ギル「痛快だぞ!よく聞け、アルトリアめがゴールドセイバーバッヂを集めたのだ!流石は可憐すぎたアルトリアめよな!アルトリアもよくやっている。やはりアルトリアとは無限の可能性の意味の言葉よな!」
騎士王『(誰がどのアルトリアかを文法から察している)・・・なるほど。頑張っているようですね。アルトリアも』
「うむ、これならば最強のセイバーもそう遠い称号ではあるまい。・・・・・・」
『何か、気がかりでも?』
「いや、何。この問題、とびきり愚かな我モドキだけの問題ではないと我は睨んでいる。狂わされた双子、闇に染まりしデオン。意思を有した母胎。──それらは恐らく、我モドキの仕業では無かろう。我の見立てでは、これは『復讐』だ。──宇宙の動乱に合わせ、復讐の牙を剥く何者かが一枚噛んでいる」
『復讐・・・それは、一体?』
「それは──」
騎士王『(ごくり・・・)』
「──次のシーズンのお楽しみであろうよ」
『(ガクッ)な、なるほど。それは非常に楽し・・・次シーズン?次もあるのですか?』
「あるであろう。シーズン1が売れたなら次はシーズン2と相場が決まっているのだ。そうさな、次は──」
騎士王(これは、留守を預かるのが大変そうですね・・・)
「ほぉう・・・大活躍に大戦果ではないか。イアソンめ、余程名誉挽回に躍起になったと見える。しかし主神の核に海神の体、ギリシャ領土の協力と治世の締結と来たか。最早下敷きなどと呼べぬな。まこと見事であった!」
ヒロインXチームに続き、シルバーセイバー宙域におけるイアソンチームの大活躍と大健闘の報を受け取り、喜悦に笑みを溢す我等が御機嫌王、ギルガメッシュ。ギルガメスと似て非なるギルガメスを止めるギルガメッシュである。別に言葉遊びではない、事実を伝えているだけである。
「そしていよいよ、満を持して我等が出番と言うわけだ。セイバーバッヂはアルトリアが集め、銀河警察の戦力の復旧も目処が立った!ならば残るは突入の他有り得まい!用意はいいか者共!いよいよ我等ゴージャス本隊!出陣の刻だ!!」
ギルガメッシュが号令を掛ける。その刻が来たのだ。シルバーセイバー宙域唯一存在するゴールドセイバー宙域に飛来するためのワープ装置が安置されている戦火の中心領域、ワープドライブターミナルの奪還を行う時が。
『魔獣達の戦闘宙域の乱入により、各艦隊は一度ワープドライブターミナル周辺に集っています。ゴールドセイバーバッヂを奪い、一息に次なる宙域に離脱する企みでしょう。二部隊の行った結果が今、私達に回って来たのです』
このままでは争奪戦処ではないと戦局を見据えたのか、残存しているシルバー宙域の勢力はワープドライブターミナルを最後の決戦の舞台と定めたようだ。宇宙を周りながら戦闘宙域を片っ端から潰して行く予定であったが、イアソン達の大戦果による嬉しい誤算である。周り巡る手間が省けたというものだ。後は行われる最終決戦を真っ向から叩き潰せば、シルバーセイバー宙域のやり残しは終わり、ゴールドセイバー宙域へと旅立つ算段が整う。──御機嫌王チームがトリを、総決算を担うと言うことだ。ここでしくじれば、ゴールドセイバー宙域・・・長いのでGセイバー宙域と仮称するが、其処には辿り着けないのだ。ゴージャスに相応しい、まさに大舞台というやつである。──で、AIシドゥリの報を受けたゴージャス達が何処で何をしていたかと言うと。
「じゃあ今日の配信は此処まで!みんな~!沢山のプレシャス☆スパチャありがとー!マギ☆マリは皆の道往きと旅路を、何よりも愛してるよッ♪(本人を愛してるとは言ってない)。・・・ふぅ、スパチャ御礼枠だけで6時間も使っちゃったよ。大変だけど、これが収益稼ぎの秘訣なんだよね。それよりマーリンお兄さん聞いたんだけど、同業同士ならお付き合いOKて本当かい?アヴァロン来ちゃう?来ちゃうかい?」
(お前にいいこと教えてやるよ。顔がいいならバーチャルじゃなくて自分でアイドルやった方が稼げるんだぞ?何故バーチャルエフチューバーが顔出しをせずバーチャルを選んだか。身バレ以外の理由をよく考えるんだな)
「止めないかキャスパリーグ!凄く刺さる!いたいけな男子と私の夢に凄く刺さるんだ!綺麗なのはガワだけなんて事実は無い!そもそもバーチャルエフチューバーに中身はいないんだ!」
(じゃあお前も虚構なんだな!わーい!消えてなくなれ!!)
ビーチパラソルの下で、アロハシャツを着ながらライブ配信に精を出す夢魔とフォウ・・・
「その調子その調子。水泳は身体の動かし方を学ぶのに最適な全身運動だからね。落ち着いてばた足をしてごらん?」
──うん、エル!ほぃ、ほぃ、ふぃ、ほぃ・・・
エルキドゥに優しく手を引かれながら、泳ぎの練習をするエア(競泳水着)。人工天体の太陽が照らすプールは、陽光を照らしキラキラと輝いている。巨大なレジャープールを貸し切り、ゴージャスチームは思い思いの時間を過ごしている。そう、ここはニャルの別荘、プールサイド。ニャルが娘の為に張り切りすぎて作り掃除がめんどくさすぎるため放置していたプールエリア・・・
「えぇい!遊びの時間は終わりだ者共!プールより上がりタオルを使え!プールサイドは走らないように!これは常識にして真理である!疾く上がれ!今すぐ上がるのだ!」
そう、ゴージャスチームは大分のんきしていたのである。刻一刻と変化する宇宙の盤面をプールサイドにて見極めていたのだ。何処から攻めるか、いっそ全てしらみ潰しに行くかと考えていたならば、いつの間にかシルバー宙域の総決算に状況は固まっていた。王の号令待って暢気してたら御覧の有り様である。
『・・・王よ。貴方の財の輝きを些か見誤っておりましたね?』
「ははは、こやつめははは。許せシドゥリ、具体的には全く期待していなかったイアソンめが驚天動地の大活躍といった誤算だ。まさかギリシャほぼ総てを味方に付けるとはなんだそれは!能ある鷹は爪を隠すと言うが限度があろう!隠しすぎて生えておらぬとタカを括っていたわ!鷹だけにな!──ふふははははははははははははははは!!!」
──王よ、プールサイドを転げ回らないようにお願い致します。ギャグも御身も滑っておりますので。
「あっ!懐かしい!凄く懐かしいよエア!」
──・・・あっ・・・!!ふ、不覚です・・・!深く反省していますと再三言っているのに・・・!
「今のは『不覚』と『深く』を掛けた非常にプレシャスなジョークだね?流石御機嫌王の至宝!ギャグセンスもAUOに追随だ!」
──・・・・・・・・・~~~~~~~(光栄8割困惑2割な顔)
「ふははははははははははははははは!!止せ、控えよエア!久方ぶりの脚光にて張り切ってしまったな愛いヤツめ!だが赦す、全て赦す!それでこそ我が至宝よ!深く!不覚よな!!ふははははははははははははははは!!!」
──ぅあぁ~!不覚なギャグを繰り返さないでください~!
エア、ギル、共にプールサイド愉悦ローリング。宇宙の危機だろうがなんだろうがやるべき事と成すべき事は何も変わらない。世界や宇宙を救うのも、こういったてんやわんやも、等しく愉悦なのだから。
──ともかく!とーもーかーく!いよいよワタシ達の出陣です!ギルガメス様の下に辿り着く為にも!決して油断せずに参りましょうね!久方ぶりにワタシ達の戦いの出番です!一生懸命頑張って参りましょう!
「あぁ、任せてほしい!グランドキャスターとして恥じない活躍を、君に!マイプリンセス!」
「あぁ、解ったよ。任せて、エア。最高スペックの性能を見せてあげるからね」
(ボクは既に!覚悟を決めている!キミと宇宙の果てまで!)
《エアが号令を掛けた途端に団結したな貴様ら!だがまぁよい、我の令を総括したのだ、大儀であるぞ!では行くぞ!白銀の宇宙、総仕上げの蹂躙としてくれる!》
(「「おーっ!!」」)
『皆様、どうかお気をつけなさいますよう。こちらも最大限の補助と健闘を、御祈りしております』
いよいよ、ゴージャスチームが動く。白銀の宇宙の手向けへと発進するヴィマーナ。ブロンズ、シルバー、ゴールド・・・それらを越えたプラチナチームが今、立ち上がる!
「今夜も貴方を、英雄作成☆!チャンネル登録、高評価、フェイッターのフォローよろしくね♪これがマギ☆マリの決め文句なんだけどさ、エルキドゥもやってみないかい?ファンさえ付けば楽しい事して夢がいっぱいだよ!」
「へぇ・・・配信中にライブアプリ落としていい?」
「止めてくれないかい!?男性の声が入るくらいの炎上案件だ!3Dモデルだって最近作ったんだからね!」
(業の深い趣味にハマッてんなお前・・・まぁスパチャ律儀に読むのは感心だけどさ)
「込められた感情が激烈な味でさ♪」
(あぁ・・・)
《エア、進路を少し変更するぞ。座標は此処だ》
──あれっ?ギル、ここは・・・
《進捗と進展を見るのだ。次いで──寝起きドッキリをな!!》
王の悪戯げな笑みに、総てを察しながらエアはヴィマーナに行き先を入力し発進する一行であった──
銀河警察・シェルター内
『コールドスリープ・解除。霊基励起開始。──エレシュキガル署長。おはようございます。今日も絶好の労働日和です。頑張って参りましょう』
エレシュキガル署長「・・・ん、・・・酷いアラームなのだわ・・・骨の髄までブラック企業・・・」
(・・・まさか、起きる事ができるなんて。宇宙の状況はどうなっているのかしら?平和になったのかしら?とにかくやらなくちゃ・・・残った仕事はあるかしら・・・)
「・・・誰か、いる?システムは復旧しているかしら・・・?」
ギル「ふはははははははははははははははようやく起きたか居眠り姫め!おはようございます!!元凶の!我だよ!!」
エレシュキガル「ぎゃあぁあぁあぁあぁギルガメスぅうぅう!?なんで、どうしてぇえぇ!?」
──おはようございま~す・・・エアです~
エルキドゥ「なんだいこのカプセル?・・・(スヤァ)」
(寝ちゃダメだよエルキドゥ!?出てきてー!?)
マーリン「あっ!なんてハイスペックなんだいこのノートパソコン!ちょっと借りていい!?大丈夫、データリークしたら返すから!」
エレシュキガル「!!!!!!?????・・・・・・・・・(きゅう)」
宇宙を滅ぼしたギルガメスが目の前にて、エレシュキガルの思考回路はショート寸前・・・というよりショートし、二度目の眠りにつくのだった──
ギル「寝起きドッキリ!大成・・・なんだ、二度寝しおって。疲れが取れておらぬのか?不良品カプセルであったのか?(ガンガン)」
シドゥリ『王、蹴りませんように』
そして全く悪びれないパリピ陽キャリーダーめいた王であった。
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