人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ゴールドセイバー宙域

デオン【ただいま戻りました、王妃】

?【あら、おかえりなさい。どうだった?楽しい玩具は見つかった?】

デオン【はい、ですが確保には・・・】

?【まぁ、珍しいこと。あなたがしくじるだなんて。やはり可愛さと顔だけでスパイをやっていたのね?】

【・・・申し訳ありません】

【いいのよ。でも疲れたでしょう、悔しいでしょう?サンソンと街に行きなさいな。気晴らしは大切だものね?そうね・・・【十人】くらいの【お土産】が欲しいわ】

【──はっ。仰せのままに。サンソンに逸らせましょう】

【よろしくね。インテリアも交換したいわ。血の水瓶なんてどう?】

【──流行り病に御注意を】



イアソン「そっちは大丈夫か?なんだ元気ないなヘラクレス」

ヘラクレス『・・・イアソン、私は心配だ。リッカが、風邪を引いたかもしれない・・・』

イアソン「いやいや有り得ないだろ。くしゃみとか連発してたか?」

『よく解ったな。調子に乗ってたお前の時くらいの頻度だな、そう言えば』

「じゃあ心配するな、名誉な事だ!心配ならケツにネギ刺させて寝かせておけ!」

ヘラクレス『いやそれはよくない。だが気を付けよう。お前も足下を掬われるなよ』

「抜かせ。じゃあな!」

(・・・カルデアの土産探しも、兼ねるとするか・・・)




神聖冒涜の巡礼

「ギリシャは吹っ飛んでたか・・・まぁヘラクレスは負けないだろうが、他が負けてちゃどうしようもないよな・・・ほとんど神の血引いてるし、あの鎖やら緑のやべーのに襲われたらそりゃあ無理だよな・・・」

 

「・・・さっきからブツブツ言ってますが、大丈夫っすか。キャプテン」

 

別荘にリリィ達が帰還し、入れ替わりで意気揚々と発進したイアソン率いるシャドウ・ボーダー。ダ・ヴィンチちゃんズの制動を頼りに、今彼等はとある座標へと猛進していた。其処はブロンズ宙域に程近い銀河の僻地、デブリベルトと衛星群地帯。其処に、マンドリカルドの知る人手の当てがあるのだという。

 

彼は事なかれ主義ではあったが、困っている人を見捨てる程薄情ではなく、程ほどに、目立たずに抵抗戦力に手を貸してきた。それを何回か、戦火を避け繰り返している内に反乱軍に顔馴染みが増えていき、用心棒としてそこそこ信頼も寄せられていたのだ。今回はそのレジスタンス、反乱軍のスカウトに向かうと言うミッションである。銀河警察の設備や艦隊の人員も必要なので、人手はいればいるほどいい。枯れ木も山の賑わいとイアソンは言葉にし×マスクを進呈された。

 

「ん?あぁ心配するな。宇宙とはいえ、キレイサッパリぶっ飛んだ故郷に対する思いを馳せていたが、それはまぁ別にどうでもいい。何せやらかしに次ぐやらかしまみれだ、滅ぶべくして滅んだんだろうな!」

 

(さっぱりしてるっすね・・・)

 

「特にポセイドン辺りの断末魔を聞けなかったのは残念だ。アイツは絶対無様を最期に晒すタイプだと睨んでるぞ俺は。ゼウスに負けず劣らずの女卑っぷりだったからな。教育上滅んで当然と言える!・・・マトモな神もいたにはいたろうが、マトモ故護るものを護ってブッ壊れたんだろうな」

 

イアソンの、故郷や神を憐れんでいるのか嘲笑っているかいまいち不明瞭な語りを聞きながら、マンドリカルドは頭を下げる。神様みたいな大層なものをバカにする程度の器量、残念ながら持っていない為である。

 

「だが、だからこそレジスタンスにはやや利がある。ライオンや虎がくたばった時に皮やら何やら遺すように、神が滅んだ際には遺産を残すもんなんだよ。ギリシャ神の本体はアレだ、ロボットだからな!」

 

「ロボット!つまりアレですか。ナノマシンやら残骸やらを回収しちゃって宇宙船強化とかそんな感じですか!」

 

「死体漁りですか。狩人の必須スキルですね」

 

「レジスタンスなんぞ基本身入りの少ない延命処置だ。オレ達が期待するには非常に頼りない。だが烏合の衆だろうがアルゴノーツだろうが、情報の価値っていうのは等しいものだ。だからまずマンドリカルドのヤツが知り合ったレジスタンスに適当に取り入った後人手を確保。んでギルガメスがぶち壊しまくった各地域のスクラップや技術ノウハウを回収しまくるのが本題だな。こればかりはスピリチュアルやオカルトじゃない地続きのメカ神であるギリシャに感謝しなくちゃあな!あいつらメカだから、死んでようと必ず何処かに残骸が残ってる筈だ。ソイツの中には人体を強化する装置や粒子も期待できるだろうし、ソイツを確保すりゃあレジスタンスもマシになる!」

 

イアソン、神を徹底的に使い倒す決意を固める。ブッ壊れたもんは最早うんともすんとも言わない亡骸として割り切り、争乱で見落とされている資材物資を確保して雑兵を強化する。効率的な運用だろう?とイアソンは笑顔を見せた。

 

「不敬にも程があるけれど、余所の価値観はよく解らないのでコメントは控えるのだわ。でも都合よくそんな利用できる物資のアテはあるの?」

 

「ある。ギリシャの神格は言った通り本体は機械だ。機械は生物のように、だが規格品で構成されてる。血管を流れる血液に当たる魔力だって、それは超純度の霊子として使えるだろう。更に自身の信徒に力と祝福を与える『ナノマシン』だってリッカ以外のマスターどもの強化や、したっぱ雑魚連中に使ってやれば超人の出来上がりだ。更に更に神殿というターミナルユニットを復元してやれば、ギリシャの最先端技術は丸々俺達汎人類史のものなんだぜ?今の宇宙は戦乱だが、宝の山でもあるんだ!冒険しない手は無い!」

 

イアソンの言葉から察するに、彼は全体の強化の為にギリシャを中心とした文明遺産を確保する事も主題の様だ。レジスタンスと交渉して終わらないのは、流石英雄達を惹き付けたカリスマの所持者たる冒険者故の向上心だ。

 

「それは技術者として大変興味深い試みだ!もしかしたらギリシャの神、ニャル君やアル君のデモンベインに通ずるマシンを作れるのかもしれない可能性が出てきたんだよロマニ!興奮しない筈がない!」

 

「あはは、ネモ君はポセイドン辺りの力を渡せば宇宙戦艦くらい作れそうだね。ドクターとしては、無病息災に繋がる技術のナノマシンには非常に興味があると言わざるを得ない。ギリシャの民を量産できる程の効果が本当にあるのか、ね」

 

「お父さんもギリシャには興味を向けていました。【虚無の化身の宇宙領域は対処が可能なのか】・・・よく解りませんでしたが」

 

「ギリシャエリアは女性銀河警察職員が侵入禁止エリアだったんですよね。この期に相続放棄されたアーティファクトを回収して回っちゃうわけですね!」

 

(バイタリティー高過ぎっすねこの人達・・・エレシュキガルさんもなんか思うところがあるのかな)

 

「ハデスさんの冥界はどんな場所なのかしら。楽しみなのだわ・・・」

 

(あっ、感性がやっぱりパンピー寄りだ。安心した自分がいる・・・)

 

「墓荒らしの為の巡礼の旅というのも愉快な話だが、必ず実入りは大きい筈だ!信じてオレについてこい!さぁマンドリカルド、しみったれたレジスタンスは何処にいる!?案内してもらおうじゃないか!」

 

「あっ、はい。えーとあとワープドライブの回数は・・・」

 

(・・・異なる時空とは言え、死んでいった仲間に涙一つ流してやらんのは薄情と言われても仕方がないが、今のオレは新生アルゴノーツといえる奴等の命を預かっている。死者に囚われている暇はない)

 

イアソンは思う。ヘラクレスもやられていたのはなんの冗談かと思ったが・・・恐らく、アイツなりに全力を尽くした結果なのだろう。アルゴノーツ連中も、生き恥を晒さず綺麗に逝っていたのは流石といった処だ。

 

(代わりに背負ってやるよ。お前達の無念、いろいろな感情束ねてあの金ぴか擬きに叩き出す!船長として、それくらいはやってやる。だから化けて出るなよ!枕元に立つなよお願いだから!)

 

特にメディア!特にメディアな!心で念を押し付け、イアソンは旅の無事を祈る。割と呪いで旅が頓挫するとか有り得ることだ。オデュッセウスもそうだったと言う。

 

「見えてきたっすね。アレがレジスタンスの根城っす」

 

「デブリまみれだが、構わん!このアルゴノーツ、イアソンが挨拶しに行ってやる!そら着陸だ!シートベルト締めていけぇ!」

 

ギリシャを、汎人類史のアルゴノーツのプライドを背負ったイアソンは、いつもより二割増しの真面目さでサーヴァントユニバースの大海原へと挑むのであった──

 




レジスタンス駐屯衛星

イアソン「なんだこの辺鄙な場所。場末のバーか零細企業の事務所か?何に反抗しているんだこれ。意識高いだけの学生の革命ごっこか?」

ヒロインXX「耳と目と鼻が無くなりますが大丈夫ですかそれ」

マンドリカルド「あはは・・・まぁその、セイバーにもなれなかった俺みたいな輩の集いっす。でもアレですよ。そう捨てたもんでもなく」

ナイア「イアソン様、一歩お下がりください。一歩です」

イアソン「一歩ぉ?どれどれ、こう──」

──瞬間。イアソンの立っていた場所に銃弾が撃ち込まれ、斬撃により深々と抉れ落ちる。紛れもないセイバーの一撃だ

イアソン「・・・はっ?」

褐色のセイバー「御挨拶だな、無礼者め。その傲慢な口ぶり、下らん簒奪者か」

イアソン「あぶねぇえぇえぇ!!!?」

「ここで仕留め・・・ん?マンドリカルドではないか?」

マンドリカルド「どもっす。彼女、反乱軍の隊長、シルバーセイバー・・・ラクシュミーさんっす」

ヒロインXX「またアルトリ、ジャンヌフェイス!?」

「・・・こいつらはなんだ?マンドリカルド」

「あぁ、今説明するっす・・・」

アルゴノーツの新たな一歩は、これより始まる・・・──

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