マーリン(猿轡)「ム?」
ヒロインX「ふんっ!」
「ムグゥ!」
タケル「母よ、着替えよ」
イザナミ『あぁはいはいはいはい着替えます!ちょっと待っていてください!着替えます!着替えますからねぇ!タケちゃんお茶を!お茶ぁ!』
タケル「・・・暫し待っていてくれ」
ポルクス「ふふっ。愉快で可愛らしい方ですね」
カストロ「神の威厳の欠片も無い輩だな」
イアソン「いやー、楽園のおばばもあんなんだぞ。あれが癖になるっての?たまに愚痴聞いてもらうしな」
ロマン「解る解る!ボクも夫婦円満の秘訣とかよく聞くよ!」
シグルド「いや、あの賑やかさは本領ではない。あの喧騒の下に・・・大神にも劣らぬ叡知を感じる」
ブリュンヒルデ「私も同じです。・・・もしかして、あれは他者を煙に巻く為の」
イザナミ(半裸)『たけちゃあぁあぁあぁん羽衣どこぉおぉおぉ!?』
タケル「祭壇のハンガーにかかっているだろう。落ち着くがいい」
ブリュンヒルデ「なんでもないです・・・」
ワルキューレ「お父様への!」「熱い・・・」「風評被害ですね。訴えられます」
エレ署長『皆に署長になったわって言ったら帰ってきてくれるかしら・・・』
エルキドゥ「大丈夫、自信を持って?君なら大丈夫。君についていかない人は僕が渡すから。引導」
署長『イシュタル!楽園側のエルキドゥ怖いのだわ!?』
イシュタル「シームレスに穏やかさと冷徹さ行き来するのやめなさいよ・・・」
エルキドゥ「怖がられた・・・シュン」
ヒロインXX「ナイア、ZIPANGは黄金でできた都市があるんですよ?知ってました?」
ナイア「なんと。お手洗いも黄金ですか・・・?畏れ多いですね・・・」
~しばらくお待ちください~
『ようこそ招かれたもう・・・比類なき勇者達。素晴らしくも強く、そして賑やかな者ら・・・いらっしゃいまし・・・回復した?威厳回復したもう?』
「全く」
にぇええぇえぇえ!!と崩れ落ちるイザナミ。一生懸命取り繕って真面目モードで邂逅やり直しを図ってみるものの、タケちゃんにバッサリ行かれる我等がお婆ちゃん。健康促進のジョギング帰りの着流しジャージを慌てて脱ぎ捨て天女の羽衣を纏いもう一回現れたが時既に遅し。砕け散った威厳の欠片を集めても割れる前に戻ったりはしないのである。
『なんて、なんてあなやなタイミングで来たもうや楽園の皆様・・・!本来ならぶろんず、しるばぁ、そんでもってこのごーるど場所(相撲並感)に来てくださった皆様を、せめて
「日本のヘスティアだよな、コイツ」
「イアソン!無礼じゃないかな!?」
「あの・・・自然体でいいのだと思うのだわ。なれない威厳を出そうとしても空回るのはあるあるだし・・・あなたは自然体が一番望まれている筈なのだわ」
『あなやはぁ~!?なんてっ、なんていい子達っ!?流石はこの宇宙の勇者!救いの英雄!ババ感激したもーぅ!ささ、飴をどぞどぞタケちゃんもありがとうねぇ。はい、皆手を出したもうや~』
秘宝を託すような神々しさで、皆に飴ちゃんを渡していくイザナミ女神。後光が差しながら配られる高天ヶ原銘菓の飴を受け取りながら、所感が漏れる一行。
(大晦日の歌唱番組にあんなのいなかったか?)
(イアソン!)
(フランクな神様というのはやっぱり面白いよねぇ。日本西部のおばちゃんの素敵な演劇と間違えてしまいそうだ!)
(マーリン!・・・いえ、それよりも今、イザナミ様は気になる事を言っていた様な・・・)
そう、ブロンズから始まる旅路を知り、見てきたかのような物言いを先程彼女は行っていた。鎖国により、外界から遮断されていた筈のお婆ちゃんが何故?訪ねてみた一同は、イザナミが隔離された本当の意味を理解することになる。
『あ、さっきまではぼんやりと把握していた程度なのですが今顔を合わせて天啓と一緒に理解致しましたのですよ。金ぴかさんを凝らしめるために皆様が別世界の宇宙からやってきて、ブロンズからゴールドまでの宇宙を旅して仲間を増やして、旧宇宙の領域からの介入にも負けずにこちらに来てくださった事!そしてフランス、ローマさんを攻略してZIPANGにやってきてくれた事!金ぴかさんの座標を知るためにやってきてくれた事とか、もろもろ!』
「・・・情報遮断されていたんじゃないんですか!?」
説明するまでもなく、近況の大抵をなんとなく把握していたイザナミお婆ちゃん。本当に重要かつネタバレには自主的なチョメチョメの禁呪が働き聞こえなかったが、彼女はほぼ総てを把握し、知っていたのである。
「・・・これが我等が母だ。我等が研鑽と苦難を重ね至る回答を、瞬時に把握してしまう。それだけならまだ良い。良いのだが・・・」
『あはは・・・お婆ちゃんは心配性で世話焼きだから、皆の成長や進歩を奪っちゃうくらいでしゃばりがちなのでして。それは良くないとタケちゃんに言われて、子供達の活躍を奪わないように自粛しているのです。いつも・・・』
「そ、それじゃあもしかして・・・!」
「・・・鎖国の意図も、子らの思惑も総て知って、それに従っていたのですか?総てを見抜き、理解していても尚、私達を信じて・・・」
照れくさそうに頷くイザナミ。彼女は最初から総て理解していたのだ。他者の頑張りを、冒険を、成長を奪ってしまう自身の神としての聡明さを。そしてそれでも、子の力になりたいと願う自身の我が儘を汲んでくれたZIPANGの神々の気配りを。本当はZIPANGが真っ先に同盟を組んであげたいと思いながら、総てを理解しながらもそれを伏せていた事も。なんでもやってしまっては、子らの成長は有り得ない。子離れを意識しながら、自身をZIPANGに幽閉していたのだ。子供達の優しい庭に。いつか、この宇宙を変革する者が来ることを信じて。
「母よ、苦しい思いをさせたな。今こそ、その本領と威光をこの勇者達に」
『はい!アマや、つっきー、スサノオの試練を乗り越えた皆様ならば!我等ZIPANGの力を貸すに異論無し!共に戦いましょう!このイザナミ、お願いしちゃいます!』
同盟を提案してくれる最高神たる女神。元々ZIPANGに来た瞬間からなんとなく天啓が降りてきた事と、こうして一目見た事により大体解り、子供たちの許可を信じスムーズに話を進めてくれるイザナミに、一同はあっけに取られる。しかし、イザナミの抑圧された世話焼き力はこの程度では収まらなかった。
『おやや?それは夢魔さんが託していた聖剣コレクションですか?錆び付いてボロボロですねぇ・・・ほい!ちょちょい!』
「えっ?あ、ぁ・・・!?」
イザナミがその神威でリリィの錆び付いた聖剣に触れた瞬間、溢れんばかりの神気で浄化、御祓が為され聖剣達が真の姿を現す。巨大極まる剣、マルミアドワーズ、翡翠の剣達、カルンウェナン。その他にも、シャスティフォル、セクエンス、スピュメイダー・・・本来アルトリアが所持していた数多の聖剣達が、創造の女神の手によりその真価を取り戻したのだ。隔絶した神としての位は、あらゆる不条理を巻き起こす。
『フランス、ローマさんには思念を飛ばしておきました!ZIPANG、動きます!完全協力で頑張って参りましょ!金ぴかさんの花嫁探しは応援したいですが、皆が死に絶える未来は認めるわけにはいきません!断じて否ですからね!よろしいですか皆さん!』
「あははっ、話が早くていいね。こういう愉快で素敵な神様ばかりだったら、ギルも神嫌いにはならなかったかな?どうだろう?」
『あ、えっとそうでしたそうでした!マン、マン・・・マッチョ光るのくん?』
「ま、マンドリカルドっす。・・・よね?俺っすか?」
『そうそうマンドリカルド君!君に渡しておいてほしいと頼まれた物がありまして!どうか最終決戦に使ってください!オジサン疲れちゃったから若いもんに任せるわ~、ですって!』
(オジサン?・・・でかい包・・・?なんかズッシリ重いぞこれ!?なんだこれ・・・!?)
『はいこちら、ZIPANGのフリーパスです!設備使い放題、ポイント貯めたらその、妾と1日添い寝権が・・・妾もキツイと思うけど・・・ゴニョニョ・・・まぁともかく!ZIPANGを拠点として御使いください!温泉とか入り放題ですよ!あ!侵略行為はどうか、何卒止めていただければ・・・!仲良しに、仲良しに是非!』
「母よ、先の巨大神格は如何にする」
『もちろん専用区画を用意してくだされば!お願いね、タケちゃん!よーし!これから最終決戦の皆様をとことんサポートしちゃいますからね!あ、銀河警察の皆様の慰安旅行先として契約締結をよろしいでしょうか?あ!すぐ出ますか!?なんでも使っちゃってくださいね!銀河警察の皆様には、エレシュキちゃんが新体制を構築していると伝えます!きっと皆様帰ってきてくださいますよ!よーっし!張り切って参りましょー!』
やる気を出したイザナミ、八百万の誰よりも聡明かつ献身的。求められていた働きを総てこなしていくその手際に、流石の楽園一行も呆然とするばかりであったとさ──
ヒロインX「・・・はっ!?ぼけっとしている場合じゃないですよ!?ギルガメス、ギルガメスに辿り着く為の眼が必要なんですよ私達は!行きたくないですが!」
ロマン「そ、そうだった!日本すごいなぁって感心しきりじゃダメだったね!でもこれ以上求めちゃうのかぁ・・・」
マーリン「何を言うんだ!夢魔と神に人権は無いんだぞぅ!?私とイザナミさんに変わりは何も無いはずだ!」
ヒロインXX「これ以上ブリテンの品格を落とすのは止めていただきませんか!?」
ナイア「しかし眼とは・・・?抉り取れるものでしょうか?」
ニャル(通信)【狩人思考止めろww】
ラクシュミー「秘宝の類い、であるのか?ギルガメスの座標を見抜く為に必要な・・・」
イザナミ『さっきは切られちゃいましたが、もう一回ギルガメスさんの宙域に連絡してみましょう!お見合いから、お見合いから始めませんかと!』
イシュタル「ギルガメスにイタ電してたこの神ーー!?」
エルキドゥ(大爆笑)
タケル「理解してもらえたようだな。我等が母を隔離していた訳が」
一歩不敬を買えば滅ぼされる相手に、躊躇いなく話しかける危うさ。そして、宇宙総てを見渡し理解する叡知。ゴージャスとはまた違う意味で、物語に本来いてはならないもの。
──一行は『眼』を、座標を見抜くイザナミの協力を手にしたのだった──
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