トゥール「・・・おかしいですね」
ギル「どうした、トゥール」
トゥール「召喚、霊基登録はされているのですが姿が見えません。楽園の何処かにいる筈ですが・・・」
橘「恐らく、通常とは違う・・・神霊クラスの存在だ。精神的な干渉を行っているのではないだろうか。俺はそう思う」
はやて「シャイな子もいるんやなぁ~。どないしよ?呼び出したろか?」
ギル「・・・いや、よい。心当たりはある。登録はされていよう。見立て通りなら悪し様には転ぶまい。知らない秘匿の場は、よき安息の地ともなろうさ」
アル=アジフ『では、引き続き召喚で良いのだな?』
「うむ。ニアピンは潮時やもしれんが・・・だが、爆死とは越える為にあるものよ!引き続き、召喚で機を見るぞ!」
ロマン「むにゃむにゃ・・・シバ・・・マギ☆マリ・・・」
フェイト「こちらのリア充さんは」
「簀巻きにして仮眠室に放り込んでおけ」
~
アマテラス(ピクッ)
将門公『如何にした、慈母よ』
(・・・・・・あなたなりに、頑張るのですね。なら、無粋は致しません)
「クーン」
『・・・承知。深くは、問わぬ』
「ワフ」
イザナミ「将門くん、ありがとう。アマや。・・・見守りたもうや・・・」
「ワフッ」
「ワフッ」
「・・・あれ?ここ・・・高天ヶ原?」
リッカが目を開けたその場所、それは夜闇が辺りを包み込み満月が浮かぶ壮麗にて幻想的な境内。そこに彼女は一人ポツンと立っていた。見覚えがあれど確かに違うその場所は、将門公やアマテラスが暖かく迎えてくれる社と非常によく似ている。リッカが既視感を感じるのも、無理からぬものであるほどに。自身一人しかいないその空間を、ぼんやりと見渡す。
「あれ?また特異点単独派遣なのかな・・・まだ召喚は終わってないのにな・・・」
久方ぶりの単独解決案件なのかも。そう気合いを入れ辺りを警戒するリッカ。それならば迅速に解決し、楽園に戻らねばならない。御祝いと召喚はまだ終わっていないのだから。しかし、その予想をいい意味で覆す声が、リッカに届く。
【──あ、あの。ごめんなさい。敵では、無いんです。もし良かったら、その・・・本殿まで、御足労、いただけたら、なと・・・】
「──神様・・・?」
その声の印象は内気で、でも勇気を出してコミュニケーションを取ろうとしている・・・そんな印象をリッカは受け取った。敵意が無いことを感じとり、戦いの構えを解き導きのままに歩み出す。夜の神社は静まり返っているが、整えられ手入れされた社からは恐怖を感じない。逆に、清らかで穏やかな安らぎと平静を心にもたらしてくれる。
「──行ってみよう!」
神のおわす中心を避け、彼女は願いのままに本殿へと向かう。月の光が照らす中、視界に不自由することなくリッカは進む。本来女性ならば不安で及び腰になるのやもだが、リッカ系女子は雄壮、勇猛、勇気がモットー。気後れする事などあり得ないのだ。
誘いの声に応え、龍の少女は揺るぎなく夜闇を勇気で照らし歩む──
~
【こ、ここ、こんばんは。こ、この度、お世話になります。つ、つく・・・ツクヨミ・・・です。今後とも、よろし、よろしく・・・】
本殿にそっと脚を踏み入れた先に待っていたもの。それは黒髪の絶世の美女。しかし非常に視線を泳がせ、俯きどもりながら話すコミュニケーション能力低めな憂いを湛えた美女である。リッカは一目で看破した。彼女こそ、楽園の召喚に応えた者であると。
「ご丁寧にありがとうございます。私はリッカ、藤丸リッカです。今後ともよろしくです(お辞儀)」
なるべく声を抑え、怖がらせないようそっと目を見つめペースをあちらに渡すリッカ。その気遣いに落ち着いたのか、ツクヨミを名乗る女性は言葉を紡ぐ。
【ご、ごめんなさい。私、人見知りが酷くて、対人が苦手で・・・ここは、リッカちゃんの夢の中です。召喚先を、まずはここにしてもらいました・・・】
「皆の前は恥ずかしかったのと、契約を結ぶマスターと話してみたかった、ですね?」
【そ、そう。そうなんです。アマテラス姉様も、イザナミ母様も認めたあなた。藤丸リッカちゃん・・・お話、してもらえるかなと・・・思い、まして・・・】
そのまま、会話が途切れてしまってもリッカは黙してツクヨミにペースを渡した。会話をする意志と、その決心を尊重しリッカは待つ。五分毎に紡がれる話題も、不満一つ漏らさずに。
【こ、これから、楽園で・・・御世話になります。見てみたかったのです。エレちゃんが言っていた、可愛らしくて、カッコいい女の子・・・リッカちゃんを・・・】
「エレちゃんとは知り合いなのですね?」
【う、うん。ユニバースで、友達になってくれて。ここの私は、分霊で・・・きっとユニバースで紡いだ縁の方は、夢として記録を持たせている筈だから・・・】
だからこそ、ヘスティアやヒュプノス、ハデスらは楽園の事を把握している。記録を、本来見ない夢として所持している為だ。同じように、自分もそうしてやって来たという。リッカにとって、ユニバースという単語は聞き慣れなかったが・・・
「~。ギル達ってば、誰かに頼まれて私達に内緒で頑張ってたな~・・・?」
リッカからしてみれば断片さえあれば十分。状況と紡がれた覚えなき絆を以て何が起きたか理解する。恐らく、ヒロインXの故郷の宇宙でまた痛快な冒険でもしてたのだろう。ギル達らしいやと笑うリッカは、そんなギルらのハチャメチャさを痛快に思うばかりだ。出し抜かれたなどとは、露も思っていない。ただ、話を聞くのをねだるだけである。
【え、エレちゃんから聞いたあなたは、凄く真っ直ぐで、一生懸命で、どんな時にも優しさと勇気を忘れなくて、皆を引っ張るヒーローだって・・・】
(ヒロインじゃないのはご愛嬌だねエレちゃん・・・!)
【そ、そんなあなただから、イザナミお母様は矛を託したし、アマテラス姉様は不自由な大神になってでもあなたを助けたと解りました。今、話して・・・全部、ほんとだって・・・私の事を考えて、聞き役をしてくれる優しい人・・・私も、あなたを・・・マスターと、呼ばせてくれますか?】
紡いだ会話は短い。しかしそれでも、その短い会話に最大限配慮してくれた。その振る舞いから、ツクヨミは彼女を認めたのだ。いきなり招き、いきなり話しかけた相手でも最大限の礼と配慮を尽くしてくれた人の子たる彼女に。
「もちろんです。あまこーの妹様であり、イザナミおばあちゃんとイザナギ様の生んだ三貴神の一柱。どうかよろしくお願いいたします~(深々)」
【こ、こちらこそ・・・お願いいたします(深々)】
日本名物、お辞儀合戦をこなした後、ツクヨミはおずおずと問いを投げ掛ける。
【リッカちゃん・・・辛かったり、苦しかったりする事はありますか?私、というかここは月読ノ社。物音や喧騒のない、静寂の社。辛い事や、苦しい事は・・・ここに来てくれれば、聞きますし、心も癒します。リッカちゃんが連れてきた方も、一緒に・・・だから、その・・・あの・・・】
「・・・・・・」
【リッカちゃんが、とても強く勇ましい子なら・・・余計な、お世話でしょうけど・・・好きな男の子とか、誰にも言えない事をするときは・・・ここを、使ってください・・・私は、戦えないので・・・せめて、平静を司っていますから・・・】
完全なヒーリング・プライベートゾーンの提供。それがツクヨミの加護であると告げられたリッカは、その優しさに日本の神の素晴らしさを感じ告げる。
「・・・私、まだまだ弱音の吐き方が苦手でつい無理をしがちなんです。でも、もう人類最後のマスターじゃなくて今、私は人類最高のグランドマスターの一人。だから・・・私だけがなんでもやる必要はなくなりました。だから・・・」
【だ、だから・・・?】
「いっぱい練習させてください。弱音の吐き方や悩みの打ち明け方!私、今度は儚げな女子ムーブをやってみたいと思ってたんです!」
【は、は、儚げ・・・?】
「初期マシュみたいな・・・護ってあげたくなるような女子を研究してみたくて!ツクヨミさんみたいな憂いを帯びた感じの!だからこれから、ヒミツの集会をやりましょう!エレちゃんも誘って!だからこれから、よろしくお願いいたします!ツクヨミ様!」
【う、う、うん。イザナミお母様や、アマテラス御姉様も誘って・・・ユニバースの事、お話します。これから、よろしく、ですね。マスター・・・えと・・・】
「リッカ、でいいですよツクヨミ様!よろしくお願いいたします!ところで、ツクヨミ様とエレちゃんはどのような──」
・・・精神の揺りかごで出会った月の神。楽園に勇気を出してやって来た彼女は、挨拶の前にリッカの秘密の相談相手になったのであった──
緑谷 出久(僕のヒーローアカデミア~雄英入学試験前~)
デク「ぼ、僕は緑谷出久と言います!所長、オルガマリー所長はいらっしゃいますか!」
オルガマリー「私よ。あなたは・・・オールマイトさんの後継者の」
「・・・御相談があって来ました。僕が、僕が受け継いだオールマイトの個性、ワンフォーオールを・・・ワンフォーオールを・・・!藤丸リッカさんに!受け継がせてはいただけませんか!?」
オルガマリー「───」
~所長室
「何故、そう思ったのか。理由を聞かせてもらえるかしら」
出久「・・・オールマイトに、言われたんです。『無個性だから何も出来ないなんて、とんでもないな』って。僕はオールマイトに教えてもらいました。カルデアという医療機関は個性なんて存在しない世界にある組織で、そこにいる人達は、個性も無個性も関係なく世界を救った素晴らしい人達だ、って・・・誰も治せなかったオールマイトの怪我も、確実に完治に向かわせてくれて・・・!僕のヒーローを、助けてくれた・・・ヒーローのヒーローだって・・・!」
オルガマリー「まだ、一日三時間はポッドにいないとだけど・・・少なくとも、日常生活とヒーロー生活に苦はなくなるわ」
「僕だけに教えてくれたんです。そして・・・誰よりも真っ直ぐ、誰よりも挫けず、誰よりも強く突き進んだ、凄い女の子の事も・・・!」
「それが、リッカの事ね?」
「はい!・・・僕は気付いたんだ。無個性だから、向いてないから、個性がないからって・・・自分を鍛えることもしなくて、ただヒーローのかっこよさに憧れるだけで・・・オールマイトから最強の個性を貰えると知って、ようやくヒーロー誰もがやっている努力をしたつもりになっていただけで・・・」
オルガマリー「・・・」
「関係無いんだ。ヒーローに個性とか無個性とか・・・!リッカさんの話、オールマイトから聞いて・・・本当に凄いと思った!誰よりも辛い人生だった筈なのに、誰よりも真っ直ぐ、誰よりも挫けず、誰よりも努力して・・・!世界をまるごと救って・・・!その姿は、何よりも憧れたオールマイトとそっくりで・・・!誰よりも、何よりも!ヒーローだったんだ・・・!」
「・・・託したくなったのね?」
「・・・──ないんだ」
「・・・」
「そんな、誰よりも頑張っている人を差し置いて。僕じゃなきゃいけない・・・オールマイトの後継者が・・・『僕でなきゃいけない』事の理由が・・・無いんだ・・・!」
オルガマリー「・・・・・・」
デク「僕は・・・甘ったれだ・・・だから・・・僕なんかより・・・相応しい人に・・・ワンフォーオールを・・・」
「──聞いた?リッカ」
デク「!?」
リッカ「・・・・・・」
デク「り、リッカさん・・・」
リッカ「──私に、その力を受け取る資格は無いよ」
「ど、どうしてですか!?あなたは何よりも・・・!」
「それは、あなたに受け継がれたものだよ。そしてあなたがそれを託すときは、あなたがその力の責任を果たしきった時。あなたは、そのワンフォーオールの力に相応しい自分になるまで、逃げても諦めてもいけない。今のあなたは、オールマイトみたいなヒーローなの?」
「・・・・・・違い、ます」
「その力で、助けられる命を見捨てていいの?」
「・・・・・・嫌です・・・!」
「憧れていたヒーローへの全部、捨てていいの?」
「──嫌ですっ!!」
リッカ「だったら諦めるなっ!!!」
「!!」
「相応しくないなら相応しい自分になる!!足りないなら足りるまで頑張る!!自分がオールマイトの、最高の後継者だって胸を張れるまで──生きる事から逃げるな!自分が自分である事から逃げるな!!」
「・・・!!」
「今、世界一のヒーローの魂を背負ってるのは!あなたでしょう!!緑谷出久!!」
「・・・リッカ、さん・・・!!僕は、なれますか・・・!?いつか、ワンフォーオールに相応しいヒーローに・・・!オールマイトみたいなヒーローに・・・!」
リッカ「なれますかじゃない!!」
デク「ひっ!?」
【なりますと言えェ!!!】
デク「はいぃいっ!!僕は、僕はヒーローに!!オールマイトみたいなヒーローになりますっ!!!」
リッカ「──よしっ!!」
~デク、激励咆哮を受け退去。
オルガマリー「ふふっ、それでこそね。リッカ」
オールマイト「魂を揺るがすシャウトだったな、藤丸少女。私なんかより、よっぽど先生向きなんじゃないか?」
リッカ「『僕だけ』って言ってたでしょ?デク君、割とナチュラルに見下し癖がある子だから、お尻をおもいっきり叩いちゃった。あの子のヒーローアカデミアなんだから、あの子がヒーロー目指さなくてどうするの!オールマイトの目を節穴にしないでよね!」
オールマイト「・・・ホントにカッコいいな、君は!君は、カルデアの皆は立派なヒーローさ!」
リッカ「ううん。私はヒーローにはなれないよ」
オールマイト「!?」
オルガマリー「・・・人類悪だから、なんて言うつもり?」
リッカ「・・・だもん」
オールマイト「?」
リッカ「私・・・ヒロイン志望だもん・・・」
「「・・・あぁ・・・」」
デク、リッカの顔がトラウマになりより一層ヒーロー活動に勤しむ。
リッカ、ワンフォーオール継承せず。
オールマイト、経過観察中。ヒーロー活動限界時間──12時間(三時間として辺りには広めている)
どのキャラのイラストを見たい?
-
コンラ
-
桃太郎(髀)
-
温羅(異聞帯)
-
坂上田村麻呂
-
オーディン
-
アマノザコ
-
ビリィ・ヘリント
-
ルゥ・アンセス
-
アイリーン・アドラー
-
崇徳上皇(和御魂)
-
平将門公
-
シモ・ヘイヘ
-
ロジェロ
-
パパポポ
-
リリス(汎人類史)