人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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イアソン「なんで詰まってるんだよオイ!?」

ヘスティア「ごめんなさい~。胸とお尻がつっかかっちゃったみたいなの~」

ダ・ヴィンチちゃん「そっとだよそっと!神に無礼や不敬にあたることをしたら後が怖い!くれぐれも、くれぐれも気を付けて!」

ヒロインXX「了解!豆腐を崩さない様にですね!」

ナイア「保護任務も得意です。お任せください・・・ほとんどの方は自我を消失していたのが理由ですが・・・」

ラクシュミー「よ、よし。これは不幸とは関係無い、筈だ!」

エレシュキガル「立派なロバなのだわ・・・(さわり)」

ロバ【フヒヒン】

ロマン「よし、ボクたちも加勢しよう!男手だしね!」

イアソン「よし、頑張れ!俺は見ている!」

マンドリカルド「ちょ、マジっすか!?ここは頑張りましょうよ!?」

イアソン「女神になんぞおっかなくて触れるか!!!」

ロマン「せ、切実すぎる理由だった・・・!」

ダ・ヴィンチちゃん「言ってる場合かな!?ほらつべこべ言わず働く働く!」

「うぉおぉお純潔の誓い立ててる女神になんぞ触ったら絶対ロクな事にならんと言うのが解らんのかぁあぁあぁ!!?」

ケイローン『安心なさい。女神を助けなかった不敬を問われるか女神に触れた不敬を問われるかの二択ですよ、イアソン』

「何に安心しろってんだぁあぁあぁ!!!」

この後結局皆で助けた。『ギリシャ地域外ならセーフ!ノーカン!』と接触はロマン達にやらせたイアソンであった──


おっとり降臨!竈と家庭の女神さま!

「ありがとう~。お陰さまで出れましたよぉ~。私は女神、ヘスティアって言うの~。今後ともぉ、よろしくねぇ~。凄くよろしく~」

 

一同の必死こいたかまどからの救出活動により救出された、白き神衣に身を包みし女神、清楚かつ安心感を与えるおっとりさが滲み出る話しぶり、そして包容力を感じさせる豊満な体型。神のオーラを滲ませながら、其処にいるだけで安心し心が落ち着くような青髪に桃色の瞳。ロバを傍に侍らせる彼女こそ──ギリシャの良心にしてゼウスの『姉』。ヘスティア神そのものであった。アデーレ、マカリオスは深々と頭を下げ最大限の敬意を見せている。

 

「ヘスティア様!あの終焉の日をよくぞ生き延びてくださいました!マカリオス、拝謁の栄を賜り・・・至上の喜びと存じます!」

 

「ヘスティア様にはいつも暮らしと平穏を護ってくださり、感謝に堪えません。本当に良かった・・・」

 

「いいのよぉ。楽にしてぇ。今は神様がどーとか、信仰がどーとかの問題じゃないもの~。同じ目線で、頑張って行きましょうねぇ~」

 

そういって、ヘスティアはマカリオスとアデーレを抱擁する。神は自らの身体に触れられる事もみられる事も不敬と断ずるものが普通であるなか、この慈愛の対応はまさに異端にして慈愛に満ちたものであった。

 

「皆様も、このシーズンを何とかするために来てくださったのよねぇ~。ありがとぉ、神々を代表してお礼をさせてねぇ。みんな、本当にありがとねぇ~」

 

イアソン達にも一人一人抱擁を行うヘスティア。ギリシャを知るもの、イメージしていたものは、青髪と桃色のふくよかな美女の抱擁を以て、ヘスティア神の慈愛と人格を理解した。これは確かに、断じて害してはならぬと誓いを立てる筈である。

 

「ゼウス神の姉って・・・マジっすか・・・!?」

 

「本当はねぇ~。私とハデスが長女と長男だったんだけどぉ~、子が王座を脅かすと言われた父、クロノス神が子の私達を飲んでしまったのぉ~。そして吐き出された時に順序が弟から吐き出されたからぁ、私とハデスは末っ子になっちゃったのよぉ~。愉快よねぇ~」

 

『本来ならば、彼女もオリュンポス十二神の一柱であったのですが・・・酒の神、デュオニュソス神が自らの席が無いことを嘆いた際、彼女は自らの座を快く譲られたのです。ゼウス神に純潔の誓いを許される程に信頼は篤く、アポロン神とポセイドン神に求婚をされた事もある方なのですよ、ヘスティア神は』

 

「そんなに立派な事、したつもりは無いのよぉ~。私はただ、そうするべきと思った事をしただけなの~。そんなに逸話も無いしぃ~」

 

『それは彼女が持ち場である竈の前から動かず、職務に誠実であったことの証です。オリンピックの聖火もヘスティア神の由来とされ、竈を家庭の象徴とし、転じ国の守護神ともされる素晴らしき女神であることに疑い様はありません。よくぞ、無事で』

 

そんなに誉めないでぇ~、と照れ臭そうにもじもじするヘスティア神。その振る舞いからは、神特有の傲慢さなど微塵も感じられない。正しく、人がイメージする女神そのものだ。

 

(ギリシャだよ!あのギリシャ!そしてゼウス神の姉!なのにどうしてこんなに親しみやすく非の打ち所が無いんだい!?)

 

(ほ、包容力で・・・女神として負けたのだわ・・・グラマーだし・・・)

 

(突然変異や例外っていうものは何処でもあるんすね・・・正直な話、ギリシャの神々って聞いて土下座のやりかた死ぬ程勉強してたんすけど・・・)

 

(だ、だがしかし。だがしかしだ!まだ顕現なされたばかりだ、まだ助力を授かれると決まったわけではないのでは・・・)

 

「ヘスティア神様よ。俺達に力を貸してはくれないか。あんたの祝福があれば、俺達は必ず帰ってこれる。この通りだ、頼む」

 

イアソン、なんとヘスティア神に頭を下げる。神さまとの敬称のおまけ付きだ。なんとあのイアソンが、誰かに敬意を払ったのである。流石にこれはかのXXも隕石クラスのショックであった。

 

(イアソンが頭を下げた!?XXショックです!?)

 

「もちろんいいわよぉ~。ヘスティア・クリロノミア、竈でいっぱい造るわねぇ~。作ってもらったこれぇ、私の神殿なのぉ~」

 

ヘスティア神、迷いなく快諾。のほほんとロバを労りながら、万人の協力を約束してくれたのだ。其処には力を貸してやる、といった傲岸さなど無い、当たり前と言わんばかりの対応だった。

 

(こちらも即答です!?神々にありがちなもって回った回りくどい尊大さなどありません!即OK!ナイア的にもビックリです!?)

 

アルゴノーツ船長が頭を下げ、ヘスティア神がそれを快諾する。驚天動地の出来事が全く同時に起こり瞠目する一同。ホログラムのケイローンは、安心したように頷く。

 

「戦いは大切だしぃ~、馬鹿にされたギルくんが怒るのもよーくわかるわぁ~。けれど、オリュンポスの神々はみーんな、私の弟や妹達だもの~、そして皆様は、こんな私達でも助けようとしてくださる素晴らしき方々だものぉ~。むしろこちらからお願いするわぁ~。力を貸させて・・・貸し出して?貸していただいて~?どうだったかしら~?ともかく、よろしくお願いいたしますぅ~」

 

ヘスティア神、皆に深々とお辞儀を行う。隣にいるロバも深々と頭を下げる光景は微笑ましいが、それはギリシャの礼を知るものからすれば、天地がひっくり返る程の衝撃だ。アデーレとマカリオス、動揺を越えて狼狽の域に達する。

 

「いやいやいや待ってください!ギリシャの神々に頭を下げられたら俺達はどうすればいいんです!?」

「お、畏れ多いにも程があります・・・!どうか、どうかお顔をお上げください!どうか・・・!」

 

「コントみたいなことやってんなぁ、あいつら・・・」

 

『ははは、ギリシャの数少ない良心の称号は伊達ではありませんよ。・・・イアソン、先の立案の続きですが』

 

「あぁ、運用があーだこーだってヤツか?」

 

『えぇ。お勧めとして、ヘスティア神とハデス神の活躍を前面に押し出し、アテナ神、ヘラ神、アフロディーテ神の力は『使わない』事を提案します。そして・・・』

 

「ポセイドンの亡骸は、船に使えるだろうから確保しとけ・・・だろ?」

 

イアソンはその言葉と真意を理解していた。ギリシャの次シーズンや破壊された次回の秩序の際、有利に働く動き。即ち『誰がギリシャを救ったか』である。神々が滅んだ今、復活は次のシーズンを待たねばならない。そしてその復活を担った神は非常に評価されるだろう。神々の中で、発言権が増すのは間違いない。そこでケイローンは、普段はあまり動かないヘスティア神、忙しすぎて事態に関われないハデス神の地位の上昇を図るつもりなのだという。その為にも、ヘスティア神とハデス神はパーティーメンバーに入れる程の優遇が望ましいと言うのが彼の見解だ。

 

『ポセイドン神は海の神、単純に、皆様の旅路の船の材料として非常に有用です』

 

「端的かつ容赦がなくないか・・・?」

 

『自業自得であり、日頃の行いというものです。新たな神体創造まで、当分情事は叶わないでしょう』

 

賢者、割と辛辣。無理もない、彼の癇癪により流された都市は幾星霜、尊厳を踏みにじられた女性は流星群。野放しにしていたりしてはあまりにも危険なのである。ならば、物言わぬ船にしてしまえというえげつない申し出であった。イアソン、これには流石にドン引きであった。

 

『そして、三女神ですが・・・これらはなんというか、非常に私的なのですが・・・』

 

「解ってる解ってる。ヘスティアやハデスと同じだが真逆だろ?要するに・・・」

 

要するに、非常に厄いのである。この三女神は常日頃から闘争、権力、美のどれが最優かを競っている。争っているのだ。かつてのパリスの様に、誰か一柱を選んだならばどうなるか。恩恵ではない。待っているのは【選ばれなかった女神の報復】である。確実に呪われるだろう。個人的にだ。

 

だからといって、三柱を同時に運用したとして、必ずや起こるのは『誰が一番活躍したか』である。パリスの黄金の林檎問題が首をもたげてくるのだ。勿論、選ばれなかった女神の報復もセットだ。

 

『ですので・・・最適解は、この三女神には近付かないことです。ZIPANGの諺で・・・』

 

「触らぬ神に祟りなし、な。ほんっと!まともなのって三本の指で足りるのなウチの地元!!」

 

「よろしくお願いいたしますぅ~」

 

「「いえいえこちらこそ!?」」

 

頭下げ合戦めいた事になってる船内を見ながら、船長は憂鬱げに叫ぶのであった・・・──

 

 

 




ロリンチ「それじゃあキャプテン!目標は決まったかな!?」

イアソン「おう!とりあえず、ハデスの神殿とハデス自身の人格を起動させる!んで、ポセイドンの亡骸を回収が大目標だ!それさえ終わりゃ、三柱の協力が取り付けられた事になる。成果としては十分だろ!ケイローン!ナビ頼むぞ!お前ら!歓迎パーティーでもやっとけ!」

「「「「「おーっ!!」」」」」

ケイローン『えぇ、いいでしょう』

「・・・あ、そうだ。ついでに寄って欲しい場所がある」

『?それは?』

「・・・マスターと、最近やってきた死に損ないに土産でもな。座標系は・・・」

『・・・』

「──『アルテミス神殿』と、『ゼウス神殿』だな。片方は確信で、片方は勘だが・・・あいつらは、必ずガッチリマッチする筈だからよ──」

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