グドーシ「き、緊張するでござるなぁ・・・。拙者自身は悟りには遠いのやもしれませぬ。落ち着かれよ、落ち着かれよ拙者」
ジーク「心配するな。必ず受け取ってもらえる。君達の絆を、信じるんだ。君達から、この旅路は始まったんだから」
カーマ「・・・えぇ、そうですね」
グドーシ「・・・それでは、いざ、参りましょう。本当の意味で、悪龍を鎮める為に」
刹那『全員、所定の位置についているぞ』
「感謝を。──では」
「ここ、は・・・」
【w(゜o゜)w】
宇宙、曼陀羅、そして、高濃度GN粒子散布空間。奇跡の巻き起こる空間に二人で立つリッカ、アジーカ。巻き起こった虹色の嵐、それに圧倒されながら、導きの声に目を開く。
『そなたらを傷付けるものは断じて在りませぬ。さぁ、目を開けてくだされ』
『この景色は、二人の為のものですよ。リッカさん。そして・・・アジーカちゃん?』
グドーシ、カーマの声に従い目を開けば、そこには──彼女が紡ぎ上げ、そして辿り着いた縁の具現が。即ち、彼女に捧げられし光景が待ち受けていたのだ。その光景に、二人は声もなく圧倒される。
『これこそ、我等が作りし祝福空間。理想空間──即ち、ニルヴァーナにござるよ』
そこには、満天の星空が広がっていた。地上の明かりが存在しない頃合いに瞬いていた、どんな僅かな星すらも自己を誇る奔放な夜空。星の宝石を散りばめたような、天然の宝石箱。或いは、光を織物に纏めたような美しき紋様。いつまでもいつまでも眺めていても、決して全てを見据えられぬ様に広き空のキャンパス。
『インドっぽいスケールなのはごめんなさい。その、私とグドーシさん、ばりばりのインドなので・・・スケールもついつい誇大になりがちというか・・・』
踏みしめる足場は、なんと天の川の上。足下にも敷き詰められた星々の輝きが、二人を祝福し、導き、それでいて目指す場所へと連なっていく。星空、星の道、そして虹色のオーロラが、少女二人の軌跡を暖かく祝福する。
「こんな綺麗な場所・・・あっ!あそこの向こうにあるのって、菩提樹・・・!?」
遥か向こうには、咲き誇る華を付けた菩提樹。なんと、遥か遠目でも解るような虹色の華を満開に咲き誇らせている。そしてその頭上には、美しき虹がかかり流星群が降り注いでいるのだ。実に、幻想的なる秘境の景色。
『ご足労ですが、思い切り駆け抜けちゃってください!菩提樹で、プレゼントがありますよ!』
『行け。お前を祝福する全てが、お前の到着を待っている』
「サナちゃん・・・カルナさん・・・」
【ε=(ノ・∀・)ツ】
「あ、ちょっとアジーカ!待ってぇ!」
辛抱たまらぬとばかりに駆け出すアジーカを、慌てて追いかけるリッカ。その二人の足跡は、虹色に輝き祝福の宇宙を満たし、遥か彼方にまで続き往く──
~少女疾駆中・・・
『リッカ先輩、わしと日本を制する約束忘れてはおらんかの?リッカ先輩とわしは一心同体!今度こそ二人で日本天下を我が物にしちゃおうではないか!』
『リッカ。君は私の教えをよく守り、健やかに育ち、逞しく誇り高く育った。君は最早、理不尽に耐える者ではない。その姿で、他者に希望を与える者だ。現世にて巡り会えた誇り高き我が一番弟子。君の苦難ありし時、私が共に乗り越えよう』
『リッカ。まじんさんの事を大切にしてくれてありがとう。無穹の果てで消え去るだけだったまじんさんの為に笑って、泣いて、悲しんで、一緒にいてくれた。忘れない。ずっとずっと、リッカは私の大事な大事なマスターだ』
「皆・・・!こんなに・・・こんなにたくさん・・・!」
星の床を踏みしめる度に、星空に笑顔が浮かび感謝が降り注ぐ。彼女が紡いできた縁、彼女が救ってきた奇蹟。それら全てが、星の瞬きのように浮かんでは彼女の胸の中へと消えていく。
『会った時より少しはマシになったわね。それでこそ!この女王が認めたライバルよ!』
『あとはバッチシな恋、見つけるだけじゃん?あ、言っとくけど最低限坂上くらいに魅力的じゃなきゃリッカとの交際、NGだし!一緒にとびきりな相手見つけよ!ねっ?』
『焦らんでええんよ?あんたはんはゆっくり、じっくり大きくなるとえぇの。うふふっ。酒盛り、期待して待っとるさかいに。ね?』
【(゜ロ゜)スゲェ】
もちろん、リッカだけではない。リッカの力の源たる彼女、アジーカにも祝福は託されている。彼女は人類悪──即ち、人類を愛する龍なのだから。
『アジーカちゃん。君だってリッカちゃんの大事な一部なんだ。僕とゲーティアは、最後まで不理解なまま終わってしまったけれど・・・君とリッカちゃんは二人で一人なんだよね。君がいてくれて、君がリッカちゃんの力になってくれていたから彼女は頑張れた。本当に、ありがとう』
『あなたも、また。わたしの、みんなの。こどもで、なかまで、だいじな、むすめ。ありがとう、アジーカ』
『はい。どんなに虐げられても、否定されても、決して誰も恨まず憎まず愛を掲げ続けた小さな龍さん。愛の女神の太鼓判、あなたにばっちり押しちゃいますね?ふふっ・・・』
『プレシャス属性12倍弱点なのは非常に親近感が湧くね!君とボクは兄妹みたいなものだよ。今度一緒にプレシャスについて語り明かそうじゃないか!ボクは君を、歓迎するぞぅ!』
【(*/∀\*)】
サーヴァント、職員、元ビースト。それらが分け隔てなく彼女達を包み、祝福として流星群となり注がれる。胸を満たす万感の想いと、感激の涙をぐっと堪えながら。彼女達は進んでいく。
『いつもありがとう』『頑張りすぎるなよな!』『たまには、大人にも頼ってね』『君がいてくれて良かった』『私達は、あなたに感謝しているわ』
「アジーカ・・・こんなに、こんなにいっぱいの『ありがとう』が溢れてるよ」
『流石はヘラクレスの弟子だ!褒めてやる!』『またシミュレーション行こうなー!』『見事だ我がマスター!現代のアナト!我が興味、尽きず在る!』
【(o^-^o)】
『鎧のデザインも可愛く出来たらいいね!』『どうしてバイクと合体しないんだ・・・』『アジーカ君!ワンオフ交流を!』『ここは安心安全直流アーマーで!』
『あのときはホント、ごめんね?グガランナ・・・』『君がギルと、エアのマスターで本当に良かった』『こんな根暗で、恐ろしい私と友達になってくれて・・・ありがとう、なのだわ』
「うん、うん・・・!」
『次はルチャ!極めまショー!また熱いルチャやりたいデース!』『ヤコブ神拳、やってみない?しごいたげる!』『ハレルヤー!ハレルヤー!リッカちゃんハレルヤー!お姉ちゃんが祝福しまーす!』
駆け抜ける。駆け抜ける。祝福の満ちた星空を、駆け抜ける。
『ありがとう。我が麗しの愛娘が一人。私に、善の味を教えてくれて、本当に』『あなた様の物語を、これまでも、これからも。いつまでも・・・』
『リッカさんと出逢い、下総を駆け抜け、気が付いたなら空に至って!もう本当、千両箱にも収まらない素敵な宝ものをいただいちゃいました!あなたの雷位は、呪いじゃなくてきっと母上からの贈り物。腐らせず曇らせず、一緒に磨いていきましょうね!』
見れば、アジーカからもリッカからも虹色の粒子が溢れ出ている。偽りない美徳と、感謝と、願い。それらが人類悪たる彼女らを解きほぐしているのだ。
『心から、あなたに感謝と誓いを。光溢れる世界に、あなたがずっといられます様に』『楽園の顔たるマスターは、君しかいないよ。私の娘をどうか、よろしくお願いね』『うん!アタシも新入りママとして、やっちゃうからさ!』
『リッちゃん。本当に辛いときに傍にいられなくて、支えてあげられなくてごめんなさい。本当は、あなたが誰より助けてもらいたかった筈なのに。あなたが誰より、救ってもらいたかった筈なのに・・・』
「サナちゃん・・・」
『だから!だから今までの分!二人に思い切りぶつけちゃいますよ!さぁ覚悟してください、悟りの樹の下で!リッカちゃんを完全撃破しちゃいます!』
「──此処を、真っ直ぐだ」
貧者の一灯──暖かく標として立つカルナの指差す方向には、虹色に輝く華を実らせた菩提樹。そしてその樹の下には──
「始まりの、お前の救いが待っている」
「──うんっ!」
【v(´▽`*)】
その言葉を背に、リッカ達はいよいよ辿り着く。祝福の源泉にして、彼女の始まりの原初へと──
『安寧を求めず、常に自己の限界に挑む龍がごとき女よ。──その命は、我等がマスターに相応しい』
『これからも、あなたにたくさんの・・・それこそ、この世全ての素敵な事が降り注ぎます様に。素敵で可愛らしい、かけがえのない貴女へ──』
虹色の菩提樹
グドーシ「──よくぞ、参られた。いやぁ、代わり映えせず真に申し訳ない。拙者、皆様に推され花束を贈る大役へと」
カーマ「アジーカちゃんには、私から。人類悪なんて物騒な物言い、私達には似合いませんものねー?」
アジーカ【(  ̄ー ̄)】
リッカ「・・・ううん。変わった。変わったよ。私も、グドーシも。始まりからとってもとっても、変わったよ」
グドーシ「えぇ。拙者はこうして、リッカ殿のお側に。リッカ殿は、この星空がごとき祝福の中に。アジーカ殿は、人類史を護りし龍に」
カーマ「愛とは、色んな形があります。それはどれも、初めはあなたに与えられていなくて。──私が不甲斐ない間にも、あなたは愛を抱き生きてくれた。女神として、こんなに嬉しい事は他にありません。えぇ・・・あなた方に会えた私は、宇宙に満ちるどんな私よりも幸福です」
グドーシ「どうかこれからも、いつまでも。祝福と、光の素晴らしさを受け止め、闇のおぞましさと恐ろしさ・・・そして、静かな安らぎを忘れることなく我等の最先端を駆け抜けてくだされ。それが、拙者の──」
リッカ「・・・っ・・・ッ──・・・っ・・・」
「───僕の、願いだよ。本当におめでとう。産まれてきてくれてありがとう。明星の様に輝く僕の運命・・・藤丸、龍華」
カーマ「これからも・・・その。『人類愛』として人類を護ってあげましょうね、アジーカちゃん。まぁ・・・私にとっての人類はリッカさんとグドーシさんだけなんで、他はどうでもいいんですが」
リッカ「うんっ・・・うんっ!ありがとう・・・ありがとう・・・!皆、皆・・・ありがとう・・・ありが・・・・・・っっうぅぁあぁあぁぁ・・・!!うぁはぁあぁあぁ・・・!!」
感極まり、花束を抱きしめ崩れ落ちるリッカ。そして──アジーカに、変化が起きる
【(O゚皿゚O)】
「えっ、アジーカちゃん!?」
アジーカの身体に、虹色の粒子が満ち溢れる。辺りに満ち溢れる祝福が、宇宙の全てがアジーカに集っていく。
「これは・・・?」
「も、もしかして・・・人類悪が顕現するように、アジーカちゃんがフォウさんのような
──其処には、この世全ての悪を鎧として纏う悪龍の姿は無かった。
『(((o(*゚∀゚*)o)))』
其処には、虹色の鱗を身体中に纏い、透き通るような白色の肌を露出する、三対六枚羽の巨大なるドラゴン。大いなる翼膜は、オーロラを纏うかのような七色の反射。
早苗「1300記念にて、パワーアップしたのですか!」
文「あややや、なんと美しい・・・!」
金色の瞳は、世界の全てを優しく見守る。白金の牙は、理不尽や不条理を噛み砕く。アジ・ダハーカ・・・悪龍の名の他に、人類愛としての名を懐く者。
『──みんな。ありがとう』
カーマ「!言葉を!?」
『アジ・ダハーカは、あくりゅうのなまえ。でも、みんなにたくさん、いいこころをもらったから。あたらしいなまえ、てにいれた』
グドーシ「それは?」
『──ウォフ・マナフ。ぜんなるいし、ウォフ・マナフ。アジ・ダハーカでもあるし、ウォフ・マナフ。りょうほう、わたしのなまえ。リッカのなまえ』
ウォフ・マナフ──善なる意志。悪龍の力と、善なる意志。それが、人類愛としての新たな名前。
リッカ「どんな、事にも、私・・・挑むから・・・ぐすっ・・・どんなに辛くても、誰に責められても、皆の生きる世界を、未来を護る為に頑張るから!」
アジーカ・ウォフ・マナフ『みんなのぜんなるいしを、あくなるちからでまもる。それがわたしたち。それがアジ・ダハーカ。それが、ウォフ・マナフ。ありがとう、みんな。ありがとう──』
グドーシ「善き意思を掲げる、黒き悪龍。それが、リッカ殿の真理なのですなぁ」
カーマ「はい。どちらかではなく。どちらも。──とっても『らしい』ですね」
虹色の大翼より、七色の粒子──プレシャスパワーを生成するアジーカ。彼女もまた、プレシャスパワーの一端に触れたのだ。
『だれかとだれかがつながる、このせかい。いつまでも、いつまでも、つづきますように』
「護るから!私が、私達が!皆で!皆が生きる、この世界を!邪魔するものを、全部蹴散らして進みながら!」
祝福の果てに──龍は真の意味で、人類が掲げる愛へと目覚める。
それは、【未知】が『理解』へと繋がった瞬間─
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