人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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メンテが終わる前に打てるだけ!


皆!セイレム頑張ろうね!


思い出

そこからの生活ははっきりと覚えている

 

 

 

SF、ラブコメ、日常モノ、ロボットアニメ、熱血アニメ

 

 

「エロゲも嗜みましょうぞ!あ、百合とかは二十歳からで」

 

「ノンケを保つんですね、解ります!」

 

 

色んなエロゲもやったりした。CG回収に三日かかったりしたり。徹夜でエロゲやったりもしてクタクタになったり

 

 

 

「作る側になってみるもまた一興!歌ってみた、踊ってみたに興味はありますかな?」

 

「やるー!」

 

編集やレッスンは彼の監修で色んな動画をあげた。編集があまりに上手くて私みたいな素人でも100万再生を取れた

 

 

もう、学校で何をされても気にならなかった。だってこんなに楽しいことが、沢山あると気付けたんだから

 

 

「フフフ、拙者には先見の明がありますなぁ!フジマル殿はまさに世界に通じる器!」

 

「大袈裟じゃない?」

 

「いやいや真理!さぁフジマル殿、戦いが始まりますぞ!」

 

「戦い?」

 

「そう!!夏と冬の祭典、コミケですぞ!!」

 

 

・・・冬と夏は死ぬかと思った

 

 

人混みまみれでもみくちゃにされ、行ってはきたりきたりは行っての繰返し

 

 

それでも、目当てのグッズをてにいれた達成感は、たまらないものがあった

 

 

「フジマル殿は何を?・・・ほほぅ、全年齢むけでつか」

 

「うん!グドーシは?」

 

「あらゆるジャンルですぞ!ぶっちゃけ買いすぎて動けませんフジマル殿たすけて」

 

「むりむりむりむりむりむりきゃあぁあたおれこみぃ――!」

 

――そんなハチャメチャな毎日だったけど、学校には欠かさず行った。グドーシとの約束だったからだ

 

 

「二次元を辛い現実の逃げ場にしてはいけませぬ。二次元はあくまで理想郷にて嗜好、新たなる楽園というポジティブな名目にしなくてはなりませぬ。澱んだ心では鬱エンドを見たさい死にかねませんからな」

 

「・・・」

 

 

「やはり、まだ怖いですかな?」

 

「・・・うん」

 

「胸を張られよ、フジマル殿。あなたは恐怖を上回るモノをもうしっているではありませんか」

 

「・・・うん!!人間讃歌は勇気の讃歌!!」

 

「人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ!」

 

 

「「いぇーい!!」」

 

 

 

――私はそのまま卒業まで、学校に通い続けた

 

心に支えができたお陰で、イジメなんて軽く受け流せるようになっていた

 

 

いつもニコニコ笑っていて、何の反応も示さないので。飽きてしまったのか、自分をイジメるような暇人はいなくなっていた

 

 

グドーシはそもそもビジュアルが強烈かつ匂いが凄まじかったので並みいるイジメを寄せ付けなかった

 

 

「やっぱ断面図差分と台詞差分は無きゃダメだね」

「エロさが違いますなぁ」

 

――そんな、あっという間の一年 

 

私達は、卒業の日を迎えた。無遅刻無欠席の主席として、スピーチをやったのを覚えている

 

私達を虐めていた連中は、学校外で問題を起こし処分を受けたらしい。・・・勿体無い。せっかく未来があったのに

 

 

 

そして、桜が舞う木の下で

 

 

「終わった終わった!卒業だー!」

 

「桜の雨を流したいですなぁwwフジマル殿、肩を並べて歌いましょうぞ!」

 

「あおーげ」

 

「それ違いますぞww」

 

そんな、他愛ない最後の会話

 

 

「フジマル殿は、進路をお決めになりましたかな?」

 

「ん?そだね!独り暮らしする!」

 

「ほほう?」

 

「学費稼ぎながら学校通うよ。スポーツ推薦とか学校推薦とか使ってもいいし、とにかくやってみる!私の人生、楽しくしてみようと思う!」

 

「デュフフwなるほどなるほどw」

 

「グドーシみたいに、私もいっぱい色んな人に声をかけてみる!色んな辛い思いしてる人に、手を差し伸べてあげたいんだ!」

 

「よい、よい生き方ですなリッカ殿!――されば」

 

すっと、グドーシが何かを手渡してくる

 

「受け取ってくだされ。拙者の屋敷の鍵ですぞ?」

 

「ふぁっ・・・ファッ!?」

 

「どうせ宝くじで濡れ手に泡な代物。拙者には不要でござる。好きに使われよ」

 

「い、いいの!?」

 

「どうせ棚ぼたですからなww拙者の進路には不要なりてww」

 

――グドーシは、これから旅に出るという。真理を巡る愛の旅、という名目で

 

「拙者の様々な物語を、フジマル殿に伝えますぞww期待していてくだされw」

 

「私もついていっちゃだめなの?」

 

「ダメですぞw旅なんて荒事を中卒でするものではありませぬw拙者に任せて!未来へゆけぃ!なんちてww」

 

「・・・絶対連絡してね?絶対だよ!」

 

「安心しなされw盟友のフジマル殿を蔑ろにはしませんぞw」

 

「――リッカ」

 

「ん?」

 

「リッカでいいよ。もうフジマルなんて他人行儀は卒業しようよ!私達、親友でしょ!」

 

「・・・――感謝の至り。リッカ殿」

 

「うん!・・・ぐす」

 

「泣いていますかなww涙もろいですなぁリッカ殿はww」

 

「・・・哀しい事があったときに泣くのは、おかしいこと?」

 

「・・・否。それが人間の真価なれば」

 

「うん・・・では」

 

「えぇ、されば」

 

「「――オタッシャデー!!」」

 

 

涙を堪え、私達は笑顔で別れた

 

 

――それから私は、グドーシの託してくれた屋敷を掃除しながら、学校に通った

 

 

『軍資金ですぞw好きに使ってくだされ』と金庫の鍵を開けたまま数億をほっぽっていたグドーシにたまげながら、けしてそのお金には手を出さず

 

自分で細々と学費を稼いで、育ててくれた両親に仕送りを返しながら

 

 

学校では、積極的にコミュニケーションに加わった

 

 

「藤丸リッカです!好きなことはコミュニケーションとカルチャー全般!嫌いなものは裏切りと先入観です!座右の銘は、意志があるなら、神様とだって仲良くなってみせる!皆よろしくね!」

 

持ち前の明るさが救いになったのか、あっという間に友達が増えていった

 

 

ヤンキーや問題児と呼ばれる人にも、恐れずに声をかけた

 

「こんにちは!私の事はリッカってよんで!」

 

あのとき、グドーシが私にしてくれたように。先入観や差別なく

 

意志があるなら、そこに仲良くなれるチャンスはいくらでもある

 

勉強も教えたし、部活の助っ人もたくさんやった

 

 

いつの間にか、私の周りには沢山の人がいるようになった

 

(見てる?グドーシ。貴方から教えてもらった生き方、私できてるかな?)

 

 

「――ね、グドーシ」

 

 

「リッカー!なにしてんのー!」

 

「焼き肉食いにいこーぜー!」

 

「あ、はーい!」

 

 

――慌ただしくも、忙しい日々

 

 

 

――転機は、すぐに訪れた

 

 

 

 

とある日、グドーシの屋敷に男が現れる

 

 

「藤丸、リッカさんですね?」

 

「は、はい」

 

「――私、とある家系の者で、あるモノを持ってきました」

 

「ある、もの?」

 

「はい。・・・そして」

 

――それは

 

「?」

 

「――我が家が抱える『ホムンクルス』が、・・・亡くなる前に、これを、と」

 

渡される、『一般枠』とかかれたチケット

 

 

「ホムン、クルス?」

 

「はい。・・・この屋敷に住んでいた、『グドーシ』と名乗っていた者です」

 

「――、――・・・――え?」

 

――世界が、ぐらり、と歪んだ

 

 

 

 

 

――その人が言うには、グドーシの家系は魔術師とかいう術理の家系で、代を始めたばかりの浅い歴史の家系らしい

 

 

『世の総てを味わい尽くした後に根源に至る』だとかなんとかを理念に研鑽を尽くしていて、グドーシはその過程で産み出された人造人間・・・だと、聞かせてもらった

 

「・・・・・・」

 

・・・だが、その家の技術はあまりに杜撰で、ホムンクルス製造は失敗。ようやく自我を得たホムンクルスは、見た目が醜悪かつ魔術回路が無かったという理由で、この屋敷に『軟禁』されていたらしい

 

そこまで聞いて、使者に過ぎない人に掴みかかっちゃったのは許してほしい

 

…彼は寿命が短くて、高校生にはなれないくらいの短い命だったようだ

 

この屋敷ごと『破棄』した扱いになっていたが・・・最後に、自ら家に戻り、自らを破棄する前に願いを聞いてほしいと嘆願したという

 

「『藤丸リッカ』を、海外留学がてら『カルデア』に招いてやってほしい。・・・それが、彼の最後の願いであり。報復を恐れた家長は、それを承諾しました。そして、あらゆる手段を使い、一般枠を勝ち取ったのです」

 

「・・・じゃあ、これは・・・」

 

「かのホムンクルスが、貴方に渡す『餞別』と」

 

――匂いがきつかったのは、脂汗が酷かったのは、失敗作だったから・・・

 

見た目が、酷かったのは・・・ホムンクルスとして失敗作だったから・・・?

 

「・・・」

 

何気無く、チケットを捲る

 

「――」

 

・・・そこには

 

 

 

 

――――我が生涯に、一片の悔い無し

 

――お節介を御許しくだされ、リッカ殿。言ったでござろう?武士の別れに涙は不要

 

「・・・あ」

 

 

――リッカ殿の事です。どうせまた無茶ばかりしているのでござろ?天文台にでも行って、一息つくでござるよ。ご存じでござるか?カルデアとは、天文台という意味でござる

 

 

「ぁ・・・」

 

――拙者は諸事情で行けませぬ。ですがよいのです。汚物判定で放り出されたくはありませぬからなwwワロチww

 

「ぁあ・・・――あ・・・」

 

 

――そして、言い忘れた事が一つだけ

 

 

――リッカ殿。どうか、誰も憎まないでくだされ。世界を、人を、憎むことのないように

 

 

涙が滲む。文字が、読めない

 

――どうか、星のごとき輝きを、醜い憎しみで汚さないでくだされ。・・・憎しみに沈みかけていた拙者を救った『文化』に、共に触れたリッカ殿になら、意味を察していただけるかと

 

――憎しみは、どーしても人を醜くしますからな。あ、拙者は今は誰も憎んでおりませぬ故御安心をww

 

 

「あ、ぁあぁあ、ぁ・・・あ」

 

 

――失敗作のホムンクルスという身分を明かせず、無礼千万、もうしわけない

 

 

――どうしても ほうって おけなかった で、ござる よ せっしゃと、ちがい きれいで すてきな リッカ どの が けがされて いる のは

 

 

文字が、よれていく。命を振り絞って、書き記したかのように。確かな文字として

 

 

 

――リッカ どの せっしゃ は 幸せ で ござっ た そなた に あえ て

 

――さらば 。 かるであにて はねを のばされ よ ほしみ てきな いみ で

 

 

「あ、ぁああぁあ!ぁあぁあぁあ――!!」

 

 

――ど う か 善 き 旅 路 を

 

         めい ゆう グドーシ

 

 

 

 

「ぁあぁあぁあぁあ!!うわぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ――――!!!!ぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ――――――――っ!!!!!」

 

 

 

泣いた。泣いた。ただないた

 

今までの分。これからの分。一生分、私は泣いた

 

 

涙が枯れても、喉が枯れても泣き続けた

 

 

――もう、流す涙は。一滴も無いくらいに

 

 

 

 

 

――そして、明くる日

 

 

 

「・・・よいしょ、っと」

 

 

旅支度を整え、屋敷を後にする

 

「・・・」

 

私は、行くことにした。星見の天文台、カルデアに

 

 

――彼が見たかった、見れなかった美しいものを見るために。ちょっとした旅をする

 

「・・・私の進路、被っちゃったじゃん。グドーシ」

 

そんな事を呟いてみる

 

デュフフww二番煎じとは老いましたなフジマル殿w

 

・・・なんて、声は聞こえないけど

 

 

「――うん。私、決めたよ」

 

屋敷を出て、振り返る

 

 

「私、弱音は吐かない。誰も恨まず、憎まずに進むね。・・・あ、でも絶対は無理だからそこはね?多少はね?」

 

笑いながら、右手をつきだす

 

 

「どんな場所でも!笑顔でやるから!先入観なく、なんでも楽しく!――だって!」

 

 

空に、届くように

 

「自分の人生を楽しくするのは、自分だから――!見ててグドーシ!私、笑顔で生きてく!・・・私、生きてて良かったよ!」

 

こみあげる涙を、こらえるように顔をあげる

 

 

「だから・・・見ててね!貴方の友達の旅路!」

 

 

 

――転んだら台無しですぞw気を付けなされw

 

 

「・・・うん!」

 

 

――そうして、闇を抱き締め

 

 

少女は、星見の天文台を目指す――




――一人の少女が経験した


不思議な、zeroへと至る物語

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