人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
「まぁ・・・。引いてしまった以上は、行かなくてはならないわ。フランスを含めた世界を救うだなんて、あまり理解は出来ないけれど・・・」
チン「それもきっとまた試練なのではないかな?知らないものを知るというのは中々に愉快であるぞ?」
「~。そうね。楽しい事があるなら、行ってみるのも悪くないかしら─」
「やはり仕事は溜め込むものでは無いな。一区切りにしようにも切り上げ時が見当たらぬものよ。後一、二回は召喚に心当たりがある。それを行い幕とするか」
普段よりも並々ならぬ大掛かりの儀式となった召喚の儀式。セイバーの為の召喚を含め、あと三つは当てがある王はその精算に意気を燃やす。召喚し放題という訳にもいかないのだ。改築を担当する関係上、かかる負担はバカにはできない。自分はともかく、共に改築に挑むエアの状態が、である。
「今召喚しただけでも結構な数だものねぇ・・・しっかりどこに行っていたか教えてもらえるなら文句はないけどね?それにしてもだよ?これから部屋作りもあるんだから、無茶は程々にね・・・」
【個人的に来てほしい方はとにかく大きいですからな。暫くモニタリングで我慢してもらっていますので御心配なく。となると、招かれる様な縁は・・・何かの間違いでギルガメスとか来たら非常に面白い事になりそうですな御機嫌王】
「ふはは、言霊は力を持つのだ控えるがよいぞ。その様な事になればハルマゲドン待ったなしではないか!流石に与太イベントを挟みすぎであろう!」
「ギルガメス・・・??」
【王様が改築している間に説明するから楽しみにしててね、ゴッフ所長】
ゴルドルフ、ニャル、代理サポートの面々により召喚は続けられる。今回の召喚の区切りが見える中でも王は油断せず、セイバーがやってきた際のリアクションを暖めている。いい機会なのでフォウとエアには寝て休息をとらせているため、声はやや抑えめな王であるのだ。認めた者には事細やかな気遣い、気配りは忘れないのが王クオリティである。彼を知るものには驚天動地な話だが。
「よし、ではサークルを回せ。そろそろ改築の時も迫ってきている。大勝利と行けば身も入ろうものなのだがな」
【こればっかりは運ですからな、運。どんな英霊、神霊も呼べるくらいに召喚システムは強化されてますが、そのかわりピックアップも出現確立アップも無いわけで】
「お目当て一人を福引きやガチャガチャで一発勝負で当てるようなものだろう?王様じゃなかったらとっくに心が折れてしかるべき無茶な勝負じゃない?むしろここまでめげない諦めないだけで充分すぎると私は思うよ。いやホント切実に」
あらゆる英霊を招くとは即ち、ガチャに放り込まれる景品が増えていき母数がますます増えていくということに他ならない。歴史を紡げば紡ぐ程ガチャは難易度を上げ、回せど回せど目当てが出る可能性が上がることはない。大海をコップで掻き出すような行為に似た王のガチャ行為は、敗北の因果を収束させている理論を大いに裏付けているきらいがある。大いにある。
「敗北したとて立ち上がれば負けではないのだ。何を学び、何を考え、次に何をするかにより敗北は糧か汚点かどちらかに姿を変える。我はガチャにおいて汚点なぞ背負っておらぬ。何故か?ただの一度も折れなかったからだ!今はダメでも次は招く!そう信じて脚に力を込めて立ち上がればそれでよい!何十でダメならば何百、何千でダメなら何万よ!諦めぬとは、王の戦いとはそういう事だ。不死鳥と呼ばれた貴様なら理解できる節はあろうさ副所長」
「解る、解るともさ君ィ・・・コースを学び、カスタムの何が悪かったかを果てしなく考えまた挑む。その果てにハイスコアを更新した喜びと言ったら!代えがたい達成感と喜びだとも・・・あれの為にレースに挑むようなものだよね・・・」
【どっちかと言うと諦めさせる側なんでなんとも言えませんが・・・こんなに辛い目にあったんだから次にはきっといいことあると信じて困難に堪える人間は好きですよ私。やっぱりなんにもありませんでした、と私自ら突き付けたく非常になります】
ガチャにおいて三者三様の信念を語り合う珍しい組み合わせのメンバー。どうせなら休息がてらと寝かせているのでこの面子で召喚の評を行っているが、割と聞き上手な二人で会話は上手く回っている。そうこうしている内に、召喚のサークルに変化が現れる。
「召喚反応来たで!これは・・・復讐者やな!」
「ふむ、アルトリアに復讐者は果たして存在していたか・・・?」
【確かまだいなかった様な気がしますな。的外れでございましたな、王様】
「となると、心当たりがある方だ。外れとは言うまい。そのまま召喚せよ、我が赦す!」
王からしても馴染みのある顔、そうして現れし者を迎え入れる楽園の召喚サークル。アヴェンジャーのクラスとして現れた英霊は・・・
「・・・サーヴァント、マリー・アントワネット。クラスはアヴェンジャー・・・で良いのかしら。結ばれてしまった何かの縁。これからよろしくお願いいたしますわね、皆さん」
声音は冷淡にして淡白。肌も透き通るを通り越して蝋色。金色の瞳に、史実通りの王妃の肉体を再現された王妃がカルデアへと脚を運びにやってきた。今までの王妃を知るものからは、信じがたいほどに雰囲気が暗く、また冷たい。
「そこの太っちょのあなた、ブリオッシュと紅茶を御用意なさって?フランスのものは避けてもらえると嬉しいわ」
「わ、私かね!?わ、解った!てあれ、何で初手で顎で使われてるのかな!?」
【疑問の前に身体が動く。甲斐甲斐しいな副所長。男性にしておくのが勿体無いよ】
「君も手伝いたまえよ!?」
「よくぞ来た、憎悪の王妃よ。陽の面が強く再会は叶わぬと思っていたがな」
ユニバースのマリーは憎悪を増幅させられた為、本来のマリーのオルタは未知数であった。呼ばれるかも曖昧ではあったが・・・そこは生来の王妃。決して恥を知らないわけでは無かったのだろう。
「よろしくお願いしましてよ、豪華なあなた。私にフランスに関わるものを見せないことを気をつけていただけたなら、きっと仲良く出来る筈ですわ」
彼女の憎悪は一見すれば穏やかであった。叫ぶ事も精神の変調も少ない。ただ、フランスという全てを端的に嫌っていた。
「フランスは嫌いか?王妃」
「えぇ。好きになる理由があって?それ以外のものは大好きだけれど。ですからおふざけでも、フランスの紋章などを見せつけにならないでくださる?そんな事をされたら私・・・」
にこりと妖しく笑い、彼女なりのジョークを口にするマリー。ほんの戯れとして・・・
「ギロチンがとても恋しくなってしまいますもの。それではまた、ごきげんよう」
そのまま、優雅な所作で退席していくマリー・オルタ。燃え盛る炎ではなく、土壌を汚染する毒の球根がごとき憎悪にもなお、王は笑う。
「無関心ではなく、嫌うという時点が悲しいものよな。どこまで変わろうと、やはりお前はフランスを背負った女よ、マリア」
その逃れられぬ在り方もまた愉しむ様に笑い、楽園に招かれた憎悪と漆黒の黒百合を歓迎する王であった──
【フォウ君が眠っていたのが悔やまれますな】
「どのような反応をするのやら。いっそ窓から投げ込んでみるか?」
意外とイタズラ小僧的な悪巧みをする二人でもあった。
境井 仁(ゴーストオブツシマ)
仁「境井家の志村仁と申す。・・・俺が呼ばれた理由には心当たりがある」
カドック「なら話は早いな。歴史の交渉に付き合ってくれ。冥界より甦った侍、
「いや、俺一人だ。民を護るために行った数々が、一人では無理があると創作されたのやも知れん」
「一人で型を自在に操ったのか?」
「そうだ」
「数々の暗器を一人で使いこなした?」
「いかにも」
「トリカブトの毒や瀕死の傷も、気合いを込めるだけで快復したのか?」
「薬は貴重品だったからな。気合いで治る傷は治した」
「弓矢で五人の頭を射抜き、暗殺で五人を殺し、五人を斬り殺したのか?」
「武家の嗜みだ」
「護符を十くらいつけられたのか?」
「神社を巡り、力を借りてな」
「・・・気力が常人の三倍はあったのか?」
「無論、鍛練の成果だ」
「・・・伝承よりとんでもないってどうなってるんだ・・・まぁ、それはともかく・・・僕に、冥人の戦いを学ばせてくれ」
「何だと?」
「アンタは非道に手を染めたが、民を護る誉れは捨てなかった。勝つためならなんでもやる・・・そのハングリーさ、手段と一緒に学びたいんだ」
「・・・戻れなくなってもよいのだな?」
「僕の・・・サムライ風に言う誉れはカルデアの皆を助ける事だ。仲間を護る事だ。皆の影として皆を護れるなら、望むところだ」
「・・・では、一つ約束しろ。冥人の技を振るうのは、誉れを護り敵にのみ行うと」
カドック「・・・約束する」
「よし・・・ではまず和歌を読め」
「は?」
「気持ちを整えるのもまた、大切な事だ。技はその後だ」
「わ、解った。・・・ブシドーなんだな・・・」
カドック、冥人の技を学ぶ。仁とは新しく、拠点を建て直す事を申し立てる約束を行った──