人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

121 / 2536
「返信レスも打てないとか、田舎娘ライフ満喫しすぎじゃん?」

「すみません、スズカさん・・・でも、部員の皆様にはお礼を言いたくて・・・」


「ま、別にいいっしょ。ヒマなら私が色々教えたげるし」

「ありがとうございます!私、召喚されて良かった――!」


出航!

「此が契約書となる。よく目を通しておけ」

 

 

船長室にて書き上げられ、綴られた契約書をドレイクに手渡す

 

 

「おや、随分ときっちりしてるねぇ。嫌いじゃないよ?はっきりしてるのはさ」

 

 

「書記に優れるものに記させた。我は盟約を違えぬ。口約束であろうともな。故に、裏切りには万死を以て報いると知れ」

 

 

「しないしない。そんなチンケでこすっからい悪事なんて真っ平さ。受け取ったよ、上官」

 

 

「む、その上官という響き、何となく味気無いではないか。この我を飾る称号であるのだ、もっと天地に轟く渾名でなくてはならん」

 

――英雄王、ではダメなのでしょうか。英雄達の王。自分はたまらなくカッコいいと思うのだが・・・

 

「んー。じゃあ総督なんてどうだい?これ以上ないハッタリの効いた渾名さね。」

 

「総督、総督か」

 

 

――うん。王を飾るに不足はないと自分は思う

 

 

「よし!では我の事は総督王と呼べ!七海総てを見通し、あらゆる海を踏破する海の王!ふはは!よいな!愉しくなってきたぞ!」

 

 

上機嫌に笑う器。英雄王は笑い上戸なのだ。最近解った事だけど

 

「気に入ったようで何よりです、総督王サマ?・・・で、一つ聞きたいんだけどさ」

 

 

「ん?我の格好の事か?」

 

 

――今の器は、いつもの鎧ではない。動きやすさと威圧を重視して、自分が着飾ったのだ

 

 

逆立つ髪は下ろし、キャプテン海賊帽を被り、上半身は素肌に黄金のロングコートを羽織っている。下半身は変わらず鎧を着用した、言うなれば海賊・・・総督王スタイルだ

 

器がノリノリで見繕い、着飾ったものだ。・・・我ながら、凄くカッコいいと思う

 

・・・まぁ、ドレイクを参考にしたので似てしまったのは否めないが・・・

 

 

「ふはは、似合っていよう?我は何を着せても様になる罪な男よ」

 

「や、それはともかく・・・」

 

バン、と机に手を叩きつける

 

 

「アタシの船!めっちゃ豪華になってるんだけど!?なんだい全員に個室とかバスルームとか!特にアタシのは派手すぎる!アタシに貴族の真似事をしろってのかい!?」

 

――そうなのだ。実は、契約を交わした際に、ちょっとドレイクの海賊船の生活環境を整えてみたのだ

 

 

聞けば海賊は雨で身体を流し、食料が尽きればネズミを捕らえて食べていたらしい。・・・時代柄とはいえ、自分はともかく年頃のマスターとマシュに衛生上、よろしくないと判断した

 

 

で、やるならば徹底的にが器の決断。一人一人にプライバシーを護る個室を、ハンモックを、バスルームを提供し、士気を保つ手助けをしたのだ

 

 

「これじゃあ海賊船じゃなくて豪華客船じゃあないか・・・女王様でも召し抱えるのかい・・・?」

 

 

「たわけ。我が身を預ける船ならば、それはゴージャスでなければいかん!海賊船とは偉容と威圧で魅せるのであろう?それに名前もよい。ゴージャス☆ギルガメ号であったか」

 

 

「ゴールデン!『黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)』!勝手に乗っとるんじゃないよ!」

 

「ふははは!まぁなんでもよい!これは我の投資と思え!貴様らの手腕、大いに期待している!」

 

――うん。よろしくお願いいたします。ドレイク船長

 

「ほんっとに気前のいい上官サマだねぇ・・・というか、なんであんなにアタシのバスルームは豪勢なんだい?」

 

――?それはそうだろう

 

「貴様は女であろうが。男勝りに雄々しいとはいえそれは変わらぬだろう。男女分けるは当然であろうが」

 

 

「――な、ちょ、は?ちょいと、ちょいと待ちなよ。アタシが、女だって?」

 

 

「侮辱している訳ではないぞ。むしろ女だてらによくやっている。男装の麗人には縁があってな。いずれ言ってやる前準備というやつよ」

 

 

――海賊であっても、男勝りであっても。ドレイク船長は凛々しく、美しい女性だ

 

 

男性にはない美しさや、輝きを持っているのだから・・・少しでも、それを忘れないでほしいという自分のお節介だ

 

要らないならそれでも構わない。ちょっとだけ、ワガママを押し付けてしまおう

 

 

「・・・はーん、そうなんだ。ふーん。へーぇ。」

 

コクコクと頷くドレイク。顔が赤いような・・・?

 

 

「いい男じゃないのさ、アンタ!」

 

 

「ぐぬ――!?」

 

思いきり背中を叩かれる。ビリビリと衝撃が身体に伝わる

 

 

「っ――それに貴様は、一度時代を救っているからな。当然の報酬であろう」

 

 

――そう。彼女は自分達より先に世界を救い、聖杯を手に入れているのだ

 

 

荒れ狂う七つの海。渦から出でしアトランティス。大洪水にて世界を流さんとする海神ポセイドンの降臨

 

 

「全く大袈裟だねぇ。あんなのアタシが気にくわないからやっただけだよ?」

 

 

そう。彼女は海賊としての矜持『海神を名乗るとは船乗りとして許せない』という理由だけで蹴散らしてしまったのだ

 

ポセイドンから聖杯を奪い、渦へアトランティスごと海神を叩き落とした。彼女は紛れもなく、聖杯に選ばれし女傑なのだ

 

 

では何故、時代は狂ったままなのか?ロマンとオルガマリー、ダ・ヴィンチちゃんの予測では、レフの聖杯とぶつかりあい、時代が混沌としているからだという

 

・・・どのみち、レフの聖杯を手にしなければ意味がない。そういった理由で、二人はドレイク船長に聖杯を託したままらしい

 

 

「これ、アンタのものなんだろ?奪ってみるかい?」

 

「構わぬ。わざわざ所有権を主張するも面倒だ、預けるぞ」

 

「ヒュウ。太っ腹だねぇ。だけど、まだまだもっと振る舞っておくれよ?」

 

 

「何度も言わせるな。ソレは貴様ら次第よ。――鬨を上げよ船長!出立の刻だ!甲板に出よ!」

 

 

 

 

「あいよ、総督!」

 

 

 

 

 

甲板にて、樽に足をかけドレイクが海の男に発破をかける

 

 

 

「野郎共ォ!!しこたま呑んで歌ったかい!!」

 

 

 

「「「「「もちろんですぜ姉御ぉ!」」」」」

 

 

「今から行くのは飛びっきりの航海だ!大砲食らってもピンピンしてる奴等にアタシ達は喧嘩を売りにいく!ビビってないでケツにタマぁぶちこんで金タマ潰してやんな!ちっとは効くはずさね!!」

 

 

「「「「エグいぜ姉御ぉ!!」」」」

 

 

「右も左も解らないイカれた海だが、そこが海ならアタシ達にやれない事はない!頼もしい仲間!思いっきり羽振りのいい総督もいるんだ!これでビビる腰抜けはこの船にはいないだろう!?」

 

「「うぉおぉお――――!!」」

 

 

 

「ギルー?そんな上でなにしてんのー?」

 

「我は遠見をしてやろう。幸い眼はよいのでな」

 

「なるほど・・・で、ですが私達のこの格好は・・・!」

 

 

マシュとリッカも着替えている。マシュは白いワンピース、リッカはしたっぱ衣装だ

 

「似合ってる似合ってる!マシュかわいー!」

 

「あ、ありがとうございます・・・!英雄王、これは・・・?」

 

 

「たわけ!貴様らは花も恥じらう年頃の女子!着飾りの一つも覚えずして何が少女か!ちなみにそれはメディアとヴラドの提供だ!」

 

 

・・・器用だなぁ

 

 

「よぅし!!じゃあ早速出航と行こうか!!」

 

 

錨が上がり、帆が張られる。出航の合図だ

 

 

 

「船長!!向こうから海賊船がやってきますぜ!」

 

「あぁん?」

 

 

――見れば、十隻ほどの海賊船が眼前を阻むように迫り来ている

 

 

『あれはこの時代の障害、バグみたいなものだ!実体はある幽霊だと思えばいい!』

 

「ゆうれっ・・・い、いや!実体があるならやりようはあるさ!」

 

「なんだ、幽霊は不得手か?」

 

「知らないよ!!」

 

 

――よし。ならば、自分が蹴散らそう

 

 

「ならば露払いはこちらがやろう。たかだか木組みの船など、一息に薙ぎ払ってくれるわ!」

 

 

――財を選別する。10メートルを越える戟や銛、槍などを展開

 

狙うは眼前の船群――回避行動はしないみたいだ。なら遠慮なく――

 

「船長!号令を上げよ!!」

 

 

――貫かせてもらおう!

 

 

「あいよっ!『黄金の鹿(ゴールデン・ハインド)』!」

「手慣らしだ!『王の(ゲート・オブ)』――!!」

 

 

二人の怒号が、重なる!

 

 

「『財宝(バビロン)』――!!」

 

「出航――!!!」

 

 

放たれる巨撃、成すすべなく突き刺さる財。一瞬で砕け散り沈没していく有象無象の海賊船

 

 

錨を引き上げ、帆が風を受け海原へ船体をこぎだす!

 

 

「ひゅー!!みてマシュ!船がゴミみたいだー!」

 

「先輩!危ないです!」

 

 

「あっはははは!なんだいそりゃ!アンタは大砲持ち歩いてんのかい!?」

 

「持ち歩くのは財のみよ!我を相手取りたくば、戦艦でも用意するのだな!!」

 

 

「よぅし!!最高の祝砲だ!楽しい船旅になりそうだねぇ!ケツの穴引き締めな!野郎共ォ!!」

 

「「「「「うぉおぉおぉお!!!」」」」」

 

「フハハハハハハ!!我の蹂躙は、此より始まるのだ――!!」

 

 

海を、黄金の鹿が駆け抜ける

 

 

――この海への挑戦が、始まった!




「んー、僕もダンジョンに手を加えてみたいなぁ」

「ダビデ王は余計な事をしないでほしいなぁ・・・」


「そうだ!宝箱部屋と称した部屋に、『契約の箱』を置いてみよう!何人ひっかかるかな~♪」

「最低だ!この王様最低だ!悪辣にも程がある!」


「どうだいアビシャグ?一緒に」


「わ、私は・・・」

「彼女に粉かけは止めてください、ダビデ王」

「あっ・・・ごめん。僕より背の高い女の子はちょっと」

「――(イラッ)」

「あっ、身体が重い!眼だね、眼の力だね!酷いなぁ!僕は本当の事をだね!」


「ロマン。彼を迷宮に投げ捨てますがよろしいですね」

「是非!」

「解った!反省するから手加減してほしいなぁ――!」

どのキャラのイラストを見たい?

  • コンラ
  • 桃太郎(髀)
  • 温羅(異聞帯)
  • 坂上田村麻呂
  • オーディン
  • アマノザコ
  • ビリィ・ヘリント
  • ルゥ・アンセス
  • アイリーン・アドラー
  • 崇徳上皇(和御魂)
  • 平将門公
  • シモ・ヘイヘ
  • ロジェロ
  • パパポポ
  • リリス(汎人類史)

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。