人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
変身者 藤丸リッカ
使用メダル
なのは 早苗 響(進化することで金色のライズメダルに変質する)
パンチ力 測定不能
キック力 測定不能
ジャンプ力 測定不能
走力 測定不能
虚無と不条理の化身、グリーザに対抗するために作られたニトライザーにて考えられる『理屈を越えた超パワー』をコンセプトに製作された、対グリーザ専用フォーム。リッカの潜在能力と身体能力を極限まで引き出すことを念頭に入れ、虚無に対抗するといった悪魔の証明めいた難題を力づくで捩じ伏せるという結論に至り形となった。メダルの共通点は『物語を動かす奇跡を起こした者』『リッカと絆を結んだ隣人』。二つの奇跡がライズメダルへと進化を果たした。
特性としてなのはの『収束』を使用し、周囲から魔力、活力といった生命エネルギーを集め自分のものとし響・・・正確には装者達の『絶唱』の理論で己の全身にて絶えず増幅、爆発させ、常識と理屈を越えた戦闘力と因果干渉を起こす。虚無への干渉という難題を、森羅万象から得た力を自身の内で無限大にすることで打倒するという究極の力押し。0に∞をぶつけるという、机上の空論を天才二人が大真面目に実現してしまった。
虚無に干渉できるほどの驚異的出力を得たが、その反動は今のリッカですら堪えきれず五体がバラバラになる可能性がある為、強制的にリッカの肉体を成人の完成された状態に引き上げる事で問題をクリアしている。女神の祝福を最大使用しているため後遺症、肉体的故障は有り得ないが、最低限筋肉痛はきっと避けられない。しかし、変身中は早苗の奇跡の力で一瞬でどんな傷も完治する。グリーザを倒すまで泣くんじゃない。
見た目はドラゴン型ギア+なのはのバリアジャケットの肩羽織り。エネルギースタビライザーを兼ねているためバッサバッサとたなびく。脱げない。袖を通さない。纏えば攻撃を弾くローブになる。全身に負荷がかかっているため、筋肉の締まりがとんでもない事になっている。露出しているのは早苗リスペクトの腹だけだが、鍛練で培った腹筋がシックスパックにバッキバキである。
弱点は汎用性の無さ。ギミックは自己強化のみで自身の肉体のみ。グリーザ絶対殺すフォームな為、オリジナルフォームと同じく加減が不可能。技も二つしかなく、その二つも殺傷する技はない。防御力も、攻撃力と機動力に全振りした為リッカの気合いと根性とバリアジャケット依存である。
速い話が、開発者がパイロットのスペック頼りで採算度外視した魔改造変態ワンオフ機。ドモン・カッシュをウイングゼロの火力とV2ガンダムの機動力を実現したストライクフリーダムの装甲持ちガンダムに乗せたみたいな具合。虚無に挑む為には、これほどの無理を通さねばならなかった。
・・・この形態を使いこなすには、外部的要因による『汎用性』が必須である。それを用意することは天才にも叶わず、あるかどうかも不明である。
【その、姿は・・・!】
虚無の化身、グリーザ。本来ならば誰も触れられず、誰も倒すことの出来ない無の化身。不条理が形を成したもの。誰が相手であろうと、それを覆す事は出来ない。その筈だった。しかし、目の前の存在がその認識を、グリーザごと叩き落とすという形で叩き潰して見せた。虹色の嵐の中で仁王立つ、理屈を越えた奇跡の戦士。
『──この力は、私の力じゃない』
見た目のシルエットは、白きドラゴン型ギア。黒のインナーに、ドラゴンを模し、バッキバキに割れた腹筋を露出する臍出しのバトルアーマーを纏っており、腕部と脚部、胸部のパーツに虹色の宝石が埋まっている。リッカの身体には令呪の紅き刻印が浮かび上がり、戦闘に適した大人の年齢にまで肉体が成長している。たなびくマフラーと、肩に羽織るコート型の白いバリアジャケット。そしてリッカが憧れていた長髪という、力を借りた者達の特徴を全て実現した、理屈を越えた超パワーを宿した弾幕勝負における最強の形態。
『私と絆を結んでくれた・・・!皆の力だぁあぁあぁあぁッ!!!』
エクスドライブ・ストライカー。奇跡と絆が実現した力を宿したリッカが、全身より虹色の粒子を放ちグリーザへと拳を叩き込む──!
【ヒャ、ヒャ──】
【グリーザ!?】
一直線に突き進んできたリッカの渾身の右拳。それをグリーザは避けることもかわすことも出来ず、顔面に相当する部分に直撃する。周囲を極大の風圧が襲い、遥か後方へと吹き飛んでいく宇宙の孔。
『おぉおぉおりゃあぁあぁあぁあぁ!!!』
それを、飛来する以上の速さで追い縋り拳を叩き込み圧倒するリッカ。瞬間移動かと見紛う程の機動力。拳を打ち込まれる度にグリーザごと空間が歪み軋む程の火力。それらはリッカの肉体の限界極限まで凝縮し、早苗の奇跡の力を極大解釈し束ねたもの。その力と速さは、最早あらゆる常識や理屈など通用、適用される次元に存在しない。
【ヒャ、ヒャ──】
そう──これは生産性、安全性、安定性の全てを排し宇宙の孔に対抗するためだけに作られた決戦兵装。天才二人が作り出した『我々の考えた最強の武装』というコンセプトの代物でしかない。それ故、リッカへの反動も相手にもたらすダメージレベルも念頭にすら入っていない。徹頭徹尾、『宇宙の不条理を蹴散らす為』にのみ作られた、最大最高のワンオフ武装なのだから──!
【グリーザ、何をしている!やられっぱなしか、押し返せ!】
正邪の呼び掛けに反応し、球体の様な第一形態に戻り、直ぐ様人型に変身しリッカに襲い来るグリーザ。こちらにも、ダメージや苦痛といった概念はない。ただ、生命を無に帰す喜びと知性らしきものがあるのみだ。
『ぐっ!』
そして理不尽な事に、グリーザは格闘戦においても必要以上に強い。リッカを捕らえ、上から押さえ付けられる程のパワーを発揮してくる。実体が無い身でありながら、ギミック系列が存在する敵でありながら。極限以上の姿となったリッカとパワーが互角ですらある。これ以上の不条理は無いと言えるほどの現実。
『うぉおぉおりゃあぁあぁあぁあぁ!!!』
【ヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッ】
しかし、そんな理不尽はリッカとしては覚悟の上であり承知の上。殴った上で全く手応えがなく、殴られた感覚だけがある不快さを捩じ伏せ、脚を止めたインファイトを徹底的に行う。ゆらゆらと揺らぎ、蠢くグリーザの繰り出す攻撃を魔方陣で防ぎ、両手足の粒子ブースターのついたドラゴンギアで返す刀の反撃を叩き込む。互いに譲らぬ、小細工無しの殴り合い。極限にまで凝縮された戦闘に、生半可な小細工の介在する余地はないと雄弁に語るがごとき闘争の具現。
──其処には、両者が散らす戦いの火花。虹色と黒のもたらす波動が織り成す『弾幕』があった。それは皮肉にも、虚無とされるグリーザが産み出したものでもあるのだ。科学と闘志と絆が、産み出した弾幕であるのだ。
『ぐぅぅっ!!』
【ヒャ─ヒャハハハハ・・・】
クロスカウンターの応酬。リッカの頬にグリーザの左腕が、それより深く鋭くグリーザの顔面にリッカの拳が捩じ込まれる。僅かに凹み、ひび割れるヘッドギア。
【そのまま呑み込め、グリーザ!・・・な・・・!?】
リッカへの渾身の一撃にて勝利を確信した正邪だが、それを上回る衝撃が起きる。ばきり、と言った音を立て『グリーザの頭部に亀裂が走った』のだ。無敵と確信していた虚無の鮮烈なダメージを
知り、動揺を露にする正邪。
【馬鹿な・・・!なんだ、虚無すらも乗り越えんとするその力は・・・!?】
『これが──!私達の力!絆と奇跡で!ぶん殴るッ!!』
形勢は完全にリッカに傾いた。リッカの全身の令呪が輝き、ダメージを瞬時に無力化し回復する。虚無に呑まれた際を想定した生命維持と自己保存。それが、ダメージを帳消しにするという奇跡により実現する。早苗の奇跡がリッカを護っている。
『はくのん!今伸ばすから!ちゃんとこの手・・・握ってねッ!!ディバイン・コメット!』
そのまま、グリーザを殴り飛ばし魔法陣にて固定する。──限界までスペックと一極性に特化したため、エクスドライブ・ストライカーの技は極めて少ない。拘束技と必殺技しか無い様な極端さであり、燃費も対効率もかなぐり捨てた一撃技しか搭載されていない。知性ある者には、容易に対策されるだろう。しかし、虚無であり現象であるグリーザにそのような判断は叶わない。直撃し、完全に動きを拘束される。
『全力全開──!!』
全身に、大気中・・・森羅万象に存在する全てから少しずつ魔力を『収束』させ、自身に凝縮させ力に変換する。なのはの特性、収束による魔力の臨界到達による虚無への『対界技法』。
『絶唱臨界──!!!』
臨界に迄至るほどに凝縮した魔力を全身に循環させ、それを全身──右拳に宿らせ、真っ直ぐに見据える。
【何をする気だ、やめ──ぐあっ!?】
巻き起こる風圧と輝きに、正邪は翻弄されるのみ。全身から目映い光を放ち、リッカは今宇宙の不条理たる孔へと手を伸ばす。それは攻撃という概念に収まらず、また誰かを倒す為のものでもない。それは、虚無に呑まれた仲間を、友を、絆を取り戻すために伸ばされる手。立花響が辿り着いた『
──故に、それは『技』でも『攻撃』でもない。誰かを助け、誰かを救い、心と絆を紡ぎ未来に共に行こうと差し伸べる手にして『秘術』。故にその名は決まっている。収束絶唱秘術・・・エクスドライブ・ストライカーに搭載されたただ一つの最大運用。その名は──!
『
極限まで高められた、理屈を超越したパワーを凝縮した右腕が、グリーザの胸へと深々と突き立てられる。それは、宇宙の孔にしか無いとされる宇宙の針を掴むため、そして突入した白野を取り戻すための最大奥義。
『うぉおぉおぉおぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁあぁぁあーーーーーッッッッ!!!!』
【ヒャッ、ヒャッ・・・ヒャハハハハ・・・】
今までのEX・Sの戦いは前座、余興でしかない。リッカが針を掴まなければ、白野を失ってしまえば今までの戦いは全て無意味となる。
(絶対掴んでみせるから!はくのん・・・心配しないで頑張って!!)
虚無に全存在をねじり込み、完全無欠の勝利を目指してリッカはその手を伸ばし続ける──!
数刻前
はくのん「へぶ」
べしゃり、とはくのんは辿り着いた。ぶつかった感触もなければ、音も、感覚も、視界も、生命の気配も何もない【無】の中へと。
「ここが・・・無の中」
見渡す限りの暗黒。今自身が頭で喋ったのか声に出したのかすらも定かではない。静寂すらも無い、意味消失の世界。
「──とりあえず走ろう。なぁに、あの時はハイハイしか出来なかった。走れるなんて虚無さんやさしい」
しかし、岸波白野の剛毛心臓はそんな虚無に抜ける毛など一本も存在しない。在りし日の犬空間に想いを馳せ、走り出す。
「一億年以内に見つけられたらいいな・・・フィリア、待っててね。あと思い出したら腹立って来たから宇宙の針はBBで試し切りしよう。決めポーズは『一欠』で決まり。迷ってもリッカが引っ張り出してくれる。安心」
行くぞー。と、ジョギング的なノリで虚無を進み始める月の新王であった──。