人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ペルセポネー【いきますわよケルベロス!何を縮こまっているのです!】

【【【クゥン】】】

【踏み潰したりしたくないぃ!?あなた気遣いの達人ですの!?】

【【【ゥウー】】】

【ハデス様の名誉の為にも!?あぁもうなら仕方ありませんわね!ケルベロス・ライト!全てを腐らせる毒爪を!】

【キューン】

【巻き添えにしては大変!確かに!ケルベロス・レフト!恐ろしき牙を!!】

【クーン】

【凄惨な光景はダメ!確かに!ケルベロス・フロント!魂を腐らせる咆哮を!!】

【ワゥー・・・】

ペルセポネー【敵味方選べない!?確かに!・・・何が出来ますの!?

【【【ワゥ】】】

【あ、ちょっと!?咥えて!私を何処へ!?隔離ですの!?こらー!雄々しく戦いなさーい!?】

エレシュキガル「・・・冥界なら・・・もしかして・・・!」

ケールーベーロースー!?


オリオン「・・・」

マンドリカルド「声、かけるっすか」

「かけるだけな!(^○^)」


冥界共同戦線!

「愛しき部員の皆様方の懸命な介抱、文明の利器たる湿布の治療により覚醒、復活した狩人の実力と本懐・・・冥界にてお見せいたしましょう。元々生死が曖昧な闇に生きる狩人、パフォーマンスは万全です」

 

エキドナを母胎に生まれし魔獣、ケルベロスに群がる獣達を早急に排除しなければならないこの局面。戦闘特化にしてこの獣達の何倍もおぞましい闇の住人を相手取って生きてきたナイアは物怖じしない。消え去った腰の痛みを確認し、棺桶から氷の属性を宿した三節ヌンチャクを取り出し構える。

 

「アルテミスに続き、『ケルベロス』・・・格闘戦の心得、お見せ致します!部員の皆様方、見ていてくださいませ!」

 

デビルハンターが借金の方にナイアに売り飛ばした魔具『ケルベロス』。それらを腕で、脚で、縦横無尽に振るい迫り来る魔獣達を蹴散らしていく闇の狩人。三つの棍が打ち付けられた獣から、絶対零度にて瞬間凍結され生命活動を停止していく。攻撃は絡めとり防御、防御は凍らせ叩き壊す獅子奮迅の活躍を魅せ、獣の数を減らしていくナイア。

 

「やるじゃないですか!流石は銀河警察も手を焼いた邪神の娘にして私のライバル!」

 

「後詰めはよろしくお願いいたします、XX」

 

「任せなさい!頼れるお姉さんの本領を見せちゃいますよ!」

 

アーヴァロンを展開し、ナイアを警戒して近付かない魔獣を貫き破壊していくXX。ギリシャの誇る獣達であろうと、彼女達のパフォーマンスは陰ることはない。問題なく、蔓延る障害を蹴散らしていく。しかし、これは彼女ら二人がトップクラスの実力を持つサーヴァント、或いは狩人であるが為であり敵が容易なわけではない。

 

「くっそ、固いっすねこいつら・・・!ラクシュミーさん!そっちは大丈夫っすかね・・・!」

「問題ない、と言いたいが・・・やはり神代の獣は容易ではない、か・・・!」

 

人の時代に生きた英雄、ラクシュミーとマンドリカルドに対しては。エキドナの魔獣は強く困難な難敵として立ちはだかる。剣や銃、デュランダルクラスの木刀でどうにか一匹を数分で屠れるペース。数は減らせるが油断は出来ない戦況だ。彼等は強力といえるサーヴァントではなく、懸命なコンビネーションで互角を演じている。そして何故かラクシュミーばかり狙われる為攻撃の勢いが強いのだ。背中合わせに、二人は歯を食い縛る。苦戦は免れない、そうラクシュミーが歯噛みした瞬間──

 

「心配すんなって!オレもきっちりフォローするからよッ!」

 

魔獣が、瞬時にバラバラに砕け散る。豪腕で殴られ、弓で抉られ、そして振り回され絶命する。魔獣を紙切れの様に蹴散らしていく有り様を魅せる者はただ一人。超人オリオンが、二人の防御に入ったのだ。

 

「こういう戦いや狩りなんぞはオレの得意分野だ!今までへたれてた分、全力でやってやるぜ!!」

 

人の身を越えた超人。並の英霊が束になろうと蹴散らす程の圧倒的パワー。ナイアとXXがコンビで攻め、マンドリカルドとラクシュミーが二人で拮抗する魔獣達をただ一人で薙ぎ倒していく。ギリシャ最高の狩人の名は伊達ではない。悩みにて鈍っていなければ尚更である。吹っ切れたオリオンは猛烈に強い。ラミアに巻き付かれたなら首をもぎ、キメラに襲われたら顎から引き裂く。神話の戦いが、其処にはあった。

 

「と、とんでもねぇパワーっすね・・・あれが女神に祝福された狩人の力っすか・・・」

 

「常軌を逸した剛力だ。これがギリシャのトップクラスの英雄の力・・・」

 

「見直してくれた?ラクシュミーちゃんは惚れて!マンドリカルドは憧れてくれていいぞ!なんたってオレはトライスタいだだだだだ!?噛むなこのヤロー!!」

 

調子に乗って隙を晒すのはご愛嬌。肩を噛まれながらも裏拳で顔面をグシャグシャにし叩き付け背骨を折る。小賢しい技などない、徹底的な剛力。力こそパワー。それを地でいくからこそ、ダメージだってへっちゃらなオリオンが猛烈な勢いで獣を減らしていく。

 

「よーし!そろそろ決め──うぉ!?」

 

【グォオォオォオ!!!】

 

一際大きい咆哮が響き渡る。現れたのは魔獣のリーダー格、巨大な身体に、どこかケルベロスに似た、二つ首の獣。或いは、それは幻獣と呼ばれるものなのかもしれない存在。

 

「こいつ、オルトロスか!?ケルベロスの弟だかなんだかの──ぬぉっ!」

 

オリオンに猛然と突っ込んでくる二つ首のオルトロス。本来のオルトロスではないのだろうが、それでも強力な事に変わりはない。オリオンと真っ向からぶつかり合い、拮抗する力を見せつけてくる。紛れもなく、獣達の指揮官クラスの存在だ。

 

「オリオン様!XX、あちらに行けますか!」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!ラミアがアーヴァロンに絡み付いて・・・!ナイア!ヘルプ要請です!」

 

「解りました、目を閉じてください!」

 

ナイアがアタッシュケースを取り出し、地面に叩き付け蹴りあげる。溜まりに溜まった災厄の力を全周囲に撒き散らす『オーメン』を使い、XXと自身の周囲にいる獣を一掃する。

 

「マンドリカルド!片方の首だけでいい!落とせるか!」

 

「落とせるかじゃなくて、落とすしかないっすよ!──平均以上にやるしかねぇ!」

 

ラクシュミーの銃身を踏みつけ跳躍、オリオンに目をつけていて警戒が疎かになったオルトロスの片方の首に目掛け、必殺の一撃を見舞う!

 

「『不帯剣の誓い(セルマン・デ・デュランダル)』──!!」

 

デュランダルの力を再現した木刀が、オルトロスの片首を撥ね飛ばす。絶叫と共に身をよじるオルトロス。マンドリカルドの手に、確かな手応えを残す。確信するマンドリカルド。

 

「やったか!?」

 

【グォオォオァアァアァアァア!!】

 

其処にリッカか黒ひげがいたらアカンそれフラグぅ!との言葉が飛ぶであろう台詞に呼応したのか、オルトロスは再生と共になんと首を生やしたのだ。斬られただけでは死なぬその生命力、まさにエキドナの子らである。

 

「離れろ!マンドリカルド!そちらに来るッ!!」

 

「いっ!」

 

【──グゥウ・・・!!】

 

このままでは反撃で喰らわれる事になる位置どり、あわてて身を翻すマンドリカルド。だが、驚愕は更に続く。信じがたいことに、地に落ちた首が唸り始めた。そして──

 

【ガァアァアァアァアァ!!!】

 

「何ィイィイィイーーッ!?」

 

新たに生えた首、落ちた首がマンドリカルドを狙って来たのだ。オリオンは片方の首で抑え、確実にマンドリカルドを仕留める算段の動き。一手遅れたマンドリカルドは咄嗟に身を護るが・・・

 

(やっ、ヤバい!木刀を折っちまってた!首筋に、首筋に噛まれるッ・・・!)

 

【ガァアァアァアァアァ!!】

 

「く、くそっ!すんません、後は──」

 

たのんます・・・!精一杯の強がりと共に身をかばうマンドリカルド。・・・だが、その身に傷が付くことは無かった。

 

「や、槍・・・!?」

 

そう、槍だ。魂を閉じ込める槍が、オルトロスを、その首を貫いていた。そして、停止していたのである。

 

「陰キャの絆、断ち切れはしないのだわ!おまたせリカルド!大丈夫!?」

 

その槍の持ち主、もちろん冥界の女神エレシュキガル。彼女は確かめていたのだ。ギリシャの冥界でも、問題なく槍を作ることが出来るのか。答えは──正解であった。今彼女は、冥界のバックアップを受けているのだ。自らの力が、存分に振るえるのである。

 

「(女)神ィ!!

 

エレシュキガルの救援で形勢を逆転した一行。オルトロスが串刺しにされ、もう片方の首を自由になったXXが切り落とし、ナイアが胴体を凍らせ、そして──

 

「お疲れ様だ、っと!!」

 

オリオンのアームハンマーが炸裂。獣は完全に沈黙し、戦闘は終了する。やや冷や汗ものだが、全員が無事だ。

 

(私が、冥界の女神の槍を生成できた。やっぱりそれは・・・)

 

その力の助力をした存在。その存在を想いながら、エレシュキガルはそっと胸を撫で下ろすのだった──




ペルセポネー【危ない所を助けてもらいましたわね。改めて・・・私はペルセポネー。誠実にして厳粛なる神、ハデスの妃ですの。本当にありがとうございましたわ。ちょっと失礼】

オリオン「おぉ?」

【ケルベロス?よく頑張りました。地獄の番犬として、立派でしたよ。ハチミツをお食べなさいな。仲良く三匹で、ですよ】

ケルベロス【【【キューン】】】

【またですか!三匹が三匹とも互いに譲り合うその謙虚さ!ハデスもそうですがあまりにも消極的過ぎます!似なくてよろしい!もっとガンガン自身を主張なさい!体面は大事なのですよ!面子!面子の話をしているのです!】

【【【クーン・・・】】】

ペルセポネー【客人が無事ならそれでいい?・・・あぁもう、ハデスに何処まで似ているのかしら!解りました、これはケーキにかけて食べましょう。・・・すみません、このケルベロスは見た目は厳つく雄々しいのですが、心優しく争いを好まない子なので・・・】

マンドリカルド「・・・可愛いっすね」

ケルベロス【【【・・・(伏せ)】】】

ペルセポネー【話は積もるでしょう。私達も今、世界がどうなっているか解りません。そしてそちらのエレシュキガル様】

「わ、私・・・?」

【同じ冥界のよしみでしょうか?我が夫ハデスを助けてくださり本当にありがとうございました。皆様も、誇り高き魂は大好きですので、私達。・・・そして!!】

エレシュキガル「ひぇ!?」

【善き事!?ハデスは私の夫!お話、お友達、交友は赦しますが!誘惑!誘惑だけは絶対に赦しません!そのような真似をした日には!私はあなたをハーブにして踏み潰してしまうやもしれませんので御覚悟を!!】

エレシュキガル「あわわ・・・」

【──まぁ、心配はしておりません。冥界の女神ならば気品ある方でしょうし。いいでしょう!皆様を我が夫、ハデスの下に招きます!客人として!ケルベロス、背に乗せなさい。粗相なき様に!】

ケルベロス【【【o(`^´*)(O゚皿゚O)(^○^)】】】

オリオン「・・・」

マンドリカルド「声、かけないっすか?」

「止めとく。こわい」

「同感っす」

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