人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ「ふふっ、まさかそっちから連絡してくるなんて!・・・フランちゃんの事?」

『お見通しか。・・・彼女、矛盾に苦しんでいるみたいなんだ。でも僕は、皆を危険に晒してまで彼女に何かをするべきなのか解らない。でも、見てみぬふりもできない』

「うんうん」

『・・・そんな時、君ならどうする?こんな時、君なら・・・』

「もちろん、自分が納得できるまでとことんやる!傷付いても、おせっかいでも、余計なお世話でも!まずは相手を笑顔にする事から!」

『リッカ・・・』

「誰かの為じゃなくて、私のために!助けたい人たちの笑顔を誰よりも見たいのが私で、悲しい顔を絶対見たくないのが私!だから諦めないし、見捨てないし、放っておかない!自分に悔いの無い生き方をしなきゃ、生きている意味はきっとないからね!」

『強いな、君は・・・やっぱり、僕には』

「違うよ!」

『え?』

「今のカドックは『僕たち』でしょ?」

『・・・!そうか、そうだ!その通りだ!リッカ、今から君に紅魔館で体験した状況を送る!君ならどうするかの意見をくれ!それを『皆』でやってみる!』

「もちろん!どんとこーい!」

~十分後

「うん、うん!マニュアルも送ったよ!頑張って、皆!」

早苗「熱心に話してましたね~!」

文「紅魔館攻略チームですか?首尾は大丈夫です?」

リッカ「もちろん!だって私達は──グランドマスターだから!」

(頑張ってね、皆!きっとできるよ!だって私達は──グランドマスターなんだから!)


可愛い子には、世話を焼け!

「こ、これはどんなドッキリなのか・・・?」

 

フランの狂気も引っ込む異常事態。なんと皆が会いに来た。地下室の今までにない喧騒を前にし流石に困惑しきりなのは無理もない。しかし皆、一息に力を合わせてここまでやって来た。フランに壊されるわけでも、餌でもない。彼女を楽しませる、友人としてだ。

 

「君が言ったんじゃないか。また遊ぼうって。だからこうして遊びに来た。君のリクエストに応えるのも、僕達の務めの一つだからな」

 

「しかし・・・なぜゆえ・・・」

 

「地下室だからって不衛生にしていいものではないよ、フランちゃん。最近ではデパートだって清潔な地下なんだ。君の住む場所は、まず皆で綺麗にしないとね!」

 

キリシュタリアが壁にタペストリーやポスターを貼りつつ笑顔を向ける。彼女の住む場所を幽閉の牢獄ではなく、楽しい場所にする。その試みを、皆で行っているのだ。

 

「厨房とか作ってもらえるみたいですよフラン様!これで門番が非番な際に中華料理作れます!なんちゅうかすっごく楽しみ!なーんちゃって!」

 

「・・・?何言ってるのおまえ。いいから運びなさい鍋!料理作るんでしょーが!ほらほら!」

 

「皆にはスポンサーの当てがあるそうよ!一気にリフォームというやつね!お徳よ・・・コネクションよ・・・」

 

「皆・・・で、でも。意味はない。どんなに立派な場所でも、どんなに素敵な場所でも・・・」

 

自分は壊してしまうから。破壊の能力はそれほど生易しいものではない。ふと手を握れば砕け散らせてしまう程の、誰にも止められない呪いでもある。だからこそ、彼女は閉じた世界に籠った。

 

「皆の頑張りを壊してしまう。ゆえに・・・いい。こんな事をしてもらわなくても・・・」

 

「フランドール、お前は病気だ」

 

「う・・・!?」

 

バッサリと断ち切るのはデイビッド。彼の観察眼と直感は並々ならぬものを持ち、抽象的でないアドバイスならばそれはほぼ的解と言っていい。そんな彼は、彼女の状態を異常と断じる。

 

「能力の暴走、それによる情緒の不安定さ、突発的な破壊衝動。それは幼児の精神に不釣り合いな力を持った事による長寿から来る長らく溜め込まれた自己嫌悪・・・自身を乖離させている事による精神からくる疾患だ。我々はお前を、そう判断した」

 

「私が、病気・・・」

 

「医療班と私でカルテを作ったわ。あなたは自らの力と心を恐れ、遠ざけている。分裂症や情緒不安定・・・適切な処置を行っていく必要がある心の病よ。それを含めて、あなたに触れ合っていきたいと私達は考えたわ」

 

「定期的なメンタルカウンセリングと、能力の制御を主題にしたカリキュラムを組みますので、これまで放置してしまっていた病巣を治療して参りましょう。長らく苦しませてしまい、申し訳ありませんでした。フラン様」

 

アイリスフィール、咲夜の言葉に目を白黒させるフラン。自身の破壊衝動は、能力は病気。それ故に治り、なんとかできるものと判断が下されたのだ。それが本当ならば・・・

 

「・・・皆と、遊べたりできる?」

 

「勿論だ。閉じた集落には不治の病でも、外の世界には幾らでも治療法はある。君の能力やその破綻ぶりも、なんとかできないものじゃないんだ。僕達は人間だが、ただの人間じゃない。魔術師、っていう・・・ちょっとだけ変な人間なのさ」

 

「白ゴボウ・・・」

 

「こら!せっかくの客人にそんな事は言ってはダメよ!いけないことよ!」

 

ぽこん、と頭を叩くレミリアに、目を向けるフラン。まさか、自分の事をずっと考えてくれていた?そんな事が、と驚きを読み取ったのか、レミリアは頭を下げる。

 

「・・・ごめんなさい、フラン。姉なのに、あなたの事をどうする事もできなくて、私達は目を逸らしたわ。あなたを見てみぬふりをした」

 

「お姉さま・・・」

 

「でも、皆があなたをなんとかしようと言ったわ。ここにいる人間達が。あなたに傷つけられても怖がらない、お馬鹿な物好きがいっぱいよ!」

 

「私は人間じゃないんだけど」

「ぐっちゃん、ここは空気を読みましょう。ステキな日曜日がかかっているの」

 

「私達も・・・『変わる』時が来たの。自分だけが楽しい日々から、皆で楽しい日々を造るのよ!」

 

(基本バカで抜けてるけど、演説やらせたら様になるよなレミリアのヤツ)

(なんというか、伊達にカリスマ名乗って無いってこと?)

 

「皆・・・」

 

「・・・正直言うとな。実行したのは僕達だけど、きっかけや発想の大本は、ここにいない僕らのリーダーのものなんだ。君への事も、彼女が背中を押してくれてさ」

 

そう、自分達だけでどうすればいいか解らなくなった時、誰かからアイディアをもらう柔軟性も大事だ。カドックはそれを実行し、アイディアを貰い、果たした。──誰よりも高く強く飛ぶ、優しく強い女の子の力を借りたのだ。

 

「君の命はこれからずっと長いだろ?だからここで、人見知りや引っ込み思案を欠点じゃなくて個性にしよう。最近じゃ、不思議ちゃん・・・とかなんとかで、そういうのもアリらしい」

 

「美肌に金髪、赤眼デストロイ吸血鬼だなんて素材活かさなきゃ絶対ダメよ!姉妹一緒に美少女ユニットとしても行けちゃうと思うわ!化粧とか興味ある?任せて教えちゃう!」

 

「君は私に似ている。なんとなく喋り方や雰囲気が。一言一言に重みがあるプレロー貪り主人公を目指せイェイ」

 

「・・・忌み嫌うものを見たくないのは普通の事。でも悲しいことに、それはいつまでも消えてくれない。少しずつでいい、自分で変えていくしかないの。少しずつでも、頑張った分だけ・・・素敵な明日はきっと来るわ、フランちゃん」

 

「・・・う・・・うぅ・・・皆・・・皆の衆・・・」

 

((((皆の衆・・・!?))))

 

「私・・・めんどくさくてずぼらで、笑い方がやかましくて無駄に力強い・・・それでもいい?」

 

自身の存在意義の確認。それもまたリッカマニュアルに記された大事なコミュニケーション術。キリシュタリアは素早くページを脳内で思い出し、思考を全員に共有する。

 

(皆、今だ!せーの!)

 

「「「「「それでいい!」」」」」

 

「お姉さまの次くらいにポンコツで、独占欲強めで無性にクローゼットの中で眠りたくなるけど・・・」

 

「「「「それでいい!」」」」

 

 

「・・・うっかり八つ裂きにしたくなったり粉々にしたくなったりする、あぶないやつでも・・・それでも、いい?」

 

「「「「「それがいい!!」」」」」

 

「う、う・・・う・・・う~・・・」

 

気弱な子には、柔らかく大胆に背中を支え押してやれ。今までにない自己肯定を受けたフランは、とうとう丸まりうずくまってしまう。

 

「これは!伝説のカリスマガード・・・!」

 

「知っているのかデイビッド!」

 

「あぁ。吸血鬼スカーレット姉妹にのみ伝わる伝説のガード方法。丸まり頭を腕でガードする様がまるで、小動物の様に愛らしい事から世界で一番可愛い下段ガードと伝わる幻の技・・・!」

 

「そうよ・・・(得意気)」

 

「そんなんだからかりちゅまなのよアンタ」

 

「う!?」

 

「で、ではその、あの・・・ふ、ふつつ、ふつつつかもの、ですが・・・」

 

「「「「「「・・・・・・」」」」」」

 

「・・・フランの治療・・・よろしくお願い、いたします・・・いっぱい、遊んでやって・・・ください」

 

フランもまた、優しさに一歩を踏み出す決心を成す。その様子を見て、カドックは息を吐く。

 

(君のように、君みたいに・・・意識し過ぎて逆に忘れてたよ。君だって、仲間だもんな)

 

自分に活路を示した、高く遠くを駆ける少女に・・・少年は静かに感謝を示した。そして──

 

「白ゴボウ・・・カドックだっけ」

 

「ん?」

 

「・・・幻想郷から帰るとき、あなたに渡す。私が拾った、ギター」

 

なんでギター・・・?皆がフランの遊びの場を作るなかカドックは再び、困惑の中へ──

 

『妹と笑い合え クリア!』




フラン「幻想郷に皆がいる間、治療を受ける事になった」

『カルテ』

「遊ぶのと一緒に。いったいどんな・・・」

ガチャ

キアラ「まぁ!御待ちしておりました、フランドールちゃん?さぁさぁ、お掛けなさって?」

グドーシ「気を楽に。こちら、そなたの全てを受け止め聞き届けるスタッフにござるよ」

フラン「美男美女・・・Σ(゚Д゚〃)」

~精神世界

フランドール【馬鹿じゃないの?私はそんなもの望んでない!私はただ壊したいだけ!私はただ破壊したいだけ!仲良しとかいらない、そんなもの必要ない!もっと、もっと壊したい!もっともっと!全部全部!】

?【ほう。ならまずは君の肥大化した尊厳を壊すとか、どうかな?】
?【はーい!そういうのBBちゃん、大好きです♪】

フランドール【誰!?】

這い寄るアレ【どうも!愛と狂気の伝道師、テップっていいます!メスガキを解らせるのがだーいすきなんだ!】
BB【グレートデビルな後輩、久しぶりのBBちゃんです♪あなたですかぁ?本人に受け入れてもらえず拗ねてる人格の一部さんは?】

【ち、ちがう!違うもん!私は吸血鬼!破壊の化身で、周りの奴等とは違うもん!】

【可愛らしいwでもまぁ大きくなってから思い出して発狂するのは可愛そうだからカウンセリングしよぅねぇ~。いい子にしちゃうよぉ~】

フランドール【ひっ!?触手!?キモい!離して!?】

【あなたの歪んだ深層心理、破壊の欲望。私達が叩き直しちゃいますね。具体的にはぁ~】

【【おしりペンペン!】】

フラン【ひ、い、いや・・・】

【さぁ叩く触手はいくらでもあるよぉ】

【素直にはいとしか言えなくしちゃいますからね~♪】

【いやーーー!!たっけてーーー!?】


吸血鬼カウンセリング中・・・&遊び準備中・・・

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