~熊になーれ
~其処で反省しててね、ダーリン!じゃあ私達、パーティー行ってくるから!じゃあねー!
~
貴様、アーチャーだな?今更亡くした女神の敵討ちか?良いぞ、復讐を果たすがよい。その脱け殻の身体で出来るのならな
~
貴様らギリシャは生かして返さぬ。同接100万で我を嘲笑った不敬、死して悔いるのだな。
我はこれより婚姻の会場を作る仕事がある。貴様ごとき死に損ないにかかずらう時間などない。何処へなりと消え失せるがいい。この世に真の匿名など存在しないという事実、別離の苦痛と共に学ぶがいい。
~
私は、アルテミス神の端末。アルテミス神が死した今、ただ定められし役割を果たします。
アルテミス・クリロノミア、注入完了。機能、停止します
・・・さようなら。オリオン。
~
・・・・・・
・・・・・・・・・ちくしょう・・・・・・
~
「オリオン!?オリオンってあの熊のオリオンですか!?あの!?」
ヒロインXXの驚愕が突き刺さる。目の前にいる存在、それの名前がオリオンだと言われてそうと受け入れられたものは、同じ地域のイアソンとAIのケイローンだけである。無理もない。身体の全てが強力極まる筋肉で構成された大男が、あの可愛くないマスコットめいた何かと同一人物とは結びつくことは無いだろう。そう簡単にはだ。
「あぁ、いると思ってたぜ。いや、なんで生きてるのかは知らんが、生きてるのだとしたらお前は此処にいる。いる筈だよな。三ツ星の狩人、トライスター。ギリシャで誉れ高き射手!アルテミスの旦那、オリオンよぉ!」
「・・・あら?よく見たらお前・・・イアソンか?あの、アルゴノーツの?」
オリオン、イアソン、共に同郷な為ほわほわした認識を交わし合う。汎人類史、サーヴァントユニヴァースの違いがあるため、オリオンはピンと来ていない様子だが・・・決して否定はしていないところから、間違いなくオリオンの様だ。その事実に、ひそひそ話の困惑が広がる。
(あんなゴリマッチョだったんだね彼・・・!いや、彼の狩人の腕前はアルテミス神を打ち破る程の強烈なものだ、ヘラクレスばりにムキムキでも不思議は無いけれど・・・)
(いいや良く見たまえロマニ。顔の輪郭やふっくらっぷりに面影がある!雰囲気もどことなく、軽薄ながらも決める所は決めてくれそうな感じだ!)
(何食って何回筋トレしたらああなるんすかね・・・男として自信無くしますわ・・・)
(しっかりリカルド!肉ダルマはあんまり女受けしないってギルは言っていたのだわ!本当かは解らないけど!)
(彼はアルテミス神殿を防衛、しているのか・・・?確か、彼はアルテミス神の伴侶だとインドまで届いてはいたが・・・)
オリオン。誉れ高き狩人にして、星座に輝くトライスター。類いまれな狩りの腕前にてアルテミスに見初められたプレイボーイ。後に空に輝くオリオン座としても知られる不動のビッグネーム。勿論楽園にも招かれているオリオンではあるが、あれはオリオンの召喚にアルテミスが割り込んだ結果の哀れ極まる変化であり本来の姿ではない。で、あるならば。目の前にある存在こそがオリオン本来の姿なのだろう。アルテミス神殿の前に佇む彼こそが、トライスターの真の姿。
「なんで生きてた、か・・・そりゃあ、アルテミスの倒錯趣味と言うかなんと言うか・・・身から出た錆と言うか・・・聞いてくれる?いや聞いちゃう?」
だが、何故生きてたかと言うと彼はなんだかばつが悪そうだ。絶妙に居心地が悪そうである。何か不都合があるのだろうか?
『なるべくあなたの品格を落とさないいきさつである事を祈ります。畏れ入りますがよろしくお願いいたします』
「解りやすく、手短にな!」
イアソン、ケイローンは気圧される事なく問い掛ける。イアソンは数多の英雄を束ねた船長。ケイローンは数多の英雄を育てた先生。彼等が恐れるものはサイコな嫁、どうしようもない毒なだけである。
「あー・・・なんかあんたらは話が解りそうだなぁ。じゃあ言うからね?・・・アルテミスとアポロンに5555回目の浮気をとっちめられて神殿で熊のぬいぐるみに変えられてたんです。はい」
(((((オリオンだ・・・)))))
あっという間に繋がる人間像、やらかしの事態はまごうことなき熊のオリオンと一緒であった。彼は恐らく、最低でもセイバーウォーズ前までは変えられていたのだろう。熊のぬいぐるみに。
「だってさぁ!性じゃん!たまには鮭以外のモノも食べたいじゃん!アルテミスは処女神だからお手つきダメなの!解る!?この辛さ!オリオンは雄なの!禁欲とか修行とか嫌いでめんどっちーの!美人や美女には声をかけるのがマナーってところあるじゃん!」
『同じことをアポロンに言いましたが、受理されなかったと』
ダメでした・・・と背中を丸めるオリオン。あ、この人ひょっとしなくてもギリシャだな?と心が一つになっていく。
「『サソリ風呂にぶちこまれるか可愛いマスコットになるか選べ』って言われてさぁ・・・答えを聞く前にさぁ、アルテミスがさぁ・・・熊にさぁ・・・そしてそのまま、オリュンポスのパーティーに二人で行っちゃって放置食らってさぁ・・・」
お仕置きで良く知るオリオンにされ、放置されていったオリオン。そのままアルテミスとアポロンはオリュンポスのパーティーにいってしまったと嘆く。一から十まで自業自得である。
「・・・あんた、贅沢ものだな。あんな美人な嫁さんがいるのに。そればっかりは、アポロン様の気持ちが解るよ」
「ううっ・・・!でもな坊主、本能なの・・・!オレ禁欲とか無理だもん!まだ遊びたい盛りだもん!きっとお前にも解ると思う。浮気は、頭で止められるものじゃあないんだ・・・!」
「・・・マカリオス。オリオンさんの父親はポセイドン様よ」
「「「「「「あぁ・・・」」」」」」
全員、納得。オリオンは何処であろうとオリオンである。だが・・・彼の軽薄さはここで終わる。その表情は、沈鬱となった。
「納得しないで!?いや納得しかしないかもだけど!・・・そんで、いつ戻ってくるかと待ってたら・・・。・・・戻って来なかったわけよ。アルテミスも、アポロンも。それどころか・・・信じられんことに、オリュンポスが、サーヴァントユニヴァースが消し飛んじまった。あっという間にだ。アイツ・・・ギルガメスにな」
彼が戻った時に見たもの、それは原初の地獄。荒れ狂う時空断層の暴風が、オリュンポスや宇宙を呑み込んでいく風景。彼は理解した。これは──ギルガメスの行いであると。
「・・・成る程。熊にしたアポロンがくたばった訳だから元に戻った訳だな。全部が手遅れになった」
「・・・・・・。そりゃぁ、ギルガメスの爆死動画はゲラゲラ笑わせてもらってたよ。アルテミスも楽しそうに笑ってたさ。・・・自業自得だって言うならその通りだよ。当然、手遅れだろうと挑んださ。・・・でも・・・」
オリオンは、敵わなかった。アルテミスの祝福が途絶え、神の血を引くオリオンはギルガメス、並びに天の鎖の前の敵ではなかった。王を嘲笑った不敬と、誰かを嗤った軽薄さの報いを受ける事なった。
「・・・アルテミスとオリュンポスの奴等は本体をブッ壊されて、オレもアルテミス神殿に叩き落とされた。オレは落とされたんだ。月を、オレ以外の男に、アイツを・・・」
アルテミスも例に漏れず、本体を砕かれていた。別離の際に言葉はない。あの開闢の光は、そんな甘い猶予を赦しはしなかった。月は砕かれ、狩人の心に嘆きを残した。だが、イアソンは鼻を鳴らす。
「自業自得だろうが。浮気して、誰かをおちょくって、好き勝手やって来た報いだろ。・・・此処にいるって事は、それは良くわかってるんだろ?オリオン」
自分自身の選択が不服なら、ギルガメスに挑んでいた筈だ。だがオリオンはそうしていない。それは何より、ツケを払ったという事実を認識しているからだ。やった事を返されただけなのだと理解していた。
「・・・あぁ。オレは瀕死だったが、アイツ・・・アルテミスはしっかりオレのケツを叩いてくれたよ。アルテミスの祝福・・・神殿に詰め込んだアルテミス・クリロノミアでオレを救ってくれた。・・・後追いは許さねぇって、キツいよなぁ・・・」
『だから、あなたは守護しているんですね。アルテミス神の遺産を、彼女が遺したものを奪われない為に』
「・・・もうこの宇宙に法はねぇ。誰も彼もがヒャッハー状態だ。神は皆死んじまった。未来もどうなるかも解らんし、アルテミスももういない。・・・オレに出来るのは・・・」
砕けた月の欠片を、墜ちた月を想い偲びながら供養し護るのみ。最早見上げる月は無い。月は、星に落とされた。それでも・・・
「火事場泥棒や、祝福を掠め取ろうとする奴等をブッ潰す事だけだ。そうして、オレはアイツを弔うしかない。・・・だから護るのさ。オレは、アイツがいた証を、此処にいた証を・・・ずっとな!」
話を切り上げ、オリオンが構える。彼は容赦しないだろう。彼は今、亡きアルテミスに殉じているのだ。彼は、もういない愛する女神の為に戦っている。
「さぁ、来るなら来い。お前達がアルテミスの神殿を荒らすというなら──容赦はしてやらないからな!!」
「──バカが。本当にやるべき事はそうじゃないだろうが」
イアソンは目を細める。──亡き女神か、宇宙の全てか。その葛藤に、女神を選んだ彼を否定する事をしないままに。
──恐らく。もしそれが友であったなら。その行動を、決して否定出来ないが故に。イアソンはキャプテンとして、彼に相対する──。
ケイローン『戦闘は避けられませんか・・・どう見ます?打倒は可能ですか?』
イアソン「まぁ2、3人は死ぬだろ。本気のオリオンと戦えんのは生前ヘラクレスかアキレウスくらいだろうからな」
ロマン「ど、どうしようか・・・凄くロマンポイント高いから、なんとか戦いは避けたいけれど・・・」
イアソン「心配すんな。オレに秘策アリだ。──オリオン!作戦タイム!!」
オリオン「認める!手短に!」
イアソン「よし集まれ女子!マンドリカルドとロマンは時間を稼げ!」
「はいぃ!?」
ロマン「死ねって言うのかい!?」
オリオン「それは良くない」
「いいか、ゴニョゴニョ・・・そんで、こうだ!」
エレシュキガル「ひ、非常事態だもの。私はやるのだわ!」
ラクシュミー「し、仕方あるまい、うん・・・」
ナイア「苦手中の苦手ですが・・・頑張ります!」
XX「ふっふっふ、大人の魅力を見せてやります!」
オリオン(体育座り)「自信持てって。そっちのあんちゃんも、新婚旅行にギリシャは止めとこうな?」
「「ありがとうございます・・・」」
イアソン「オリオン!!」
オリオン「なんだぁ!」
イアソン「俺達にも退けない理由がある!アルテミスの祝福!なんとしても貰うぞ!だから本気で!お前を突破する!」
オリオン「ほーん?やれるもんならやってみやがれ!今のオレ、割と真面目モードだからな!真正面から来るなら容赦しないぞ!」
イアソン「よし!やれ!!」
エレシュキガル「オリオンさん。は、話を聞いてほしいのだわ・・・(上目遣い)」
オリオン「おほっ!?」
ケイローン『(ため息)』
ラクシュミー「我らは敵じゃない。手を取り合える。こんな、風に(手握り)」
オリオン「おっほっ・・・褐色美女に誠実女神・・・!」
ダ・ヴィンチちゃん「どうだっ!この万能の人のナイスバディは!勝ったッ!堕ちろーッ!」
オリオン「おっさんはパスで」
ダ・ヴィンチ「ぐわぁぁあぁあぁぁあぁあ!!?」
ロマン「レオナルドー!??」
オリオン「い、いやいや待て待て、このままでは・・・いかんいかん!ちょっと、ちょっと離れててね!姑息だぞ!ズルいぞイアソン!!誉れ高く誠実に戦えー!」
イアソン「真剣勝負にそんなモンは関係無いわァ!!決めろアデーレ、XX!ナイア!!」
アデーレ「お願いします、オリオン様・・・!(うるうる)」
オリオン「うぐぐっ・・・うぐぐっ!」
XX「ダブル!エェーックス!!(ポーズ)」
オリオン「乳揺れッ!!?」
ナイア「・・・・・・・・・」
イアソン「!?どうした、ナイア!?」
ナイア「・・・・・・お」
オリオン「お?」
ナイア「(グギギギギギギ)おねがい(グギギギギギギ)しま、す・・・(グギギギギギギ)・・・」
オリオン「・・・・・・」
ナイア「う、ウィンク(バチコン)」
・・・・・・・・・・・・・・・
イアソン(ブリキ人形以下の稼働域だとぉ・・・!!)
ケイローン『(苦手とはこういう事でしたか・・・)』
オリオン「・・・・・・・・・・・・」
ナイア「だ、ダメでしたか・・・」
オリオン「無自覚エロボディ!ええやん!!(о´∀`о)」
ナイア「良かった・・・!」
瞬間!!
オリオン「ぎゃあぁあぁあぁあぁ!!?」
アルテミス神殿より放たれた神罰のレーザーが、鼻の下を伸ばしたオリオンを直撃!!
オリオン「──フッ・・・負けた、ぜ・・・」
オリオンは倒れた!!
イアソン「オレのォ!勝ちだァアァアァアァ!!(CV ほっしー)」
無駄にカッコいい声のイアソンの勝鬨が木霊した!
ロマン「な、成る程・・・天罰狙いだったのか・・・!」
ナイア「はうっ!!」
XX「どうしました!?」
ナイア「・・・慣れないセクシーポーズにより、腰から変な音が・・・」
ロマン「医者を呼ばなくちゃ!?」
マカリオス「・・・なんだこれ」
アデーレ「あははは・・・」
オリオンを倒した!!
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