人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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イザナミノミコト『ZIPANGの民よ。ユニヴァースのサーヴァントよ。妾の声を聞きたもう。そなたらに声を届けしは、生誕と死を織り成す者。国を造り、いのちを育み、黄泉にて生を労るもの。名を──イザナミノミコト』

『此度の大いなる災い、それにより我等が国は引き裂かれ・・・痛ましき戦乱の世が幕を開けた。斜陽、黄昏、逢魔・・・そのいずれも敵わぬ、禍の刻。しかしそれらは、大いなる絆と決意により打ち払われた』

『宇宙の者達には秘された助力は確かにあり、この地にて、なんたることはや・・・生誕の日を迎えたもう御姫があらんや!黄金の王が抱きし至宝、白金の姫の三つ歳の生誕の義がこのZIPANGにて迎えられたもうぞ!』

『八百万の神々よ、豊芦原の者達よ!この善き日を、この大いなる大安の日を共に、永遠に続く平穏泰平の期日と執り行いましょうや!めでたい!わーい!』

『あっ、コホン・・・生まれの国なぞ関わりなく、生まれの宇宙など関係無し。産まれた胎は違えども、人類皆妾の子!(?)今こそや祝わん!宇宙の生誕よりもあな嬉しき・・・ごーじゃすの日和を!では──!うぉずどの!』

ウォズ『祝え!!諸人を惹き付け、魅了して止まぬ完全無欠の叙事詩の立役者、御機嫌なる王の無二の至宝!その名もギルガシャナ・ギルガメシア!此の度三度の生誕を迎えし瞬間である!!来訪せし白金の時代と共に──この瞬間を味わうがいい!!』

『はいっ!ありがとうございまぅえふんっ!!・・・祝福の義をありがとう、運命の予言者よ。それではZIPANG一同!張り切ってエアちゃまを祝いたもぉー!』

ウォズ『やはり──生誕の祝福は外せない。我が魔王と肩を並べる御機嫌王の至宝の祝福!これだけは、外せなかった・・・!』



宇宙に満ちる、祝福の鬨

「ふははははははは!!派手な事よ!よもや我が至宝の生誕の時空日和まで観ていたとはな、日本の創造神は肝心なときには誰よりも有能の評判は正しくあったな!ふははははははははは!!」

 

──あわわわ・・・ま、まさか星を挙げて祝ってくださる日が来るなんてぇ!?緊張と恐縮で、あわわ、えっと落ち着いてフォウをブラッシング!ブラッシングして・・・!

 

(ぷるるるるるるるるるる)

 

数万年に一度見られるイザナミの真面目な神託と共に告げられた、エア生誕の日和。正確にはエアが根源に触れた日和な為ギル以外は知る由も無いのだが、イザナミはギルから予め話を聞き、なんと神ですら容易には見通せぬ世界の外側を神威MAXで覗き見、エアの誕生日を把握したのである。御礼を告げたいと願い、準備をしていたのはギルとエアの誕生日の催しであったのだ。あまりの恐縮ぶりに、エアの震える手で行われるブラッシングがフォウをマナーモード振動が如くに震えさせる。

 

《予期せずして、我の賜物は宇宙の味見となってしまったな。100を越える壮大な旅路、触りとしては上出来であったか?エア》

 

──はい!もちろんです!新たな絆、紡がれし友情、ギルガメスの乱心・・・星々が繋がる光景を目の当たりにできたのは何よりの愉悦でございました!いつも、本当にありがとうございます!ワタシの王様、ギルガメッシュ!

 

《ふ、ふはははは!ははははは!はははははははははははははははははははははははは!!!》

 

ワタシの王様、のフレーズが王の自尊心を一瞬で満たし、愉快痛快の大爆笑を披露する御機嫌王。王が御機嫌な理由、変わらぬ白金の敬意を産み出す至宝が傍らに在り続ける事。それがこの旅路が煌めく大いなる原動力なのだ。

 

──フォウも、いつでもどんな時でもワタシのそばにいてくれて、支えてくれて・・・フォウが友達になってくれたから、ワタシは毎日が幸せなんだと信じてる。ワタシにとって、かけがえのない存在があなただよ。フォウ!いつも本当にありがとう!これからも、ワタシだけのフォウとして・・・ずっと傍にいてほしいな!

 

(勿論さっ!!キミに夢中だよ、大好きなんだ!もうキミと友達になれてからずっと、ボクの全てはキミのものだ!キミの為なら、南米の水晶蜘蛛だってタイマンで倒してやるとも!本当に、おめでとう!エア!)

 

ワタシだけのフォウ。王と共に、エアの独占の気持ちをほしいままに出来る宇宙唯一無二の称号を持つケモノは、エアの言葉を受け七色のオーラをみなぎらせプラチナに輝く。彼女といれば、自分はずっと『あの時』の想いと姿を忘れはしない。このかけがえのない魂を、ずっと見守っていこう。そう決意を新たにする至尊の獣である。

 

「うんうん。ところで三歳はもう哺乳瓶使わないんだって・・・早とちりしちゃってごめんね・・・(シュン)」

 

──いえいえそんな!ちょっとそれを貸してね、エル・・・せーの!ばぶ!(ぱく)

 

(ほわぁあぁああぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぉおぉう!!!!?)

 

《ふははははははははははははははははははははは!!我が賜せし至高の玉体故、美貌に忘れがちだがまだ三ツ歳よ!それくらいの戯れは許されよう!》

 

エルキドゥ、王の無二の友が買ってきてくれたプレゼントも決して無為にせず、大切に受け取る心意気(あとエアの赤ちゃん言葉)に消し炭になるフォウ。彼女にとって、王の唯一無二の存在とはエルキドゥの事。そんな彼が用意するものを、拒否する筈が無かった。

 

──ありがとう、心優しい素敵な王の親友。エルキドゥ。王のみならず、ワタシにもたおやかに接していただけるその心は、何よりも美しいものと信じております。あなたが王の親友で本当に良かった。王を敬愛するならば、あなたにも無上の感謝と敬意を!この哺乳瓶、宝物にするね!ありがとう、エル!

 

「──うん。ギルが見つけた至宝が、僕が付けた孤独の傷が。その罰を癒してくれたのが君で・・・本当に良かった。ハグしていいかい?お姫様」

 

(エルキドゥなら許すよ!)

《うむ、だが気を付けよ。天の鎖として締め上げたならエアは逝くぞ。我と違い、マルドゥークの御子故身体に宿る神性は減衰しておらぬからな》

 

親愛の抱擁を交わしあう、エルキドゥにエア。天の鎖、白金の姫。王が世の果てで手にいれた二つの至宝が睦まじく触れ合う様子もまた、奇跡として見定める。

 

《無論お前も特別だぞ?名付けて七色の珍獣!どうだ、プレミアぶりが凄まじかろうふははははははは!!傑作だ!!》

 

(其処は至尊の守護者だろオメー!!!)

 

「あー、これがガチ恋距離なんだね。納得。わぁ、エアの目に映る僕が見える~」

 

──こうしてみると・・・本当に性別を超越した美しさです!流石、エルキドゥ・・・!

 

「ふふっ。ありがとう。エアじゃなきゃこんな事しないよ。目に映る僕を見たくて多分眼を抉るからさ」

 

ヒェッ、となるフォウに頷くギル。効率的極まる兵器と悪戯好きな人格は、彼だけの魂の形。優しくエアを撫で、名残惜しげに離れるエルの目を、エアはまっすぐ見据え続ける。

 

「これからも、ギルをよろしくね。あとそうだ、ギルにとっての友達は僕しかいないけど、僕にとっての友達はギルだけじゃないから、僕ともフレンドになってね♪」

 

(見解の相違wwww)

 

《たわけ、織り込み済みよ。むしろこやつの無茶ぶりについていけるものがおるのであれば、御目にかかりたいと言うものだからな》

 

──望むところです!あ、でもせめて一声掛けてから行動はお願いいたします・・・

 

『あーなやー!はいどうもお婆ちゃんでございますよー!こちらの準備はできたもうで御迎えに上がりましたけど・・・大丈夫なりやですか?』

 

天満宮の中で待機していた際、気軽に降臨するイザナミお婆ちゃん、そして楽園の語り部にして祝福の鬼、ウォズである。彼は最早祝福の概念な為何処にでもいるのだ。

 

(お婆ちゃん!元気なお婆ちゃんだ!)

 

「我等が御機嫌王。イザナミ殿が見せたいものがあるようです。案内に従い、そちらへ」

 

《うむ、良かろう。しかしマメな事よな。祝福の好機は断じて逃さぬとは》

 

「有り難き御言葉。我が魔王に【とりあえず祝っておけば問題なかろう】とお墨付きをいただいております」

 

(おじいちゃん雑じゃない?)

 

『ではでは早速!あ、その前に是非ともこちらを御持ちくださいな。三貴神の皆が持ち寄ってくれた誕生日祝いの品にてございますれば』

 

そうして王らに渡されたのは、雄々しき焔剣に、静かなる黄金の勾玉。そして柔らかに世を照らす鏡のセットだ。それぞれ、スサノオ、ツクヨミ、アマテラスが用意した神威の品である。

 

『この宇宙の混乱によくぞ尽力なさいました。妾達だけでは立ち行かぬ困難をこうも・・・ZIPANG一同、感謝の念を込めた祝儀の品。どうぞお納めくださりたもうや・・・』

 

《ほう、最高神の貢物とは中々に解っているな。祝儀と土産の品としては上出来だ。エア、宝物庫の至宝スペースにしまっておくのだな》

 

──はいっ!ありがとうございますイザナミおばあさま!ウォズさん!一生、大切に保管します!

 

『私としては矛も渡したかったんですが、流石に冥界スイッチ入っちゃうしもうそちらにあるとの事なので!きっとそちらが渡しているでしょう!ですからこちらは、こちらの催しを!ささ、昇天いたしますよー!』

 

──昇天?わ、わわ・・・!?

 

(ボクら・・・浮いてる!?)

 

「おー、僕らはどこにいくのかな~」

 

イザナミの導きに従い、浮き上がる一同。彼等はイザナミに導かれ、高く、高く。八百万のおわす高天ヶ原より高く、豊芦原の国よりも高く──




宇宙空間

フォウ(どこまで来てるのぉ!?)

ウォズ「無限の宇宙は無重力・・・」

(言いたいだけでしょ!?)

イザナミ『ふっふっふ。別居中のイザナギと連絡を取り、この宇宙にZIPANGの眼を拡げておいたイザナギの頑張りを力に変えちゃいます!疎遠ではありますが、大恩人の誕生日に妾らの拘りなどどうでも善き!イザナギの頑張りは、この日の為!(多分)さぁ──いざや!華やかにいろどりたもーう!!』

イザナミの号令と共に、宇宙に変化が起こる。最早黄金の宇宙ならぬ蒼き宇宙。其処に彩られたるは──

フォウ(これは!?)

エルキドゥ(花火・・・かな?)

『いかにも!イザナギがマーキングした星々と宙域に、八百万の神々の花火を転送し私が号令!皆様に戦勝の祝いとしてもたせた花火が満ち、するとー!!』

すると──あらゆる宙域に花火が咲き乱れ、極彩色の絢爛なる宇宙がもたらされる。歓喜と祝福の宇宙が、その光景がエアへのプレゼント。イザナミ、イザナギのファインプレーであったのだ。そして──宇宙に住む者達の、感謝を捧げる心の発露。

『この日をZIPANGは記念日に致しますので、ぜひぜひまた遊びに来てくださいね!宴は続きます!帰る日まで、どうぞどうぞ御存分に~!』

エルキドゥ(わぁ・・・綺麗だね、フォウ?)
フォウ(うん、とても綺麗だ・・・)

《始まりは眉唾であったが・・・もたらされし報酬がこれならば悪くない。これは、我が庭を飛び出す日が待ち遠しいな?エア》

──はい・・・はいっ!いつか、いつかその日を迎えましょう!皆で、必ず!絶対に!

絶え間無く彩られる、宇宙平穏と泰平の証。それこそが・・・王に与えられた報酬であり、そして──

──・・・・・・あぁ・・・

ウォズ「全てを尊ぶ姫へ捧げられた、至高の御祝いであったのです。どうかこの善き日よ、叙事詩の色褪せぬ一幕として──」

イザナミ『よーっ!ぽんっ!!』

叙事詩の三周の節目に、無上の祝福を──

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