテナウスが詠唱に呼応し、円卓とマシュに防御に最適な形態へと武装する。アンカーを打ち込み、背部にブーストを完全展開。何重にも重ねられた遮断防御壁が、その白亜の城の堅牢さを何倍にも高める。

 

「顕現せよ──!!」

 

中心核たる聖杯の最大稼働。マシュ側が担う防御宝具の最大展開。人理の旅にて数多の危機を救いし『城』の顕現──!

 

「『今は遥か理想の城(ロード・キャメロット)』───!!!!!」

 

【ブルゥウァアァアァアァアァアァアァアァウ!!!!】

 

展開される純白の城、振るわれる漆黒の魔王の剣。ぶつかりあった瞬間、万物悉くを消し飛ばすほどの衝撃波が安土全体へと撒き散らされる。魔王の全身全霊を受けながら、マシュは泰然と城を構え、円卓を握る手を緩めない。

 

「なんてこと、ありません・・・!私はグランドマスター、藤丸リッカのオンリーワンサーヴァント・・・─マシュ・キリエライト・・・!」

 

脚が地面にめり込み、衝撃で身体が潰される程の力が課されようとも、マシュの防御は、心は揺らがない。何故ならば、決して砕けぬ防御こそが自身の誇り。背後にいる、誇らしきマスターを護ることこそ自身の本懐。彼女が希望と意志を奮い立たせる限り、身体の底から勇気と闘志が湧いてくる。その心こそ、その魂こそが白亜の城を難攻不落へと進化させる。──その拮抗はすぐに崩れる。

【ヌ、ォオォオ・・・!!】

 

刀が、剣が圧され往く。少しずつ、弾かれ吹き飛ばされるかのように押し返されていく。魔王の力すらも、今の彼女は真っ向から打ち返す。そう、何故なら彼女は──

 

「私は──!!先輩の専属シールダーですっ!!

 

魂の咆哮と共に、マシュの円卓が遂に魔王剣に圧し勝った。天まで届かんとする剣が、弾き飛ばされ宙を舞う。体勢を崩された魔王は、大きくよろめき──

 

【──ノッブ!!マシュがやった!今だよ!!】

 

──此処に、魔王との戦いの勝敗が決する。




ノッブ【ようやった、軍神、マシュ、そしてリッカ先輩。後は我に任せぃ、言葉の通りに決着をつけるとしようぞ──!】

ノッブが宙に浮き上がり、その背後より──黒き髑髏の【神】が顕現する。それは、神へと至ったノッブが自身の可能性と畏怖、そしてあらゆる願いと嘆きを内包させた正しき【魔王】の具現に相違無い。

【最早我が身、第六天には留まらぬ。衆生無辺の在る処、畏敬と共に我は在り!】

過去、現在、未来。その総てにて織田信長に向けられし怨恨、畏怖、嘆き、慟哭、畏敬──それら総てを形と成し、グランドノッブは第六天魔王すらも超越する。

【顕現せよ!波旬変生(はじゅんへんじょう)!!】

神秘、神仏、そして魔王、悪魔さえも焼き尽くし未来を拓くあまねく総ての可能性。人が宿す可能性を最も多く背負う織田信長のみに赦された、驚天動地の神霊顕現。その銘こそは──

三千大千(さんぜんたいせん)!!天魔王(てんまおう)──!!!!】

魔王、神、それら総てを焼き尽くす焔。空の色を真紅に染め上げ、大地を揺るがす極炎の怒濤がが、魔王たる第六天に一斉に放たれる──!!

【オォオオォオオォオ!!!ブルゥウァアァアァアァアァアァアァアァアァアァアアアァアァアァ!!!!!】

・・・勝敗は決していた。片や第六天、片や三千大千世界。担うものも、背負うものも、護るものも。何もかもが次元が違う。全身を撃ち抜かれ、焼き尽くされ、断末魔と共に炎の中に消えていく第六天魔王。

【魔王と言えど、何処まで行ってもわしはわし。──この身は人の道を阻む神を討ち、魔王を滅ぼす身であれば。たかだか魔王のわしに負ける筈が無かろうよ】

轟音と共に崩れ落ちる第六天魔王を見下ろし、神であり魔王であるノッブは示す。

【滅せぬ者の、在るべきや。世の理を決めるのは最早、神でも魔王でもあるまいよ。──魔王たるわしの成れの果てよ】

魔王の打倒はなり、この瞬間、日本を脅かす魔王は此処に潰える。

キャスター『ふふっ、いよいよですね』

──その先に待つのは、衆生救いし極楽浄土──

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