カイニス「あ?あ~・・・そうだな・・・」
『無茶なものはダメよ・・・?』
「クロワッサン」
「クロワッサン?」
「アイツはうめぇんだ。ゴルドルフ、いんだろ?一緒に作れ。んでオレにも寄越せ」
「クロワッサンか・・・あぁ、解った!ありがとう、カイニス!」
『何処かで、口にしたことが?』
「へっ。さぁ・・・何処だったかな──」
「お待たせ致しました。芸に達者なるサーヴァント、数名の要請を取り付けて参りましたのでしっかりと講義、打ち合わせを行ってください。皆様乗り気で、きっと力となってくださる筈ですよ」
戻って開口一番の有能発言。やはりぐっちゃんに付き従える有能サーヴァントはレベルが違った。先から別れて僅か十数分後の出来事である。
「有能、底無しに有能・・・!とんでもない人材を隠していたんだなぐっちゃん、人が悪いぞこのこのー!」
(流石蘭ね・・・誰かにものを頼み込んで回るとか私には絶対できないわ・・・)
「それでは、まだ私にはやるべき事があるので一旦席を外します。マスター、しっかりお話を聞くよう心掛けてくださいね」
根回しをするだけしたら後は風の様にたち消える。これこそが忠義の本懐と言うべき姿を見せつけたイケメン仮面のサポート力に二人は感銘を受けまくる。
「イケメン・・・仮面のイケメン・・・イケメン仮面?とにかくそんな言葉しか見当たらない・・・」
「非の打ち所のない完璧超人、それだけにやっかみを受けるは人の宿痾か・・・。もしあんたも、私と同じだったら・・・」
「?師匠?」
「なんでもないわ。まぁとにかく、蘭が選んだなら間違いなんてあり得ない。講義とやらを拝見させてもらおうじゃない。行くわよ、こころ」
「おーす!」
その気遣いに見合わぬ最後を思いだし、アンニュイにはなったもののそこは切り替えるぐっちゃん。待っているとされるダンスの先生、或いは協力者へと顔出しに向かう──。
~紅閻魔
「暫く放浪していると思ったら、行く先々で人助けとは感心ちま、しました。よく頑張っているようですね、ぐっちゃん」
「えんまちゃん・・・!」
なんと駆け付けてくれた一人めは友人、紅閻魔その人であった。秘境に身を寄せる付き合いであり、共に面識の深い相手。蘭が声をかけるのも当然であろう。
「料理が専門ではありまちゅ、ありますが、紅も芸の一つも嗜む乙女。雀の千鳥足剣舞、あなた方に伝授して差し上げます!」
「うぉお、タダモンではないオーラを感じる!雀の千鳥足、剣!かっこよくないたのしくない訳がないってわかる!名前は大事だな、ぐっちゃん師匠!」
「そうね、間違いない筈!・・・ありがとね、えんまちゃん」
「みずくちゃ、水臭い話は無しですよぐっちゃん。友達とは息をするように互いを助け合うものでち!」
「そうだったわね・・・!ところで舌足らずなのか饒舌なのかまだ微妙なんだ・・・」
「気を抜くとお腹から声を出してしまうでち。舌を上手く使うのはまだまだ修行中ですので・・・一緒に頑張るですよ!」
~マタ・ハリ
「はーい!マタ・ハリよ。こういう戦闘でない誰かに訴えかけるタイプの任務はうってつけ!何でも聞いてくださいな♪」
次なるサーヴァント、それはファム・ファタールの名を欲しいままにした伝説の女スパイ、マタ・ハリ。彼女は五体、自身の全てを武器とした女。身体運びを得手とするダンスなど得意でない筈が無い。これもまた、納得の人選だ。
「なんだか同じ生物とは思えない骨格ラインしているな。そして同じ女とは思えん・・・神様は不平等だ・・・」
「あんたも私も人間じゃないでしょーが」
「ふふ、ありがとう?でもこころちゃん、あんまり恵まれたものを持って生まれるとね、生き方って逆に狭まってしまうものなの。私の特技も、生きていく上で大事なものだったしね」
「そんな恵まれた見た目でも苦労するのか?売れ残りとは無縁なお面タイプだと思うのになぁ。まぁそれも含め、ダンスの教えをよろしくお願いする!」
「えぇ、もちろん!でも身構えなくてもいいわ。ぶっちゃけ・・・あなたたち二人のビジュアルなら、ポールダンス以外なら何でもオッケーだと思うもの♪」
「まるでパイセンだけがダメみたいな言われ方じゃないか!?やっぱパイセンって特別ポジションだったんだな!」
「どういう意味よ!?」
「はいはい、じゃあ頑張りましょう?じゃあミュージカルダンスの基本から、せーのー!」
そうして教えて貰ったのは、意外や基本のダンスメニュー。「あなたたちに必要なものはそんなに多くない。大切なのは基本よ、基本」と、抜群の精度で仕込まれる二人であった。
~柳生宗矩
「能楽、そして舞。実に良い。私も生前、御留流指南の息抜きにあぽ無しで人の家に上がり込み、倒れるまで踊り明かしたものだ。フフ、何もかもが懐かしい」
「いやなにやってんのよあんた・・・」
次に訪れしはりゅーたん事柳生のじいちゃま。剣聖にして人の極みに至った恐るべき天下の柳生、無念無想のセイザーであるが、意外とお茶目エピソードも多かったりする。
「流麗に舞踊るとて、我が心は不動。しかし、すてっぷは自由にあらねばならぬ」
扇子片手に踊り出すりゅーたん。なんと足捌きが目にも止まらず、まるで三人に増えているかのような有り様を産み出す。
「すげぇ!足捌きがみえねぇ!なんか残像と、スライド移動してるようにしか見えないぞ!」
「すなわちこれ、だんすだんすれぼりゅうしょんの極意なり。──剣術無双、さたでぇ、ないと(ビシッ)」
「こんな厳ついおじさんに倒れるまで踊られた家の住人はさぞかし困ったでしょうね・・・」
「訓練すれば誰でもだんさぁとなれる。若人よ、精進を重ねるのだ。私が通販なるもので買った『みらぁぼぉる』を進呈する。挫けず励め」
「はい!りゅーたんさん!」
「では次のお題目・・・イザナミ神が命名『りゅーたん☆さんば』。推して参る」
「待って!次の人いるんじゃないの!?」
「踊り出したりゅーたんは止められないってことなんだ!!よーしぐっちゃん、私達も踊り明かそうぜぃ!細かい話は躍りに踊った後だぃ!フィーバーターイム!」
「薄々感付いていたけれど、あんた馬鹿よね割と!趣旨が大いに変わってるでしょうが!正気に戻りなさいよ!?」
「我が心は不動。しかして」
「あんたそれもしかして言いたいだけじゃないの!?」
「ははは。流石は仙女。この老い耄れの思考はお見通しか。・・・我が心は不動。しかしだんす☆すてっぷは自由であらねばならぬ。即ちこれ」
「ごり押すなー!?」
そう、りゅーたんは実にロック。此処で煙草を吸うなと言われたら、長い長い煙管を持ち一歩も動かず煙草を吸ってみせるなど日常茶飯事の愉快な御仁。
「なるほど、これが英霊、さぁばんと。愉快愉快、影法師もまた、一興にて」
「そうか!ダンスとは、躍りとは・・・自分がまず誰よりもたのしまなくちゃダメだったんだ!りゅーたんはすてっぷと一緒に教えてくれているんだ師匠!」
「そうなの!?そうなの柳生!?」
「ははははは。ははははは。即ちこれ、だんすだんすれぼりゅーしょんの極意なり」
「絶対違う!絶対違うわよ!これ絶対好きなように踊ってるだけよ!?」
「いえーい!いえーい!」
「というかこれいつ終わるのよ!?聞いてるのあんたたち!?ちょっとー!?」
一度躍りの心が逸れば、そこは既に戦場と同じ。いつの間にか共に踊るブラザーとなった三人は、その内なる情動のままに躍り続けた──。
(・・・なんで踊ってたんだっけ・・・?)
その初心すら忘れて──。
こころ「」
ぐっちゃん「結局、倒れるまで踊るとか、これ、あれよね、俗に言う馬鹿ってやつよね、これ・・・ぜー、はー・・・」
こころ「得難い時間だった・・・これから皆のダンスを取り入れて、またリベンジだ・・・!ありがとう、師匠・・・!師匠の顔の広さのお陰で、新しい扉を開けた!」
ぐっちゃん「それは良かったわね・・・なんか踊ってただけなんだけど・・・」
こころ「一から十まで一緒にいてくれたじゃないか。誰かが近くにいてくれるだけで悩みは軽くなるんだな・・・私、がんばるよぐっちゃん!だから、これを受け取ってくれ!」
『金色のポーチ』
「これ・・・」
「叶えたい願いはもうない。何故かって?願いは自分の頑張りで叶えるものだからだ!だからそれはあげるよ。ぐっちゃんの願いを叶えてくれ!」
ぐっちゃん「こころ・・・」
「さぁまだまだ先生は来るぞ!練習だ!ダンスだ!フィーバーだ!皆が笑顔になる躍りを見せるその日まで!」
「~気の長いこと。まぁいいわ。どうせ人生は長いんだし、とことん付き合ってやろうじゃない!次の先生、かかってきなさい!」
~
蘭「はい、はい。では、その時にお願い致します。はい、よろしくお願いいたします、プリズムリバーの皆様」
(・・・私に出来ることはこれくらいです。後先生は十人はいると思うので、頑張ってくださいね・・・)
・・・躍りに踊って踊り明かした結果余すところ筋肉痛となり、キレたぐっちゃんが大爆発で肉体を再構築したのはまた別のお話──
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