人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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お待たせしました、オケアノス編です

ゆるくおたのしみください!


第三研鑽終了 英雄航海記オケアノス 四海蹂躙
星見の船――出航――


シミュレーションルームの一室、とある日

 

 

 

 

「ふははははは!興じさせるなヘラクレス!遊楽にしては上出来だ!」

「⬛⬛⬛⬛⬛――!!」

 

 

 

人類最古の王と最強の大英雄が、熱く火花を散らしていた――

 

 

王が財を撃ち放ち、ヘラクレスがそれらを叩き落とす

 

振り上げられた暴風のような一撃を、全て無力化、捌いていくギルガメッシュ

 

 

カルデア全体が軋み上がるような至高の演習のただ中に、自分は翻弄されていた

 

 

――財は常に最高級のものを、コンマ0単位で絶え間無く、攻撃と防御を常に意識する!気を抜けば頭を砕かれる――!

 

大英雄に追い縋るために、否が応でも財の精度を高めていく――!

 

 

「⬛⬛⬛⬛⬛⬛!!」

 

「これで決めるか――!!」

 

石斧が、ギルガメッシュの頭を砕く

財が、ヘラクレスを消し飛ばす

 

 

刹那――シミュレーションの停止が確認される

 

寸でのところで、互いの手を止める

 

 

「フン、時間切れか。遊びが過ぎたわ」

「⬛⬛⬛⬛⬛――」

 

「よもや貴様が我を誘うとはな。貴様の虫の知らせというやつか?」

「⬛⬛⬛⬛⬛――」

 

――ここのところ、毎日のようにヘラクレスにシミュレーションに誘われている

 

 

遊び、というにはあまりにも本気で、実戦形式と変わらぬ凄まじい密度の内容だった。お陰で、自分の財の精度が随分と高まってくれたが・・・

 

――まるでヘラクレスは、自らの戦法や癖をこちらに教え込んでくれているような素振りであった・・・ような気がする。彼はバーサーカーなので、真意は計れないのだが

 

 

「まぁよい。貴様との児戯はそれなりに有意義であった。――この経験が、活かせるような事態が起こればよいがな」

「⬛⬛⬛⬛」

 

 

――ヘラクレスが一瞬、笑ったような気がするのは気のせいだっただろうか

 

「まぁよいわ。そろそろブリーフィング故、我は行く。貴様も召喚に備えるのだな」

 

 

――そうだ。次の特異点が特定されたようなので、赴かなくてはならない

 

 

・・・ありがとう、ヘラクレス。少しは、自信らしきものをつけられた気がする

 

「ではな、大英雄」

 

「⬛⬛⬛⬛――」

 

 

グッ、と親指を立てるヘラクレス

 

――フレンドリーだった

 

 

 

 

 

「お疲れさま、ギル」

 

「ロマン、集まっているな」

 

 

ブリーフィングルームには、見慣れた面々・・・が、マシュとリッカ、オルガマリーがいない

 

「三人娘はどうした?」

 

「魔術回路の移植だって。サブはもう全部渡して、メインも渡す下準備だってさ」

 

――全部渡すつもりなのだろうか、オルガマリーは

 

「理論的には全部渡してもオルガマリーは大丈夫さ。だって魔力を無限に汲み上げる『聖杯』があるのだから。身体に海を持っているから、水道や蛇口はいらないわけ。だから魔術回路をリッカに渡すというのは悪くない選択だ」

 

「マスターにも尽くすとは、ますますもって健気な女よな。我がウルクならば、神官長にもなれような」

 

「うんうん。前々から落ち着いた所長は凄かったんだけどね?もうこうなったら所長は誰にも止められないんじゃないかなぁ」

 

 

「休息させるも一苦労よ。貴様は見習え、ロマン」

 

「ほんわか話で終わらせてくれなかった!」

 

 

――本当に、助けられてよかった

 

「あ、そうそうギルくん。キミはどう思う?」

 

 

「む?」

 

 

「フラウロス・・・レフが名乗った魔神の名前と姿。我々の認識は錯綜していてね。あれは魔神なのか、誰が使役したのか、とかね」

 

 

――レフ・ライノール・フラウロスだったか。彼の名乗りは

 

 

「僕としては、有り得ないとは思うんだけどね。あの反応は確かに悪魔、魔神にふさわしい数値だった。でも、悪魔や魔神なんて、彼等を使役した王の遥か後に生まれたものだ」

 

 

「成る程な。本来ならば奴等はもっと味気ない者になるといいたいのだな?『奴等はあまりに伝承通りに過ぎる』と。頭を悩ませていたのはそれか」

 

「うん。情報さえあれば何かしら解りそうなんだけどなぁ・・・」

 

――確かに、気になりはする。魔神と呼ばれる連中は、何を目的にしているのか、などは気掛かりだ。だが

 

 

「構わぬ。捨て置け」

 

器ははっきりと断定した

 

「我等の道を阻む肉塊の正体など知る必要はない。所詮は我等に砕かれる有象無象の群れよ。無駄な思考は時間の無駄だ。その前にやるべき事は山とあろう」

 

 

――そうだ。解ることは一つ

 

人理の奪還の旅に立ち塞がるなら、倒すのみ。自分と器が、それを為す

 

「どのみち奴等が姿を顕すは特異点の山場であろうさ。必然的に我が奴等の前に立つ。そうなれば否応なしに裁定は下ろうともさ。蹴散らされるが定めの肉塊など、意に介す価値もない。旅をしていればいずれ解るというものだからな」

 

「うん、頼もしすぎる!そして物語泣かせだこの王様!」

 

「当然だ。この物語の主役は我よ!マスターは、主人公であるな、ふはは!吹けば飛ぶ端役に設定など入れ込まぬ!面倒であるからな!」

 

「それが一番だね。よし!今は忘れよう!・・・おや、戻ってきたみたいだよ」

 

 

扉が開き、三人が慌ただしく入ってくる

 

 

「お待たせしました!」

 

 

「うむ、魔術回路の移植は滞りなかったか?」

 

「はい。いけるわね、リッカ」

 

「う、うん・・・」

 

――また様子がおかしい。顔も赤いし、どうしたのだろうか?

 

 

「やっぱり、すごい・・・」

 

「・・・マシュ、何をしていた?」

 

「えっ、あ。・・・移植です!」

 

 

「フォウ!(キマシなアレかな?でもそういうものだっけ?後で原作見返そ)」

 

 

「大丈夫です。サブは全て譲渡しました。更に召喚、使役がスムーズになるはずです。次はメインをする予定になります」

 

「・・・身体に異常はないな」

 

「はい。大丈夫です。・・・ありがとう、ギル」

 

 

――役者は揃った。ならば、赴こう

 

 

「よし――ロマン!レイシフトを興せ!」

 

「オッケー!今回の舞台は1573年!大洋の大海原だ!船酔いは大丈夫だよね皆!」

 

 

「大丈夫!・・・たぶん」

 

「デミ・サーヴァントなので問題ありません」

 

「そもそもヴィマーナは空路よ」

 

「インチキ王様は置いといて、よし安心だ!船旅がメインになるから、いざとなったらヴィマーナに助けてもらってくれ!」

 

「私からも渡しておくよ、はい」

 

「・・・なんだこれは?」

 

手渡されたのは、ゴムの・・・浮き輪?

 

 

「いざとなれば、それで延命してくれ♪」

 

「ははは、そうなった暁には帰還の際に灸を据えてやろう。キツいのをな」

 

 

「何事も絶対はありませんが、少なくとも海に投げ出されるような事態にはさせません。・・・お任せください、英雄王」

 

「よい。不足の事態もそれはそれで是だ。気楽に楽しむとしよう――では、行くとするか」

 

 

「号令やらないの?ギル!」

 

「今更激を入れるまでもあるまい。貴様らの覇気は伝わっている。存分にな」

 

「でも、気合い入るのアレ!やってよギル~!」

 

 

「リッカ。わがまま言わないの」

 

 

「フッ、まぁ良かろう。――ならば聞け!カルデアの職員どもよ!」

 

もはや恒例となった激励に、一同が立ち上がる

 

 

「職務を果たせ!!油断なく、慢心なく、驕りなく、怠惰なく!それが貴様らの最善であり、義務である!!」

 

 

大気を震わす、王の号令

 

 

「此度の舞台は海、大洋の海だという!陸地とは観測の勝手が違おう!!だが案ずるな!貴様らは変わらず、我の背中を見据えればよい!何故ならば!!この星は全て、余すところなく我の庭であるからだ!!」

 

――総てを背負いし王は謳う

 

 

「我の眼に見通せぬモノはない!揺るぎなく、弛みなく!我が歩みに続け!!我が歩む足跡が万象唯一の正道、真理へと至る道標!我の進む道こそが最適解!!我が背中(せな)に続け、(どうほう)たちよ!!海の底、天の果てまでも!!我等の歩みは続くと知れ――!!!」

 

 

「「「「「「「「ギルガメッシュ王の、命のままに――――!!!!!」」」」」」」」

 

 

「よーし気合いはいった!!マシュとギルのマスター、藤丸立香、行きます!!」

「マシュ・キリエライト、マスターをお守りします!」

 

 

「毎度毎度、よく思い付くよねぇ、演説」

 

 

「フッ、王の嗜みというものだ。では、我も行くとするか!」

 

――始まる。四度めの旅が

 

 

「クラス・ゴージャス!英雄王ギルガメッシュ!蹂躙してくれる――!!」

 

 

――進もう。誇りと希望を抱いて!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ、手頃な船が浮いているではないか。海賊というものにはねぐらがあるが常。一つ船を奪ってやるか?」

 

天空にて、ヴィマーナから眼下を見下ろす

 

 

「わお!ギルわるーい!」

 

「フッ、覚えておけ。『お前のものは我のモノ』この心意気を――ジャイアニズムという!!」

 

「じゃ、ジャイアニズム・・・!雄々しく、逞しい響きです・・・!」

 

『海賊は犯罪者集団のようなモノ、道徳心を痛める必要はないわ。殺さないで、船を奪ってやりましょう!』

 

「マリーもわるーい!だけど賛成!」

 

『あれ!?なんだか皆今回アグレッシブじゃない!?』

 

「覚えておけロマン!人は海を見ると、童心に還るのだ!」

 

『初耳だよ!?』

 

「フハハ、当然だ!我が作ったのだからな!」

 

――なら、飛び込むとしよう

 

 

「さぁ我に掴まれ!飛ぶぞ!」

 

『ちょっ!数百メートル離れてるんだよ!?』

 

 

「マシュ!我等を護れよ!」

 

「わ、解りました!」

 

「では行くぞ!AUO!フライ・ハイ!!」

 

二人を抱え、天空から一面の青い海に飛び込む!

 

 

「ひゃっほー――――!!!」

 

「きゃぁあぁあ――!!」

 

「フハハハハハ!!控えよ薄汚れた賊どもよ!!空より舞い降りる王の威光にひれ伏すがいい――!!」

 

 

――波乱万丈な旅が、幕を開ける!




「何故だか解らんが弓が疼く」

「何故だか解らないけど、寒気が止まらないわ・・・」

「何故だか解りませんが、召喚されたくありません・・・」

「⬛⬛⬛⬛(何故だか解らぬが、皆を困らせてしまう気がする・・・)」

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