人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「いましたね大帝国イスカンダル!いつぞやの問答のリベンジといきましょう!今度は酒の勢いに負けませんよ!私の王道をたっぷり聞かせてあげますから覚悟なさい!」


「騎士王・・・貴様騎士王かぁ?随分とけったいな格好をしておるのぉ・・・まぁよい!飲むか!」

「私の王道はですね、神に逢うては神を斬ります!主にセイバーばっかり増やす――――」


星の開拓者――太陽を落とした女

ギルガメ号は海を進み、やがて一つの島へとたどり着く

 

 

 

特に変哲は見られない、小さな島

 

 

 

「ここが、海賊島なのですか?」

 

 

マシュが訪ねる。・・・ちょっと意外だ。そこらに海賊旗でも立っているのかと思った

 

 

「へい、間違いありません。ここが海賊どものねぐらでさぁ」

 

 

「やはりネズミが潜む隠れ家なぞに期待などするべきではないか。万に一つ、華美な館でも構えているとも思ったのだが・・・」

 

 

「すいやせん、ギルガメ親分!」

 

「まぁよいわ。各員、ご苦労であった!貴様らの働き、頭の片隅にとどめておこう!これは駄賃だ、受け取れ!」

 

 

黄金の波紋から、大量の金の延べ棒をドサドサと落とす

 

 

「うぉおぉおぉおぉお!!も、もらっちまっていいんですかい!?」

 

 

「うむ。ギルガメ号も持っていけ。褒美としてくれてやる」

 

 

「ありがとうございますギルガメ親分!!野郎共!!これだけありゃあ一生食うのに困らねぇぜ!!」

 

「「「「うぉおぉおぉおぉお――――!!!」」」」

 

 

「ではな。精々道楽を極めるがよい」

 

 

「恩にきやすぜ親分!!皆さんもお達者で~!!」

 

 

慌ただしくギルガメ号に乗り、海賊は歌を歌いながら去っていった・・・

 

 

「ギルガメ号・・・良かったの?ギル」

 

 

「構わぬ。シータクのようなモノだ。あの程度の船、気前よくくれてやる。さて、それよりもだ」

 

 

「はい。迅速に、この島の全容を知る人間に会いたい所ですが・・・」

 

 

そんな話をしていると、誂えたように回りを囲まれる

 

 

「へっへっへ、兄ちゃんずいぶん羽振りが良いじゃねぇか。俺らにもちょっと分けてくれねぇかなぁ?」

 

赤いバンダナを巻いた、眼帯の海賊が下卑た笑いを浮かべる

 

「フン。財にはハエも集るのだな。我の黄金律も困ったものよ」

 

 

――黄金の鎧、というのが目立つのかもしれない。私服を増やすことを検討するべきだろうか

 

「まぁよいわ。マシュ。肩慣らしに全員蹴散らしてみよ。出来ぬとは言うまいな」

 

 

「大丈夫です。三分ほど時間をいただければ、スパルタシールドバッシュで!」

 

「いけいけマシュ!頑張れー!」

 

 

「では、期待しているぞ」

 

 

「なんだぁ?たかだか女で俺達にいどぶべらっ!!」

 

盾が振るわれ、海賊を打ちのめす

 

 

「峰打ち、峰打ちです!」

 

 

「へぶぁあ!ちょ、待っ――!」

 

 

 

「海路を抜け、陸地にて我等を待ち構えていたのはまた海賊であった・・・どうだ?詩的ではないか?ダ・ヴィンチ」

 

『んー、あまりに当たり前すぎて感動が薄いなぁ』

 

 

マシュが完全制圧する間、他愛ない雑談に花が咲く

 

 

やがて、三分後、赤バンダナの海賊以外は全員気を失ってしまい、一帯の制圧が完了した

 

 

「峰打ち完了です!」

 

 

「よい働きだ。受け取れ、飴だ!」

 

「はむっ、ありがとうございます!」

 

 

海賊に歩みより、詰問を行うマスター

 

 

「親分をだせぃ!いるんでしょ、親分!」

 

 

「お、親分?あ~、姉御ですかい?姉御にご用件で?」

 

 

「うむ。我等には雑種ではない、海に生きる者の助力が必要でな。大袈裟に居を構えた身の程知らずくらいが丁度よい」

 

「あ、案内します!はい!だからその盾でガツンとするのはやめてください!」

 

「畏怖されているぞマシュ。ははは、末恐ろしいヤツめ」

 

 

「そ、そうでしたか・・・?優しく的確に峰打ちしたつもりでしたが・・・」

 

――サーヴァント基準の優しいは、あてになるのだろうか・・・?マシュ、やっぱり天然か・・・

 

 

 

「じゃあ、ついてきてください。案内しますぜ。姉御・・・フランシス・ドレイクの根城へ!」

 

 

 

 

 

 

薄暗い密林を掻き分け、海賊の案内を頼りに進んでいく一行

 

 

「へへへ、見とけよ・・・ドレイクの姉御にかかりゃ、お前らなんて・・・」

 

『急に三下になったなぁ・・・』

 

『必死なキャラ付けなんだろう。海賊の』

 

 

「涙ぐましい努力よな。キャラとは自然と作られるものよ。安い語尾や単調なキャラ付けはすぐにサブ、モブへと転落する要因となるのだ」

 

『・・・私、キャラ立ってるかしら・・・回りが濃すぎるから・・・』

 

『薄幸不憫ヒロインとしてきちんと立ってると思いますよ?』

 

『そう、たってるなら・・・まぁなんでもいいわ』

 

――フランシス・ドレイク。例によって例の如く、自分には何者かは詳しくない

 

 

「で、そのフランシスという海賊は何者だ?」

 

疑問に思ったので、そのまま口をついて出してみる。周りの皆は、きっと知っているだろう

 

 

「フランシス・ドレイクは世界初の、生きたまま世界一周を成し遂げた大海賊です。1573年は大航海時代ですから、生前の人物になりますね」

 

 

――生きたまま、初の、世界一周を・・・!?それは凄い・・・!

 

「ほう、正に星の開拓者の名を冠するに相応しい海賊という訳か」

 

「はい。彼の成し遂げた航海は、当時二等国であったイギリスを世界に名だたる大帝国へと変貌させました。そして後にイギリス艦隊の副官として参戦し、スペイン無敵艦隊を打ち破るほどの大活躍を成し遂げた、歴史に燦然と輝く大海賊・・・『太陽の沈まぬ国』とされたスペインを凋落させた『悪魔(エルドラゴ)』とまで呼ばれた、偉大な英雄です」

 

 

――凄い。凄すぎる活躍だ、フランシス・ドレイク。間違いなく、歴史を変えた英雄だ

 

つくづく思うが・・・英雄は元は、自分達と同じ人間だった日なんてあったのだろうか?・・・疑わしく感じてしまうほどだ

 

 

「悪魔、か・・・なるほど。どれ程厳つい人相なのか、楽しみではないか」

 

「はい。今までの海賊の生態からして、ろくでもない人間でしょう」

 

「きっと三メートルあって、樽のジョッキを片手で持ってぐびぐびやる凄い巨漢だよ!」

 

「フハハ、口は総て金の入れ歯であるか?」

 

――ビームとか出そう

 

 

「おたくら、姉御のファンかい?随分なアゲようだなぁ」

 

「フォウ・・・(まーたマッスルカーニバルが充実してしまうのかぁ・・・)」

 

「あら可愛い、美味しそう」

 

「フォウ!?(止めてくれ!サーヴァントにしかボクは食べられないぞ!)」

 

「フォウ食べたら金たま潰す!」

 

「ヒェッ!姉御みてぇな嬢ちゃんだなぁ!・・・そら、つきやしたぜ!姉御ー!」

 

密林の出口で、海賊が声をあげる

 

 

「お客です!姉御と話がしたいとか!」

 

「あぁん?なんだい気分よくラム酒呑んでる時に・・・海賊かい?」

 

「いえ、自分等よりちょいと上品で!」

 

「ちょいと?」

 

 

「役人かい?それとも貴族でもかっさらったかい?」

 

「いえ、違いやす。一人はもうキラッキラのピッカピカで!金銀財宝が服着て歩いてるようなもんすよ!」

 

――なんだか、変だと感じ始めた

 

おかしい。なんだか声が妙にハスキーというか・・・

 

 

「へぇ、なんにせよ普通じゃなさそうだ。特に最後のが気になる。いいよ、通しな!」

 

 

 

――アジトを通り抜けた一同は、みな絶句した

 

 

「アンタらが客?こんなろくでなしどもに、何か用かい?異国の品でも売り付けにきたとか?」

 

 

そこにいたのは、三メートルの巨漢でもなく、不潔な男の海賊でなく

 

「・・・あ、あなたが。フランシス・ドレイクですか?」

 

 

「フォウ!?(マジで!?)」

 

「うん?それ以外の誰に見えるって言うんだい?こんないい女捕まえてさ」

 

「頭にラム酒回ってますぜ姉御ぉ」

 

「あっはは!後でボンベは樽詰めて大砲な!」

 

 

――豪快に笑う、長い髪に、胸元をざっくりと開いた海賊服。頭にキャプテンハットを被った、顔に傷を走らせた美女・・・

 

 

「――――なるほど。あらゆる意味で、歴史の転換となった海賊、か」

 

――彼女こそが

 

「アンタが財宝男かい。――なんとなくだけど、アタシとは相性が悪そうな気がするねぇ・・・」

 

 

――星の開拓者。フランシス・ドレイクその人であったのだ




「テンション上がってきたーー!!!(フォーーーーウ!!!)」


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