人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ロマン「あ、ありがとう・・・流石はエルキドゥ、皆が流される前に船体と全員を保護してくれるなんて」
ダ・ヴィンチちゃん「流石の手際の良さだ!人間には厳しいくらいの効率化だね!」
エルキドゥ「緊急時だったからね。皆は回収してある。それじゃあ、『目の前』の施設に錨を下ろそうか」
イアソン「じゃ、若干ケツが割れた・・・あん?正面?」
エルキドゥ「見える筈だよ?目の前に──」
ヒロインX「な!?」
XX「ふぁっ!?」
マーリン「あ、あれは・・・!?」
塔、花畑、隔離された小島。それを知るものは驚愕を示す。其処には、まさしく・・・
リリィ「・・・見たことが、あるような?いやでも、あるような・・・?」
神の試練も意味を成さぬその小島に、一行は脚を踏み入れる──
「ここは・・・」
天の鎖と、ローマの光に導かれ・・・図らずとも唯一観測されし場所へと辿り着いたイアソン一行達。全員の所在を確認し、状況の確認に勤しむ一同。・・・しかし、その光景と風景には覚えのあるものが存在する。それは、ブリテンに通ずる者達の記憶にあるもの。
「なんだぁ?花畑に青空に、寂れた塔しか無いじゃねーか。なんだここ?これもZIPANGの名物か?トウキョウナンタラツリーってやつの」
イアソンの言う通り、そこは知らぬ者が観れば奇怪な場所だろう。だが、そこは確かに理想郷であり、本来なら永遠に閉ざされているべき場所。
「そんなバカな・・・!ここはまさか、いや、そんな筈は・・・!」
「マーリン、此処はもしかして・・・」
枯れない花畑、爽やかな青空、本来其処に幽閉されているべきものがいない、静かなる理想郷。マーリンからしてみれば不在であることが異常事態な空間。しかし見知った、久遠の楽園。
「アヴァロン・・・!ここはアヴァロンだ・・・!バカな、こんなガバガバな筈は無い!こんな通行フリーだなんて偉いことになってしまうぞ!管理人、或いは咎人は何処へ行ってしまったんだ!?」
マーリン、珍しく動揺を露にする。罪無きもののみ通ることが可能で、アルトリアの人生を弄んだ事による罪悪感を抱いていたマーリンが幽閉される運びとなった四方の楽園、世界を見据える小さな小窓。本来ならこんな中継地点なノリで解放されてはいけない場所である。だが、其処には敵性反応の一切が感じられない。文字通り、絶対安全圏な事に変わりはないようだ。その設置の目的の不明瞭さ以外は、非常に安心できる地点ではあろう。
「マーリン、君がイタズラで先んじて設置したとかではないのかい?ボクらへのサプライズとかでさ」
「それならどっきり大成功のテロップの一つでも用意するとも!私としても驚きの展開だ・・・キャプテン!少し探索をしてみたいんだがどうかな!?」
「あー好きにしろ好きにしろ。スペースシップの調整しなきゃなんないからな。自由時間だ自由時間!探索したけりゃ勝手にしろ!必ず此処に戻ってこい!解散!!」
イアソンの指示で、此処を中継地点と定め探索を行う事とする一行。誰もいない空虚な理想郷の顕現に、一行は思い思いの所感を懐く。
「ヴァルハラに似ていますね、雰囲気も在り方も。・・・もてなす用具があまりにも少ないですが」
「こんな所に何万年も!?うわぁ、気が滅入りそう・・・」
「へぇ~。イシュタルを代わりにして脱出でもしたのかな?」
「じゃあもう一人の私がいたりするのかしら・・・監獄にしてはちょっと御上品すぎる気がするけれど」
「だが、それほど広くはないようだ。中継地点としての拡張以上のスペースは無い・・・箱庭、といった雰囲気がある」
「塔とかいっすね・・・でも隠匿するならこんな場所だよなぁ・・・」
「冥界もこんな綺麗な場所にするのが、私の夢なのだわ。もっともっと・・・」
それぞれが向かう中、リリィはじっと塔を見つめている。其処に、彼女は何かを感じていた。自身を呼んでいるような、招いているような仄かな感覚。しかし、確かな感覚。
「あの塔が気になるのかい?リリィ」
マーリンの言葉に我に返り、はっとするリリィ。その問いに、漠然とした予感と共に頷く。
「なんだか、呼ばれている気がするんです。塔の、あそこの天窓に・・・」
「ふむ、そうか・・・ヒロインXはギルに近況報告を、XXはスペースシップの調整を行っている。君だけが呼び合っている事実に、きっと意味はあるんじゃないかな?」
行ってみるかい?そう提案するマーリンに頷くリリィ。もしここがマーリンの理想郷であるというならば、其処にきっと導かれるだけの何かがあるに筈だ。
「行きましょう、マーリン!私に、できることがあるのなら!」
頷くリリィに、マーリンも頷く。実際の所、マーリン自身にも非常に興味深い疑問を晴らすための意味があった。
(十中八九彼女の差し金だろう。アヴァロンは絶対安全圏・・・楽園に貢献する点数稼ぎな事は読める。しかし何故姿を見せないのだろう?私なら御礼と感謝を嵐のように期待して現れるというのに・・・わざわざ呼び出すなんてロマンチストな手練手管、女性の私のお手並み拝見といこう!)
「マーリン?」
「リリィ、油断しないように・・・大丈夫、私を信じなさい・・・」
マーリンが・・・頼もしい!?割と失礼な驚きと共に、リリィ達は塔へと登る・・・
~
階段
「はぁ、はぁ、徒歩は辛いなぁ・・・この塔にエレベーターとか無いのかい?」
「いい鍛練になりますよマーリン!ほら、ダッシュダッシュ!」
「ははは、リリィは元気だなぁ!・・・でも改めて住みにくいなぁこの理想郷!?」
~
「マーリン!アレを!これは・・・!」
無人の塔へと至ったリリィ、マーリン。其処に待ち受けていたのは・・・
「これは・・・聖剣達かな?風化しているね・・・錆も酷い。杜撰な管理だ、こんなものをどうして?」
巨大な剣、数本セットの剣。それらが朽ち果てた姿で、朽ち果てていながらも輝きを放つ姿で安置されている。聖剣と思わしきその前に、ふわりと浮かぶ書物が眼を引く。
「!マーリン、これを!」
リリィの指摘にマーリンは目を見開く。其処に記されていたもの、それは──リリィに向けられたもの。イラスト付きのメモと、彼女へのメッセージ。
「・・・・・・読んでみるかい?」
リリィに問い、彼女は頷く。これはきっと、リリィが聴くべきもの。
「・・・此処に至る君へ、私なりのプレゼントを残したいと思う。君の姿を一目見れないのは残念でならないが、せめてもの手助けとして受け取ってほしい」
「マーリン・・・」
~
『君が此処に辿り着くとき、私は最早力尽きているだろう。ギルガメスの暴虐に、我々・・・私は為す術も無かった。不甲斐ない私を、どうか許してほしい。君という、楽園という希望に出逢えず果てるのは非常に無念だけれど(涙するマーリンの絵)』
『でも、私は君達を・・・一生懸命な君を応援している。世界が変わっても、宇宙が違っても、君は私が見出だし輝くアルトリアな事に変わりはないからね(泣き止むマーリンの絵)』
『出逢うことはできないけれど、いつも君は頑張っているんだろう?そんな君を、私はいつも応援している。私はもう君の傍にはいられないけれど、君の力になれるように力を託しておくよ。平和を、勝利を願う君にならきっと使いこなせる筈さ。持っていってほしい』
『・・・本当は君と一緒に旅をしたかったんだけれどね。私もアヴァロンを護る為に必死で、そしてそれも限界みたいだ。グランドキャスターとして不甲斐ないけれど、君なら、君達なら必ずギルガメスに勝てると信じているよ(応援するマーリンの絵)』
『そこのアヴァロンは、君のために解放しておく。どうか旅路の助けにしておくれ。かけがえの無い君の、花の旅路の助けにね』
『君の道行きを信じているよ。君の為なら、無限の苦痛も、永久の幽閉だって怖くないさ。どうか、無上の祝福があらんことを!』
『・・・でも、本当は・・・本当はね?』
『・・・一生懸命頑張る君を一目でいいから、見たかったなぁ・・・(泣きマーリン)』
~
「ま、マーリン・・・!マーリン・・・!」
メモを抱きしめ、泣き崩れるリリィ。女性ならではの細かい感情的に綴られた──末期の遺言を受け止め、まだ見ぬマーリンのエールに・・・姫騎士は嗚咽を漏らすのだった──。
リリィ「マーリン・・・どうか見ていてください・・・あなたの想いと一緒に、私は戦います!どうか見ていてください!マーリン!!」
マーリン「・・・・・・・・・・・・」
(千里眼!!《⚫》《⚫》)
~
マギ☆マリ『ん~♪カレーおいしーぃ♪リリィ、メモ読んでくれたかなぁ~。私の聖剣コレクション、気に入ってくれるかなぁ~♪』
ハジュン【合流はしないのか?】
『希望を託して果てた感じでやったからね!死して心を掴む・・・これが女性マーリンタクティクスさ♪』
~
リリィ「見ていてください、マーリン・・・!私は、必ずギルガメスをやっつけます!」
マーリン「────」
(くそっ!!やられた!!(夜神顔))
女性マーリンにメンタルシェアを根こそぎ奪われ、決意を燃やすリリィの側で心中絶叫するマーリンでしたとさ──