人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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シルバー宙域

ゴルド艦長「ジークフリート・・・顔も知らんセイバーが何故これほど気になるのだ・・・」

ガリアスタ艦長「セイバーだって言ってるじゃん!なんで魔女なんか呼び出しちゃったんだろう・・・やらかしすぎるだろ・・・とりあえず逃げてきたが・・・」

カリヤ艦長「アオイさん・・・無事なんだろうか・・・アオイさん・・・」

ゴルド「まぁ今はそんなことはいい!ひとまず奴等を打ち倒し再起を図るのだ。いつまでも没落のままでは困るのだ!」

「ワープアウト反応!この反応は──ヴィマーナ!ヴィマーナです!」

ゴルド「ヴィマーナだと!?おのれギルガメス、いけしゃあしゃあと!休戦信号をシルバー宙域に出せ!一時手を組み、あの暴君を討ち果たすぞ!」

「はっ!」

ゴルド「たった一隻に何が出来る!私はこれより再起するのだ、邪魔はさせん・・・させんぞ・・・!!」



エルキドゥ「じゃ、行ってくるね」

エレシュキガル『な、何をする気・・・?』

エルキドゥ「白兵戦と・・・投降勧告♪」


天の光は全て財

──敵艦隊、全方位に展開!これまでにない完全包囲ぶりですね・・・狙いを付ける必要も無さそうです!ギル!

 

いよいよ殴り込みにかかるシルバー宙域、ワープターミナル宙域。超絶巨大転移ゲートが遥か前方に鎮座し、その宙域に敷き詰められたシルバーセイバー部隊勢力艦隊。度重なる戦乱と魔獣の対処に追われたか、サーヴァントクラスの戦力は見られないが・・・それでも全地方からの部隊が集結している様は圧巻であり、一様にギル達のヴィマーナを取り囲む布陣を取っている。如何なる理由があろうとも、ギルガメスが全宇宙にて憎まれる敵という認識は共通なようだ。本来ならこういう局面での主役は、停戦を呼び掛け訴えるのが相場なのだが──

 

《雁首揃えて有象無象が集ったものよ!だが良い、宇宙の肩慣らしと来る決戦の前哨戦には丁度よい!宝物庫の扉を開け、エア!》

 

──了解!財宝選別開始、・・・ふふっ。その目標は──!

 

《フッ──無論!我等の道を阻むもの全て──目に映る総てだ!!!

 

聞くまでもない問いに、顔を見合せ頷き合い、蹂躙を開始するゴージャス・ギルガメッシュ。フォウの操るヴィマーナが最大戦速でゲートへ向かって突撃し、シルバーセイバー宇宙にいる全ての敵対者がその光景を目の当たりにする。万全磐石にして、最強を越えた無敵の王の由縁を。

 

──久し振りの王の出陣、絢爛豪華に飾ります!気合いを入れてぇ~~~・・・・・・!!

 

エアが張り切りに張り切り、解放せし庫の宝門。艦隊と同数の数千、数万から始まり、星の煌めきより眩しく、集う綺羅星よりも多くその威光の数を跳ね上げていく。エアの本懐にして、無数無限の財を納める宝物庫の財を超精密かつ怒濤に解放する全英雄必殺の絢爛射撃。王の編み出した絶対者にして超越者のみに赦された豪奢なる魔弾、エルキドゥ曰く無駄遣いの極みが、至宝の手により宇宙のデブリを貫く程の超精密射撃により放たれる。それこそは──

 

──ご唱和ください!財の名を!せーのっ!!

 

「「(「『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』──!!!!」)」」

 

全方位、無尽蔵に放たれる財宝の流星群。粒子加速宝具と電磁砲宝具を射出のシークエンスに挟むことにより、一発一発が大口径戦艦主砲、或いはレールガンにて撃ち放たれた戦艦装甲を貫き破壊する刀剣宝槍の嵐となりて艦隊全てを襲い抜く。黄金の綺羅星が、白銀の宇宙を引き裂き天の川のように連なり駆け抜けていく。ヴィマーナという、最小単位の小型船から放たれる、大艦隊に匹敵する蹂躙制圧放射。その結果は、瞬く間に現れた。

 

「か、回避ぃい!!!」「ダメです!間に合──」「は、ハッチがやられた!出撃が──うわぁっ!」「連結部分損傷!ドック崩壊!出撃不能!出撃不能!」「よ、予測軌道上に既に砲撃がっ!かわせませんっ!!「わ、我が艦の装甲が、装甲が貫かれていくだとぉお!?」「て、敵はどんな超高性能予測AIを積んでいるのだ!?これではまるで未来予知──」「随伴艦隊沈黙!我が艦武装全貫通!戦闘不能!繰り返します!戦闘不能!!」

 

艦隊を大ダメージと大混乱が襲う。広大な宇宙にて、目測で攻撃を当てるなど不可能に等しい。あらゆる無数の弾幕で制圧するのが普通なのだ。だが驚くべき──いや、おぞましい事に。降り注ぐ黄金の綺羅星の軌跡に全く無駄が存在していない事を、被害状況が物語っている。艦載機出撃カタパルト、戦艦武装、出撃ハッチ、推力を担うサブエンジン──『戦闘に必要な武装』のみを正確無比に貫き、無力化しているのだ。これはまるで、砂漠に無数に立てられた針の穴が何処にあるかの位置を正確に把握し、レーザー銃で只の一度も外す事なく遥か彼方から針の穴に光を通す途方も無い目測と射撃の腕前無くば至らない境地だ。──何処の英雄が、どんな逸話を持っていればそんな芸当が出来るのか。無数の戦艦の軌跡すら予測し、針の穴より小さい武装を、全方位の情報を処理しながら。

 

「有り得ん──あってはならぬ、あってはならぬ事だ・・・!いくらギルガメスと言えど、こんなおぞましい射撃など出来る筈が!」

 

だが、現実として起きている。たった一隻の船から放たれる黄金の綺羅星が、無数の艦隊となっているシルバー宙域の全戦力を成す術なく蹂躙していく。たった一隻に、たった一隻に・・・

 

「か、艦長!敵対反応増殖!熱源反応が増殖していきます!」

 

「増殖だと!?」

 

そう。たった一隻であったヴィマーナの周囲に反応が現れる。二隻、四隻、八隻──倍々ゲームにて、ヴィマーナが射撃宝門に比例するかのように増えていく。急に現れたとしかいえない速度でだ。

 

「敵の増援か!ワープ反応は!」

「あ、ありません!突然です!突然やって来たのです!なんなのですか、これは!どうすれば──!」

 

パニックを起こすクルー達を落ち着かせようと指示を出さんとした艦長達を、更なる混乱へと巻き起こす事態が巻き起こる。

 

「ひっ──」

 

張り付いていた。艦橋ブリッジの強化ガラスにべったりとこちらを覗いていた。生身で宇宙に出ることを苦とも思わず、冷淡極まる笑みで手を振る、全宇宙に戦慄をもたらしたもの。

 

「はろはろ~♪じゃ、死のうか♪」

 

「え、エルキドゥ!?う、うわあぁあぁあぁあぁあぁああ!!?」

 

生身で単身乗り込んできたグリーンモンスターの襲来に、メインブリッジは錯乱の渦へと叩き込まれる。強化メインガラスを叩き割り、クルーを纏めて宇宙空間に投げ出し用意されたワープゾーンに放り込む戦艦奪取エルキドゥタイムが幕を開けるのだった。

 

「よぅし!我ながら幻惑の魔術は絶好調だ!射撃に合わせて数を増やせばどこから放たれてるか解らないだろう?いっぱい悩んで欲しい!」

 

艦隊が増えた理由はもちろんマーリンである。花の幻惑で大艦隊があたかも出来たように見せかけたのだ。もちろん攻撃など出来ないが、その代わり熱源レーダーすら誤魔化せる超精度の虚像である。さぞ困惑したであろう。レーダーを埋め尽くすヴィマーナという悪夢は。

 

「手緩いわ!ヴィマーナ一隻に勝負にすらならぬとは笑わせる、だから貴様らはシルバーなのだ!プラチナどころか我モドキのゴールドにすら届かぬ半端者共よ、命は取らぬ!物資を残して疾く消え失せるがいい!!ふふはははははははははははははは!!!」

 

ギルの宝物庫全解放、エアの超々々々絶精密射撃、エルキドゥの人員無力化、マーリンの幻惑、フォウのヴィマーナ制動テクニック。楽園の頂点足る御機嫌王の至る境地が『無敵』である事実を、白銀の宇宙に轟かせていく。英雄神を出すまでも無い。疲弊した艦隊の残存などものの数では無いと言うことだ。

 

──全艦、総勢6854隻。全武装破壊、航行不能を確認。投降した人員をエルが侵入、エレ署長のワープゾーンに放り込み、めぼしい戦艦や設備、物資などを回収しているようです。財宝回収開始、戦闘態勢解除。・・・は、張り切りすぎましたでしょうか?

 

《いや、この上なく上出来だぞエア!世界広しと言えど艦隊戦を個人で出来るのは天上天下に我等しか有り得まい。財の顔触れがいくら増えようと、どれほど英雄が増えようと!我等ゴージャスは『無敵』だという解りきった証明を示したのだ!我が産み出した頭の悪い手癖も、お前が在れば必殺の射撃に変わる!玉座に座り腕を組むだけで敵が滅びるなど痛快無比よ!ゴージャスの戦いとは!こうでなくてはな!ふふふははははは!!はははははははははははは────!!!》

 

(お疲れ様、エア!プレシャスパワーをたっぷり補充してね!ギルの千里眼の情報把握と全宇宙リアルタイム予測なんて無茶も無茶だからね、本当は!)

 

──フォウやギルがいればこそ、だもんね!ありがとう、フォウ!

 

エアの選別と財の射撃の立役者。運命力と真エーテルの炉心たる人類愛の親友と頷くエア。ヴィマーナはなんら問題なく、ワープターミナルへと向かって行くのだった──

 




エルキドゥ「ワープホールにしまっちゃうよぉ~。自分の故郷に帰っちゃおうねぇー。でゅーわー」

ゴルド艦長「ゆ、夢だ!これは悪い夢だ!ジークフリート、いないのかジークフリートーっ!」

アトラム・ガリアスタ艦長「魔女の仕業の方がマシだなんて、こんな事ってあるのか・・・?」

カリヤ艦長「なんか、生きてるだけマシって気がしないでも──」

エルキドゥ「ん~。勝負にもならなかったね。でも、これで当分物資には困らないはず!物色が楽しみだなぁ~」

エレシュキガル『・・・・・・・・・・・・・・・あの、一つ聞いていいかしら?』

エルキドゥ「なぁに?」

『あなた達・・・宇宙征服とか、企んだりしたりしてない・・・?』

エルキドゥ「してないよ?──今はね」

『今は!?』

ギル『聞こえるかエルキドゥ。シルバー宙域の制圧は終わったわけだが、あまりにも脆弱であったな』

エルキドゥ「エアに射撃を任せてたらこうなるのは自明の理だよ。──物足りなげな顔だね?」

『ゴージャスにシルバーなど役不足も甚だしかったな。これでは別動隊の非難は免れまい。──其処でだ!我等はこれより一足速くゴールド宙域に出向き、星の観光に向かう!何か一つの手土産でも持たねば顔向けが出来んのでな!』

エレシュキガル『はい!?どうやって!?バッジは!?』

エルキドゥ「あぁ解った。とりあえずバッジ探してみるね。楽しみだなー。わくわく」

『・・・・・・も、もう全部あなたたちでいいのではないかしら・・・』

想像以上にあっけなかった為、一同はなんとゴールドセイバー宙域の惑星への観光へ向かうのだった!

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