士郎「さーて、今日の御飯は何がいいかなぁ。セイバーの食費は安くない。安くないからなぁ」
(無闇に断食しようものなら後ろから刺されそうだし、全国のお母さんは本当に凄いんだって頭が下がるよ、本当に)
?『そこのお兄さん。そこのギル・・・王の天敵っぽいお兄さん』
士郎「?俺・・・の事か?」
ラマッス仮面『訳あって仮面で失礼するラマッス。予想の辺り、あなたは今献立に悩まれておりラマッスな』
「あ、あぁ・・・どちら様?」
ラマッス仮面『ワタシはメソポタミアとそこの王様と文化と民と風土と特色と発明と活気と歴史と王様をこよなく愛するメソポタミア愛好者ラマッス。これは神獣、ラマッスを象った仮面ラマッス。赤毛のあなた、もし良かったらお昼御飯はこちらにするラマッス』
士郎「え・・・あ、あの。御代は!?」
ラマッス仮面『問題ないラマッス。どうか美味しく作ってほしいラマッスよ。それでは、また会うラマッス』
士郎「あ、ちょっと!・・・」
『材料一式』
「・・・よし。やってみるか」
「ただいまー。今帰ったぞ~」
舞台と視点は少し移り、ここは少しばかりガス爆発と集団昏睡、集団幻覚の群発地域、冬木市。魔術師の熾烈な戦いがあったり赤毛の少年が日々デッドしたりする世紀末な空間。何やら満足しそうな日本屋敷建築に、買い出し材料を両手に持ち帰宅する男の子が一人。
「おかえりなさい、シロウ。丁度正午に差し掛かる時に帰宅するのは流石です。相変わらず私の心を動かすのが上手ですね」
金髪碧眼の地上の星、ドル箱ヒロインが心待ちに顔を出す。彼女はセイバー。アルトリアと呼ばれる方が珍しかった太古の、懐古の、そして聖杯戦争にて遅れをとらなかった(?)セイバーである。そして彼こそは、最近村正に転生した件の元祖主人公、ユニクロ愛好家・・・衛宮士郎その人である。皆大好き例外だらけ、家事炊事エンジョイヒューマンエミュロボット(原作者談)な彼。そう、ここはfateの名を冠するにはあまりにも異質な世界。あまりにも優しい世界。特に誰も死なない。ストーカー気味な金ぴかも出番あんまりない。セイバーの胃袋に優しい世界。
「それでは──今日の御飯は、なんでしょうか」
そう。──衛宮さんちの今日の御飯である。我等がバトラー、ブラウニーな彼の、セイバー胃袋キャッチの一幕が続くあったけぇ世界。正月早々、穏やかな一時が始まる──。
~
「今日は、メソポタミア料理に挑んでみようと思うんだ」
「正気ですかシロウ・・・」
「待て待て、何のイメージに引っ張られているのかは大体解るけど露骨にイヤな顔をしないでくれって。実は、食材買い出しの時にライオンの仮面を被ってる人から、食材とレシピを渡されてさ」
前書き参照。
「せっかくだから、今日は思考と嗜好を変えて異文化に触れてみようじゃないか。大体の文化の興りはメソポタミアって言うし、俺も色んな料理に挑戦するのはいい経験になるはずだし・・・どうかな?」
「むぅ・・・。メソポタミア、というか英雄王にいいイメージは全くありませんし、日本料理を知った私の舌がどうなるかは解りませんが・・・まぁ、ガウェインのマッシュポテトよりはマシでしょう。美味しくお願いいたします、シロウ」
残飯と比べているレベルの評価を下すセイバーであるが、文明に罪はない。そして士郎の腕前は立派に誇れるレベルのもの。其処はきちんと信頼するセイバーである。アヴァロンカップルは伊達ではない。
「楽しみにしていてくれよ。じゃ、早速始めるか!」
そうして作られた、ある意味でのコラボ回。小説という味覚とは程遠い媒体にて、士郎がセイバーの宿敵たる王の統治した地の料理に挑む──。
~古代メソポタミアパン
材料
ビール500ml缶
エンマー小麦(古代小麦) 200g
セモリナ粉 200g
薄力粉 200g
塩 1つまみ
ハチミツ 少量
「エンマー小麦・・・要するに古代小麦、セモリナ粉、薄力粉、塩、ハチミツをボウルに入れて・・・ビールを注ぐんだな」
「解ってはいましたが、素朴ですね。ですがきっちりと製作の体を成しているのは流石といったところでしょうか」
「そうだな。其処は流石、最古の王様を名乗るだけあってしっかりしてる。それで、これをよくこねたあと、耐熱容器に移し余熱したオーブンで180℃45分焼き上げて完成・・・おぉ、手軽だなぁ」
「料理は慎ましく、そして手軽であるというのに。何故王はあの様な装飾過多な事に・・・」
「まぁまぁ、民の皆が一生懸命考えたんだろうさ。じゃあ待っている間にもう一つか二つ・・・」
ラマッス仮面『パンとビールの結びつきは強いものラマッス』
「何者!?」
「この声・・・さっき会った人だよ。ラマッス仮面・・・だったっけかな?親切な人だったなぁ」
『湿ったパンからビールが生まれ、ビールの酵母からパンが作られたラマッス。今回ご紹介したパンはイースト菌を使わず、ビールを注いでパンを作る原始的な体験を味わえるパンラマッス。食材をボウルに入れて混ぜ、オーブンに予定時間入れれば完成。腹ペコな王様のお腹をなだめるいいパンラマッス』
「む・・・」
(・・・この獅子面。まさか・・・いや、そんな筈は・・・)
「セイバー?」
「いえ、何でもありません。ですが私を唸らせるにはもう少し量を増やして貰いたいものです」
『抜かりはないラマッスよ』
~レンズ豆と麦の鶏肉リゾット
材料(4人前)
レンズ豆 30g
大麦 50g
長ネギ 1本
タマネギ 1/2個
鶏肉 200g
にんにく 1片
赤ワインビネガー 50cc
ミント 適量
塩 適量
ビール 100cc
ハーブ類 各1枚
水 1リットル
『鶏肉を一口大に切り分けてから冷水で洗い、ミントと塩を鶏肉に擦り込んだ後、1時間冷蔵庫に寝かすラマッス』
「音声ナビしてくれるんだ。親切だなぁ」
「むぅ・・・あの獅子面・・・」
『沸騰したお湯の中に入れ、弱火で約30分程度煮込むラマッス』
「まさかリゾットまであるなんて。伊達に最古を冠してる訳じゃないって事か」
『上の工程で出来た中に赤ワインビネガーで味付けし、ハーブ類を入れるラマッス』
「あの獅子面・・・」
『長ネギ、にんにく、タマネギのみじん切りを加えるラマッス。指を切らないようにするラマッスよ』
「ありがとう。なんだかお料理教室みたいだなぁ」
『レンズ豆と大麦と塩を入れ、さらにビールを加えて煮込むラマッス』
「おぉ・・・英雄王は不倶戴天ですが、その文化は中々・・・」
『鶏肉が煮上がったら、野菜類と豆類と共に皿に盛りつけるラマッスよ。センスに期待するラマッス』
「あぁ、料理は味と同じくらい見た目が大事だからな」
『最後にミントを散らして完成ラマッス。メソポタミアの素朴にして王道の味・・・召し上がってほしいラマッスよ』
「おぉ・・・し、仕方ありません。敵情視察も兼ねて早速いただきましょう、シロウ!」
「あぁ、じゃあ早速・・・」
「「いただきます!」」
セイバー「・・・ん、美味しいです!おのれ英雄王、認めなくてはなりません。あなたとは相容れませんが、あなたの遺した文化は素晴らしいものです。このパンがあればブリテンはあと五年くらいは・・・」
士郎「量もあるし、きっちりと料理の体を成してる。これが何万年も前にあっただなんて不思議な感じだな・・・」
ラマッス仮面『豆知識ラマッスが、レシピには『お前は◯◯をした』という風に記されているラマッス。これは神が人間に料理を作らせている、といった意味があるラマッスよ。そして人間は、神が労働を肩代わりさせるために作ったとされているラマッス』
士郎「へー。俺、ゾロアスター神話くらいしか詳しくないからなぁ」
セイバー「ご馳走さまでした。・・・非常に美味でしたが、量はかなり控えめでした。腹八分目と言いますが、物足りなさがあるのも事実・・・貴公はラマッス仮面と名乗りましたね。もう料理の素材やレパートリーは無いのですか?食において限定で、メソポタミアにもっと触れたいと感じているのですが・・・」
ラマッス仮面『その言葉、待っていたでラマッス』
ピンポーン♪
士郎「誰か来た?」
玄関
ラマッス仮面『二人に、メソポタミアシチューを振るわせてもらいたいラマッスが・・・』
士郎「さっきの!」
セイバー「ラマッス仮面殿・・・!」
『ワタシ、メソポタミア料理を修行中の通りすがりの獅子ラマッス。二人に是非、腕前を見てもらいたいラマッス』
士郎「お、俺はもちろん構わないけど・・・どうする?」
セイバー「シチュー・・・メソポタミア・・・いいでしょう!受けて立ちます!私を唸らせてみろ、ラマッス仮面!」
ラマッス仮面『ありがとうございラマッス。頑張るラマッス』
セイバー(正体は気になりますが・・・悪い人ではない。私の直感が言っています。大丈夫。メソポタミアの手並み、拝見させてもらう!)
士郎(シチュー食べたいんだな、セイバー・・・)
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