人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
マリー【本当にありがとう、皆様。フランスは確かに協力を・・・ギルガメスに至る扉、王家の門をあなたたちに開くことを誓います】
ギル「ん?王家の門?」
【ギルガメスの宙域に至る唯一の扉、フランスに有された資格の一つ・・・あら?それが目当てではなかったの?】
「いや、そうさな。単純に茶を飲み、闇を晴らしに来ただけであったな。眼中に無いと言えばそうなろうな!ふはははははは!!」
マギ☆マリ「無欲が真に価値あるものを手にする。素晴らしい話だね!じゃあ私はここで、ちょっとやることがあるからね!」
──やること?
「そうそう。暫しのお別れを惜しみ、そして再会を願ってほしいな。じゃあ、またね!プリンセス♪」
フォウ(あ、待て──!!)
ネロ『聴こえるかゴージャス!ミーティングだ、ミーティングを始めるぞ!こちらに戻ってこーい!』
ヒロインX『いつまでお茶してるんですかもー!帰ってきてくださーい!』
「マリー、では顔見せがてら通信を繋げ。協力の意を示してもらおう」
【勿論、ではまた後で。御機嫌よう?】
「常に御機嫌よ!ふはははははは!!」
──何処へ赴いたのでしょうか・・・
『時は来た。フランスの助力を勝ち取りし楽園のローマ達よ。次に赴くべき地、それはZIPANG。我等の願いを届け、ギルガメスへと至るのだ』
フランス攻略の報を聞き届けた神祖ロムルスが、号令を届ける。王宮に集いし楽園の面子に、残る神秘の星、ZIPANGを攻略する合図を下したのだ。いよいよ不可侵の存在であるZIPANG地域への遠征・・・ブリーフィングの時間である。
「いつの間に攻略していたんですかギル!?また抜け駆けですか!?」
「ははは、仕方あるまい。赴くついでに攻略出来る案件だったのだ、余計な手間は省くに限るものであろうよ」
ちょっと散歩している間にフランスと協定を結び、大抵の問題を解決して合流を果たしたゴージャスに抗議するヒロインX。言葉通り、フランスをほぼ単独で攻略してきた王の凱旋。また置いてった事による憤慨とゴージャスの笑いが響く。必ずや成果を掴み帰ってくる王の手腕は今回も遺憾無く発揮されていたのだ。通信にて送られるマリーのメッセージが協力を約束している事からも偽りでない事を裏付けている。
【私達の所有する資材、並びに・・・ゴールド宙域の先、ギルガメスが座す宙域に至るゲートの使用権をお譲り致します。これで、扉と道は示された事になりますわ】
「扉と、道?どういう事だい、神祖ロムルス?」
ロムルスは頷き、ゴールド宙域の成り立ちを示す。ギルガメスに至る道筋へは、三種の星の攻略が不可欠であると言う事実が介在している事を。
『ギルガメスへの道。即ちそれはフランス、ZIPANG、ローマ・・・それらが有す資格が必要となる。
「眼?千里眼とは異なる眼・・・それがZIPANGには存在すると?」
『委細は読めぬ。しかし、必ず在るという確信がある。扉だけでは地域に至るのみ、道のみでは迷うのみ。所在を捉え、我等を導く『眼』こそが最後の鍵となるのだ』
ロムルスこそが道を示し、フランス・・・王妃達が守護する扉に向けて飛翔する。そしてZIPANGに存在する何者かの全てを見通す眼こそが、ギルガメスに至る道筋を保証する最後の存在。ゴールド宙域に設置された星々に、花嫁が走る道を用意していた。それを資格として。ギルガメスを討伐する為の手筈は、もうすぐ万端を目前としているのだ。
「流石だね、ギル。それを先んじて読んで出張していたのかな?」
「いや?単に茶会のついでに困難を片付けただけの話よ。ま、結果的に利に繋がったのならば文句はあるまい。ちと観光には荒れ果てていたからな!ふははは!」
──マギ☆マリさんはこちらに来ませんでしたね・・・やることがある、と言って・・・
(ろくな事じゃないよ絶対。エア、記憶の片隅に永遠に留めておこう)
過去の存在に早くもしてしまおうというフォウの提案にまぁまぁと宥めながら、かのマーリンのそっくりさんの行方を思うエア。協力を誓ってもらえた以上、また会える筈だが・・・
「ZIPANGの宙域への突入は段階を込めて行うよ。突入をアルゴノーツ組に任せ、かの不明瞭地帯へと一気に進む!神祖ロムルスの道を──不明瞭地帯へと突如現れた明瞭地点へと向けて一直線にね!」
鼻息荒いマーリンが言うには、ZIPANG宙域はあらゆる探知技術を無効化する神威が張られている。本来なら千里眼すらも弾き飛ばす程の絶対的堅牢を誇り、邪神の覗き見すらも通さない神秘の領域だが、つい先程ほんの一点だけ、観測が可能となった場所が在るというのだ。まず其処へ向け、一直線に進む。
「そこに至ったら私が宝具を使い、そこをアヴァロンとする。中継地点として中から辺りを見通すのさ。外から見るのと中から見るのでは見えてくるものが違う筈。其処から、千里眼でZIPANGを捉える!私なら、私だけがきっと出来るはずだとも!グランドキャスターたる私なら!ね!」
そこでマーリンが宝具で絶対安全圏を作り、もう一度ZIPANG宙域を見通す。そしてなんとしてもZIPANGの位置を把握し、辿り着くのが彼の提案した作戦。割と力業である。
──突然の観測可能地点・・・?
「おいおい!突入するのやっぱり俺らかよ!濃霧での航海とか、死ににいくようなもんじゃねぇか!まぁやるけどな!」
「あ、やってくれるんだね!?珍しいマーリンのやる気に満ちた策なんて胡散臭すぎる作戦に二つ返事だなんて!」
「まぁなんとかなんだろ!いや、ちょっと違うな。何とかしてやる!今の俺は最高に乗ってるからな!ロムルスとやら!きっちりナビゲーションしろよ!」
「イアソン!?すごく不敬だぞ貴様ー!せめて神祖と呼べぇーい!」
『うむ、約束しよう。我が威、進むべき道を拓かん』
「やる気ではないか夢魔よ、普段なら静観と観覧が主であるというにな。運動の一つもしたくなったか?」
「何を言っているのさ。私もいよいよ皆の頼れるお兄さんとして本領を発揮する決心をしただけの事だよ。皆の頑張る姿を!全身全霊で応援してみせようとも!花の魔術師の名に懸けて、ね!」
(死ぬ程胡散臭ぇ・・・どうせグランドクソ女に立ち位置を奪われない様にするための点数稼ぎだろ)
「皆、この花のお兄さんに任せてほしい!君達の道行きを信じ、君達の道行きを祝福するマーリンお兄さんをどうか推してもらえると嬉しいな!」
「ま、マーリンがこんなにもやる気を出すなんて!武者修行以来の道案内・・・皆さん、このマーリンは信頼できるマーリンです!きっと大丈夫ですよ!」
「そもそもマーリンがやる気だなんて記憶にありませんからね!存分に信頼し使い倒しましょう!」
「ありがとう!二人のアルトリアありがとう!さぁロマニ!全てを終わらせてマギ☆マリに会いに行こうじゃないか!そう!ギルとダブルピースしていたマギ☆マリにね!」
「ほっといて!?それに関してはほっといてくれないかい!?卒業したからって記憶が無くなる訳じゃないんだから!くそぅ、サインお願いしてシバにプレゼントしたかったなぁ・・・」
アルトリア達の会話の中、こっそりとヒロインXが耳打ちを行う。
(・・・ギル、どう思います?)
(マギ☆マリの話か?)
(違いますよ!マーリンのやる気の話です!あと、あなた達が会ったマギ☆マリの話です!親しげなダブルピースにも非常に言いたい事はありますが・・・)
(ああ、その事か。心配はあるまい。マーリンめは基本心から何かをする事はない。所詮夢魔だからな。ならばヤツが意気軒昂となる状況とはどういう事か。少し案ずれば解る事よ)
──マーリンさんが本気になるもの・・・
マーリンのスタンスは、人間の織り成す歴史を好むもの。そのマーリンが断固として拒否するもの・・・
──あっ。
それはきっと『特等席を奪われる事』。そして連鎖的に理解する。ZIPANGに突如現れた、観測可能な地点。
──マーリンさん達の駆け引きは・・・始まっているんですね・・・
待ち受けるからくりと仕組みにエアは至り、微笑ましげな苦笑いを浮かべるのであった──
エルキドゥ「じゃあ僕は鎖で命綱をやるからね。見失わないから安心してね?」
イアソン「おう、じゃあ早速準備するか!ZIPANGには何が待ってるのか、スキャンダルスッぱぬいてやろうぜ!」
マリー【どうかお気をつけて。ZIPANG攻略の果てにまた御逢いしましょう】
ロムルス『道を拓かん。進め!楽園のローマ達よ!』
マーリン「負けられない理由がある。珍しくやる気を出したお兄さんの力を見せてあげよう!」
《・・・。もしもの際に、アレの改造を急がせておくか・・・》