ヘラクレス「あぁ。リッカを休ませるためにシチューでも拵える事にする。しかし極秘」
イアソン「知ってはダメだ!」
ヘラクレス「!」
イアソン「いいか、リッカの探知能力を侮るな。ヤツに隠し事なんかできるはずが無いだろ。会話したら大体見抜くヤツだぞ?お前程度の腹芸なんぞ見破るに決まってる!現に今、参加するヤツには箝口令がしかれ、作戦が行う事すら流布されていない!そもそも知らないんだ、起きてすらいない扱いなんだ!解るよな?リッカという怪物に隠し事をするには!『知らない』という事しか効くセキュリティはないんだ!」
ヘラクレス「さとり妖怪みたいな扱いなのだな・・・解った。お前の判断を信じる」
イアソン「別にハブとかじゃないからな!そこは勘違いするなよ!任せたぞヘラクレス!たくさん労れ!じゃあな!」
「・・・最近マスター達は働き詰めだった。どうせならカルデア残留組を集めてパーティーでも」
アジーカ【・・・】
ヘラクレス「──!」
(いつの間に・・・)
【・・・・・・】
「・・・(シー)」
【(・`ω´・ )OK】
「Σb( `・ω・´)グッ」
(二人でシチュー作った)
「よし──準備はいいな!サーヴァントユニヴァースなる未体験の領域に挑まんとする楽園の財どもよ!我等が挑むは星の大海!に類する何かだ!!」
準備を一通り終わらせ、食材や座標の搬入、設定と言う最終調整に宇宙船達を仕上げている最中、サーヴァントユニヴァースに挑むメンバー達に、楽園の王としての最終点呼を行っている。ある意味で極秘かつ秘密のミッション。それぞれに拵えられた宇宙船、楽園の移動手段もそうそうたるものとなったため、一時的に高天ヶ原を駐留地へと定めている。
一例を紹介すると、まずは王が駆るヴィマーナ。思考と同じ速度で天空を駆け回る王の玉座。本来の銀河運航船たるマルドゥークは秘蔵秘匿する為こちらを宇宙空間用にカスタマイズしたものだ。王専用の宇宙船として納得のチョイスである。これをフラッグシップとして、宇宙航行のデータを採取するのが今回の作戦の主軸でもある。
──楽しみですね!サーヴァントユニヴァースの自由と平和を取り戻し!異なる世界で夢を叶えましょう!そう!ツーリング!
エアが駆るはギルギルマシン。宇宙船どころかバイクそのものであるが、フォウやマルドゥーク、ギルの全力監修によりなんと『宇宙空間にプレシャスパワーで生成した道を駆け抜け、搭乗者の生命活動を宇宙服無しで完全に保証する』という画期的なマシンに生まれ変わった。エアの願いを叶える、虹色と白金のバイク──当然、フォウの収納スペースも完備している。
「セイバー殺すべし!セイバー殺すべし!セイバー溢れる宇宙滅ぶべし!!ギルガメス殺すべし!!」
殺意溢れるヒロインXが駆るドゥン・スタリオンⅡも大幅な改修を行われた。マルドゥークの武装を瞬間、部分的に再現(ほぼデッドコピーではあるが)したものを搭載、ブラックホールの引力を振り切れる事を目標に改造した推力増加、ワープドライブ機能の強化。考えられる機能を盛りに持った新生ドゥン・スタリオンNEW。シートはこっそり二つ作った。
「やりますよリリィ!あなたがあのふざけた宇宙を終わらせるのです!あなたの旅路が、ギルガメスの命運を終わらせると信じて!!」
「そうプレッシャーをかけてはいけないよ。君はいつも通りでいい。いざとなれば私が君を英雄にするから心配はいらない。君は君の道行きを信じなさい」
「は、はい!マーリン、なんだか見る度に傷が増していませんか・・・?」
「私達は直衞ですねナイア!元・銀河警察と戦慄の狩人のコラボレーションを見せてやりましょう!ところでトラペゾヘドロンってセイバーなんですかね」
「どうでしょう・・・その、私もまともに解明できない父の至宝の一つなので・・・」
ナイア、ヒロインXXは相手の戦闘機やアームドスーツを着た敵性反応を排除する白兵戦戦力。故にアーヴァロン、人間型鬼械神といったアーマーを纏いロンゴミニアドとトラペゾヘドロンを振るう。これで敵方の突然の特攻にも安心である。ダメージは全てニャルに行く親切設計。ニャルパンチングアーマー・・・NPAである。
「お前さんの宇宙船は、特にいじるところは無かったぜ。最新機能が目白押しで直すのに手一杯だったってとこだ。大切にされてたんだな。カスタマイズを期待してたなら・・・ゴメンな」
「十分よ、ゴッドオーガ。そもそもサーヴァントユニヴァースのサーヴァントでもないあなたたちがここまで出来ることこそが奇跡なのだもの。これ以上なんて、望んだらバチが当たるというものよ」
イシュタルの漆黒の宇宙船もまた完全に修復を果たされた。温羅が付きっきりでも修復は難航する最新型単独スペースシップ。カルデア技術班が総出でようやく本来のスペックを復活させることが出来た程に、彼女の愛機は他の追随を許さない程の最新鋭だった。
「ナビゲートとサポート担当はケイオス・ボーダーで行うよ。変形機構もついてるみたいなんだ!楽しみだね!」
「操舵はこのアルゴノーツ船長イアソンに任せておけ!ふ、リッカの食い止めに留守番になったヘラクレスに負けない武勇伝をたっぷり拵えてやる!」
ロマン、ダ・ヴィンチといったサポートメンテナンス組はケイオスボーダーに乗り込み行う。楽園に空間直結されたスペースに絶えず物資などを送り込むターミナルの役割を行うのだ。サーヴァントユニヴァース由来の物資を持ち帰るため、何より安全な航海の為にも、彼等の同行は不可欠なのだ。イアソンの腕前を迎え、いざという時の離脱と退避も抜かりはない。
「よし!随時必要な全ては我が取り揃える!此度の我等の目的、それはサーヴァントユニヴァースに蔓延るセイバーを蹴散らし騒動の元である宇宙大帝コスモ・ギルガメスを討ち滅ぼす事!セイバーを招く為に戦う我として、ヤツの狼藉は看過するわけにはいかぬ!セイバーを当てるのはただ一人!我だ!!」
「あなたの個人的事情はともかく(すっぱり)。・・・普段以上にユニヴァースはおかしなことになってしまった。誰かが誰かを滅ぼし、争う事を推奨する世界なんて間違っている」
御機嫌王の意気込みをスパッと断ち切り、イシュタルは説く。殺し合い、争い合う事が是とされた世界では、尊い善や華のような美徳は生まれなくなる。ただ滅びが満ちるのみだと。
「私は記憶を失っているけれど、やるべき事はこの身体が覚えている。──正義とは、善とは断じて犠牲を容認することでも、大の為に小を切り捨てる事ではないわ。愛と平和の為に、全力を尽くす事よ。皆、力を貸して。ギルガメスの手から、ユニヴァースを取り戻しましょう・・・!」
黒きイシュタルは頭を下げ、真摯に真面目に助力を要請する。エルキドゥは身体を震わせた。割と深刻なバグを検知しかけるほどに思考回路が揺さぶられたからだ。
「・・・・・・これがイシュタル?おかしいな、だったら今まで僕の視界にちらついていた生ゴミはなんだと言うんだい?エレシュキガルの片割れに相応しいこの綺麗なイシュタルは本当にイシュタルなのかな?」
「ふはははははははははははは!!そう言うなエルキドゥ!こやつは悪のイシュタルだ、何が悪かなど言うまでもない!本来のイシュタルが絶対に行わず至らぬ思考回路にて動く!即ち!『(イシュタルという存在にとっての)悪』!!つまり全ウルク民が望んだイシュタルということで間違いはないのだ!正直に言おう!エアにやや劣る希少ぶりを誇る!激レアイシュタルよ!」
「・・・楽園にもイシュタルはいるというのに。どうしたというのかしら・・・この認識の違いは・・・」
「イシュタル様!私も一生懸命頑張ります!二人で取り戻しましょう・・・サーヴァントユニヴァースの平和を!人々の笑顔を!!」
「イシュタルも立派な世界線があった事が嬉しいのだわ・・・!力を合わせ、手と手を取り合いましょう!私も地の女神として、精一杯頑張るのだわ!」
「・・・えぇ。私は心強い支援者を得たわ。あなたたちと一緒なら、きっと大丈夫よね」
「我等が叙事詩はついに宇宙の記録を編纂する!心せよ!我等はこれより人類の名誉を背負い星の外へ旅立つのだ!!──錨を上げよ!出港の時だ!!我等!!!」
「ゴージャス☆プレシャス大艦隊!!」
「新生アルゴノーツ!!」
「グランドヒロインユニヴァース!!」
「宇宙大帝殴り込み艦隊!!」
「ケイオスメイクライ!」
「ドゥと愉快な仲間たち!」
「め、メスラムタイアー!」
「統一してなかったのかい!?」
「・・・強者の余裕と言うことでいいのね・・・?」
──いざ!皆の愉悦で宇宙を掴みましょうっ!
(えい!えい!おーっ!!!)
いよいよ地上を離れ、発進する楽園の王とその財達。黄金とセイバー溢れるユニヴァースへと今、旅立つ!!
紫「座標に合わせ、スキマは開いたわ。手頃な辺境の惑星に辿り着ける筈。気を付けてね」
温羅「エンジニアが必要なら言えよーっ!気を付けてなー!」
飛び立ち、次々と紫色のゲートに飛び込んでいく楽園艦隊(仮)。これより彼等は、人類未踏の未知へと挑むのだ。善のために。愛と平和のために。愉悦の為に。リサイクルショップ巡りのために。
マーリン「リリィ、シートベルトはきちんとつけようね。怪我をしないように」
「はいっ!イシュタルさん、私も一生懸命頑張りますから!」
イシュタル「私もよ。皆で力を合わせたなら・・・きっと出来るわ」
ロマン「ワープアウト!宇宙に出るよ!」
ダ・ヴィンチ「さぁて、宇宙は何色かなぁ?」
潜り抜け、一同は目の当たりにする。ギルガメス・ユニヴァースのその威容を。
──こ、これは・・・!
其処に拡がりしは、蒼銀の宇宙──など、見る影もない『黄金の宇宙』。星が浮かぶ銀河が全て、黄金に変じたギルガメスの領域。
エレシュキガル「下品なのだわーーー!?」
エルキドゥ「君のセンスどうなってるんだい」
ギル「我ではない!ギルガメスのセンスだ!見よ!エアの顔を!」
──(゜ロ゜)ウチュゥ?
「このような気の抜けたエアなど見たことが無いわ!困惑して当然よ!」
ロマン「む!救難信号だ!下の惑星から!」
ヒロインX「モニターに回します!」
黒肌三眼の少年『誰かいないか?助けてくれ!俺の宇宙の理が乱されている!カレーショップがセイバーに荒らされている!こちら波旬!サーヴァントユニヴァース店舗展開中の波旬!』
イシュタル「人畜無害な民を脅かすセイバー・・・許すまじ!離陸しましょう!」
ロマン「人畜・・・・・・無害・・・・・・?彼って前楽園に来た事がある・・・ような・・・?」
波乱の幕開けは、カレーを極める求道神を救う場面より始まる──!
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