人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
蘭「ん?」
『酒飲みに付き合いなさい!』
「なんと・・・」
(これは・・・間違いなく、面倒臭いテンションのあの御方!)
「行かねば・・・!」
???
正邪「古代怪獣」
【ゴルザ】
「古代恐竜」
【メルバメダル】
「宇宙戦闘獣」
【スーパーコッヴメダル】
「古代怪獣」
【ゴモラメダル】
「どくろ怪獣」
【レッドキング】
【【【【【【虚影の塵】】】】】】
【ふふふ、ひゃっひゃっひゃっひゃっ・・・】
【イカルス】
【バラバ】
【ベムスター】
【シーゴラス】
【ハンザギラン】
【キングクラブ】
【どこにいようと、何をしようと・・・虚無からは逃げられない・・・】
【レイキュバス】
【ガンQ】
【ゼットン】
【キングジョー】
【もっと、もっとだ・・・】
「うわぁ・・・」
突如、マスターたるぐっちゃんに呼び出されたサーヴァント兼付き人ポジションの仮面の美男子、蘭。顔がまぶしいシャイニングフェイスマンが浮かれに浮かれていたマスターからカルデアに置いてけぼりにされ、でも楽しそうなんでいいんですがと思ってみたなら突如再召集に何事かと思って来てみれば、そこはやっぱりぐっちゃんな訳で。
「遅いわよ~!あんたらしくもない、呼んだら五秒で来なさいよねも~!」
「酒ッ!飲まずにはいられないッ!モラルの壁と道徳に阻まれ荒れている、くそぅ!飲むしかねぇ!」
ぐっちゃん、こころによるやけ酒タイムであった。辺りに散らばる焼き鳥とビール缶がなんともいえない人間臭さを醸し出している。紛れもないダメ人間ムーブであるし、此処に本来の意味での人間はいない訳だが。
「またそんな破天荒な事を・・・今度は何をやらかしたんです?有り金全て博打で持っていかれましたか?」
「いつもやってるみたいな事言わないでくれる!?人助けよ人助け!それが高い倫理道徳の壁に阻まれたの!よくも私の愛を破廉恥だなどと・・・!くやしー!だから飲む!飲み明かすのよ蘭!付き合いなさい蘭!らーーーーん!!」
「シンイチィ!(山びこ)こんにちは、こころと言う!現実は辛いな、仕方無いね。よろしくっていうかカッコいいなお前の仮面!見せて!見せてくれ!」
「あぁちょっと!?無理矢理は、無理矢理は止めてください!ダメですって!何があったんですかもう・・・!」
絡まれまくる蘭、しかしこれは信頼の証であることには間違いない。こんな姿を見せられるのは性格外見共々完璧な蘭だけというぐっちゃんの揺るぎない信頼あればこそ。
「聞いてくれイケメン!私達は破廉恥なんだって!恥なんだ!もう生きていけない!日本酒キメるしかねぇ!ぐびぐび」
「は、はぁ・・・?破廉恥・・・?」
「ダンスよ!私の求愛のダンスを伝授したらそれが子供に見せられないってダメ出しを受けたわけよ!何!?私が破廉恥って言うの!?」
「それは間違い無く」
「らーーーーん!!!!(憤怒)」
埒が明かないので、関係する人と直近に二人が出会った者に聞き込みをし、現状把握に努める蘭。ついでに追加の酒のつまみを用意してくる辺り本当によくできた完璧超人である。理不尽な嫉妬ややっかみで服毒に追いやられた完璧ぶりは伊達ではない。ぐっちゃんの対極にいるような御方である。だからサーヴァントとして相性抜群なのだろう。
「成る程、つまりこころ殿を手助けするために、秘中の秘であった舞を解禁したものの、公共の場で発信するには目の毒かつとても刺激的でダメ出しをくらってしまい失意のままにやけ酒してしまったと」
「そうよそう!そういう事なの!流石よ蘭!」
「それではまず一つ。何故やる前に気付かなかったのです?」
「らーーーーん!?」
「大体見せたくないというのならマスターか私を付けていただければあなたの舞を見せることなく公共に刺激的なダンスを公開するなんて危ない賭けに出る必要も無かったでしょう。こころさんが純真で、あなたもまた人の機微に疎いがゆえの失態です。報告!連絡!相談!人助けとは報連相!その克己心は素晴らしいので、次はせめて私か、リッカ殿かオルガマリー殿に相談なさいますよう。よろしいですね?」
「で、でも」
「よろしい、ですね?」
「・・・はい・・・」
「蘭たその正論ラッシュ!効果は抜群だ!ぐっちゃんは倒れた!・・・借りてきた猫みたいだ、すげぇ・・・やっぱすげぇよ・・・ランは・・・(初対面)」
速攻で鎮圧された仙女ぐっちゃん。サーヴァントとしての蘭は、サーヴァントに求められる役割を完璧に果たす有能秘書の様なもの。項羽様と同じくらい、ぐっちゃんには必要なのである。
「こころさん、我が主の気の迷いに付き合わせてしまい申し訳ありませんでした。よろしければ、私にも協力させてはもらえませんか?あなたの想いは紛れもなく本物・・・正しき事には、正しき想いにて報いたいと願うのです。我々カルデアという組織は」
「イケメェン・・・わ、解りました!お願いしま・・・しましてやらんこともない!」
ナチュラルイケメンムーヴの前に敵などなく、あっという間に鎮静され、また協力を取り付けられる蘭。もはやぐっちゃんが持っていないものを全て持っているといっても過言ではないかもしれない彼が、こころより話を聞く。
「成る程。あなたの消滅がかかっているのはよく解りました。ならばポールダンスにかまけているお暇はありませんね」
「なんか言い方にトゲがないかしら・・・」
「よりによってサーヴァントを置いていく浮かれぶりを猛省していただきたい。承知いたしました。実は我等カルデアという組織は、古今東西の技術が集まる場所でもあるのです。ならば当然、古きは高天ヶ原、新しきは平成ダンス。あなたが踊るに相応しい躍りを吟味していただく事が叶いましょう」
「本当か!?」
「えぇ。私に叶う範囲で声をかけ、一緒にダンスの練習を致しましょう。今度は子供達が一緒に踊りたくなるような素晴らしい躍りを、是非とも」
「わーい!やったぞぐっちゃん師匠!リベンジだ、リベンジに行くんだぞ師匠!」
「え、私もやるの・・・と言いたいところだけれど。しょうがない。乗り掛かった船だしね。いいでしょう、最後まで付き合ってあげるわ」
「まぁそう言わずに。・・・、今、なんと・・・?」
絶対面倒臭がるだろうなぁとなだめる姿勢だった蘭、横っ面をぶん殴られる。なんと乗り気なのだろう。彼女は身も心もカルデアのマスターになったのだろうか。
「一々驚くな蘭!私とて薄情ではない、それにマスターの端くれとして自らの困難を逃げ出したりはしないわよ、別に!手を貸すのが人間でないなら尚更でしょう!」
「ぐっちゃん師匠・・・!」
「見返すのよこころ・・・!あんたと私、ダメなのは破廉恥なところだけ!それ以外は完璧に出来るダンサーだということを知らしめてやるの!そうと決まれば休憩終わり!やるわよ!ダンスで幻想郷を救う日を信じて!」
「おーっ!!あったけぇ・・・カルデアあったけぇ・・・」
「なんと・・・なんという・・・(感涙)解りました!ならばこの蘭陵王、全身全霊にて補佐いたします!カルデアにて芸能が達者な皆様に片端から講義の約束を取り付けます!なんとしても御二人の本懐を果たしましょう!ではまた後程!」
急に目覚めた最高に頼れる姉御肌のぐっちゃん。例えそれが一時のものであっても、初めて会った時の荒みきった彼女とはあまりに違う光と活力に満ちた姿。
「毒を飲み、世界に召し上げられた甲斐があったというもの・・・!この蘭、どこまでも補佐いたします!」
「・・・なんで泣きながら出ていったんだろ、あの雰囲気も多分見た目もイケメン」
「きっと私に会いたくてたまらなかったのよ。全く、私がいないとまだまだダメね、蘭。そういうところもギャップがあっていいと思うけれどね・・・」
割と本気で失礼な勘違いを行いながら、感動にむせびなく蘭の背中を見送るぐっちゃん。はたして彼女達は、ダンスで幻想郷を救うことが出来るのか・・・
「やるわ、こころ。最強のダンサーを目指すのよ!」
「おー!スタンディングオベーション常連になるぞー!!」
それは、やってみないと解らない。
蘭「ちなみにマスター、こころ殿の持っている聖杯の欠片は回収なさるおつもりで?」
ぐっちゃん「は?欠片なんてどこにあるのよ」
蘭「えっ」
ぐっちゃん「ポーチとブローチよ?どこに杯の様子があるのよ。ダメね蘭、言葉や見えるものだけを信じていては。私みたいに常に真実を見抜く慧眼と洞察力を磨きなさい!ま、難しいかもだけど!」
蘭「あぁ・・・(察し)それでは、行って参ります」
ぐっちゃん「ちょっと!何よそのあぁ・・・は!?蘭!?らーーーーん!?」
こころ「どんなティーチャーが来るのか、楽しみだな!」
(聡明なのは間違いないが、基本適当であることを失念していました・・・っ)
ぐっちゃんに無茶な聡明さを求めてしまった事を、深く深く悔やむ蘭でありましたとさ──