人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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大樹

ネロ「見よ!あれこそがマグナ・ウォルイッセ・マグヌム!ローマを造りし大樹にして!神祖の!槍ィ!」

──て、天空に届かんばかりの拡大変容!樹齢何万、何億では下らぬビッグスケール!ほわぁ、圧倒されます・・・!

フォウ(情緒豊かになったなぁ・・・無銘だったらどうだっただろ?おっきぃ(こなみかん)かなぁ・・・(しみじみ))

マーリン「宮殿と大樹が一体化しているんだね。なんとも目にいい景観だね。大樹より水が湧き出る。そんな景色をこの、こう・・・」

エルキドゥ「グロテスク劇場」

ネロ「黄金劇場であるっ!グロテスク違うのだ!よくわからないのではない!あそこの宮殿に待っているぞ!カエサル殿、カリギュラ殿!そして──偉大すぎるローマがっ!!」

エルキドゥ「偉大」

マーリン「過ぎる」

ネロ「ローマ!!」

──・・・・・・

《マリアが気になるか、エア?》

──はい。ですが今は・・・

《案ずるな》

──!

《お前の願い、聞き届けぬ我だと思うか?任せよ、エア》

──はい!ギルが虚言を吐くなど、有り得ませんものね!

ネロ「???そなた、どうして海を見てニヤニヤしているのだ?」

ギル「気にするな。心が豊かな者は自然に笑うものだ!ふはははははははははは!!」

ネロ「そ、そうか!ならもっとスゴいぞ!さぁ!謁見の時であるーっ!!」

一同は大樹の宮殿へと赴く。待っていたのは──




我等の手、ソラの果てまでも

『よくぞ此のローマに至った。ユニヴァースの宇宙なるローマを救いに現れし、此の宇宙ならざるローマより来たりし浪慢(ローマ)達よ。(ローマ)はおまえ達の奮闘を祝い、愛し、言祝ごう。この混迷の宇宙にありて揺るぎなく進む、白金に輝くローマ達よ』

 

ローマを支える大樹、黄金絢爛の宮殿に招かれたその地にて、一行は『至高』を目の当たりにした。ローマという都市の、概念の、形の究極。このサーヴァントユニヴァースにおいて、ある意味で最も強者足る称号を掲げ、名乗る男。ローマ全ての黄金を比類して尚、それら全てより目映いと確信できる黄金の有翼鎧を纏い玉座に座る男・・・否、『ローマ』そのものの存在。大きく、深く、高い存在。ローマを築いた者、ローマであるもの。偉大過ぎるローマなるもの。

 

『我が名、ロムルス。ロムルス=クィリヌス。我が腕にて総てを懐く、槍がごとき腕を持つ者。冠位の資格を懐く・・・ランサーを名乗る者。この宇宙にてローマの健在を示す者。神に至りし人であるもの。おまえ達を認め、歓迎するローマそのものである』

 

グランドの資格を懐くランサー。ロムルス=クィリヌス。カルデアのロムルスはあくまで人である霊基だが、本来ロムルスは人でありながら最新の神、クィリヌスに至った者。当然の様に有しているのだ。獣が来たりし時、その高き霊基は世界に招かれる最強の七騎、グランドの一角の資格を。

 

「ほう?このセイバーが幅を利かす宇宙にてランサー、それもグランドを名乗るとは大層な自信よな。或いはそれこそが、今のローマの安定を示す民草の拠り所となっているか・・・どちらにせよ、黄金を纏うに相応しいだけの資格は在るようだ」

 

──ぐ、グランドランサー・・・!わ、ワタシ達の旅路だけでどれだけの冠位サーヴァントに出会えているのでしょうか!?こ、光栄に頭が下がります!あ、その、浮いているのは不敬でしょうか!?

 

「ランサー・・・僕より上って事かな?それはちょっとムッとくる評価だね。性能実験してみる?」

 

《止めよエルキドゥ。エアも畏まる事はない。お前の畏敬を一身に集めるのは我唯一人。真に敬うのは我だけでよい》

 

ローマの究極を目の当たりにしていようとも、ゴージャスは微塵も揺らがない。がっしりと腕を組みロムルスを正面から睨み返す。唯一無二のプラチナと、比類なきゴールドローマが相対する状況にエアはギルの背後に隠れおずおずと見上げ、エルキドゥはむすっと頬を膨らませる。

 

「こ、こら!頭が高い、高過ぎるのではないか!?ローマだぞ?ローマといったら偉大すぎるこの方なのだぞ?もっとこう、もっとこう敬って然るべきであろう!?」

 

『よい、ネロ。此度は屈服と闘争のローマではなく、同盟と共闘のローマを示す。我等の前に、立場の軋轢は不要なる』

 

「う、うむ・・・神祖がそう仰有られるなら・・・せめてその麗しき緑髪は鎖を収めよ!狂犬なのか!?」

 

「ちぇ。神様なんて僕の得意な属性なのに」

 

渋々刃を収めるエルキドゥ。ネロもまた膝を付く。ロムルスの威光とは、ローマにとって太陽に、大地に、海に等しいのだ。逆らうと、恩恵を受けぬとするが愚かなのだ。

 

『この宇宙の混迷にて、(ローマ)は己の位を一時的に引き上げた。同時にかの破滅の呼び水を目の当たりにするを禁じた。訪れる滅びに対し、皇帝の何人かを招きローマを護る壁とした』

 

「神祖は既に予想されたのだと?この始まりは些細な惨劇の様相を」

 

うむ、とロムルスは頷いた。世界とはローマ、宇宙とはローマ。だから解る。把握する。ローマとは即ちロムルスなのだから。

 

『数多のソラにて数多の星が消え去った。ギルガメスの示した天の理とは、原初の地獄。生き残るには人は哀しく、脆弱。神すらも滅びる開闢の一撃を、我等は見た』

 

「我が乖離剣と言えど、権能に匹敵する威力を示せば抑止の介入で滅びるが定めだが・・・サーヴァントユニヴァース等という与太時空に理路整然など望むべくではないな」

 

『世界は裂け、セイバーが争う混迷へと移った。我等がローマはギルガメスを討つ事を提唱し、味方を集った。──しかし。我等がローマの歴史は、大いなる侵略の歴史でもある。私の罪でもある』

 

ローマ陣営、ロムルスは世界の理に反逆するランサーを名乗り世界を正す仲間を集った。しかしローマはその版図を拡げる侵略と戦争を何よりも巧みに世界に行った国でもある。覇を謳う道はともかく、義を願う道を選ぶにはあまりに精強であり、あまりにもかつての暴虐が尾を引いた。

 

『我等もまた、世を乱すギルガメスの同類とみなされた。我等がいくら強くあろうと、理の滅び去った世では無力である。──我等は、星々の結束を損なったのだ』

 

「あぁ~・・・まぁブーディカ氏を見れば一目瞭然だよね、その手のローマのやらかしはねぇ。ある意味、最も博愛とは遠い歴史をお持ちな皆様だもの」

 

(黙ってろって!)

 

「・・・否定はせぬ。事実は受け止めねばならぬ。余らの呼び掛けに、びっくりするほど誰も乗ってこなかった・・・」

 

むしろ警戒され、侵略を受ける有り様。やむを得ず、同時に宇宙に蔓延る危機を取り除かんとロムルスは神に至り、ランサーとして暴虐のセイバーを自身に集め、返り討った。更に民を護るため、皇帝を招きローマの防護を固めた。ロムルスは諦めなかったのだ。

 

『手を取り合うが叶わぬならば、いずれ来る自由なる翼を待たんとする。ユニヴァースの混迷を切り裂く希望の到来、ブロンズ、シルバーを越える正しき者達を我等は待った。そして、今此処にそれは成った。おまえ達の決断を、我等は待っていたのだ』

 

星の結託が叶わぬならば、真にギルガメスを討ち果たさんとする勢力の到来を待った。遥かな先であろうとも、磐石の治世を防波堤に待ち続けたのだ。そしてそれは、今果たされた。

 

『ギルガメスを討ち、この宇宙を救わんとする者達よ。ローマは、(ローマ)はおまえ達を愛し、共に歩むことを願う。我等の手を取り、ギルガメスを討ち、新なる安寧を共にもたらすのだ。豪華なる黄金の王よ、至尊なる白金の姫よ。──心より乞い願おう。おまえ達の助力を』

 

──やはり、ワタシが見えているのですね・・・!ローマ特異点でもそうでした!隔絶した圧倒的な格式、これが偉大に過ぎるローマ!あわわ・・・

 

光栄に頭を伏せるエアに、一同の視線を集めるゴージャス。この問答の答えに、宇宙の未来が掛けられていると言っても過言ではない。まさに世界総ての命運を左右する問いに──

 

「──貴様らの思惑、宇宙の未来。あくまでそれらは貴様らの物であり、行き先が何処であろうと結末がなんであろうと我等には関わり合いの無いことだ。本来ならばな。だが──」

 

「だ、だが?」

 

「──相も変わらず、貴様らの国の果実は美味だ。我モドキが作り上げたさもしき宇宙よりも、果実一個分の価値があると認めてやろう。そう、『リンゴ一個分』。貴様らの歴史と戦いは価値があると認めてやろう。──土産には、最適という事実もな」

 

その言葉は、徹頭徹尾自身らの観点を主としたものだった。ローマが墜ちれば、美味な土産が買えなくなる。この宇宙より一個分、価値あるリンゴが消え失せる。それは愉悦を求めるゴージャスとしては堪え難き損失だ。ならば、取るべきは一つ。

 

──ギル・・・!

 

《お前と駆け抜けた特異点の再演だ。そう難しい裁定でもあるまい。そうさな、次はアップルパイめをマリアと作るのはどうだ?あの血にまみれた舌、我等で叩き直してやろうではないか!》

 

──はいっ!

 

「故に喜べ!貴様らとの同盟、此処に結んでやろう!我等の叙事詩に参列する栄誉、ローマの歴史に黄金文字で刻むがいい!ゴージャス、リンゴ買いついでに宇宙を救う!となぁ!ふふふは!ふははははは!ふはははははははははは───!!!」

 

価値あるモノは迷わず手に取る。ゴージャスにとって、無銘が手にしたあのリンゴの味はそれほどまでに大きかった。美味であった。理由は、ただそれだけの話。

 

『──そうか。感謝する。我等がローマが、万象の王に価値を示したその事実を』

 

ロムルスもまた、その最小単位の至宝を見出だした姫を見据え、微笑み──

 

──共に参りましょう!皆で美味しいリンゴを食べる未来のために!

 

かつての無銘が研鑽を重ねた姿である姫はその期待を受け止め、自身の意志で未来に臨むのだった──




カエサル「実にめでたい!これは価千金の合流、同盟と言えよう!カリギュラ、歓喜の咆哮を上げるのだ!」

カリギュラ「ウォオォオミルゥウゥ!!キクゥウゥウ!!カツゥウゥウゥ!!!」

ネロ「よーくぞ申したー!!あれであろう?ローマ最高になっちゃったであろう?余の芸術に価値を見出だしちゃったのであろう?むしろ余が!そのリンゴであろーう!?」

ギル「黙れグロテスクの語源め!我等の前で歌ってみよ、即座に同盟は破棄するものと思え!!」

ネロ「そんなに!?ライブもだめなのか!?」

マーリン「ははははは、全力で辞退したいね!となると我々の拠点はこちらでいいのかな?」

ロムルス『うむ。ローマの地総てがお前達の憩いの広場で在らんことを』

エルキドゥ「となると、皆を呼んでも大丈夫そうだね。先行としてはいい戦果なんじゃないかな」

カエサル「神祖よ。彼等がいるならば計画を移せるのでは?」

『うむ。──お前達への願いは更にある』

ギル「む?なんだ改まってからに。愉快であるなら聞かんでもないが」

ロムルス『──我等では阻まれ、辿り着けぬ場所がある。其処にある者。『眼』にあたる神の力が必要なのだ。──道はローマが創る。その善性で掴み取ってもらいたい』

──神祖、それは・・・?

『そう。──ZIPANGとも、ローマは手を取り合わんと考えている。その親善大使と、お前達にはなって欲しいのだ──』


~ZIPANG・宮殿


『き!!』

『き?』

『き、き・・・・・・───キターーーーー!!何が来たかは全く解りませんし根拠もありませんが!天啓が!キターーーーー!!!』

(ため息)

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