妻「えぇ、とても素敵な方です。いつも私達を最優先にしてくれて・・・村の仕事も、率先して・・・今回も、星が有名になるのならと・・・」
娘「パパはね、いつも優しいの!お母さんと私が宝物だって、いつもぎゅってしてくれるの!」
マーリン「それは素晴らしい。仕事より家庭を、とは中々出来ることじゃないからね。美男美女の村にて慎ましい暮らし。小さくとも、ここは確かにアヴァロンだ」
妻「私達も、この星も辺境なので・・・力を合わせなくては生きていけないのです。・・・夫が稼ぎに出掛けてから仕送りはされるのですが、一向に仕事は落ち着かないようで会えず・・・」
娘「ママ、心配してるの。パパ、いつもみたいにママをぎゅってしてあげてほしい・・・」
マーリン「大丈夫だよ。近いうち、パパは帰ってくるさ。この宇宙が代わる頃には、必ずね」
娘「ホント!?」
マーリン「あぁ、任せたまえ。私達はね、何を隠そう──正義の味方なのだから!」
~駐留地点
ギル「ハッ、正義の味方とは不愉快な形容をしおって。我は世の為人の為の戦いなぞ一度もしたことなぞ無いわ!」
マーリン「まぁまぁ、もたらす結果は一緒だからいいじゃないか。そういう君もエア姫にラマッス仮面で慰安をさせていただろう?」
ギル「立ち寄った酒場の女主人の酒があまりにも塩辛く飲めたものでは無いのでな。エアに足労させ童から笑顔にさせてやったに過ぎん。未亡人なぞ夫の生前の情事を暴き聞かせる程度のものでしか無かったが・・・ゴージャスたる我には口に合わん愉悦よ!酒に涙が混じり台無しではないか!万物全て、我等の為に笑顔で無くては赦さん!」
──・・・(о´∀`о)
~
子供「かっこいい~!ライオン姉ちゃんかっこいい~!」
ラマッス仮面「姉ちゃんではないラマッスよ。ラマッス仮面ラマッス。もうすぐ皆帰ってくるラマッス!皆、良い子で我慢ラマッス!」
子供たち「「「「「はーい!ライオンお姉さーん!」」」」」
ラマッス仮面「お、お姉さんではないラマッス!正体不明、通りすがりのラマッス仮面ラマッス!」
娘「だってお姉さん、すっごくいい匂いするもーん!」
「ファッ!?」
~
──子供たちこそ最高の宝物。なんとしても、取り戻さなくてはなりませんね!
《そうさな。お前の愉悦は我の愉悦よ。さて、お手並み拝見と行こうではないか。スペースイシュタル──》
マーリン「じゃあ私、ご婦人方とお茶の約束があるから行ってくるね!」
フォウ(お茶の約束だよな。本当にお茶の約束なんだよな!?)
──マーリンさん・・・なんて、なんて献身的なメンタルケア・・・!
《・・・あの夢魔めにも首輪をつけるべきか?》
「誰かを救うためには、それを支える誰かが必要だよなぁ?白鳥だって優雅に泳ぐ為に必死にばた足やってるしよぉ・・・お前らは俺にとっての白鳥だぜ!世界のために、俺の為に!一生懸命ばた足してくれよなァ!そらペース上げろぉ!ファッハッハッハァー!」
セイバーバッチ取り扱いショップ・・・の地下。アルトリウム生産工場地帯。物流や商売は安く仕入れ高く売り捌くのが鉄則だが・・・その点において彼、ドリームカムトゥルー・コロンブスは宇宙一上手くやっている存在と言っていいだろう。彼の目の前には大量の原住民たちがアルトリウムの生成作業、セイバーバッチ加工作業を行っており、店に並び宇宙に出荷する分の製作を担当させられていた。
「お前達が一生懸命になる事で稼ぎは家族に!作られたブツは宇宙を救う働きものに!利益は丸々俺の懐に!皆が幸せになれるんだぜェ?もっともっと頑張ってくれよォ!お前達の頑張りは宇宙を救うんだぜ!何万年後に次のシーズンになるかは知らねぇけどなァ!!」
セイバーウォーズが始まった際、まず彼はヴィランが作り上げた各種マシンに目をつけた。人の感情をエネルギーに変換する装置、セイバーバッチに材料を加工できる装置。実際に闘うよりそういった機材をひたすら仕入れる事を選択した。ギルガメスの一掃でヴィランが滅びた後には、放置された機材をかき集め自分のものとした。
『このシーズンで俺ぁ一財産を築くぜ!リセットかけられる前に現金や物資に変えて俺だけの隠し財産にすりゃボロ儲けよ!チャンバラに興味は無いが金儲けやお宝は大好きだぜぇ!』
そうして自主的にアルトリウムとセイバーバッチを制作できるようになった彼は競合相手の少なく争いとは遠いブロンズ宙域へと飛んだ。全宇宙をカバーするシーズン代わりのユニヴァースだが、それがピンと来るのには星の個別さがある。彼は一生懸命努力し、『変化に疎く』それでいて『駆け出しショップになりそうな』手頃な位置関係の星を見つけ出した。
『お前達に世界を救う手助けをさせてやる!そんで家族にうまい飯を食わせてやる!だから力を貸してくれねぇか、アットホームな職場で一緒に働こうぜぇ!』
後は手八丁口八丁で丸め込み、労働力になる男達を星中の村から引っこ抜き施設を作らせ連行した。幸いなことにこの星の者たちは健康体かつ善良で、愛するものや未来ある存在に奉仕できるならと志願を積極的に行ってくれた。彼は絶好の環境をもたらしてくれた神に幸運を心から感謝した。
『お前達の汗の一滴が世界を救う力となる!家庭の幸せになる!嘘は言ってねぇぜ?ガンガン頼むぜ俺のお宝達よォ!』
後は彼等を地下に押し込み住み込みで徹底的に働かせた。労働に堪えられるギリギリのラインで、倒れる事のないギリギリの休息で、サーヴァントが行えるギリギリの負荷を与え続け最高効率を維持させる。アルトリウムは機械の生産が難しいので、ヴィランの作った霊基をアルトリウムに変える機械を付けさせ労働させた(健康観測タイマーと銘打ってある)。
『俺は得する!お前らの家族も得する!世界を救うセイバーも得する!winwinの関係ってヤツだなぁ!』
こうする事で脱獄や脱走の意志と力をアルトリウムに変え、それをセイバーバッチに変える。自分は何もせず金は勿論、善良なセイバー見習いを助けるクリーンなショップ店員という名声を産み出してくれる善良な原住民の皆様を彼は愛していた。彼等は一様に素晴らしく、自身から労働を志願した。
「家族が幸せになれるなら!」「この星を裕福に、有名にしたい!」「俺達の頑張りが、宇宙の助けになるなら・・・」
そういった自主的な働き者の皆さんの要望にも彼は全力で答えた。(ピンハネした)仕送りを家族に送り付け、(自身を広告塔にした)ショップを作ることで星をアピールし、(右も左も解らない)新入りセイバーに有用な物資を(相場の二倍以上で)提供する。元手やリスクが遺棄された物資であり、取り締まる銀河警察はとっくにくたばった。夢一杯のドリームショップは、夢見た黄金郷は此処にあったのだ。売れなくとも少なくとも損はない。アルトリウムは自分で使えばいいし、セイバーバッチはリサイクルショップに売り飛ばすか最悪村人に配ってセイバーに仕立ててやればいいだけの話なのだから。ネットでセット販売という手もある。結局元手がゼロな為、どうあがいてもマイナスにはならないリスクなしの商売なのだ。コロンブスは笑いが止まらなかった。万事が上手く行きすぎているためだ。やはり女神は、自分にこそ微笑んでいると確信していた。
「工場長!また過労でZチームのメンバーが倒れました!」
「あん?オイオイマジかよ、しょうがねぇな!」
いや、リスクはある。労働がアルトリウムを生み出すシステムな為、負荷に耐えられなくなった善良な労働者が倒れてしまう時がちらほら。更にノルマも追加されたが為か、昨日からやや増え始めていたのだ。そういう場合は非常に困る。貴重な働き手を無下に扱ってはいけない。だがそれとしてダメになってしまった場合もあるので。そんな場合は心苦しいが・・・
「ま、待ってください・・・僕は、僕はまだやれます・・・!」
「いいんだ、無理しないでいいんだぜ?お前さんはよーくやってくれたよ。だから安心して──」
そう、満面のスマイルと共に労い──彼を放り込む。アルトリウム変換装置、或いはセイバーバッチ加工装置へ。
「うわぁあぁあぁあぁぁあぁ!!?」
肉が引き裂け骨が砕ける音、断末魔の絶叫が響き渡る数秒間の後、シルバーセイバーバッチとアルトリウムが加工され引き出される。彼はそのなれの果てに哀しみと共に涙を流した。そう、悔しさの涙だ。
「バカ野郎・・・お前さんならこの何百倍ものバッチとアルトリウムを作れた筈なのによォ!俺は悔しいぜ!もっともっとコキ使ってやれなくてすまねぇな・・・すまねぇなァ!赦してくれよぉ!ファッハッハッハァー!」
勿論これは諸刃の剣だ。こうする事でセイバーバッチは作れるが、たった一度きりで永遠に労働力が失われてしまう。どれ・・・善意の協力者は有限ではない。財産として大切にしなくてはならないのだ。だからこうならないように──『加工の際は見せしめとしてミキサー処理と決めている』。倒れるなんて二の舞にはなってほしくない。次のシーズンに入るまで死んだようなものにならないよう、祈りを込めてこう告げるのだ。
「お前らは俺の宝物だからよォ・・・俺もこんな事にはなってほしくねぇんだ。だから健康管理はキチッとしてくれよな!抜けた穴はお前らがカバーするんだぜェ!でけぇ注文があるんだ、気合い入れてけよォ!」
もちろんノルマは上乗せであり、徹底した作業が課せられる。彼等は大義名分と幸福に繋がる事を信じ働き続けるしかないのだ。自身の身が砕けようと誰かの為になるのなら。此処に集まる者たちはそういうお利口さん達だ。『そういうお利口さん達を選んだのだ』。夢で飯は食えないが、夢で人を働かせる事は出来る。今は小さな一歩だが、いつかきっと彼等の為にも、シーズンを支えるような大企業へと発展させる。一大メーカーと成長するまで、コロンブスは決して諦めずに前を向き進み続けるだろう。
「皆幸せ!皆が一丸となって前に進む!最高のユニヴァース事業ビジネスだぜェ!本当にありがとよお前らァ!いつか世界を救うセイバーが現れてくれるといいよな・・・いつになるかはわかんねぇがよォ!それまで沢山!俺に美味しい思いをさせてくれよなァ!!」
ファッハッハッハァー!!明日の超大物取引に備え、彼は白い歯茎を見せ満面の笑みで従業員達を労うのだった。今宵も(歯が)ホワイト企業なドリームカムトゥルー・コロンブスは絶好調である──。
そして彼の一日の楽しみが始まる。総生産ペースト生成量のグラフだ。彼はこれを見るのが何よりも楽しみなのである。
コロンブス「ンッンー♪電卓を押す手が止まらねぇな!こりゃあ大きく素敵にもっともっと儲けられそうだぜェ!」
彼はスキップを行いながら、社長室に入り──
「──吐き気を催す邪悪の定義って、御存じかしら?」
コロンブス「あん?」
社長室の椅子に、座っている影がある。その影は、ゆっくりと椅子を回し振り向いた。
「善良な者や、何も知らないものを踏みつけ利用する人の事を言うの。そして極め付きはあなたのような──」
コロンブス(馬鹿な、どうやって此処が・・・!)
「自分を悪だと気付いていない者こそ、宇宙で最も邪悪な悪。──裁きに来てあげたわ。私が・・・直々にね・・・」
其処にいた少女、それは先の取引先相手。絶対零度の決意と共に、コロンブスに向け善の刃を突き付ける──
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