人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ニャル【あぁ、いたいた】

ナイア「お父さんッ!!」

マーシャルアーツ+キック+対深淵狩人+宇宙CQC 99 出目01
10D5 合計48

ニャル【ごげはあっ!!!!?】

ナイア「解ります!また貴方は無茶を、無茶をしたんですね!娘ですから解ります!」

【ぐ、ぉ、あ・・・・・・我が娘めっっっちゃ戦闘技能全振り・・・・・・探索できるの・・・・・・?】

ナイア「あなたはもう、死んだらおしまいなんです!頑丈だからって、無茶はしないでください!あなたが、あなたがいなくなったら・・・」

【・・・】

「私は、誰の背中を頼りにすればいいんですか?二度と口に出来なくなってしまいます・・・お父さんという言葉が・・・そんなの・・・嫌ですから・・・!」

(・・・・・・部員の皆様といい、この娘といい・・・)

ニャル【──ごめんよ。ただいま、ナイア】
「ぐすっ・・・お帰りなさい、お父さん・・・」

(・・・本気で私を大切にしてくれる者達は、此処にしかいないんだろうなぁ・・・)

ヘスティア「あぁ、良かったぁー!これぇ、ニャルぅ!お父さんが娘泣かせちゃダメっぺや~!いけんお父さんよ、全くぅ!」

ニャル【ヘスティア神。本当にお疲れ様でした。結構なお手前で・・・】

XX「私の相棒を泣かせるなミニアドーーーーッ!!!!」 

宇宙CQC(ナイア直伝)+宇宙警察式槍術+対邪神武装+跳躍+魔力放出+ゆゆうじょうぱぱわー!99 出目 01

100D5 出目475

ニャル【ぎゃあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!】

ナイア「お父さーーーーん!?」

ケイローン『ヒュプノス神とハデス神が精神の汚染除去を・・・おや、巨悪が滅びましたか』

ニャル【脚本家に・・・殴りかかってこないで・・・大丈夫、神殿にはアデーレとマカリオスが向かって、待ってる人も・・・】

~ゼウス神殿

マカリオス「待ってる人がいるから行けって、キャプテンも皆も動けないじゃないか!俺達だけが行っても・・・!」

アデーレ「そもそも、誰が待っているのかしら・・・」

牡牛『ブモモ』

マカリオス「急にいなくなったり帰ってきたり・・・サボってたんじゃないかあの邪神!」
アデーレ「いいえ、あの方は嘘はつかない筈。私達は見ていた筈よ。・・・信じましょう。ナイアさんの父親を」

マカリオス「・・・解った。見えた!──あれは!?」

二人が神殿で見た者。それは──


天空に至る最後の鍵

「皆様──本当にお疲れ様でした。エキドナを始めとした女神の狼藉をよくぞ収めてくださいました。今は亡き大神ゼウスに代わり、心からのお礼を告げさせていただきます」

 

ゼウスの神殿にやって来たアデーレ、マカリオスの二人を待っていたもの。最後の秘宝、ゼウス・クリロノミアを受け取るためにやって来た二人を迎え入れた者。──それは、二人がよく知る者。ゼウスが愛せし、彼等が仕える者。

 

「エウロぺ、様・・・!?」

「エウロペ様なのですか・・・本当に・・・?」

 

「ふふっ、そうよ。勇者たちと共に本当によく頑張りました。アデーレ、マカリオス。先回りになってしまって、ごめんなさい。でも、ここに来てどんでん返しなんて有り得ないわ。本当よ?」

 

いたずらっけな笑いを溢す姫・・・紛れもなくエウロペ姫そのものだ。彼女はやって来ていたのだ。辺境のカレー屋から、カレー店長に連れられて。そして、隠れながら見ていたのだ。全員の奮闘を。全員の戦いを。宇宙を救う為に戦うアルゴノーツの奮闘を。アデーレ、マカリオスの頑張りを。

 

「エウロペ様!皆が、皆がピンチなんだ!アフロディーテにやられて・・・!」

「治療は行っています。でも、あと一押しが・・・!」

 

「えぇ、解っています。三女神の妄念が、大変な御迷惑を。その過ちを糺す為の力は、此処に。──あなたたちこそが、その資格」

 

アデーレ、マカリオスを指し、エウロペは告げる。二人が此処に来ること。それこそが善性の証。弱くとも、弱さを切り捨てなかった本当の強さの証。エウロペは語る。ゼウスは自らを、自らの力を託すために相応しき資格を持つもの。即ち──

 

『──ギリシャ・オリュンポス市民の霊基生体反応、非戦闘員二名のDNAを確認。最終ロックセーフティー、解除。個体名・・・アデーレ、マカリオス。──ゼウス・ロック。解除』

 

『アデーレとマカリオスの存在』そのものが最終ロックの解除キー。英雄ではなく、兵士でもない。ただ夢と希望を信じ、力を合わせ挑む者達。弱くとも前を向く民と、それらを護り抜いた英雄達の存在そのものが鍵だったのだ。

 

「アデーレ、マカリオス。あなたたちが此処に至ることこそ最後の鍵。戦えぬものを護り、自分自身が未来を掴み取る決意を固める。なんの庇護もなくとも、なんの加護も無くとも。あなたたちはゼウス様の下へとやって来た。彼等はあなた方を護り抜いた。──その美しさこそ、その素晴らしさこそ、あの方が心から求めたものなの。・・・あなたたちこそが、神の在り方をも飛び越える希望だと此処に示された証明。そんなあなたたちにこそ、この力は相応しいと信じられます」

 

『ぶもぉー!』

 

二人に、エウロペに託されていた牡牛も叫ぶ。此処に、ゼウスが望み護りたいと願った総てが集った。──その時は、やって来た。

 

「あなたたちに託します。どうか受け取って。──星を統べるもの。雷を握るもの。ギリシャの世界を導くもの。大いなるもの。かの大神の力の源たる・・・」

 

美空色に輝く、天空そのものが凝縮されたかのような秘宝の形。それを一目見ただけで、疲労も傷も総てが消え去り無くなっていく驚愕的な力の凝縮体。完全なる真円、覗き込めばそこには天空が在る。手を伸ばせば、其処に全能がある。──破壊されたゼウスの、真核にして最後の希望。

 

「ゼウス・クリロノミア・・・天空の炉心。我が大神が隠し、護りきったこの秘宝を。比類無き勇者達に託しましょう」

 

「これが・・・」「ゼウス様の、中核・・・そして、真体のコア・・・」

 

手にするだけで、総てを見透せるような清涼極まる視界を手にする。全てを見下ろす全能感。全てを手にした万能感。自分こそが比類無き者と確信してしまう程の圧倒的極まる秘宝。ゼウスがもたらす結果に、アデーレも、マカリオスも身震いが止まらない。

 

「・・・そして、それを託すと共に・・・一つの時代が終わりました。ゼウスが、神々が、人間を愛玩する楽園の時代が」

 

「え・・・」

 

「それを人間が手にしたと言うことは、神々が自らの手で解決出来ない事態が起こったということ。神々だけの時代が終わったと言うこと。──強制合体機構を、ゼウスは失う事になります。彼が予見していた『オリュンポス・マキア』は・・・もう起こらない。ゼウス様は、それを望んでおりました。次代に託す、その時を」

 

ゼウスが、神々だけが覇を謳う時代が終わる。黄金、白銀、青銅、鉄のどれでもない未来がやってくる。このコアとクリロノミアを手にした者に、究極の王権が備わるのだ。ゼウスは、それを望んだ。そして選別した。自身らが滅んだ際に、真の勇者が・・・自らの姉と姫が見出だしたものが時代を作る者であると。アデーレとマカリオスを護り抜く勇者達であると。かの天空の神は信じた。それを──エウロペにだけ。心から愛し、気を許した姫にだけ、総てを話したのだ。

 

「もう、ゴールしてもいいよね。彼はずっとそう言っていました。・・・未来は今、あなたたちに託されたのよ。アデーレ、マカリオス」

 

エウロペと牡牛は見守る。天空の炉心を手にしたアデーレとマカリオスが、どんな行動を取るのか。ゼウスの力・・・クリロノミアを全身に取り込めば、あらゆる総てを越えた超人類が誕生するだろう。宇宙であろうと極限環境であろうと問題なく活動する、新たなるステージに至る人類が。ほんの少しだけでも、身体に刻まれた傷を癒し細胞を生まれ変わらせる事が叶う。そしてこの炉心は『周囲の環境を神代ギリシャに変化』出来る。天空を手にするとは、そういう事なのだ。望むなら、此処に双子の天空神が降臨することも叶うが──

 

「姉さん!」

「えぇ。──さぁ、エウロペ様も!」

 

「あ、あらぁ~?」

 

アデーレとマカリオスは、エウロペと牡牛を連れて走り出す。ゼウスの炉心を手にし、──別荘にいる、仲間達の下へ。

 

「これを手にする資格があるのは俺達じゃない。俺達はただ、これを手にするための鍵なんだ。俺達は──これを使わない!手にするべき者達に託す、届ける!ゼウスがそうしたように!」

「マカリオス・・・」

 

「はい。ゼウス様が認めて下さったという栄誉だけで充分です。──今もまだ、傷ついている仲間達がいます。彼等を、勇者を癒すために。私達の願いは、ただそれのみです」

「アデーレ・・・」

 

アデーレも、マカリオスも。私利私欲などは考えない。今も苦しむ者たちへ、仲間達を救う為にこの秘宝を届ける為に神殿を後にするのだ。自身らが欲しかったものは──

 

「あんなに冒険してたら、もう十分だ。昨日とは全く違う今日が見れた。・・・俺は本当に満足だよ。姉さんと一緒に、優しい神々と会えて、戦って・・・」

「私達の願いは、あの方々に叶えてもらいました。ですから次は、私達があの方々の願いを叶える番なんです。私達の冒険の最高の締めくくりに、私達の宇宙より先に駆けていくあの人達に、この力を」

 

確かにこの胸に、この魂に刻まれた。鮮烈な今日が、ヘスティア神が、ハデス神が、ヒュプノス神が主導になって導く輝く明日の到来が待っている。だから、自分達の夢は、明日は、希望は実った。後は、勇者達に安寧と平穏を。凱歌と最高の名誉を。

 

「あ、でも成長したいって願いだけは・・・」

「ふふ。欲張らないの、マカリオス」

 

「──えぇ。そんな、そんなあなたたちだからこそ・・・」

 

ゼウスはギリシャの安寧の中で、希望を求めた二人の人間をエウロペに託した。ヘスティアに託した。全能を手にしながら、それを誰かの為に、何かの為に手放せる。そんな、清廉にして至高、崇高なる輝きを備える魂を。

 

──歴史を、未来を手にするに相応しい魂を見出だしていたのだ。それは、全能の神ゼウスが行った、最期の継承の儀──




ゼウス神殿前

マカリオス「いいな、姉さん!」
アデーレ「もちろんよ、マカリオス」

エウロペ「──」

共に高く、炉心を掲げる姉弟。その誇り高き姿を、万感の想いで見つめるエウロペ。──此処に、神々の時代は継承される。

マカリオス「ゼウスの炉心よ!貴方の持ち主は俺達じゃない!」
アデーレ「異なる宇宙より、宇宙を救う為にやってきた勇者達。その勇者達が、今傷付き、苦しんでいます」

マカリオス「頼む!助けてやってほしい!そして・・・この宇宙を助ける力になって欲しいんだ!」
アデーレ「私達は託します。全能の神の力を、キャプテンに──カルデアの勇者達に!」

マカリオスとアデーレの祈りに応え──ゼウスの炉心は輝き、一瞬にして宇宙に満ちる。

エウロペ「あぁ・・・見ておられますか、ゼウス」

その輝きは、荒廃した神殿と、街や建造物を直し次なるシーズンにて戻る生命を待ち受ける。ゼウスの力が溢れ、他の神のクリロノミアの悪辣な効果が打ち消される。地を見守る天空の様に、輝きが満ちていく。そしてそれは、程無くして──

マカリオス「・・・、あれ!?姉さん胸と、お尻が大きくなってないか!?目測数センチで!」
アデーレ「あなたこそ、背が大きくなっているわマカリオス!?」

エウロペ「うふふ。神様の、ちょっとしたご褒美・・・かしら?」

美空色の粒子が降り注ぐ中、待望の変化が起こる姉弟を、いとおしげに見つめるエウロペ。──勇者がもたらした奮戦は、此処に結実する。

そして──

テュポーン【エキドナ】

エキドナ『!?アンタ・・・』

【アイツらについていけ。立派な女になってこい】

『バカ、浮気になっちゃうじゃんか』

【何が悪い?いいんだよ、オレはずっとお前を愛してる。他の男と話そうがなんだろうが、オレはお前に惚れてんぜ。・・・オレの嫁を『美しい』なんて見所ある口説き方したアイツと娘の下で、花嫁修業してこいや。クソアマ】

『うっさい。・・・再婚なのこれ?アンタ死んでるの?アタシ人妻?未亡人?』

テュポーン【知るか。・・・魔獣どもは宇宙の警護にけしかけるからよ。ちょっとシャバの空気吸ってこいや】

『・・・アンタの事、忘れちゃうかもよ?』

【いんだよ。オレは忘れねぇ。・・・行ってこい。オレはいつだって、お前が一番だぜ。遠くに行っても、お前が誰を愛してもな】

『・・・忘れるか、バカ。嘘でも嫌だって言いな。だからアンタは、バケモンなんだっつの・・・』

封じられた夫の声を聞き・・・エキドナは、一つの決心を固める──

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