ポルクス「不躾にすみません。詳しい話は着艦してから行います。ビーコンを出しますので、私についてきてください」
リリィ「わくわく!何が待っているんでしょうか
・・・!」
イシュタル「罠じゃないのかしら」
ヒロインX「望むところです。背中からブッスリと行ってやります!正々堂々!」
イシュタル「正々堂々ってそっちの世界では大分違った意味だったりするの・・・?」
ジークフリート「着艦するぞ。俺は艦に残ろう」
イシュタル「そうね、艦を護ってもらわなくちゃ」
「いや、仕事が残っているんだ」
「「「・・・・・・・・・」」」
ポルクス『こちらです』
(神殿なんでしょうか・・・)
(ポルクスは神なんだったかしら・・・)
ボクシングジム
二人((なんで!?))
ポルクスはボクシングが非常に上手な神なのだ!
「改めまして。私と兄様はディオスクロイ。サーヴァントユニヴァースにおける輝きの双子としてちょっとした存在です。私は神の血を引く不死身のセイバー。・・・兄様も、本当はそうだったのですが」
招かれたスポーツジム・・・というか、ほとんどボクシングジムにてポルクスを名乗る女性がサンドバッグをえげつない覚悟のラッシュで跳ね上げながら語る。元の位置に戻る前に叩き込まれる拳の連打に、サンドバッグが軋み悲鳴を上げ跳ね飛ぶ。どうやらポルクス、かなりのボクシング上手な様だ。
「人間に語られる伝承の中で、カストル兄様は神ではなく人間として語られる様になり、遂には神の座から零れ落ちてしまいました。神ではなく、人として貶められたと兄様は常に憤慨しており、その屈辱を憎悪に変えて日々を生きています。つまり、クラスは・・・アヴェンジャー。とても気難しい、困った兄様なのです」
伝承の中で人が吸血鬼に変えられるように、望まぬ形で自身を歪められた。その屈辱を憎しみに変え、兄は日々を生きている。当然ながら人間など嫌いだと言う。自由に羽ばたく鷹を、ニワトリと語られたなら怒りもしようと常日頃カストルは言っていたと言うのだ。そしてその怒りは、人間全てへの憎悪へと向けられている。サーヴァントユニヴァースにおいても、それは何も変わらないと言うのだ。
「ははぁ、本能的に私達の素性を把握してきたということですね?私達が別の世界、人間に招かれたサーヴァントであることを察知したわけですか」
「・・・。生き辛くは無いのかしら。それはずっとずっと昔の話。そんな怒りと恨みを常に抱え撒き散らしていたの?」
「筋違い。全くその通りです。兄様の怒りと憎しみは最もですが、それを今を生きる人間にぶつけるのもまた筋が通らぬと言うもの。神を名乗ると言うならば、人間を憎むと言うならば、嫌悪するならば。『同じ次元に落ちては元も子も無いでしょう』。私はそう、兄様を諌めて参りました」
『馬鹿め!滅びろ人間!』とカストルが言えば『まるで人間のような癇癪ですね兄様』と諌め、『無様だな人間!』と嗤えば『まるで人間のような嘲笑ですね』と嗜め、『忌々しい人間どもめ・・・!』と吐き捨てれば『好きの反対は無関心です兄様、実は人間好きなのですね』と返しポルクスゥウゥウ!!と血管をぶちギレさせるコントめいたガス抜きで今までは上手く回っていた。いたのだが・・・
「シーズンがセイバーウォーズになった瞬間、何かに突き動かされる様に兄様は駆逐と虐殺を始めました。セイバーもランサーも関係無く。その様子は、皮肉にも神のようでした。恐ろしき祟り神・・・畏怖される神の在り方に」
常日頃から不機嫌極まるカストルであったが、セイバーウォーズになってからと言うもの・・・攻撃性と残虐性がポルクスですら戦慄く程に高まっていたという。非戦闘、無抵抗のサーヴァントすらも躊躇いなく虐殺し、セイバーを狩っていく。それまでなら、辛うじていつもより興奮していると説明は出来たのだが・・・
「兄様は、仲間を・・・かつてアルゴノーツに乗っていた仲間であるカイニスを嬉々として討ち果たしたのです。ランサーであり、図らずも兄様が求めてやまぬ神の座を手にしたカイニスを徹底的に。生前の逸話に則って。・・・その様子は、最早いつもの兄様ではありませんでした」
『自らを辱しめた神に泣きついて得た神の座などを誇示する女々しい女よ!かつてのように滅び去るがいい!ポセイドンに組伏せられた際の苦痛と屈辱、存分に思い出せ!ははははははは!!』
ランサーであるカイニスを残虐に、残酷に仕留めゴールドセイバーとなるために仕留めたカストル。その眼に宿る光は、最早ポルクスの知るカストルではなかった。『神の憎悪』という概念が形を成したかの様な暗き情念に、カストルは囚われていることを彼女は妹として確信したのだ。そして彼女は妹として、兄を諌め止めることを決意したという。
「かつての仲間を嘲笑いながら仕留める。今の兄様は人の形をした憎悪です。その憎悪が、この宇宙の何かよくないものを呼び込んでいる。兄様を愛する者として、人に敬愛される神として。兄様を縛る憎悪を断ち切りたいのです。慕うと言うことは、ただ賛同を示すということではないのですから。・・・報酬は、私達のゴールドセイバーバッチ。手伝ってはもらえませんか。兄を止める手伝いを。この通りです」
サンドバッグが拳に砕かれ、砂をぶちまけると同時に頭を下げるポルクス。彼女は兄を愛するが為に、今の憎悪に縛られた惨状を変えたいと言うのだ。その頼みに、リリィはポルクスの手を取る。
「はいっ!兄を大切に思う気持ち、とても理解できます!ポルクスさんは、妹の鑑です!私、見習いたいです!」
「そ、そこまででしょうか?そ、それほどでも、あるのでしょうか」
「あります!イシュタルさん、師匠!どうかポルクスさんに力を貸してあげることは出来ないでしょうか!お願いします!」
ケイという兄がいた関係からか、末っ子気質なのか、リリィは感銘のままに腕をブンブンと振り回しながら師匠と女神に確認を取る。そして返答は、明るいものだった。
「最近友好的なセイバーばかりで悶々していましたが、漸く目当てのセイバーに会えましたね!遠慮なく斬り捨てられるというものです!」
「神の憎悪・・・。覚えは無いのになんだか引っ掛かるわ。そして、セイバーバッチという実益と善の女神の矜持として、見て見ぬふりは出来ないものね。別動隊に襲い掛かり兼ねないし、何とかしましょう。私達で」
「皆様・・・深く感謝いたします。兄様を止めるため、心まで零れ落ちてしまう前に止めていただけたなら幸いです。どうか、よろしくお願いいたします。勿論、私も皆様の目的に力を貸すことを御約束いたします。一緒に頑張りましょう」
怒りと憎悪の兄に対し、穏やかで常識的な妹。理知的で兄を真に思いやるからこその行動を一行は評価した。彼女がもし、兄を盲信する閉じた兄妹であったならば、もっと恐ろしい事になっていたのだろう。
「兄様は最近、一人で宇宙を飛び回る事が増えました。・・・、・・・ゴールドセイバー宙域に行くためのアルトリウムとセイバーバッチを・・・」
そう、ポルクスが口を淀ませていた瞬間だった。本当に、身を隠す余裕も隙間も存在しなかった。
「帰ったぞ、ポルクス。我が妹よ。待たせたか、待っていたな?許せ、この身に宿る憎悪が滾るのだ。人間を、それに連なるサーヴァントを殺せと・・・ん?」
「・・・・・・ぁ・・・」
「ドーモ、コンニチワ」
「カストル、さん・・・」
「・・・お邪魔しています」
「・・・・・・ポルクス。なんだこいつらは?お前が招いたのか?そうなのか?そうなのだな?」
返り血にまみれたカストルが問い質す。図らずも訪れた修羅場に、しかしてポルクスは・・・
「兄様、えっと、これは、その・・・」
(めっちゃ動揺してますねぇ!もうダメみたいですねこれは。仕方ありません、後ろを向いた隙にザクッと!)
(待ちなさい、彼はゴールドセイバーよ、まともに戦ったらまずいわ、ギリギリまで機を伺いましょう。スペースシップにいるジークフリートにも連絡を!)
「・・・・・・・・・?」
訝しげに首を捻るカストルの切り抜け方を、一行は必死に模索する。図らずとも・・・危機が向こうからやってきてしまったのだった──
カストル「ポルクス、何故こいつらは喋らぬ?お前の奴隷か?こいつらは」
ポルクス「あ、えーと。その・・・」
リリィ(友達!友達ですとジェスチャー)
X(知り合いの知り合いというジェスチャー)
イシュタル(なんとか誤魔化して、というジェスチャー)
ポルクス「と、友達です。そう、ボクシング仲間の友達。最近できました。紹介します。リリィさん、イシュタルさん、Xさんです」
カストル「友達・・・ほほぅ。我が妹に選ばれたか、人間が進んだサーヴァント風情が・・・ほほぅ」
(((・・・・・・・・・・・・)))
カストル「そうか。ポルクスが選んだなら間違いはあるまい。お前たち、栄誉な事だぞ。妹に選ばれたのだからな。感涙に咽べ。男だったら殺していたがな」
(((セーフ!!)))
ポルクス「はい・・・お疲れ様でした、兄様。心配はいりません、心配は・・・」
カストル「そうだな。ところであちらに外泊していた宇宙船、俺が追い回した宇宙船にそっくりなのだが・・・」
ポルクス「どどどどどどどどどどうしてでしょうね不思議ですねそっくりだなんてまるで私達ですね兄様」
カストル「そうだなっ!(爽やかスマイル)」
X(同型!同型機として!)
リリィ(ごまかしてくださーい!)
ポルクス「同型機です。偶然ですね。すごい偶然ですね」
カストル「そうか同型機か・・・偶然というものはあるんだな。そうか同型機か・・・」
イシュタル(妹は疑わないのね彼・・・)
X(ブラコン!ケイもこれくらい私に甘くしてくれたなら!)
カストル「まぁいい、お前たち、ポルクスの友人として励めよ。友好的である内は生存を許してやる」
イシュタル「それはどうも・・・」
カストル「ポルクス、俺は眠ったらまた出る。胸に滾る憎しみが、一段と滾り止まらぬからな・・・」
ポルクス「えぇ、おやすみなさい。兄様」
カストル「あぁ。身体を冷やすなよ」
リリィ「・・・ほっ・・・」
ポルクス「ありがとうございました。・・・兄様が寝ている今のうちに、シグルドさんを取り戻しましょう」
X「今のうちに首を落とすべきでは!」
イシュタル「止めなさい。苦労するわね、ポルクス」
「慣れました・・・」
リリィ「よーし!なんとしても!カストルさんを止めましょう!」
カストル「気安く名前を呼ぶなァ!!」
リリィ「ひぇえ!?」
ポルクスが仲間になった!
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