人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ロマン「ワープアウト完了!今回の星も割と辺境よりかな?一部の地点を除いて村がちらほらある、田舎めいた星っぽいね」

エルキドゥ「えーとリサイクルショップリサイクルショップ・・・なーんだ、この星にも無いじゃないか。残念、僕日向ぼっこしてるから何かあったら呼んでね」

エレシュキガル「気まぐれ過ぎるのだわ・・・」

ダ・ヴィンチちゃん「だが、大々的に広告を打ち出している場所がある。『アルトリウム・セイバーバッチ専門店開店!ワクワクが止まらねぇ!』だってさ」

ヒロインX「アルトリウム取り扱い!?生産手段を確保したということですか!?おかしい・・・アルトリウムは作ろうとしたら何故か上手くいかず、探そうと思ったら見つからない特殊物質だと言うのに!」

イシュタル「・・・・・・。ギル、一旦私達三人で行ってみてもいい?品揃えを確認したいわ」

ギル「許す。赴くがいい。我等はきままに羽を伸ばすとしよう。どうやら敵らしい敵は見受けられぬ様だからな。きままにバイクを乗り回そうではないか」

マーリン「あ、じゃあ村の御婦人に会いに行こう!現地人との交流は大事だよ!」 

ヒロインX「言うなれば偵察ですね!そちらは頼みましたよ、リリィ!」

リリィ「はいっ!」

マンドリカルド「そ、そんじゃあ・・・行くとしましょうか。いい出会いがあるといいっすね」

マーリン「御婦人!今麗しきお兄さんが行きますよー!」

リリィ「どんなお店なんでしょうね・・・!楽しみです!」

マンドリカルド「・・・色んな意味で」


夢を助ける夢

「あらゆる夢を応援する銀河支援ショップ!名付けて『ドリーマーサポートショップ』によく来てくれたなぁ!心から歓迎するぜぇ、相棒ォ!ハッハッハァーッ!!」

 

意を決してショップに入ってみた一同を迎えたもの。それは初老の男性のスペシャルな笑顔と綺麗な品揃えが立ち並ぶよい雰囲気のショップ内装だった。虫歯一つない歯茎まで見せるような店員は、恐らく此処の店長でもあるのだろう。巧みなトークを、リリィ達へと展開を行ってきた。

 

「ここは初心者、或いは非戦闘のヤツをセイバーとして力強くサポートするのが目的のショップだぜぇ。パワーアップに必要なアルトリウム、ちまたに溢れて必要不可欠なセイバーバッチを格安かつ安全にバッチリ取り揃え、良心的な値段でお送りさせていただいているのがモットーのお店だぜ。多少の通貨はいただくが、そいつは安心への補償金ってヤツだ。完全に本物であるバッチやアルトリウムなどを託すための信用金ってヤツだぜ。間違いなく!値段以上の買い物は出来ると太鼓判を押してやる。俺のこの100%の笑顔もつけてなぁ!ファッハッハァー!」

 

「・・・嘘は言っていないみたいね。シルバーもブロンズも、アルトリウムも本物だわ」

 

確かに並ぶ商品は通常の相場としては二倍近く高いものの、スキャンされたバッチもアルトリウムも本物であることは間違いない。破格の品揃えを提供してくるドリーマーの名に恥じない品揃えの店長に、イシュタルが感銘を漏らす。全てを買えたなら、かなりの成長が見込めるだろう。そして此方の総大将はゴージャスだ。本物であるならば、いくらでも買い続けることが可能である。悩む迄もない悩みに、三人は直面していた。

 

「確かにこいつはありがたいっす。ドリーマーと名乗るだけの事はあるっすね。・・・しかし、なんだってこれをわざわざ売り付けるんです?自分のものにしちゃって自分を強化しちゃえば、ブロンズは楽勝で突破できる筈だと思うんですがね」 

 

だというのに、彼はせっかくの豊富な資源を商売という形で売り出している。争いには参加しなくとも、参加する者達を強くする行いをしているのだ。何故かという問いに、照れ臭そうに初老の店長は返答を返す。それは──

 

「ヘヘッ。そりゃあおめぇアレだよ。俺はアンタらみてぇな『夢』に溢れた若者やセイバーを手助けしてやりてぇが為よ。その為に、俺はこうしてセイバーバッチやアルトリウムをかき集めてご提供させていただいてるって訳だ。そりゃあ勿論多少の賄いはさせてもらうがよ?それでも俺は『夢』を支えてぇ。てめぇが強くなって未来を拓くには、見ての通りちっとジジィが過ぎるだろう?未来を拓く夢を叶えるのには、あんたらみたいなキラキラした奴等がいいに決まってるぜ。だから俺はこうして支えるのさ。ブロンズっていう比較的安全な場所で、夢見る希望に溢れた奴等に翼や剣をプレゼントする。そんな奴等が旅立って行くのを見るのが今の俺の『夢』なのさ」

 

彼の言葉に、一切の迷いや含みは感じられなかった。彼は本気で、夢を見る若者達を支えたいと、そして自分が行う事が正しいと信じている。誰かの夢が未来へ羽ばたく事を信じている。だからこそ、こうして躊躇いなく蓄えとも言える商品を提供しているのだと淀みなく語っている。その瞳には、キラキラとした輝きが詰まっている。一縷の穢れなく、己の行いが正しく、素晴らしいものだと信じている。これが彼なりの『夢』の叶え方だと言うことを熱弁し、リリィ達にその是非を問うたのだ。

 

「素晴らしい・・・!素晴らしいです店長!あなたのその崇高な意志!心から敬服致しました!はい!あなたの夢、あなたの想い!決して無駄にはしません!」

 

「解ってくれるかい、嬢ちゃん?嬉しいねェ、俺は嬢ちゃんみたいな綺麗な娘が大好きなのさ!たくさん買って、何処までも輝いていってくれよなァ!」

 

「そういう事なら、遠慮なく買っていきたいっすね。シルバーセイバーバッチがブロンズ宙域で手に入るって言うのも中々ないし。俺も下さい。買うっすよ」

 

「ありがとよォ!ハッハァ!これでまた二人の夢が宇宙へ旅立つ訳だ!いくらでもジャンジャン買っていってくれよなァ!」

 

「・・・・・・えぇ、えぇ。解ったわ。それじゃあ、その手筈で」

 

にっこりと賛同するマンドリカルド、リリィとは異なり、端末にて何者かと会話し通信を切るイシュタル。そして向き直り、店長へと告げる。

 

「大変ご立派だわ、店長。私達はギルガメスを打倒するという崇高な使命を持っているの。だから戦力はいくらあっても不要ということはない・・・だから、此処にある全てをお買い求めさせてくださる?」

 

「!?」

 

「──オイオイオイ、いいのかァ!?」

 

「勿論。更に二次、三次受注もさせていただくわ。見たところ、時間さえかければシルバーまでなら沢山用意してもらえそうだし・・・無茶な注文のお詫びとして、二次と三次には通常の値段に数倍色を着けさせていただくけれど、どう?」

 

それを聞いた店長の目は輝いていた。──先の様にキラキラとしていた輝きではなく、最早爛々といった方が相応しいほどのギラついた輝きにだ。

 

「勿論構わねぇ!誠心誠意取引させていただくぜェ!ギルガメス打倒の広告塔の売れ筋になれるってんならこいつぁでけぇシノギになるよなァ!ハッハァ!今まで以上にでけぇ夢が叶えられそうだぜぇ!ワクワクが止まらねぇ!やらねえ手はねェよなぁ!」

 

「い、イシュタルさん?店長?」

 

「なんか、目が怖くないっすか二人とも・・・」

 

「えぇ、それではよろしくお願いいたしますわおじさま。受け取りは明日お伺い致します。これよりこの代金と受注の前金がやって来ますのでどうぞお受け取りください。それでは、私達はこれで。荷物の搬入はこちらのポイントでよろしくお願いいたしますね」

 

「おうよ!毎度ありィ!フハハ、ハッハッハッハァ!コイツは、コイツは逃すわけにはいかねぇデカいチャンスだぜ!昔やった大航海以来のチャンス、モノにしない手はねェよなぁ!フフフハ、ハッハッハッハァ!ファッハッハッハァー!!!」

 

「行くわよ、リリィ、マンドリカルド。買い物は済んだわ。後は届くのを待ちましょう」

 

「は、はい!では、お元気で!」

 

「う、うっす。・・・なんすか急に、二人ともどうしちゃったんすか・・・?」

 

狂った様に笑う店長に、笑顔ながらも目が笑っていないイシュタル。対照的な二人の在り方に困惑しながら、店を後にする三人。

 

「だったら、もっともっとペースを上げるしかねぇよなぁ・・・ククク、働き甲斐があるぜェ、本当によォ!」

 

不気味な程に上機嫌な店長の高笑いと独白が、夕暮れ時の空へと吸い込まれていく。だがそれは先の希望に満ちたものではなく、もっと禍々しいモノへと感じられる響きを孕んでいた──

 

 




夜営駐留所

ギル「帰ってきたか。どうだ?口八丁で罠とは気付かせなかったか?」

イシュタル「えぇ、快諾してもらえたわ。後は買い取り、用意してもらうのみ。恐らくぐぐっとリターンがあるはずよ」

マンドリカルド「あ・・・。あの時連絡を取り合っていたの、王様とだったんすね」

リリィ「全く気付きませんでした・・・!あの、どのような内容のお話を?」

イシュタル「簡単な話よ。出所不明の物品の所在を明らかにするというだけ。原産地が解らない食品なんて危なくて手が出せないでしょう?」

マンドリカルド「・・・?」

マーリン「いやぁ、バイクで広大な大地を疾走するというのは心が踊るものだ!ギルガメシア姫が熱中するのも頷ける!タンデムできて光栄だったよ!でもパイロットはギルガメッシュ君だったのがちょっぴり残念だなぁ。姫の腰に手を回して密着したかったなぁ!」

ギル「ふはははは!誰が至宝に触れさせるものか!我もバイクを乗り回すは悪くない心地なのでな、一日走り回ってやったまで!残念だったな夢魔よ!」


──ワタシは喜んで御同伴するつもりだったのですが、やはり王の雄々しき操縦の姿も目の当たりにしたかったので!千里眼コンビのタンデムなんて素晴らしいものが見れました!

フォウ(ナイスだギル!そして逃がすなよ八つ裂きにするから!)

イアソン「欲望に忠実すぎて笑えてくるな!それでどうだ、一日このド田舎星の村を回って何か掴んだのか?」

マーリン「それは勿論。私達が訪れた村、どこもかしこも夫がおらぬ有り様だったよ。女子供ばかりが残された寂しいものだった。御婦人方を慰めていたらもうこんな日没に・・・」

マンドリカルド「んなことしてたっすか・・・夫がいない?出稼ぎでも行ってるんすかね?にしてはあそこ以外デカい店なんて見掛けなかった様な・・・」

イシュタル「気付かないなら気付かないでそれでいいのよ。あなたたちはゆっくり休んでいなさい。目当てのものは、明日必ず来るのだから」

リリィ「???わ、解りました!」

ギル「・・・類は友を呼ぶ、というヤツか?」

イシュタル「頭の痛い事にね。──でも、だからこそいち早く気付けたのだからよしとしましょうか」

エルキドゥ「はい、召し上がれ。美味しい美味しい・・・カップ麺だよ!」

エレシュキガル「あついっ!?」

XX「銀河警察、本当に壊滅していましたね・・・連絡もつかないとは不甲斐ない・・・!」

ナイア「散々追いかけられた施設が無くなっているのも、それはそれで物悲しくありますね・・・」

イシュタル「──そう、夜がとても楽しみね」

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