~上空
早苗「私は飛べるんですがぁあぁあぁ~~~~!!?」
文「あんなちんたらしている飛行、飛行とは言いません!私が本当の飛行を今見せています!リッカさんどうですか!これが真の風神の景色ですよー!」
リッカ「ほわぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁ!!!」
この様に、幻想郷の反対から反対に、飛び回っているのであった。
伊吹神社
イブキ『虚無か。・・・天邪鬼が、裏表の無い世界を望むとは』
温羅「・・・火種は燻らせるより、処理するに限る。お前さんの狙いはそれだな?」
『ガス抜き、というヤツだ。未来に仇なす天邪鬼を、力が集った今対処した方が良かろう』
「──神に理屈や道理は意味無いのは知ってるつもりだったし、今更とやかく言わん。アタシも黙認したしな。同罪だ」
『・・・。天邪鬼に聖杯が渡るのは解っていた。だが、まさか、虚無に魅入られるとは・・・それは、良くなかった』
「何?」
『みんなでわいわい・・・そのつもりだったが、このままでは、幻想郷が無くなる。それは・・・ダメだ。ゆかいじゃない。温羅に意地悪したいわけじゃ、なかった』
「お前さん・・・」
『ごめん。・・・償いだ。下に降りる。一緒に、お願いしたい』
「・・・へへ。そういうとこ、やっぱ日本の神様は律儀だな!よし!じゃあ行くか!紫に連絡だ!もしもし?」
紫『温羅!何をしていたの今まで!今割と大変な事態なんだから、あなたも力を貸しなさいってば!』
「悪い悪い!今から貸す!返さなくていいぜ!」
『ふふっ・・・じゃあ、河童のところに向かってくれる?』
「にとりか?」
『えぇ。彼女達にだけは、虚無を【倒す】為の備えをしてもらっているわ──』
イブキ『・・・。対等な、おまえにだけ言う』
温羅「?」
『・・・ごめん、なさい』
「──気にすんな。おふざけで済ませるために、誰も犠牲を出さねぇぞ!」
『うん、わかった』
「よくぞ戻ってきてくれた!盟友と愉快な仲間たち!アップデートパッチを作ったのでニトライザーに組み込むんだ!音声シリアスモードが追加され、従来の音声と使い分けが可能になるぞぅ!」
迷いの竹林から超速度で引き返しやってきた妖怪の山、中腹の辺りにある時代を先取りする事に定評のある河童、にとりのアジト。その斬新なボイスに大反響(好評とは言ってない)を受け、真面目な方のボイスを実装する有能にとり。実質高品質大人玩具と化したニトライザーを受け、風圧で人を飛ばせそうな勢いで頭を下げるリッカ。
「ありがとうにとりちゃん!!これ、幻想郷に来た証として一生大事にするつもりだったから!本当にありがとう!」
「いいよいいよー!私もね、反響スゴすぎてもう少しで弾幕キューカンバーとなるところだったからね、命の危機だったからね」
「マスゴミは無いでしょマスゴミは!私は清く正しく、真実をスクープする清く正しいしゃめーまるですよ?あることないこと書いてないですから!(誇張はしますけどね)」
「?事実しか言ってないのにどうして怒られるんですか?」
「サナちゃん、人は真実を言われると大抵は怒るものなんだよ。中学生グドーシにスッゴく気を付けるように言われてたからね・・・」
「おっぱい巫女はあらゆる意味で現世で生きにくかったんだろうなーって私でも解るの凄いな!まぁ親友一人いるならプラス100だ良かったな!あ、下のスイッチ押すと切り替えできるから気分でどうぞ。本題だ!!まずはこれを見ろ!」
鼻息荒く自慢気に、にとりはとあるものを掲げる。首提げ紐に括られた社員証・・・それは、なんと。
「何々?カルデア技術開発部スペシャルスタッフ河城にとり・・・え!?にとりちゃんカルデアスタッフになったの!?」
そう、そこにはにとりの顔写真とカルデアスタッフ証・・・すなわち、楽園の一員とされる証の手形が発行されていた。経緯的に、スカウト出来るものなど一人しかいないだろう。
「人類を愛する妖怪という稀少性と、うるとらなんちゃらの技術再現が出来たのが評価されたらしい!これで私も晴れて楽園スタッフの仲間入りだ!メンサ会員になれるくらい嬉しいな!どっちがハードル高いんだろ?」
「まさかの配布枠はにとりちゃんですか!?東風谷ショックです!?びっくり的な意味で!」
「まぁ正直妖怪の山にあなたの理解者は現れないと思いますんで、適材適所なんじゃないですか?」
「歓迎するよにとりちゃん!え、幻想郷からお引っ越し!?」
「そうしたかったんだが、スキマ女が情報管理としてスキマを繋げて担当してくれるらしいんだ!行くのも通信も自由自在になったぞやったー!そして私に与えられたミッションが・・・これだ!」
ババンと出されたホワイトボード。其処には『虚無を越えろ!ゼロを1にするのは科学と絆だ大作戦!!』・・・とデカデカと書かれている。物凄く頭のよさそうな式と共に。
「まぁつまり今起きようとしている虚無、ゼロそのもの・・・グリーザだっけ?宇宙の現象をなんとかする為の幻想郷現地スタッフとして選ばれたみたいです。スタッフは私!リッカちゃん、早苗!文屋!よーし気合い入れてくぞー!おー!!」
「「おー!!」」
「大丈夫です?新人が手に負える案件じゃない自覚あります?まぁ月を半分滅ぼした痛快な現象を幻想郷が乗り越える痛快な瞬間というスクープ!逃さないわけなんですが!」
四人の心は一つとなる。瞬間接着的なスムーズさにて、迅速にプラン対応会議を行うにとり。判断が速い。これには平手打ち天狗もニッコリである。
「状況は大体解ってる。聖杯の欠片を持って頭がおかしくなった犯罪者が宇宙に穴空け宇宙ヤバイ!それで出てくるゼロ、虚無の存在をなんとかする為のあれこれを私は任された!問題提起その1!普通に戦ってなんとかできるか!きゅうり一本でフル回転した頭脳が導きだした結論は・・・不可能!!と出ました!」
断言するにとり。一分の希望を持たせないその物言いに、リッカと早苗は息を呑んだ。事象を多面的に見る文が意見を提言する。
「不可能・・・難解ではなく?リッカさんや、幻想郷全体の戦力を見ても?」
「ゼロには何を懸けてもゼロなんだ。本来この世に何もないなんてのはあり得ない。空気には微生物がいる、分子が混ざり原子がある。空間エネルギーは五から絶対に下がらない。本当の虚無、ゼロなんてあってはいけない。この世にあってはならないんだ。私は初めて聞いた時、頭がおかしくなるかと思ったからな。何かの悪い冗談だと。でも、あの怪しい黒いヤツから渡された黒いメダル・・・それを解析したら認める他なかった。私達は今、雲を掴むどころか虚無を倒すなんて無茶をしようとしてる。どれほどあり得ないかを理解しながら。そんなの・・・」
「にとりちゃん・・・」
科学の、聡明な者の見る世界は一般人とはあまりに違う。より解ってしまったのだろう。にとりの頭脳は幻想郷のオーパーツと言っていいものだ。そんな彼女が、虚無という現実に導きだしたものは・・・
「──すっげぇ面白そうじゃん!!人類が叡智と勇気を振り絞り、いよいよ完全なる『無』をも越える!こんな世紀の瞬間に立ち会えるとか科学者やってて良かったぁ!くぅーきゅうりうめぇー!!」
ある意味で狂気でした。虚無すらも制覇し、踏破しようと考えるその常軌を逸した思考回路こそ、英雄王が最も評価した要素なのかもしれない。
「そうこなくっちゃ!!うん、そのスピリッツ間違いなくギルポイント高い!納得!」
「だっしょー!?で、私はカルデア技術開発部と協力して情報を多彩な視点から把握した!凄いぞ楽園!私の数千年先の進歩してた!人間すげぇ!レイシフトとか英霊召喚とかてどうやってんだろ!まぁそれはともかく!」
「じゃあ倒す手段・・・宇宙の針も用意できたとかですかっ!?」
「もちろん見つけた、が!・・・リッカちゃんにとんでもない負担を強いる羽目になる荒業、そして私達もこれから無限と思われるパターンを解析しなくてはならない作業が始まるのだ・・・」
にとりはホワイトボードをしまい、黒板を運んでくる。それは、にとりなりに虚空にどう対応するか必死に考案したプラン、理論であった。黒板でありながら、チョークの白が八割で黒は二割である。びっしりと書き殴られているのだ。
「まず仮定として『宇宙の針』という存在は自然発生するものじゃないと思うんだ。宇宙の孔は偶発要素が重なって生まれるもの。だから魔王への聖剣、ドラゴンへのドラゴンキラーみたいに対抗策が用意されている訳じゃない。月の伝承も、楽園経由から読ませてもらった。この光の使者・・・黒いアイツの言葉を信じるなら、うるとらまんってヤツだ」
「ウルトラマン・・・!」
「そ、それじゃあ月の民は昔、ウルトラマンと一緒に戦ったと言うことですか!?」
「推論はそれが一番スムーズだった。・・・そして仮定なんだけど、なぜ倒したという事象だけが伝わっているのか?宇宙の針はどうやって作ったのか?何故それが行方不明なのか?・・・仮定の式を当てはめたら、嫌なことに合致してしまってな・・・」
「・・・『針』は、【穴】の中にしか無い。そういう事ですか?」
文のジャーナリストならではの頭の回転は、天才的な頭脳に追い付いた。沈痛な面持ちのまま、にとりは頷く。
「おそらく、月の使者は虚無に取り込まれた・・・或いはこの結論に到達し、宇宙の針を探すために飛び込んだのかもしれない。そして当時のウルトラマンがそれを掴んだ。孔を縫う宇宙の針を。そして倒した、いや塞いだはいいものの・・・」
「虚無と一緒に、帰ってこなかった・・・ですか・・・」
「・・・失伝しているのもそれが原因だと思う。当時の月の遥か進んだ科学と頭脳、ウルトラマン一人を犠牲にしてやっと・・・私達が挑むかもしれなのは、そういったとんでもない【現象】そのものなんだ。・・・結論を言うよ。宇宙の針を取り出すには、【グリーザの中から取り出すしか無い】。・・・必ず犠牲を伴わくてはならない、人柱ありきの戦いになるんだ」
「・・・グリーザの中から・・・」
突き付けられたプラン、それは楽園の旅路に立ちはだかる・・・否、大口を空ける孔。その結論無くては、宇宙の孔を塞ぐ事は叶わない──。
ウルトラマンゼロ『そう悲観する事でも無いぜ?』
リッカ「うわビックリしたぁ!?カプセルから声!?」
にとり「ふぁ!?ウルトラマン!?」
早苗「ゼロお兄さん!?」
文「あ、そう言えば初対面じゃなかったですね!?」
『おう!事態が事態だからな、今そっち・・・月の跡地に向かいつつ通信を飛ばしてる。しかしバカンス中にグリーザとはな。兄妹そろって、休みに縁がねぇよなリッカ?』
「大人気なゼロにぃほどじゃないよぉ。それで、さっきのどゆこと?」
にとり「すげぇ!!ウルトラマンだすげぇー!!」
文「お静かに!今大事な議論してるんですから」
ゼロ『あぁ。確かに宇宙の針はグリーザの中にしかないかもしれねぇ。だが、グリーザ本体だったら『理屈を越えた超パワー』がありゃなんとかなるんだ』
リッカ「理屈を」
文「越えた」
サナニト「「超パワー!?」」
ゼロ『あぁ。別次元で俺ので・・・宇宙警備隊の三分の一人前がそれでグリーザをなんとかしたって話もある。三分の一人前が出来たんだ。俺の妹にできねぇ筈がねぇ!』
文(それ三分の一人前って言わないのでは・・・?)
ゼロ『オルガマリーからも大体の事情は聞いてる。月の新王、ついでにかぐや姫だかなんだかを迎えに行くつもりだ。だからお前達はウルトラメダルを模した力、んでニトライザーだかでリッカの力を後押しするんだ。理屈も限界も越えた力で、ブラックホールより吹き荒れてやろうぜ!!』
「ゼロにぃ・・・!うんっ!!」
早苗「幻想郷と、カルデアと、ウルトラマンの協力・・・!うぉおー!!ウルトラ燃えて来ましたぁー!!」
文「大異変クラスなんじゃないですかこの力の入り様・・・いやまぁ解りますが!」
にとり「よっしやるぞー!!となると、理屈を越えた力を発するメダルの組み合わせが必要になるのかぁ・・・!」
ゼロ『その実験の手助けの為、スペシャルゲストを用意したぜ!どうぞ!』
ウルトラマンヒカリ『君かい?ウルトラゼットライザーを独学で解析した聡明な星人は』
リッカ「(あっ)」
にとり「ひゅい?誰?」
ウルトラマンヒカリ『私はウルトラマンヒカリ。君が作ったニトライザー・・・その前身、ウルトラゼットライザーの開発者だ』
にとり「・・・・・・開発者ぁあぁあ!?」
ヒカリ『安心してくれ、平和利用してくれたのなら何も言うことはない。幻想郷の少女達、楽園のメンバー達。それら全てのメダルを今から製作しよう。私も協力する』
早苗「青い・・・スパルタウルトラマン・・・!」
ゼロ『リッカ、お前はもう一人じゃない。これからも仲間にいっぱい助けてもらって、助け合っていくんだ。無茶や無謀な真似は、あんますんなよ?』
リッカ「──うん!!」
ウルトラマンヒカリ『時間はそうない。我々はグリーザを倒す想定で行動するぞ!』
ウルトラマンゼロ『俺達のビッグバン!グリーザに見せてやろうぜ!!』
「「「「おーっ!!!」」」」
聖杯虚空異変・・・そう呼ぶべき異変にもまた、希望はある。グリーザを『封ずる』キリシュタリア達に対し、グリーザを【倒す】為の備えをリッカ達は行う──!
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