人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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スペースイシュタル「な、なんでこんな所に!?というか、私死んだの!?」

ダンサー『死んではおりませぬ。私はあなたの指南役。じぇだい的なふぉーすの導きとお考えを』

「真面目に横文字使うの止めてもらっていいかしら・・・」

『あなたに伝え損ねた極意、託しに参った。ここが関ヶ原、存分に役立てられよ、よろしいか、スペース新陰流の極意とは──』



マンドリカルド「はっ・・・!?」

ツクヨミ【あ、良かった・・・起きた・・・】

「ツクヨミ様!?お、オレ・・・」

【言ったでしょ、加護があります・・・ないよりましって・・・ま、まだ頑張ってほしい。えっと、だから、今から・・・】

「ツクヨミ様・・・?」

【元気の出る、おまじない・・・やります・・・】


婚活の終わりに

「走馬灯とは窮地に陥った輩が、今までの人生の経験から活路を見出だすために見る悪あがきだと言うが、亡霊たるサーヴァントの類いも見るとは驚きだ。実に矮小な小兵らしい健気さよな」

 

先にて消し飛ばした筈の三人の姿が、再び目の前に現れた事を揶揄し嘲笑うギルガメス。エアの風圧を開帳しながら生きている無礼は、その代わり映えした表情の力強さにて掻き消される。無様と切り捨てるには、あまりにも懸命に睨み付けるその有り様に興味をそそられたのだ。笑い、黄金の宝物庫を再び解放するギルガメス。

 

「夢魔風情の介入かどうかは知らんが、末期の酩酊でどのような奇跡を起こすのかは見物よな!貴様らごときが我をどう崩すのか、さぁ再び見せてみるがいい!」

 

放たれる王の財宝、無節操に擲つ程の使いきれぬ財。すべての英雄の頂点に立つ所以のそれ、黄金の嵐を前に一歩躍り出る者がある。

 

「───」

 

しかしギルガメスは、その者──黒き善の女神スペースイシュタルの姿を見、並々ならぬ瞠目を起こす。あまりにも神秘、ZIPANGに通じる景色が其処にあったからだ。

 

「ぬ──貴様・・・!?」

 

浮いていた。座禅をし瞑想したまま目を閉じている筈のスペースイシュタルが、そのままの姿勢で宙に浮遊しているのだ。そして身体を嵐の前に晒しておきながら、微塵も刃に当たる気配を見せない。ZIPANGの神秘に通じる、スペース新陰流の極意が其処にあった。

 

「──我が心は不動、しかして自由に在らねばならぬ。即ち此、無念無想の境地なり」

 

「ぬぅっ・・・!?」

 

そのまま、目にも止まらぬ──最早目にも移らぬ最高速度、否最短速度にて急接近し座禅にて宙に浮くスペースイシュタルが、今は次シーズン待機中の師、スペース・ムネノリより教わった極意と共に刃を閃かせる。位高きスペース・ジェネラルにのみ見せる事を許し、またギャルゲー攻略にも通ずる兵法ともされるスペース・オトメ流。その正当免許皆伝の証の剣術が、今──

 

 

よいですかなイシュタル様。『にょ』の言い方を思い切り可愛げに、舌足らずに言うことが骨でございますれば。我がスペース・但馬の男子では悉くドン引きされるの極意故、十兵衛すらも会得できなんだ奥義。あなた様なら使いこなせましょう。

 

萌えを意識し、『にょっ♪』と弾ませるのもありですぞ──

 

 

「奥義『剣術無双。剣禅一如』」

 

「う、うぉおぉおぉお!!?」

 

頭に過る師の極意をガン無視し放たれし、無双の一撃。一瞬にて猛烈極まる極意が、即座にギルガメスを切り刻む。王の財宝に胡座をかき、近接防御を侮り鎧を着なかった慢心のツケを今支払う。

 

「お──我の一張羅をッ・・・!!新郎衣装を切り刻んだかっ・・・!!」

 

ギルガメス、パン一衣装を晒す。イチジク百パーセントの葉っぱ隊かくやの勝負下着を衆目に晒され、黄金の頭髪を怒りに逆立たせ震えるギルガメス。ZIPANGに伝わるゴールデンゴリラもかくやのその姿のまま、憤怒と共に乖離剣に手を伸ばす。

 

「我が手ずから夜なべした一張羅を雑種ごときが台無しにするとはッ!最早赦さん!!貴様ら、楽には死ねぬと思え!!唸れエア!無礼者に誅を下すッ!!!」

 

イチジクが吹き飛びそうで吹き飛ばない絶妙な風加減が巻き起こす乖離の暴風。それを受ければどんな英雄であろうと一たまりもない。若干肌色面積が凄いバビロニア初期モーション・ウルク正拳突きの構えによる種火腕に10000くらいしか与えられなかった懐かしのノー・アップデート・エヌマ・エリシュが再び来る。

 

「仕置きと躾と知るがいい!!受けよ、『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』──!!!」

 

吹き荒れる真紅の風、時空断層を巻き起こす原初の世界に捧ぐ入刀。しかしその作画はDEEN風、初期ギルガメッシュ風味の懐かしギルガメスに対し、描写インフレ起こしていないエヌマ・エリシュなどエクスカリバーと拮抗するちょっと強い風程度。最先端を走り続ける者達に、防げぬ道理はない。

 

「私が目指す王道は私と同じ顔の数あれど、その極致に立つ騎士の王の道こそは私の旅路のきっと果て。──楽園と、花の魔術師が託してくれた奇跡を今!」

 

意を決し、リリィの控えめな胸より超粒子化し貯蔵されていたもう一つの原典EX宝具が輝く。それは何者にも侵されぬ神聖なる理想郷。正義の味方を目指したコミュニケーション不全マスターの死亡を救い、アルトリアに返さなかった荒野を目指す少年を道場送りにした、原典にて剣より重要視される、アルトリアを理想郷へと連れていき外界から遮断する至高の護り。切り裂く世界の何処にもいないが故、彼女を護り抜く至上の鞘。

 

 

頑張ってください、リリィな私。ギルと一緒に、あなたを応援していますよ──

 

使うときは、『ありがとう、名も知らぬグランドキャスター・・・!』とエモめな回想忘れずにね♪

 

 

 

「『全て遠き理想郷(アヴァロン)』──!!」

 

アルトリアを、背後にいるマンドリカルドを護る黄金の輝き。fateルートリメイクを待ち続ける者たちの願いを受け続ける輝きが奇跡を起こす。ギルガメスの嵐を真っ向から受け止め、そして──

 

「な、何ィ──!?バカな、これが我が見初めた花嫁候補の真の力か──!!」

 

ギルガメスのエヌマ・エリシュが完全に無力化され、相殺される。今は無き焚書された設定だが、ギルガメッシュの天地乖離す開闢の星は、全力稼働した際には数瞬の隙が生まれる。何十年前の設定なため誰も覚えていないだろう。ギルガメスは今動けないでいる。イチジクも取れそうだ。

 

「今です!マンドリカルドさん!あなたの、あなたの奥の手を!」

 

「えぇ、やってみせるっすよ。今の俺なら、使いこなせる・・・!」

 

素早く包みを開け、其処に在る宝を取り出すマンドリカルド。そこにあるものをどれ程待ち望んだか。旅路の果てに、1度は手放し、諦めきれず探し、たまにオークションも覗き、DX版、コンプリートセレクションも購入した、誓いの剣。偉大なるオジサン──兜輝くヘクトールに託されたけして砕けぬ輝きの名剣。

 

 

後は任せたぜ、後輩。先輩ってのは頼られるのも託すのも大好きなんだ。オジサンが出来なかった事、気合い入れてやってくれよ?

 

 

「御本人に託されたんだ。今の俺に使えない筈はねぇ。──不帯の誓いを破棄し、我が手に今こそ絶世の剣を握る!」

 

その剣の名は、デュランダル。彼が生涯夢見た、偉人の剣。そして、今の彼には自負と自信がある。この剣を。使いこなせると言う自負が。それは、ヘクトール本人に託された誓い。此処まで応援してくれた皆。自分なんかとフレンドになってくれた最高の好い人達。そして──

 

 

ま、待ってるから。オフ会、オフコラボ・・・ずっと、ずっと待ってるから・・・がんばれ、がんばれ・・・リカルド、くん・・・

 

 

「オレを待ってる女神様の為に──オレは今!陰キャの全身全霊を以て!あのパリピ王を討ち果たす!!力を貸してくれ、陰キャの皆!宇宙すべての人付き合いが苦手な皆!!」

 

そして、走る。リリィが繋いでくれた命を、スペースイシュタルがひんむいた防御Zeroのギルガメスを。宇宙の未来を掴み取る為、こんな自分を支えてくれた皆の為に。千年に一度、陰キャオタクが武道館ライブボーカルを勤めるような奇跡に挑むマンドリカルドが振るう、その宝具の名は──!

 

「届け!!『絶世の儚剣(レーヴ・デ・デュランダル)』ゥウゥウゥウゥウゥウぁあぁあぁあぁあぁあぁうっ!!!」

 

叫び慣れてないせいでロックシンガー式shoutめいた絶叫になってしまったものの、其処に込められた願いと威力は本物。パンイチどころかエデンにいたアダムめいたイチジク王にその決意の剣を防げる道理はなく──

 

「ガ─────!!!!!!!?」

 

身体を一刀両断され、御決まりの濁音断末魔がジグラッド中に響き渡るのであった──




ギルガメス「お、おのれ・・・!このような雑種ごときに、この我が──!!」

マンドリカルド「ウッソだろお前・・・!?」

気合い一発のデュランダルに切り裂かれながらも、王はまだ健在であった。腐ってもギルガメス、その威光に偽りはない。全裸だったら即死だった。

「まだだ、理想の星を掴むまで我は──ハッ!?」

だが、それで終わりではなかった。リリィは構えていた。今こそ、イザナミの予言成就の時。

「──選定の剣よ。力を」

そっと構えた、リリィの愛剣。彼女が持つ、勝利すべき黄金の剣。その周囲にカルンウェナン、マルミアドワーズが集い一つの巨大聖剣の形を成す。

ギルガメス「おぉ、これは──!?」

それこそ、ギルガメスが見た地上の星の輝き。一目見た時より手に入れると決めたその輝きを目の当たりにし、ギルガメスの心は高鳴る。

「邪悪を断て──!」

リリィの構えと共に、宇宙に満ちるアルトリウムが集結する。対人、対軍、エクスカリバーの対城宝具すら越えた、聖剣達の重なる合唱。集められ束ねられた威力が今──

「『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』──!!!」

「ぬ、お──!!」

ギルガメスの・・・イチジクに放たれる──!!

「うぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉお!!!!!?」

「やぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁっ!!」

泥に呑まれるような断末魔を上げながら、圧倒的魔力により押し出されていくギルガメス。ジグラッドの壁に叩き付けられ、それでも勢いは収まらず──

「ぅおぉおのれぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇえぇえ!!!セイバァアァアァアァアァアァア─────!!!!」

ギルガメス宙域にいる、全ての存在は見た。黄金の彗星がごとくに宇宙の彼方に吹き飛んでいく、裸体の宇宙大帝の最後を。このセイバーウォーズの終わりを。

ヒロインX「──やりましたね、リリィ・・・!」

そして──確かなる、次のシーズンの到来を。三分くらい粘ったイチジクの燃焼と共に、ギルガメスは木っ端微塵に野望もろとも消え去ったのだった──。

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