人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ニャル別荘

温羅「ほぉー。これが海神の身体かぁ・・・!とんでもない上玉を手に入れたもんだなぁ!大漁大漁!」

ニャル【問題はこれ、でかくてですね。ワームホール開きますから、引きずってもらいません?】

(流石に無茶ぶりかなぁ・・・推定で数千メートルはあるし。鬼神といっても・・・)

鬼神「確かお前さん、触手がメインウェポンだったな?ポセイドン神に巻き付けてもらえないかい?」

【え?】



ニャル【いででででででででででででででででで!!!?】

温羅「絶対千切れない鎖の代わりが必要だからな!ちょっと我慢しててくれ!千切れるなよ!」

ニャル【あっ凄い!ポセイドン!ポセイドン動いてる!動いてる!?でもいってぇ!凄い痛い裂きニャルに!裂きニャルになるぅ!?】

温羅「いやぁ、鎖なかったら壁ぶち抜いて引っ張らなきゃいけなかったからな!お前さんいてくれて助かった!サンキュー!」

ニャル【藪蛇だったっ!あいでででででででででも愉しいからいいかすっげぇ痛いけどあいでででででででで!!】

温羅「大丈夫かぁ!もしやばかったらカービィくんで吸い込んでもらうかい!?」

ニャル【カービィだけは!カービィだけは勘弁してくださいでででででででででちぎれるぅうぅ~!?】

この後、無事に楽園地下ドックに格納された。ニャルはベロンベロンに伸びてしまったが些細な事であった。


欲得ではなく、未来の為に

「よーしお前ら!ポセイドン神殿のゴミ掃除だ!話は戦いながらするから、俺が戦う必要の無いくらいの活躍をして貰うからな!心配するな、応援は思いっきりしてやる!よーし!行け、忠実な船員達!ブッ潰せぇ!!」

 

ポセイドン神体を獲得し、次なる目的を定めるアルゴノーツ。イアソン別部隊が残す目的は、神の力において最も強力な『ゼウス・クリロノミア』。キリシュタリアの体を治療する為に必要な量数を手にいれる為にゼウス神殿へと向かうのだが、イアソン曰く『寄り道』をするという。そうして起つ前に行った事は、ポセイドン神殿に巣食っていた魔獣達の掃討だった。戦闘部隊のサーヴァント達が魔獣を相手に戦闘し暴れまわる様子を、ふんぞり返りながらイアソンは見守っている。別に調子には乗っていない。自分が前線に出る必要が無いゆえの余裕である。

 

『イアソン、寄り道とは何を行うつもりなのです?オデュッセウスや酒の神のもてなしの礼からして、あまり歓迎できる響きではありませんが』

 

「なぁに、英雄として当然の責務をやってから向かうってだけだ、難しく考えるなよ。確かこの魔獣はエキドナが暴走して産み出されてるんだったよな?聞いた話じゃそうだった気がするしな」

 

サーヴァント達が相手取る魔獣達、それは一つの存在を起点に産み出されている。エキドナ──魔獣を無限生産するプラント。それが今宇宙の何処かで暴走し、制御不能となっている魔獣達が無差別にギリシャ宙域を荒らし回っている現状である。ポセイドン神殿にいるこの獣達、アルテミス神殿を護っていたオリオンからして、各地の神々のクリロノミアを回収しているのではないかとの推論がロマンやダ・ヴィンチから提出されたのだ。クリロノミアを手にすることで、更なる肥大化と生産効率を上げギリシャ宙域を乗っ取る本能的な動きを行っているのだろう。それをイアソンはチャンスと捉えたのだ。

 

「来るまで散々クリロノミアを回収してるっていうなら、相当腹に神の力を溜め込んでる筈だ。ゼウスの力が狙い目だが、あらゆる神々の神殿を回らなくても、頭を潰しちまえば戦利品としてまるっと手にはいるんじゃないか?あいつが溜め込んだクリロノミアがな!」

 

魔獣を端末に宇宙を食事場にしているのならば、確実に生産プラントとして肥大化すると同時に溜め込んでいると予測する。神々の証、クリロノミアをだ。そしてそれは、ヘスティア神やハデス神、ヒュプノス神の次シーズンの際の立場の磐石さに繋がることでもあると睨む。

 

「宇宙を、ギリシャを荒らすバケモンを仕留めてギリシャを助けたとあっちゃあ、信仰なんて山程貰えんだろ。確実に神様としての立ち位置が動くくらいにだ。そんでエキドナが荒らした神々のクリロノミアを回収して戦利品と証拠にする!人間だけでなく神様も助けた神々の女王として、ヘスティア神は地位を不動に出来る筈だ!肝心要にくたばってたオリュンポスどもの奴等にもどうすることもできねぇ、唯一無二の神々の女王としてな!」

 

神々の女王。ゼウスの妻ヘラが座している名誉と地位をも上回るであろう名声。其処にヘスティア神が就けば神々の暴虐と理不尽、そして在り方を制止できる御意見番が誕生する事になる。ゼウスすらも頭が上がらぬヘスティア神が、かつての魔獣神テュポーンに単身挑んだゼウスの威光を再演するのだ。最早ヘラ、アテナ、アフロディーテすらも到達叶わぬ、ギリシャの全ての女神となるであろう。イアソンはその地位に立ったヘスティア神による恩恵を狙っていたのだ。

 

「ゼウスと並ぶ地位、御意見番ヘスティア神が誕生すりゃあ、俺達へのギリシャ連中の理不尽なやっかみや八つ当たり、嫉妬なんてものも纏めてスルー出来る筈だ。俺達は女神ヘスティアが見出だした勇者達って事で存分にサーヴァントユニヴァースで立場を得られる!宇宙旅行の足掛かりにしちゃいい腰の落ち着けどこだろ?そんで、アデーレとマカリオス!お前らはヘスティア神の神官、アルゴノーツの語り部としてヘスティア神に鞍替えしろ!」

 

自分達の活躍を、正確に伝える者を任命する。神々は外様である自身らの活躍を認めないとする者もいるだろう。その対策に、アデーレとマカリオスをイアソンは指名した。

 

「お、俺達が・・・」

「ヘスティア様の神官・・・!?」

 

『成る程。確かに私達と共に戦い、ヘスティア神の導きと共に宇宙を救った勇者・・・素晴らしいサクセスストーリーです』

 

「ギリシャの生き残りとして、民として。お前達の言葉なら無下には出来ない筈だ。いや、しちゃいけないんだ、神様ならな。だからお前らは生き証人だ!俺達の、ヘスティア神の活躍を確かなものとして語り継げ!牡牛と一緒にな!エウロペのヤツとほわほわしててもいいぞ!」

 

軋轢や祝福を、アデーレやマカリオスに託す手筈も整える。ぶっちゃけ祝福とか呪いのようなものなので、自身らには不要なものだ。クリロノミアも少量でいい。触媒になられると困るし。そんなイアソンの未来予想図に、エキドナ討伐は必須であるのだ。

 

「エキドナと言えばテュポーンの妻、雌機でもある。ゼウスがタイマンで倒したテュポーンの嫁だ、そいつをヘスティアが倒したとあっちゃその栄光は揺るぎが無い。逆に言えばエキドナを倒さなくちゃまた面倒くさい不和や軋轢が起こってオリュンポスは割れるかもな。それくらいに絶対的なスコアなんだ。今の宇宙で、エキドナを倒すっていうのはな」

 

その為に、次のシーズンは少しでも理不尽な世界にならぬように、ヘスティア神に実権を握らせるという目論見の為に。エキドナ討伐は絶対に必要だと力説するイアソン。調子に乗っていたオケアノスのイアソンならば、アルゴノーツの名声や自身の王としての地位を真っ先に主張していたであろう。余裕を持ちピンチに挑むイアソンは、誰もが認める器と度量、観点を見据える大英雄に他ならない。

 

「で、でもぉ~。皆で頑張った結果なのよぉ~?私だけ奉り上げられるのは違うと思うわぁ~・・・皆で頑張ったのだから~・・・」

 

「まー正直イアソン神殿くらいは作ってほしいけどな!──まぁ、その。サーヴァントってのは本来、マスターに引っ張られる、らしいんだ。ヘスティア神。だから、なんつーかな・・・」

 

照れ臭そうに船長は頭をかく。──契約したヘラクレスの弟子の少女に、頭が湯だったんだ間違いねぇと自己弁護しながら、イアソンはその胸中を語る。

 

「まぁ、ほら・・・『宇宙の平和』って財宝が俺らの求める戦利品なとこあるし。クリロノミアとポセイドン貰ったし?これ以上は必要ねーよなーとか思ったりするわけだ。それにいつか、ヘラクレスとかと来るときに欲かいて天罰やらめんどくさいことになりたくないってーか・・・」

 

「あらぁ~・・・」

 

「──今はもう、欲しいものはないっつーか・・・ま、カルデアの足掛かりになればそれでいいんだよ。欲張るとろくでもねーことになるしな!そんだけだそんだけ!」

 

・・・サーヴァントは成長しないもの。しかし、その精神は変革をもたらす時がある。イアソン、末期とオケアノスの醜態を受け、今度こそ──

 

「お前らー!話聞いてだろ!雑魚にかかずらってんなよー!さっさと止め刺して来いよ!後がつかえてんだからなー!!」

 

今度こそ、彼はキャプテンとして、王として・・・相応しい精神変革を起こし始めているのかもしれない。或いは──

 

「・・・アンタ、王様には向いてないんじゃないかな。話しやすいし」

「こら、マカリオス?」

 

「うるせー!!見とけよ!ぜってぇー王様になるんだからなぁ!!」

 

そうじゃ、無いかもしれない。イアソンもまた、困難に挑み続ける挑戦者なのだ──




オリオン「ただいまー!キャプテン(ニヤニヤ)」

イアソン「おせーぞ!・・・何笑ってんだよ?」

ヒロインXX「相棒と帰還いたしましたーキャプテン!(ニヤニヤ)」
ナイア「ミッション完了です、頑張りましょうキャプテン!」

マンドリカルド「キャプテン・・・!」
ラクシュミー「キャプテン・・・」
エレシュキガル「キャプテンなのだわ!」

イアソン「なんだおめーらニヤニヤしやがって!話聞いてだろ!さっさと行くぞ!割り出せ位置!」

ロマン「任せてくれキャプテン!」
ダ・ヴィンチちゃん「お任せあれキャプテン!」

イアソン「なんか馬鹿にしてないか!?してるのか!?してないよなー!?」

ヘスティア「うふふ~。みんなぁ!キャプテンについていきましょ~!」

「「「「「おーっ!!!」」」」」

イアソン「馬鹿にしてないよなー!!?」

なんやかんやで深まった絆と共に、未来のために。アルゴノーツはエキドナの討伐に向かう。釈然としないキャプテンの叫びを、静かになったポセイドン神殿に響かせながら──

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