人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「・・・随分一心不乱に編むな、メディア」


「身体を!動かしてないと!不安で!仕方ない!のよ!」

「んん・・・それでこの出来栄えとは恐れ入る」




「わははははは!貴様随分慕われておるではないか!孤高なる王道にちょっぴり寂しさが湧いたか?」


『たわけ!貴様と同列に語るな!貴様らが絆で結ばれているならば、我と奴等は愉悦と忠節で成り立っている!息をするように異世界に旅立ち、部長たる我の醜態すら酒の肴にする自我と愉悦にまみれた部員どもを侮るなよ!』

「・・・どこに繋がっているんだ、このネットは・・・」

――いつも、大変お世話になっております。これからも、よろしくお願いいたします


タダには気を付けな!

「かぁー!いつでもどこでも身体を流せるなんて最高だ!こいつぁいい!意地でも生き延びてやろうって気になるもんさね!」

 

 

ホクホクと湯気を立ち上らせながらご満悦の様子のドレイク

 

 

「はい、姉御!バスタオル!」

 

 

「ありがとよ、リッカ!ん?なんだいマシュ。海は珍しいかい?」

 

 

「は・・・はい。陸地も見えない、一面の海は初めてですから・・・」

 

 

「そうかいそうかい。こいつはアンタたちの処女航海かい。じゃあ手取り足取り、丁寧に教えてやらないとねぇ?」

 

 

「素敵!姉御!抱いて!」

 

「先輩!?」

 

 

「ホントにノリがいいねぇ!ますます気に入ったよ!」

 

 

「姉御ォ~。いたいけな少女を姉御風味にすんの止めましょうぜ~。釣り合う男がいなくなっちまう」

 

「あぁ!?ボンベてめぇソイツはアタシを貰う相手がいないってことかい!?」

 

「自覚あるんすか姉御ォ!」

 

「よーし歌うよ!『黄金の鹿号』歌斉唱!それとワニとサメを探しな!一人食わせてやるさね!」

 

「すいやせん!マジすいやせん姉御ォ!」

 

 

「エモノをかっさらえー♪ほらほらマシュも!」

「え、エールをかっくらえー・・・」

 

「いいねぇ、いい!アタシ似の子と初々しい子・・・あの総督、とんでもないもん持ってんじゃないか!」

 

 

甲板で和気藹々とする一方、こちらは果てなき海を眺めていた

 

 

「なるほど、確かに陸地らしきモノは見当たらぬ。陸地無き海・・・たしかにここは特異点であろうな」

 

千里眼で世界を見通す。といっても地理的な観点しか読み取れるものはないのだが

 

ぽつぽつと点在する島を除き、ただただ広い海が広がるのみの、青い世界

 

 

――言うなれば、果てのない海、だろうか

 

 

「さて、この味気ない景観に、我を昂らせる財がどれ程待ち受けているのやら・・・期待して廻るとするか。・・・む?」

 

 

――遥か彼方、水平線ギリギリの距離に、小さな点が見える。瞳がそれを映す

 

――アレは、島か?

 

 

「早速当たりか。開拓者!東北東の方角に寂れた小島があるぞ!方針を定めよ!」

 

 

直ぐ様船長に連絡する。方針を定めるのはマスター、船長の仕事だ

 

「マジかい?まだ全然見えてないけど・・・」

 

「い、いやマジですぜ!望遠鏡ギリギリまでやったら見えました!島がありやす!」

 

「マジかい!?望遠鏡よりいい眼とかたまげたねぇ!アタシが決めちまっていいのかい!?雇い主として口出しは!?」

 

「せぬ!思うままに進み思うままに蹂躙するがいい!我はそれを愉しむのみだ!」

 

「金をドバドバ渡して、うるさく口出しもしないときた!ますますもって最高だねぇ!よォし野郎共!島に向かって舵をとるよ!!」

 

「「「「「がってん承知ぃ!」」」」」

 

 

「ドレイク船長、島には恐らく大砲を受けても動じぬ超人がいます。上陸するのは先輩と私と船長、そして英雄王だけが望ましいかと」

 

「聞いたかい!新しい参謀の意見だ!文句はないね!?」

 

 

「「「「「マシュちゃんかわいー!!」」」」」

 

「えっ、えぇえ・・・?あ、ありがとうございます・・・」

 

「私はどう?可愛い!?」

 

「「「「「姉御みたーい!」」」」」

 

「しゃあっ!!」

 

「なんだい、アタシに似てるっていわれて嬉しいのかい?嬉しいねぇこいつぅ!」

 

「むぐふっ!?」

 

「フォウ!(鍛え抜かれた身体、引き締まったボディ。無駄など許さないボディラインにあえて脂肪を残すという真理の英断。僕は敬意を表する。そう、脂肪という無駄を筋肉にて引き締める質実剛健な海賊ボディは硬く、逞しくそして柔らかい。そう、ボクは見たのさ矛盾の答えを!筋肉やわらかおっぱいは――イイ!個人的に女海賊なんて最高だ!ロマンじゃないけどロマンじゃないか!)」

 

「よしよし!上陸はアタシ達でやる!アンタらは船を守りな!」

 

 

「「「「了解です!」」」」

 

 

「さて、鬼が出るか蛇が出るか・・・見物だな?」

 

――潮風、気持ちいいなぁ・・・

 

慌ただしく、『黄金の鹿号』は進み、やがて一つの小島にたどり着いたのだった

 

 

 

 

 

接岸、そして上陸。三人の女性と一人の王が新天地を踏みしめる

 

 

「さぁて、じゃあ早速賭けるとしようか。リッカ、マシュ。総督は一先ず置いといて、アンタらはどっちに賭ける?」

 

開口一番、賭けを持ち出すドレイク

 

「どちらに、とは?」

 

 

「財宝があるかないかにきまってるだろ?アタシはもちろん賭けるよ!財宝の臭いがするのさ!」

 

――匂うんだ、財宝って

 

 

 

「よい判断だ。我が参加しては賭けになるまい。我が選びとるは即ち真理。英雄格付けの頂点に立つのは明らかであるからな!」

 

「だからアンタは置いといたのさ。この子ら絶対アンタが選ぶヤツにかけちまうからね絶対」

 

「そう、ですね・・・では、私もロマンを信じます」

 

『マシュ・・・!』

 

「貴様ではない」

 

「私は私の勝ちに賭ける!」

 

 

「ハハッ、参ったねぇ!皆同じじゃ賭けが成り立たない!こりゃあアタシの負けかな?ほしいもんはあるかい?」

 

――ほしいもの、か。・・・思い付かない

 

 

・・・こうして、新しい生を謳歌できる事以外に、高望みすることなんて無いのだから

 

生きているだけで、満たされている・・・というのは大袈裟かもしれないけれど

 

 

「私は特になーし!今が一番たのしー!たーのしー!」

 

「はい、私も。強いていうなら、こうして力を貸していただけるだけで充分です」

 

――ちょっぴり思い上がった所感だが、マスターたちも予測通りの答えだった

 

 

「フハハハハハハ!我の財の強欲ぶりを甘くみたな開拓者よ!」

 

――強欲?

 

「っかー!参ったね!ただでイイとは滅茶苦茶高くつくじゃないか!こりゃあ大損だ!しくじっちまったねぇ!」

 

心底おかしそうに笑うドレイク船長

 

・・・なにも要らない、といったのに強欲なのか?どんな理由なのだろう

 

「え、あの。私達は、なにもいらないと・・・」

 

 

「そうだよ?アンタたちは欲しいもんがないといった。アタシは商人だからね、顧客を満足させなきゃ三流の烙印を押されちまう。そいつは勘弁願いたいのさ。だからアタシはなんとしてでもアンタたちが欲しがるようなモンを見つけなきゃいけない。香辛料か?海の秘宝か?価千金の何かかい?アタシはそれを求めなきゃならない。そら、滅茶苦茶高くつくだろう?」

 

「マスター、マシュも脳に焼き付けておけ。この世において、無欲(タダ)より高いものは無いということをな!買えぬのだ、当然であろう?フハハハハハハ!」

 

――タダより高いものは無い。それが、王と開拓者の認識・・・

 

 

「ほへぇ・・・無料ティッシュ配布とか気を付けよ」

 

『カエサルの強引な取り立てには気を付けてね。一つ渡して催促状も無しに太った所を取り立てる、悪いやつだ。僕はそんな悪いことはしないよ?』

 

『ダビデ王黙って!お願い!』

 

『金融術もアビシャグに教えていいかな、英雄王。きっと役に立つよ?』

 

「許す。負債は我が肩代わりしてやろう。何事も挑め、オルガマリー」

 

『は、はい!』

 

 

「よぅし!じゃあ――探検といくか!」

 

銃を放ち、銃声が轟く

 

 

「フォウ!?(ふわぁ!?びっくりした!)」

 

「せ、船長!?」

 

「いやぁ、気配がしたからねぇ。危機を感じたら銃で追っ払う。生き残る秘訣だよ?」

 

「へぇー!そうなんだ・・・ギルもやるの?」

 

 

「やるか?大地を抉るぞ?」

 

 

「だ、だめです!」

 

「仕留めたかな?ちょっと見てくるよ」

 

 

「気を付けてね姉御!」

 

 

「・・・おーい!こっち来なよー!」

 

 

「何かを嗅ぎ付けたか。行くぞマスター、マシュ!」

 

 

「黄金、たべもの、男に女ぁ!」

 

「先輩!?」

 

 

 

一同はドレイクに続き、森に入っていくのだった

 

 

 

「なんだ、石板ではないか」

 

ドレイクが見つけたのは、文字が刻まれた石板であった

 

「ルーンか・・・戌。読むがよい」

 

 

『へいへい。・・・あー、こりゃ記念碑的なアレじゃねぇか?』

 

 

「記念碑?」

 

『偉大なる血斧王、此処に蘇る・・・だとさ。血斧王ってぇと・・・』

 

 

クー・フーリンが答えを言うより先に・・・――

 

『サーヴァント反応だ!凄い勢いで向かってくるぞ!!』

 

 

そのサーヴァントは現れたのだ。角を生やし、右手には不気味に躍動する斧

 

 

「ワガッ、ワガナハッ、エイリーク!イダイナル、エイリーク!」

 

 

『エイリーク・ブラッドアクス!9世紀ノルウェーに君臨した王であり、血にまみれたヴァイキングよ!』

 

 

「フン。王を名乗るには品性が足らぬ。高々数年君臨するが関の山であったろうよ」

 

 

――見るからに話の通じない輩だ。ここは・・・

 

 

 

「ギル!姉御!ここは――私達に任せて!」

 

――なんと・・・――

 

 

「ほう?勝算はあるのか、マスター?」

 

「勝ち取る!!」

 

「先輩――!」

 

「こんなサーヴァントがいるってことは、住処とか船とかに宝物が絶対あるよ!ギル、船長!こいつは私達が引き受けるから、思う存分奪っちゃえ!」

 

 

――そう言うことか

 

 

成る程・・・考えるまでもない。学び、成長しているのは、自分だけではないということだ!

 

「フッ、逞しくなったものよ。良かろう!」

 

「いいねいいね!惚れ直しちまうよ!ああっ、もう!アタシが先にみつけてればねぇ!」

 

 

「マスター、マシュ!貴様等を信じここは任せる!我等の帰還まで持ちこたえるのだぞ!」

 

 

「オッケー!――ギル」

 

「ん?」

 

 

「持ちこたえるのは大丈夫だけど――別に、やっつけちゃっても構わないでしょ?」

 

――マスター・・・!

 

「――許す!あわよくば首級を取るがよい!」

 

「頼んだよ、二人とも!でっかいお宝、とってきてやるからね!」

 

エイリークの脇をすり抜け、駆け出す

 

 

「マテ――ガ!?」

 

エイリークの追撃を、マシュが阻む

 

「あなたの相手は私です――行きます、先輩!」

 

 

「うん!思いきりやっちゃおう!」

 

――無事で!

 




「なんだいアンタ、泣いてるのかい?」


「いや――香辛料かジャンヌめの麻婆が効いたのだ、間違いない。そうに違いあるまい」

――愛娘の成長を喜ぶ心境ですね、王よ



「ガフッ――――!?」

「エミヤさん!?まさか皆様から取り寄せられた調味料の取り扱いを――!?」

「⬛⬛⬛⬛⬛⬛(問題ない。11回までなら)」

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