人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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『・・・・・・』

『○』

(ど、どうしよう、かな・・・)




世界はただ、静寂であればいいのだと。

強きもの、優秀なものだけで作られた楽園を。

結局皆、一人で生きていくしかない・・・



「・・・・・・」

『みーんな、あなたの友達だったり生き残りだったり。辛い?』

「辛い。一番辛いのは・・・創りたい世界もないのにそれらを否定する自分なんだ・・」

『あちゃあ、重症・・・ん?』

『チラシ』

『ねぇねぇ、これ!』

「・・・楽園・・・」

『試しに行ってみない?気持ち、楽になるかも!』

「・・・あぁ。人間の誰かと話したい気分だし・・・」


神格SSR~慈愛のかまど~

「かまど!これはかまどですよタケちゃん、アマや!何かをぼわぉと燃やすもの!凄く大事な家庭の支え!あなやぁー、こんなにおっきいかまどは何を燃やすのはなんなのではっ!?ナミは解ってしまいました!しまいましたよタケちゃん!アマや!」

 

「・・・何をだ、母よ」

 

「天啓キラリ!予想ズバリ!このかまどが燃やすものそれはぁ~!デレレレェー」

 

「ワフ・・・(子らの誰よりテンション高い親ですねこの方・・・)」

 

「家族の愛情!!(ドヤッ)」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

そんなノリで息子と娘を振り回しまくる我等が日本の顔面八百万ことイザナミおばあちゃん。かまどを見てテンションマックスな事がよく解るはしゃぎぶり、あまこーにタケルは顔を見合せ項垂れる。楽しそうな母と、我等が首魁のはっちゃけに二の句が無いのだ。

 

『これより神威を感じる。この偉容、しかと位高き神と見受けられようが、如何に』

 

「そうなんですよ将門くん!ここから出てくる輩はまず最高神クラスかそれの類縁!ふわっとしたかまどのフォルムから・・・姉か妹!それらが神体でやって来たとばばは予測したいたもうがいざや!?答え合わせが欲しいところ!」

 

山、或いは丘クラスのかまど。気流やらなんやらで実用性は皆無に近いこのかまど、何故に来たかと言えば再びの召喚成功。神に準じる者達が集まり、あれやこれやと話し合う。

 

「待ってみても岩戸のアマテラス即ちキャット。ここはひんむいて召喚するが吉ではとキャットは思う故にキャットあり。まな板で爪は研いだゾ?」

 

「えぇ~?でもなんか文化の違いで白旗が皆殺し宣言的なの起きたらテンサゲじゃーん。イザナミマッマ、創造神から戦犯になっちゃうかしこまり?」

 

「異文化交流は慎重にやらねばダメです!ですが大抵空いたお腹には勝てぬもの・・・!ここは竜宮城おせちで攻めてみるとかは如何でしょう!得意です乙姫!」

 

「ふむ・・・乙姫さんが言うようなの思うに突然燃え出すといった事はないでしょうし、いっそ中に入ってみるのもありでしょうか。ダンジョン系列なら侵入しなくては始まりませんからね。ですが、くれぐれも慎重に。何が発端になるか、言葉と言うものは難しいものですので」

 

「ふむふむ、それではやはりいっそのこと・・・」

 

それぞれの所感を告げながら、かまどを巡り意見を交わす。慣れとは恐ろしいもの、既に未知の感覚は消え去っていた、数多の意見から、やはり直接接触を図った方が良さそうと意見が挙がり、更に──

 

『楽園の皆さん、こんにちはぁ~。お騒がせして大変申し訳ありません~』

 

「あっ!このかまどの方でしょうか!お疲れ様です、そしてようこそ楽園並びに高天ヶ原へ!あなたの来訪と召喚、心から歓迎致しますれば!私はイザナミと申します!どうかお顔を見せてもらいたいのですが・・・?」

 

(会話が流れる水が如くだな)

 

(ワフ・・・)

 

気が合うのでしょうね、もしかしたら似た者同士なのでウマが合うとか?等と言った所感を背負いながら、交渉をイザナミに任せる一同。直感的に理解が叶った事、それは断じて悪なるものではない、という事実である。

 

『そうそう!私も是非出会いたいと思ってはるばるやって来たのです~。こんなおばあちゃんでよろしければ何卒、お仲間に入れてくださると誇らしく、嬉しいのですが~』

 

「・・・その点ならば案ずるな。我等は世の安寧と平穏を護る為の集い。一人の人格を見て排斥するような真似はあり得ん。安心なされよ」

 

「ワフ!」

 

『わぁ、なんと暖かい~・・・!それなら気後れすることなくご挨拶がかないます~。私はヘスティア、ギリシャのかまどの神様をやらせていただいております~。今出て来ますねぇ~』

 

博愛と差別無しな振る舞いを約束するタケルの言葉に弾む声。声はそのまま、互いの邂逅を約束し求める。いよいよいざ対面かと皆が思うた時──

 

『あぁ、えぇと~、どうしようかしら~。あわわ、どうしましょ~』

 

「どうかなさいましたか、ヘスティア神さま!?」

 

『あの、えぇと~。かまどの扉が開かなくて~。あわわ、どうしましょうかしら~。せっかくはるばるやって来たのに~・・・』

 

まさかのご神体が天岩戸状態に陥り困窮の声が聞き及ぶ。それに伴い顔を見合せる。それはもしや、ピンチなのではないのかと。

 

『ごめんなさい~。御手数ですがお手伝いをお願いできませんかぁ~・・・?』

 

困った様子のヘスティア神の声を聞き、イザナミは頷き合い息を吸う。ならばこれは、一致団結の時なのだと。

 

「高天ヶ原の子らよ!この空飛ぶ天岩戸状態のヘスティア様を手助けなさいましょう!具体的には、引っ張り出してあげたもーう!」

 

そんなコミカルな号令と共に、集結した神々があれやこれやと力を合わせる。押してダメなら引け、或いはスライド、あぁでもないこうでもないと頭を悩ませる。山のようなかまどに向けて知恵を絞る。

 

「改めて見ますと、私ったら面倒くさい立てこもりを選んだものですねぇ・・・当時の方々には大層ご迷惑御掛けしたと言いますかなんと言いますか」

 

「ワゥ!」

 

「なら粉骨砕身フォローに回れ?えぇ実にごもっとも!というか乗り物にかまどって実にナンセンスではございません!?」

 

「否と思えば否、是と言えば是。これ猫缶前にしたアマテラスの思考なる。さぁさっさとお助けするぞタマモオルタ。償いとニンジンを込めて!」

 

「やっぱ祈祷じゃん?キツネのお参り、ワンチャンお供え行っとく?」

 

「今ならいらっしゃいウェルカムコースで大変お得な竜宮城!是非とも是非とも!」

 

『やはりものを言うは威光なれば。タケル、良いな』

 

『この手に限る』

 

「待って待って!?要石に傷は、傷は御法度!ですから穏便に穏便に!」

 

『・・・・・・』

 

ヘスティア神は、初対面ながらも懸命に身を案じてくれる楽園の神々達の優しさに感じ入っていた。自身の来た場所の暖かさを、身を以て感じていた。

 

「大丈夫ですよ~!あなた様には八百万の仲間達が付いております!寂しくない!皆あなた様を見つめて信じておりますれば!ですからお待ちあれー!」

 

「ワフ・・・」

 

『やはり多すぎるのでは、と?・・・フ、土地柄の信仰の賜物だ、天照』

 

「ワッフ!」

 

(・・・ここなら、きっとうまくやっていけそう~)

 

そんな確信と共に、間も無くヘスティア神はかまどより引っ張り出される。皆でゆっくり、かまどの扉を開いた為だ。火の神は待避した為大事なく、対面が叶う。

 

「お待たせ致しました!私はイザナミ、よろしくお願いいたします!こちらは頼もしき、私の子にてございますれば!」

 

「えぇ~、初対面のようなとてもよく知っているようなあなたがた~。私はヘスティア、家庭の神様です~。皆様の安寧の為、一肌脱いじゃいたいと感じております、よろしくねぇ~」

 

『・・・わたしたち、なかよくできそう、ですね・・・』

 

神々の邂逅をそう締めくくるティアマト神。笑い合うその姿は、新たなママ友が増える予感と確信を告げるに相応しいものであった──




NG召喚 人修羅(真・女神転生3)

ピクシー『こんにちは!ボルテクス界から遊びに来た人修羅とピクシーコンビよ!束の間だけど、よろしくね!』

人修羅「・・・・・・」

リッカ「人修羅さんだぁ!カッコいい・・・いつ見てもカッコいいタトゥー!いらっしゃ~い!」

グドーシ「非常に数奇な運命、よくぞ立ち向かいましたな。ゆるりと羽根を伸ばしていただけば幸いにございます。ささ、ゆっくりと」

ピクシー『ほら、御言葉に甘えましょう?なんなら悩みも聞いてもらえば?』

人修羅「・・・・・・」

リッカ「人修羅、さん?」

「世界が冷たいです」

グドーシ「おぉ・・・確かに・・・」



「気がついたら世界が滅び、いつの間にか悪魔になっていて、生きていた友人は皆カルトの理に目覚め、目と目があったら殺し合い。仲良くしてくれるのはピクシーや悪魔を除いて打算や利害の一致の場合のみ。ここにいるピクシー以外親身になってくれる人はいません」

『とりあえず利用や敵対から入って荒んでるの・・・話を聞いてあげて?』

人修羅「狂っているのは世界なのか、滅びた世界に未練を持つ自分なのか。他者に情を抱く自分なのか、いっそ悪魔になってしまえばいいのか・・・あの混沌の世界で、僕はどう生きればいいのでしょう」

リッカ「そうだなぁ・・・とりあえず、自分は何をしたいのかは浮かんでる?」

人修羅「・・・人でありたいとは思ってます。悪魔の身体でも、誰かをおもいやる気持ちは忘れたくないから。でも・・・」

ピクシー『話し合うより殴り合う方が早い場面が多いから、たまに慣れちゃいそうで怖いんだって。傷付ける事に』

グドーシ「創生のコトワリは三つ。どれかに感銘を受けましたかな?」

人修羅「・・・死んだ静寂も、力の縁も、逃避の結も・・・悪魔の道も。どれも正しいとは思えない。僕はただ・・・」

グドーシ「失われたあの日々を、失って得難いものと気付きましたかな?」

人修羅「・・・そう、かもしれない。でも、世界は生まれ変わる準備をしている。皆、古い世界は死ぬべきだと。そんな前に進む世界に対し、昔の世界が好きだからなんて理由で戦う僕は間違っていないかな・・・?」

リッカ「間違いじゃないよ!」

人修羅「!」

リッカ「日常を大切にしたい、自由な未来が欲しい!それだって立派な、戦うコトワリだよ!」

人修羅「・・・リッカちゃん」

グドーシ「然り。世界が切り捨てられようと、そなたはまだ古き世界を愛しておられる。ならば、世界を取り戻すために戦うのは間違いに非ず。我等はそうした戦いをしてきました。ですから解ります」

リッカ「その気持ちを胸に、人として生きれば!悪魔の力を宿した人として生きていければ!きっとそれが、あなたのコトワリだよ!」

人修羅「僕の・・・未来の定まらない明日を望む、人としてのコトワリ・・・」

グドーシ「痛快ではありませぬか。失われた旧世界を、また取り戻す。困難なれど、遣り甲斐に満ちた創生でござるよ。拙者やリッカ殿は、そんな戦いをしているのでござる」

リッカ「うん!忘れないで、力はあなたのもの。心は力と一緒にあるよ!これから、どうしたいかはあなた次第!」

人修羅「・・・そうか。先生や皆と過ごしたあの日を取り返したい。それも・・・僕が望む世界なのか」

ピクシー『私は付き合ってあげるわ。いつまでもね?』

「・・・ありがとう。来てよかった。リッカ、グドーシ。・・・握手、いいかな?人間の温もり、忘れたくないんだ」

リッカ「うん!」
グドーシ「あなたの心はあなたのもの。どうか、忘れることなかれ」

人修羅「・・・あぁ!」

>人修羅は、ボルテクス界へ帰還する。

ボルテクス界・カグツチの間

カグツチ「我は認めぬ!滅びるだけの世界など!」

人修羅「僕の生きたい世界は、未来の定まらない世界だ。奪われた全てを、返してもらう!」

「消えよ!悪魔よ!我が怒りの光にてその生を終えよ!」

ピクシー『後悔しない道、選んだんでしょ!見せてやりなさい!』

「あぁ!」

(身体が、悪魔でも。僕は人だ。人として・・・僕は未来を掴む!)

>人修羅は、最後の創世に挑む──

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