人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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人里 団子屋

早苗「まさか鬼の土下座が見られるなんて思いませんでした・・・!顔面が石畳を割るんですね!」



萃香「すまんかった~!(ズガァ)」

諏訪子「神の歩く道がー!?(゜ロ゜;」

「悪酔いして、八つ当たりして・・・鬼として恥じるべき失態だ!本当に、本当に・・・悪かった!ごめんよ~!(ドギャァ)」

神奈子「境内・・・石畳・・・(゜ロ゜;」



文「鬼の失態、スキャンダルでも書こうかとしましたが・・・後が怖いんで止めましたよ!そんな事よりリッカさんの大活躍!怪力無双!人と鬼のがっぷり四つ!な記事を書く方が先決です先決!」

リッカ「えへへ・・・皆が力を貸してくれたお陰だよ~。でも、うん!皆が信じてくれた私が!凄くないわけ無いよね!私は!凄く!凄いぞーっ!」

早苗「はい!リッちゃんの凄さは世界一~!天下一~!」

リッカ「あっダメ褒めると!急に褒めるとプレシャスがぁ!」

?「あ、あの~」

文「ん?・・・あなたは!?」

ウサミミ少女「つ、つかぬ事をお聞きしますが・・・そちらの御方は藤丸リッカさん・・・『楽園』のグランドマスターで相違ないですか・・・?」

早苗「あなたは・・・!?」

リッカ「ウドンゲイン・・・!?」

うどんげ「ウドンゲイン!?は、はい!うどんげです・・・その、お話、よろしいですか・・・?」


テンション極まった面白外国人と大神が重なり狂騒に見える

「成る程、此処が人里!怪異と神秘溢れる幻想郷で儚く、慎ましく生きる方達が住む人間の里!イニス、旅の醍醐味と言うのはね?異なる文化や世界や親交を深め見識を広める事にあるんだよイニス!私も今、猛烈に興奮している!解るかい、このテンション高まった外国人旅行者な私を!」

 

「あはは・・・はい。見ればよく解ります。元気ですね、キリシュタリア」

 

キリシュタリアと、そのサーヴァントイニス。この二人はわざわざ幻想郷の端にある神社から何をしにきていたかと言うと買い出しである。人里にある食材、反物、その他諸々を懐が潤いに潤った霊夢が持つ事により、代理として買いに来たのである。霊夢はものぐさなため、誰かに行ってもらうことにしたのだが・・・

 

「レイシフトではない生身の、今の時代を足踏むという高揚はやはり格別だ・・・!リッカ君が護った、オルガマリーの研鑽が繋いだ未来というものがどれ程素晴らしいか、万に並べた言葉より一目瞭然というもの!興奮、きっと収まらないだろう・・・!早速探索に出ようじゃないかイニス!」

 

すっかりジャパン、ゲイシャを目の当たりにした面白観光外国人と化したキリシュタリア、辛抱堪らぬとばかりに駆け出す始末。護衛としているイニスを引っ張る勢いで、人里の風景に溶け込んでいく。

 

「解りました、解りましたから落ち着いてキリシュタリア・・・!心配はしていませんが、あまり私から離れないように・・・!」

 

「大丈夫だとも!妖怪や魑魅魍魎が跋扈する幻想郷にて人が生きていられる、即ちそれは万全の治安が為されているということだからね!正直なところ、君と一緒に巡りたかったんだ!リッカ君の故郷の地を!ほらほら、止まっている場合じゃないぞイニス!一緒に行こう!」

 

はしゃぎにはしゃぐキリシュタリアに、苦笑まじりについていくイニス。大層な服装や、立派な礼装で誤魔化す必要もない彼は、包み隠さぬ己を示している。

 

「わかりました。あなたの傍に仕える身として、頑張らせていただきますからね・・・!」

 

イニスもそれを把握し、せめてマスターが本来の目標を忘れないように傍に侍る事を決意する。

 

(私が上手く、マスターをサポートしなくちゃ。買い出しもできないグランドマスターだなんて笑われてしまうから・・・!)

 

そんな決意を燃やすイニス。だが、そのキリシュタリアのはっちゃけぶりはまさに奔放。奇しくも彼が宿した大いなる大神の如くに──

 

~SMやお仕置きは相互理解なくして成立しない ニャルラトホテプ

 

「毎度あり!お姉さん、また来てね!」

 

「はい、ありがとうございます」

 

イニスはメモとにらめっこし、買うべきものを買うべき店から仕入れ、調達し、買い出しを完遂していた。自身はまだすべてを思い出せないサーヴァント。こういった雑務でカバーしなくてはならないという決意が、行動の迅速化に繋がっていた。メモと照らし合わせ、目標の仕入れを確認する。

 

(キリシュタリアはうまくやっているでしょうか。彼は何処に・・・)

 

不安げに辺りを見回す褐色の性別不祥の見た目美女。その不安げな視線が、やがて声に引き付けられる。

 

「なんと!女手一つで家庭を切り盛り・・・!その健気さのなんと素晴らしい事か!一人の人間として、敬意を表します!」

 

「あっ、キリシュ──」

 

イニスが捉えたキリシュタリアは・・・迷いや不安とは、遥か疎遠なる場所にいた。持っている袋には目標の買い出し袋。買い出しは終わっている彼は、驚くべき行動を取っていた。

 

「お兄さんは渡来してきた方かい?ここじゃ見ない方だけど」

 

「えぇ!幻想郷に旅行しに参りました。素晴らしいところですね、此処は!」

 

「なんて眉目秀麗な御方・・・!写真、撮っていただけますか?」

 

「えぇ喜んで!」

 

「さっきはありがとうねぇ。荷物を運んでもらって助かったよ」

 

「お気になさらず!困った人を助けるのに理由はいらない・・・私達が活動する基本理念を遵守したまでですので!」

 

(と・・・とっても馴染んでる・・・)

 

ただでさえ長髪の絶世の美貌を持つ西洋の青年が、着流しの着物にて周囲に愛想を振り撒く姿が関心を集めない筈がなく。彼は人だかりを作るほどに辺りに打ち解けていた。老若男女隔てなく、奇異と好奇の質問に晒されていながらも笑顔を絶やさない。

 

「幻想郷、とてもよい所です!昔ながらの人情、暖かさ、平穏・・・それらを感じることのなんと素晴らしい事か!日本、よいところですね!」

 

「誉めてくれるじゃないのお兄さん。よぅし!野菜持ってけ!」

「飴ちゃんもどうぞ」「おまけしちゃうからね!」「遠慮すんな遠慮すんな!」

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

貰った贈り物に潰されそうになりながらも、礼を欠かさぬキリシュタリア。ぽかんとしているイニスを見つけ、手を振りながら歩み寄る。

 

「イニス!すまない、遅れてしまったね。興味が湧いたものに手当たり次第に話した結果がこれさ!我ながら、実に面白外国人ムーブを極めていたと思う!」

 

「あの、マスター?大丈夫なのですか?」

 

「ふふふ・・・大丈夫に見えるかい?自腹を切って買いに買ったお土産達!頼まれた買い物!貰った贈り物!私一人の身体では・・・こうさ!」

 

言葉と共に潰れるキリシュタリア。余りにも買いすぎて動けなくなるコミケ戦士がごとき有り様に、イニスは慌てて駆け寄る。

 

「もう、何をなさっておられるのですか・・・!もしも敵に狙われていたらどうなさるおつもりだったのです?」

 

「あはは、すまない。手当たり次第に話し掛けていたらこんな有り様さ。でも、私は自身の事の心配などしていないとも。何故なら私はグランドマスターの一人で──」

 

イニスを見上げながら、彼女に手渡すものが一つ。それは──髪に差す、美麗な簪。

 

「君という、素晴らしいサーヴァントが付いているからね。信頼する君がいてくれるから、私ははしゃぎ倒せると言うわけさ。これはそんな君に、似合うかなと選んだプレゼントだよ」

 

「キリシュタリア・・・」

 

「お礼をしてなかったからね。私の手術の際、ずっと傍にいてくれただろう?それの感謝と、これからの友好の証として、魔術も使って作ったんだよ。受け取ってくれるかい?」

 

その贈り物を受け取り、髪に差すイニス。褐色の女性に和風の簪。和洋折衷の美女が此処に現れる。

 

「ふふ・・・似合っていますか?キリシュタリア」

 

「あぁ、とても似合っている!ありがとう、イニス。レクリエーションであっても、どうしても君に、何かお礼がしたかったからね・・・気に入ってくれたなら、何よりだ!」

 

片時も忘れず、自身を慮るマスターの気遣いに、ギリシャにて美しき浜辺の美女は微笑む。

 

「えぇ、ありがとう。本当に──」

 

「いやぁ間に合って良かったよ。実はもっと早く出来る筈だったんだが、幻想郷には美人が多くてね。声をかけて回っていたら合流に遅れてしまったんだ!」

 

「は?」

 

「美人、美少女と話し込んだり悩みを聞いていたら、いつの間にか西洋の旅人だなんて話題を呼んでしまってね!いやぁ、お茶を奢ってもらったり一緒に反物を選んだり!いい場所だなぁ、この幻想郷は!」

 

イニスに一途ではあるが、人里の女性達にきっちり粉はかけていたキリシュタリア。まるで宿した力の主であるかのような振る舞いにイニスは困惑の苦笑と共に──

 

「『節度があんだろ、この馬鹿!!』」

 

「ぐはぁ!?」

 

「あっ──だ、大丈夫ですかマスター!?」

 

イニスは許そうと、霊基たる『カイニス』は許さねぇとばかりに、拳骨を脳天に叩き落とされるキリシュタリアであった──。

 

 




イニス「す、すみません・・・!サーヴァントがマスターに暴力など・・・!」

キリシュタリア「いや、構わないよ。むしろ本来の君、或いはカイニスの意志は想像より猛々しいのかもしれないね!」

イニス「・・・そう、ですね。口より先に手が出るような、野蛮な・・・」

キリシュタリア「無理もない、神話にて受けた仕打ちを思えばむしろ殺されないだけ温情だ。負担があるなら、いつでも言っておくれ」

イニス「・・・はい。ありがとう、キリシュタリア」

キリシュタリア「いいのさ、おおらかさはゼウスに学んだからね。──だが私も、ただ遊んでいたわけではないよ?」

イニス「え?」

人里の教師「──桐之助、そちらが君の従者なる者か?」

キリシュタリア「えぇ、『上白沢』殿。凶暴化した妖怪退治、手助けを行うに当たるプロフェッショナルです!」 

イニス「あなたは・・・」

「あぁ、すまない。私は人里の歴史の管理者、慧音。上白沢慧音(かみしらさわけいね)という者だ──」

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