人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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IZO「ようこそ御越しいただきました。わしが店長のIZOと申しますきに。小さい場末の店舗ですが、楽しんでつかぁさい」

リリィ「わぁ・・・!色々な商品が置いてあります!師匠!これは・・・!」

ヒロインX「気づきましたかリリィ!そう、リサイクルショップ巡りにてパーツを買い漁り、あなたに与えパワーアップさせるのが目的なのです!さぁ行きますよギル!設計図書きましょう設計図!」

ギル「解った解った。我もギルギルマシンのパーツが入り用だ。ついでに付き合ってやる」

──むっはーっ!やったーっ!

マーリン「いやぁ、本当に年相応に喜ぶエア姫は可愛いなぁ・・・たしか二歳だったかな?無垢も無垢じゃないか。可愛いなぁ・・・」

フォウ(解るだろう。今日だけ、今だけは全てのいさかいを忘れよう・・・)

ヒロインXX「銀河警察の装備でも横流しされてませんかね?見に行きましょうナイア、イシュタル!」

イシュタル「横流し・・・見つけたなら摘発しないと」

ナイア「イシュタル様。まさに諸悪の根源を私は知っているのですが」

エレシュキガル「あ、その・・・」

マンドリカルド「えと・・・」

エルキドゥ(・・・ニヤリ)

?【・・・二人か。じゃあまずはあいつから・・・】


リサイクルショップ・IZO

「待ちに待ったリサイクルショップだね!解るよ・・・凄く解る。僕の炉心は今臨界まで高まっているからね!君達はどうだい?規模は小さいけれど、きっと楽しい筈だよ!」

 

いつも以上にテンションが高いエルキドゥが、二人に声をかける。行動力の化身、陽たるメンバーはそれぞれの目的を果たすためにリサイクルショップのコーナーへと赴いてしまった。そして残されたのは・・・

 

「そもそも、あんまり皆で遊びに行く機会に乏しいっす・・・」

「右におなじなのだわ・・・」

 

右も左も解らぬちょっぴり内気な陰気組二人。施設は楽しそうだけど何処からどう行けばいいのか・・・途方にくれていたところの二人をエルキドゥが見つけたのだった。

 

「そっかー。じゃあ僕が色々教えてあげるね。大丈夫、ノスタルジーな気分に浸ったり、些細なお土産を買ったり。歩いているだけで楽しい筈だから!さぁさぁレッツレッツゴー!」

 

「わわわ、心の準備がぁー!?」

「こっちのエルキドゥさんも大概自由っすね・・・お見逸れしましたっす・・・」

 

グイグイと押されながら、リサイクルショップに脚を踏み入れる三人。エルキドゥのイチオシ巡りに、陰気組たる二人が巻き込まれ──

 

~ポイント1 ちょっと古めのゲームセンターがある

 

「大抵、スロットやUFOキャッチャーみたいなファミリーゲームが置いてある事が多いんだ。同時に駄菓子屋も連動して置いてある時がある。大きなゲームセンターの雰囲気が苦手・・・なんて時にもお勧めだよ」

 

「あっ、可愛い人形・・・お土産にお母様に取って行こうかしら・・・」

 

「エレシュキガル様、こういうの得意なんすか?」

 

「レクリエーションルームで多少は・・・得意かどうかは解らないけれど、やってみるしかないのだわ!」

 

ゲームセンターコーナーにて、懸命にUFOキャッチャーに勤しみ始めるエレシュキガル。見回す限り、駄菓子屋やメダルゲームも介在している。小さくてもツボを抑えた場所であるとエルキドゥは口笛を吹いた。

 

「ああっ!と、取り逃したのだわ・・・」

 

「・・・あ、あの。気を落とさないでくださいっす。その、もう一回、やればきっと・・・多分・・・」

 

「任せて、取ってあげるよ。ウィーン、ほいっ、ぽいッと。はい、どうぞ」

 

「わぁ!凄いのだわエルキドゥ・・・!コツとかあるのかしら?」

 

「アームの引っ掛け位置とか、パワーを見切って動かせばちょちょいのちょいだよ。練習してみる?マンドリカルドも欲しいかい?」

 

「あっ、はい。欲しいっす」

 

「私もせめて、一つくらいは自力で取りたいのだわ・・・!」

 

(・・・すげぇ、ぴったり密着して教えてる・・・人間より人間らしくないかこの人・・・人?俺はまごついてるだけだったの、情けないったらないか・・・)

 

「マンドリカルド~!やったのだわ取れたのだわ!はい、どうぞ!」

 

「飲み込みはやッ!?あ、くれるんすか。・・・あ、あの。あざっす・・・宝物にします・・・」

 

~ポイント2 古着屋コーナーがある

 

「古着だからって侮ってはいけないよ?お洒落で素敵なワンポイントファッションや、そもそもオシャレ入門なんて時にローコストで揃えられる。あ、エレシュキガルにはこのチョーカーや帽子が似合いそうだね。どれどれ?」

「は、派手すぎるのではないかしら?私に着飾られてこの子達も不本意じゃないといいのだけど・・・」

 

(いや、十人中十人が振り返るくらい可愛いからそんな心配いらねっすよ。というか絵になりすぎ・・・美男美女で眩しすぎる・・・アイドルってこういうの言うんだろうなぁ・・・)

 

「マンドリカルドも似合うって言ってる。大丈夫だよエレシュキガル。同じ顔をした大きなハエも見てくれだけは良かったから間違いないよ。ね?」

 

「え、あ、いや!く、口に出てましたか!?可愛いと思うっす!思ってましたっす!あぁあのすみません!」

 

素早く謝るマンドリカルド。自分に非がないのにとりあえず謝罪から入る。コミュニケーション不馴れな方によくあるパターンである。

 

「こ、こちらこそ申し訳ないのだわ気を遣わせてしまって!」

 

こちらも冥界気質なので同じことであった。互いにリスペクトし合うが故の謝罪合戦を、愉快そうにエルキドゥは見守っている。

 

「マンドリカルド、君は木刀を振り回すけど僕からしたら地味すぎるよ。もっと木刀に鉄埋め込むとかさ!」

 

「発想が釘バットめいてるっすね・・・。あ、その。本当に、似合ってるっす。エルキドゥさんの見立てと、素材の良さっすね」

 

「あ、ありがとう。あなた、いい人ね・・・間違いないのだわ」

 

「え、あ、いや、そうっす、かね・・・あは、あはは・・・」

 

(楽園にいないタイプだから楽しいなぁ・・・)

 

ポイント3 御宝が眠っている

 

「あっ、これ・・・さっきエルキドゥがカタログで見ていたプラモデルじゃないかしら?あれ、でも値段が5000円も安いのだわ」

 

「そうなんだよ。よく気付いたね。リサイクルショップは普段の相場より安く、市場では見ない・・・手に入りにくい商品が並んでいる時がある。店員側の査定が甘かったり、商品状態が良くなかったり・・・たまに美品でも置いてある時があるから、そういう場合は見逃さない様にね。十品目確保っと」

 

「そんなに買うんすか・・・!?」

 

「勿論。こういう場所に来る時は衝動買い出来ちゃうくらいのお金は持っておこうね。良いものは誰にとっても良いものだから、すぐに無くなってしまう。『買っておけば良かった』という後悔は『なんで買ったんだろう』という疑問より何倍も痛む傷として残るからね。買うか買わないかでいったら、迷わず買うべきだよ」

 

「成る程・・・」

 

「ギル!オンボロではありますがリリィの武装に使える部品やリアクターを沢山見繕いました!どうしましょう!」

 

「纏めてカゴに放り込め!買わずに歯噛みするより買って首を傾げよ!財とは流通してこそ価値が生まれるのだ!ふふははははは!!」

 

「・・・うずたかくカートに商品が積まれていたのだわ・・・」

 

「流石、ゴージャスさんは格が違うっすね・・・」

 

「うーん、もうちょっと安くなりそうだけどネット出品見ないしなぁ・・・うん、買っちゃお買っちゃお。スプレー吹いたり艶消しすれば立派になる筈だしね」

 

「こっちもこっちでスッゴく楽しんでるっすね・・・」

 

「でも、解るのだわ。まるでおもちゃ箱の中を歩いてるみたい・・・見たことの無いものに囲まれるって、楽しい事なの。・・・あの時も、そうだったしね」

 

「あの時・・・?」

 

「えぇ。一度だけ、外の世界に触れた時があったの。その時からずっと楽しい毎日だけど、あの時の初めての高揚は忘れられない・・・皆で滅亡に立ち向かった、素敵な一時なのだわ・・・」

 

「・・・なんかいいっすね。それ、エモいっす」

 

「イモい?」

 

「エモい、っすね。確かなんの略だったかな・・・エモ、エモーション・・・?そんな感じのスラングだったような・・・」

 

「尊い、みたいな感じの言葉かしら?それなら解るわ。私の毎日は、とてもエモいのだわ!(キリッ)」

 

「・・・・・なんつーか・・・神ってもっと、厳かで高慢のイメージだったんすけど。全然そんなこと無いっすね。なんていうか、その」

 

「?」

 

「あー、親しみ易いっていうんすか。・・・自分じゃ女神のエスコートは役不足ですが、その、あーと・・・役不足の使い方ってこれで合ってたっけかな・・・」

 

「え?えっと確か・・・リッカが言うには『自分が相手するにはヌル過ぎる!』って意味で使えば間違いないって。だから、えぇとこの場合・・・」

 

「女神という大役のエスコート対して、俺なんかじゃという意味だから合ってる、か・・・?あのすみません、間違ってたら土下座するんで裁きとかは、勘弁してもらいたいっす・・・」

 

「し、しないのだわ!?」

 

(見てて面白いなぁ・・・)

 

楽園の和気藹々とした触れ合いとはまた違う、気遣いから生まれる独特の距離感の掛け合いに、エルキドゥはほっこりしながら掘り出し物を漁る。

 

「────」

 

・・・その品物にいくつか、『拭き取られた跡』があることを見出だしながら・・・




ポイント 食事自販機もある

休憩エリア

マンドリカルド「じゃあ、取ってくるっす。ちょっと待っててください」

エレシュキガル「そんなに気を遣わなくて大丈夫。一緒に行きましょ?」

マンドリカルド「あ・・・すみません。じゃあその、一緒に行きますか」

(まずった・・・場をもたせられる自信がない・・・大丈夫か俺・・・退屈させないようにしないと・・・)

エレシュキガル(もっと仲良くなるために、受け身ではまずいのだわ。リッカやオルガマリー、エアやエルキドゥに続いてマブダチを作るのだわ・・・!)

「「・・・あの!」」

【──仲睦まじい事で結構じゃのぉ。丁度えい、纏めて切り捨てるきに・・・!】

「「!?」」

エレシュキガル「これは!?」

「ワープホール・・・!?なんだってこんな──」

【大したことの無さそうなランサーから、いただくぜよ・・・!】

突然発生したワープホール内部に、為す術無く二人は吸い込まれてしまう。

──そこは既に、【人斬り】の領域だったのだ。

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