人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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通信

プロテア「うぅ~・・・ん。うぅぅうぅう~・・・ん」

ニャル【悩んで悩んでー。どの怪獣の組み合わせがいいかなー?【君がなる】フュージョン怪獣は何になるかなぁ?】

「なーやーみーまーすー!あれでもないこれでもない!なりたい怪獣だらけですー!決められないかもです~!」

【候補は聞いたけど・・・】

『ウィンダム』『ミクラス』『アギラ』
『ピグモン』『ハネジロー』『ゴモラ』

【・・・ちょっと戦わせるのには気が引けるというか、可愛らしいというか・・・】

「仮面ライダーや、ウルトラマンばっかり活躍して怪獣好きの私にはモヤモヤでした!それがこの晴れ舞台!一杯悩んで決めちゃいますよー!あ、ニャルさんは何を使うつもりなんですか?」

【私はリクエストと部員の方がくれたメダルで、ナイアとエキドナには安全で強力なメダルで怪獣になってもらうつもりだよ。リストは・・・】

ニャル
【グリーザ】【ファイブキング】【ゾグ第二形態】

ナイア・エキドナ
【ハイパーゼットンイマーゴ】【完全生命体イフ】【マガオロチ】

プロテア「つよーい!!」

【今から集められるかが非常に怪しいが・・・トレギア君には頼んだからその内宅急便で来るだろうから待つ】



トレギア「あなたの頼みとあらば、喜んで。闇の邪神のあなたの力になれる事こそ、私の喜びです。光に這う、闇の貴方に・・・」

【あはははは(拗らせてんなぁ)】



【ベリアル様は多分・・・リク君かアジーカちゃんしか使えないだろうからね】

「どんな怪獣になるのかなぁ!ゆーごー!あいごー!」

【準備が出来るまで、銀河警察には頑張ってもらわなくちゃならん。死んでくれるなよ・・・皆】


温泉

マンドリカルド「・・・・・・」



イザナミ『ここにいますよきっと!呼びますか?』

「いえ、待ちます。エレちゃん達には待っててもらって・・・」



「・・・・・・・・・」

ガラ

「!──」

オジサン「~・・・あら?」




温泉にて

「おぉ、珍しいねぇ。このZIPANGの秘湯に若者がいると来たもんだ。ここの湯は効くんだよなぁ。すっごく世話になってるわけさオジサンも。御一緒しても構わないかな?」

 

「勿論っすよ。どうぞどうぞ。やっぱり温泉は皆でが一番っすからね」

 

温泉、サーヴァントにも効く祝福のたっぷり詰まったZIPANG自慢の温泉。ギルガメス攻略でてんやわんやの中、マンドリカルドはあえてゆっくりと温泉に浸かっていた。なんとなしに、そうした方がいいとの直感がぼんやりとあったのだ。そんな、一人旅行めいたマンドリカルドの湯治に声をかける、オジサンと自分を呼ぶ男性。

 

「オジサンも此処の常連でさぁ。やっぱ疲れを取るには風呂で一息付くのが一番だよなぁ。あー、やっぱ人間無茶して生きるといかんよね。腰とかもう大変なんだわ。若い頃みたいにいかないよなぁ・・・」

 

「そんなこと無いですって。まだまだお若いんですから頑張りましょう・・・っていうのは酷いよな。また頑張れるようにゆっくりしましょうって」

 

「「ふぅ~・・・」」

 

ツクヨミ区画の、夜の露天風呂。貸しきりにしてもらっているため二人しかいない男湯で、二人が同時に息を吐く。月明かりが静かに、若者と壮年の男を照らしている。言葉少なく、二人は湯に癒され続ける。そしてぽつりと、壮年が口を開いた。

 

「どうだい、ギルガメスには勝てそうかい?大一番だろ?見る限りさ」

 

鋭い観察眼で、的確に情報を読み取った話題を提言する男性。マンドリカルドはその問いに、偽らざる本音を口にする。

 

「・・・怖いっすね。負けるとは考えてないっすけど・・・俺がヘマして、足を引っ張って負けないか。それがただ心配で。怖いっす。負けられない戦いって、逃げられない戦いって言うのは・・・何度やっても慣れないもんす」

 

仲間達は、宇宙中から集められた精鋭。それどころか別の宇宙からやって来た問答無用の連中だっている。どん詰まりだった宇宙を、もうすぐ取り返せるところまで来ている。神話みたいな、作り話みたいな戦いを繰り返して此処まで来た。陰キャみたいな自分と友達になってくれた、女神みたいな(一人女神だけど)女友達もいてくれた。正直言って、今が自分のサーヴァント人生で一番充実している時間だと思っている。

 

「・・・とある人から貰ったものがあるんですけど。それが俺の思っているもんだとするなら・・・ますます光栄さとプレッシャーでヤバイっていうか・・・俺が台無しにしないか、心配で、不安で・・・」

 

勇気を奮い、全霊を尽くすつもりではいる。皆に恥じない自分を出そうと決心している。貰った包みにも、見当はついている。だが、自分はそれでも悩み、不安に感じているとマンドリカルドは吐露する。負けられない戦いというのは、大切なものがあればあるほど重みが増す。

 

「エレちゃんや、ラクシュミーさん、友達の皆に無様な自分を見せたくないな、って思うと・・・やっぱ、震えちゃうっすね。脚とか、手とかが。すっげぇ緊張してて・・・しんどいっす」

 

「ふーん。まぁそうだよなぁ。英雄ってそうなんだよなぁ。多かれ少なかれ、歩く度に背負うもんが増えていく。イヤとも言えないし、下ろせないしなぁ。護るべきもんが増えてって大変だよなぁ・・・どれもこれも、一つだって取り零せないもんなぁ」

 

マンドリカルドの悩みを軽く、しかし茶化さずため息と共に同意を示すオジサン。──彼もまた、宇宙に巻き起こったセイバーウォーズにて大切なものを護るために奮闘した男だ。銀河警察からギリシャに直行し、野蛮な輩から大切なものを、逃げ回りながら護り続けた。死にかけていたところを、たまたま迷い込んだZIPANGの神々に回収された死に損ないと自分を称するが、その言葉は重い。

 

「だけどな。英雄は負ける訳にはいかないのも本当だよな。英雄が負けたら、護るもんが・・・背中にあるもんが哀しんじまうし、希望が絶望に変わっちまうもんな。解るぜ、若者」

 

「・・・はい。流石にみっともないんで・・・仲間には言ってないんですがね・・・」

 

マンドリカルドは紡ぐ。目の前にいるオジサンに、偽らざる本音を。そしてオジサンもまた、静かにその意思を受け止め、真摯に言葉を返す。

 

「それでいいんだよ。戦いなんて怖くて面倒で当たり前なんだから。ギリシャの英雄は血の気多いけど、一緒にされたくないのよホント。でもさ、負けられない戦いで負ける英雄なんていないのよ。なんでか解る?」

 

「・・・なんでですか?」

 

「そういうのには大抵、頼もしい仲間や相棒ってのがついてるもんだからかね。お前さんが向かい合ってる戦いが正しくて、負けられないもんなら、きっと同じ思いで挑もうとしている奴等がいる筈だよ。どう?お前さんにはいるかい?そういう・・・かけがえの無い仲間ってやつ?やー、恥ずかしいわ今オジサン恥ずかしい話してるわー」

 

オジサンの問いに、マンドリカルドは思い返す。楽園カルデアの皆に、自分と友達になってくれた女の子二人。行きつけの、毎日笑顔でカレーを振る舞ってくれる店長。その人達との絆は、短いけどきっと嘘じゃない。頷き返すマンドリカルド。

 

「・・・いるっす。大切な人達。護りたい人達はいるっす。今も・・・夢じゃない。自分なりに頑張った旅路で、一緒に歩む皆が」

 

「だろ?じゃあその人らと一緒に頑張ればいいのさ。一人でしんどかったなら背中を任せりゃいいし、逃げたくなったらちょっと任せて休めばいい。そんでまた、ちょっと勇気を出して挑めばいい。仲間ってのは、負けられない戦いを負けなくしてくれる最高の武器で城壁なのさ。これ心構えの問題よ?例え話。だから──」

 

だから、カッコ悪くても逃げてもいい。だけど、その度に思い出せばいい。何を背負い、誰が傍にいて、どんな未来が欲しいのか。それを考えて横を見れば、きっと皆がいてくれる筈だとオジサンは背中を押す。本当の意味で孤独なんて事は有り得ない。きっと、お前は大丈夫だ。だからこそ──

 

「だからこそ、お前さんに期待している誰かがいるなら託しちゃうんだと思うね。希望とか、色々諸々をね?嬉しいもんだよ?自分の後に続く頼れる後輩がいるっていうのはさ。凄く助かる。楽できるしなー。はー、オジサンは隠居だ隠居。ブラック企業とも戦三昧からもさー。ZIPANG最高ですわー」

 

「エレ署長が改革して、ヘスティア神が主導になるから変わるっすよ。銀河警察もギリシャも」

 

「本当?そっか・・・ならオジサン、頑張っちゃおうかな?ほら、無理しない程度にね?楽は出来るならしたいタイプだからさ」

 

「俺もっす。・・・その、オジサン」

 

「ん?」

 

「また、愚痴とか・・・聞いてもらっていいっすか?また絶対、会いに来ますから。今度は絶対、色々ご馳走させてください。絶対」

 

「・・・期待してるよぉ?ZIPANGは食べ物が旨くてさぁ。食べ歩きとか絶対やりたいわけよオジサンは。だから宇宙が滅びたら困るのよ。がんばってくれなきゃなぁ?」

 

オジサンとマンドリカルドは笑い合い、約束を交わす。初めて会ったにも関わらず、まるで長年の師弟のように砕けた笑顔を交わし、マンドリカルドの表情が引き締まる。

 

「・・・上がるっす。すっごい気持ちが楽になりました。本当に、本当にありがとうございます」

 

「そりゃ良かったよ。じゃ、程々に頑張りな~」

 

そんな軽い挨拶を交わし、去っていくマンドリカルド。その表情に迷いはない。決意に満ちたタオル一の後ろ姿を、オジサンは静かに見送り──




マンドリカルド「──行ってきます。ヘクトールさん」

ヘクトール「頑張れよ。マンドリカルド。──後輩」



エレちゃん「あ、お帰りなさい!」

ラクシュミー「会えたか?」

「うっす!──もう大丈夫っす!行きましょう!」

「「「ツクヨミさんの所へ!!」」」

託されたもの、託された言葉を胸に。マンドリカルドは悩みを振り切る──

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