人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ヘスティア「皆も起きてよかったわぁ~!それじゃあポセイドンを起こしにいきましょー!ごー!」

ナイア「とても神体は個性的なのですね。ハデス神は荘厳、ヒュプノス神は愛くるしい・・・はっ、ヘスティア神の神体はあるのでしょうか?」

ヘスティア「あるわぁ~。でも、私の神体はゼウスが隠しているのよぉ~。処女神の誓いで、私は起動権を持っているだけ~」

ニャル【納得ですな。ですが後学の為に・・・凄い、のでしょうか】

ヘスティア「んーとねぇ~。どうかしらぁ~・・・うふふ、皆がピンチの時まで、ナイショよぉ~。だって・・・」

「だって・・・?」

ヘスティア「うふふ~。恥ずかしいんですもの~♪」

ニャル【可愛い・・・。じゃあ代わりに私の神体見る?】

ナイア「テロは止めてください。ほら、皆を起こしにいきますよ。XX~?おーきーてー」

XX「ん・・・相棒・・・?」

ナイア「・・・アイボ・・・?」

ニャル【(・・・死んでないよなポセイドン)】


ポセイドン、ゲットだぜ!!

「よぉーし!なんか眠ってる間にやること大体終わってた!流石だ新生アルゴノーツの勇者達!たっぷり褒めてやる!俺がふんぞり返って余裕こいていられる活躍をこれからも頼むぞ!頼むから頼むぞ!」

 

再びやって来たポセイドン神殿。しゃっきり復活したヒュプノスの祝福を受け、覚醒上機嫌なイアソンの笑い声が響き渡る。寝ている内にやることが完了したという理想的棚ぼたと船員の優秀さに笑いが止まらぬといったところだ。ポセイドン神殿何のその。コンソール前にてナイア、ニャルを労る。

 

「僕達が見ていた夢は、幸福な夢だったよ。悪夢を見ていたメンバーはいなかった。それだけで、ヒュプノス神が善良極まる神だということは疑い様が無いね!スッキリしたぁ!」

 

「あぁっ!夢で凄いアイディアを思いついたのに思い出せない!優しく残酷な事だ!明晰夢見たかったなー!」

 

「姉さん・・・どんな夢を?」

「あ、あなたこそ。マカリオス・・・」

 

「かっこよかった・・・かっこよかったよ俺・・・」

「・・・私の楽園は、夢のような日々。それが解ったのだわ。ありがとう、ヒュプノス神」

 

(宝くじ・・・なんかスケールが低いような・・・)

 

「・・・・・・・・・」

 

『オリオン、目覚めはどうです?』

「えっ?あぁ夢ね!?・・・今、一番見たい夢でしたねー!とびきりの美女がねー!オリオン頑張って~って応援してくれててさぁー!いやぁ困っちゃうなぁ~!」

 

『・・・そうですか。それは何よりです。必ず、正夢にしましょうね』

 

それぞれの夢を語り合う姿に、ナイア達は胸を撫で下ろす。本当に、ヒュプノス神の眠りは試練であり、善意であったのだ。それらが知れたことを、ヒュプノス神への信頼は高まる。

 

【誰も見ていない所で人を褒める者、誰も知らない所で善行を積む者は何より信じるべきだ。──ヒュプノス神は出来たぞ?さぁ、オリュンポスNo.2が出来ない筈は無いよな?】

 

コンソールの前に立つニャル、牡牛を前に出し、ヘスティア神の傍らに、アデーレとマカリオスが並び立つ。

 

【覚悟はいいかい?ヒュプノス・クリロノミアを精神に盛大に叩き込む。安楽の中で精神を眠らせ、身体を回収し楽園のドックに持ち帰る。神を簒奪する覚悟はいいかな?】

 

「勿論だ。俺達は取り戻すんだ、ギリシャの・・・宇宙の平和を」

 

「そして掴みましょう。今日とは、まるで違う明日を」

 

『ブモォ!』

 

【──素晴らしい。それではロマニくん、ダ・ヴィンチくんちゃん。コンソール見といてね。注入するぞ、クリロノミア】

 

ロマン、ダ・ヴィンチに制御を任せ、タイピングにて精神中枢にクリロノミアを投与する。乱高下している精神グラフが、少しずつ・・・少しずつ平静を取り戻していく。

 

「脳味噌に直接麻薬をぶちこむようなもんか。うーわ、ゾッとしねー。間際は潔くないと恥の上塗りになるんだなー。オレもなー・・・下敷きだからなー・・・」

「オレなんかアポロンのシスコンにやられてさぁ・・・」

「俺なんか鎧も剣もあってロジェロに負けてるっすからね・・・」

 

「・・・華々しく散れる英雄というのは、案外が少ないものだな・・・やはり駆け抜けるもの、だからなのだろうな。流れ星のように」

 

「私は役目を終えたら、いつの間にか。でも、やるべき事はやったもの。悔いはないのだわ。だって、神の消滅とはそういうものだもの」

 

「・・・お父さんの最期は、どんなものなんでしょうか。娘としては、看取りたいのですが・・・」

 

【心配するな娘よー。背中と心臓はお前に託しておくからなー】

 

「し、仕事に集中していただければ!」

「カップラーメン出来ましたよ相棒!一緒に食べましょう!」

 

「アイボッ!!?」

 

「ポセイドン・・・もういいのよ~。ゆっくり休んで~。私達の未来は、この娘達に託しましょう~。人間は、一人で歩いていけるの~。もう、怖がらないで~」

 

語り、問い掛け、ポセイドンを鎮めていく一行。海の神の末期を見届け、神体を手にするために。サーヴァントユニヴァースの未来を掴み取る為に。

 

「ポセイドン。あんたの末期に思う事は無いでもない。・・・死にたくないのは皆同じだ。サーヴァントになって、命が消滅しなくなったこの宇宙で。死を本気で意識する事は無かったとしても・・・」

 

「私達は進まなくてはいけないのです。未来のために。ギリシャに、宇宙に生きる全ての為に・・・だからどうか、私達に力をお貸しください。ポセイドン様・・・!」

 

アデーレ、マカリオス、ヘスティア、牡牛の声と共に、ヒュプノス・クリロノミアが更に投与される。

 

「親父!みっともねぇぞ!好き勝手やってたくせに自分は嫌なんて筋が通らないだろ!ギリシャの風評だだ下がりですよ!だだ下がりなんですよ!」

 

「今更下がるほど株ねーけどな多分!カイニスにはよろしく言っといてやるから!さっさと力と身体貸せ!」

 

『ポセイドン。次なる世界を、シーズンを迎える為にも。どうか、決断を』

 

【聞こえるか、皆の声が。聞こえるか、皆の願いが!今のお前はこんなにも求められているぞ!ククッ、神冥利に・・・神冥利に尽きるな!】

 

ニャルからしてみれば、精神が乱れている理由は解りきっているため嗤える状況なのだが、内頬を噛みつつ一生懸命周りの熱い感じに合わせている。

 

【ブッフッ・・・さぁポセイドン!お前に安らぎの眠りを与えよう!私達と共に来い!後は、この輝きの財達に任せておけ!!ッククッ・・・──我等と共に来い!!偉大なる海神よ──!!】

 

今こそ、亡骸たるポセイドンの神体にもたらされし妄念を、宇宙に挑む者達が祓う──!

 

 

【くっせ。ちゃんと後処理してから消えて欲しいよね。ヤり逃げなんて最低だよな?ポセイドン】

 

精神世界にて様子を見に来たニャル。目の前に広がる教育上よろしくない惨状と異臭に顔をしかめつつ、目の前にうつ伏せに倒れる美女を蹴り小突き仰向けに返す

 

『・・・・・・・・・・・・・・・』

 

蹂躙されつくし、うわ言のように口を動かす美女『であるもの』。髪も、体も、尊厳も。あらゆる部位も辱しめられた女性というのは・・・惨殺死体よりも凄惨になるものだ。無表情で見下ろしながら、ニャルは胸を痛めた。絶対に娘には味わわせないぞと誓いながら。

 

【という訳で、お前の意識を刈り取っていくぞ。カイニスにしたように、メドゥーサに手つきしたように、身体だけを貰っていく。・・・まぁ、聞こえちゃいないか】

 

元々ニャルからしてみればどちらでも良かったのだ。楽園の目論見が上手く行けばそれで良し。ダメならばこうして止めを刺す。だが、クリロノミアに抱かれたポセイドンは、静かに霧散していく。最早新たなる人格の浮上は無いだろう。目の前の人形は、とっくに心が砕けている。それを確認しにやって来ただけの事だ。

 

【後で去勢も行うつもりだが・・・お疲れ様。五体満足で現存してくれてありがとう】

 

『・・・・・・も』

 

【も?】

 

『・・・・・・・・・・・・も・・・・・・っと──』

 

──全身に鳥肌が立つ。だが、同時に投与は終わり自我は消去された。迅速に、速やかにだ。驚愕と共に汗を拭い、息を吐く。

 

【ギリシャやっべぇ・・・未来に生きてんな・・・ここ一最大のホラーだったわ・・・】

 

手心など加えていない。微塵も容赦していない。──色欲が強いと聞いていたが、これ程とは。

 

【評価を改めよう。筋金入りだよ、ポセイドン。いや本当に畏れ入った。マジに焦ったよ】

 

ギリシャの規格外を、予想外の角度から味わわされたニャル。メスイキにすら意味を見出だすとはギリシャすげぇと感心しながら、精神中枢を完全掌握するのだった──




ニャル【──ロック、解除!よし、皆の呼び掛けの勝利だ!】

姉弟「「やった!!」」

ロマン「これで、マルドゥーク神に続く機械の大神が楽園の庇護下に入るんだね!きっとどんな海にも負けない素晴らしい戦艦になるはずさ!」

オリオン「元気でな~。親父マジで元気でな~」

ニャル【・・・・・・・・・・・・・・・・・・】

ロマン「?どうかしたかいニャル君。君が黙るなんて珍しい」

【ちょっとギリシャを侮ってました。パイプカットしてきますわ】

ロマン「パイプカット!?」

ケイローン『嵐も収まってきたようです。ニャル殿、この神体を如何に回収なさいましょう』

【後でワームホール開いて温羅ネキに引きずって貰いましょう。これほどの大質量、鬼神以外には手に余る】

ダ・ヴィンチちゃん「そうだねぇ。改良と改造は帰ってから!存分にギル君に財を払ってもらおう!」

イアソン「よーし!なら長居は無用だ!ちゃっちゃと次に行くぞ!次はいよいよゼウ──」

ロリンチ『報告報告~!魔獣達が接近してくるよ~!一難去ってまた一難!皆、戦闘準備~!』

イアソン「──・・・見てみぬ振りはできないか、やっぱ。よーし!方針決めた!ちょっと寄り道すっぞ!」

ナイア「寄り道?」

「あぁ!『魔獣狩り』だ!アルゴノーツの栄光の一ページってヤツだな!」

ニャル【はー、びっくりした】

XX「何がですか隙あり!!」

【寝首かくなwww】

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