フィリアガペー『だ、ダメですよリッカさん!奇跡を奮ったとしても、回復が間に合いません!今のまま虚無に入ったら…!』
リッカ『でも!でも皆が!それにあの子、自分がいなくなればいいだなんて!そんなの…!』
はくのん「リッカ、深呼吸」
リッカ『えっ…!?』
はくのん「まだ犠牲になったわけじゃない。いつもどおりやれば、必ず助けられる、勝てる。でも、私やリッカが慌てていたら出来ない。勝つために、今は落ち着く」
『はくのん…』
「大丈夫。楽園や仲間を信じてどっしり構えてればいい。私達は何度も、危機を乗り越えてきた。だから、深呼吸して落ち着く。ね?」
リッカ『…すぅ、はぁ…すぅ…はぁ…』
フィリアガペー『二人とも…』
リッカ『…うん!ありがとう!頭冷えた!』
「オッケー。今、カルデアの皆が虚無の座標を調べて皆を探してる」
フィリアガペー『万が一、肉体をまだ虚無へとおいておきました!それが発振器、こちらが受信機になってデータビーコンの役割を果たしているのです!』
リッカ『優秀すぎる仲間って素敵!』
はくのん「データを取るために時間がいる。でも、疲弊した私達じゃああの何十メートルクラスのグリーザじゃ…」
霊夢「私を忘れないでくれる?ようするに、あのデカブツを抑えればいいわけね?」
はくのん「霊夢」
霊夢「倒せるか…は解んないけど、時間稼ぎの耐久なら望むところよ。耐久スペルってやつね。私に任せて、あんたらは休んでなさい」
『…任せて、いい?』
「当たり前よ。…というには、ちょっとヤバげだけど。時間稼ぎさえすれば、王様やあんたらが逆転してくれるんでしょ?なら、挑む価値は大いにありよ」
オルガマリー『今、全力で探知しているわ。どうかもう少し、もう少しだけ時間を稼いで頂戴──!』
霊夢「いい加減、あの死にたがりをブチのめして皆で宴会したい頃合よ。──勝って帰りましょう!私達の平穏に!」
それだけを告げ、飛び込む霊夢。それは、勝利の礎を築く為に──
リッカ『ぐっ…!』
はくのん「お身体に触りますよ…」
『あ、ありがとう…はやく、回復しなくちゃ…!』
?『ったく、頑張り屋な妹だぜ。だが、兄貴冥利に尽きるってヤツだ!』
?『不条理…そんなものに、私の幻想郷を明け渡すわけにはいかないものね』
リッカ『えっ!?』
?『虚無を前にして折れぬ闘志、萎えぬ魂。それでこそ我等が旅路の先導共よ。──暫し休め!我等が在る限り、敗北は有り得ぬのだからな!』
はくのん「あ、あなたたちはっ──」
【ヒャハハハハハハハハハ】
とうとう正邪すらも取り込み、怪獣達の力をもまとめて注ぎ込まれ、君臨を果たしたグリーザ・カタストロフ。災厄、災害の名を冠するに相応しく、グリーザを中心に、超巨大な四足の大怪獣の肉体を有したかの虚無は、真っ直ぐに博麗神社へと狙いを定め行進を開始している。
(こいつ、感覚で解ってる訳ね・・・幻想郷を滅ぼすにはどうすればいいか。結界の要である神社を潰すために歩んでるってこと・・・!)
辺りの景色を引きずり込みながら、行進を開始しているグリーザに立ち塞がる霊夢。リッカ、そして白野は少なからず疲弊している。虚無に浸った白野、そして一度はグリーザを討ち果たしたリッカ。それに加え、自分は相性が良かったが故に余裕がある。ならば、やってやるしか他にない。賽銭と、ついでに幻想郷の平穏を護る為に。
【ヒャーハハハハハハハハ】
「いい加減止めてもらうわよ、その気色悪い笑い!」
弾幕スペルカードルールに則らない、全力の結界生成。札と陰陽玉を全開にて展開し、グリーザを抑え込む力場を生成し、抑え込む。倒すわけにはいかない。リッカ達が、取り込まれた仲間達の解析を成し遂げなければ全ては御破算となってしまう。封印、それは自身のうってつけの担当だ。
「三重、いえ四重結界封印!生きて一度あるかどうかの巫女の本気、喰らいなさい!」
何重、幾層にも連なる結界が、グリーザ・カタストロフを包み込み縛り上げる。それは彼女の才覚が力と化した、正真正銘の全身全霊。人間は愚か、大妖怪すらも捕らえて離しはしないであろう至極の結界。それこそが、博麗霊夢という人間の辿り着いた境地である。
しかし──虚無の中に数多の怪獣、そしてマスターすらも取り込んだ規格外の深淵の孔、グリーザは正しく人智を越えていた。否、どうしようもない不条理が正しく現象として現れた。それは、怪獣の形をした理不尽そのものであった。
【ヒャハハハハハ、ヒョホホホホホハハハハ】
瞬間、グリーザは取り込んだ者達の能力を使用した。正邪の物事を反転させる能力を使い、自らの存在を封印から強引に解放してみせる。そして厄介な事に、自己の否定から産み出されたグリーザ・カタストロフは周囲に外界拒絶の力場を常に生成していた。
「っ!」
壊した──正確には取り込んだ、呑み込んだと言った方が相応しい不協和音を残し、結界そのもの、札、起点である玉といった全てを拒絶、否定し、呑み込んでしまう。瞬時に瓦解し、否定され、消え去っていく博麗渾身の結界は、災厄の虚無に打ち崩されたのだ。無論、霊夢に落ち度は無い。虚無を有し、破滅をもたらすものとなった虚無とコアである正邪の自己否定の念が強すぎるため、世界の全てを拒絶する成れの果てへと変化してしまったのだ。
【アハハハハハ。アハハハハハ、イーヒヒヒヒヒ、ウフフヒャハハハハハハハハ】
「ッ──!」
・・・そして、楽園勢力最高の英断とは。『グリーザ・カタストロフに一斉に挑まなかった事』である。グリーザはその次の瞬間、動き出したのだ。掛け値なく、絶望と呼ぶに相応しい攻撃・・・そう呼ぶのすら憚られる、狂乱しながら放たれる銃弾の様な『弾幕』である。その量が、まさに常軌を逸する程のおぞましい量、質であったが故の大破滅的波状攻撃。
(これ──弾幕!?にしたって──!)
霊夢が瞬時に反応し、自らを浮かせた究極奥義夢想天生を使用し、森羅万象あらゆるものから浮遊する。この瞬間、霊夢は垣間見た。破滅がもたらす、皮肉なる美しき終焉を。
【ヒャーハハハハハヒィーヒヒヒヒ。アッハハハハハハ】
狂った様に笑い続けるグリーザから白き腕が延び、光線が辺りに乱反射され、デタラメな鐘の音が響き渡る。無数の触手と共に、辺りに満ちる存在を全て無遠慮に、無節制に取り込んでいく。
「───!!」
自身を直接狙う攻撃もまた、怒濤の様に押し寄せる。闇のシルエットで判別は難しいが、霊夢は真実を確かに捉えていた。それは獣人であり、巨人であり、戦車であり、悪の刻に満ちる怪物であり、鎧の戦士であり、それらが一斉に霊夢へと襲い来たのである。
(さっきとはまるで動きも勢いも別じゃない・・・!宿主を取り込んで少しはお利口になったって言うこと!?)
霊夢はそれらを、脅威的な空間把握能力と培った経験、どんな状況でも乗り越える図太さでかわしつづける。どれ程見た目がおぞましく、恐ろしくても。弾幕にて鍛えた霊夢の瞬発力と勘があわさり、一度の被弾すらなくその圧倒的な攻撃を、災厄をかわしていく。
「~~~っ!!」
いや、それには語弊がある。これは『霊夢だから』可能な事だ。もしこれが、一斉攻撃であったならば、リッカや白野が共に戦っていたならば。霊夢の勘は、冷酷にそれを弾き出していた。
(──あいつら、置いてきてホント良かったわ・・・!)
──【全滅】と。その虚無と自己否定、恐ろしき闇の力。そして擬似的に取り込んだ者達の情報。それらを統合して産み出されたもの。すべての側面を有する、悪夢のごとき災厄の化身。一息すらつかせぬ、一瞬でも触れてしまえば、引きずり込まれてしまう、深淵に引き伸ばされた恐怖と虚空そのもの。それのもたらすものは、人だけに被害を納めなかった。
「ッ!?空間が・・・!」
回避を続けながら、その衝撃が目に届く。周囲の空間が壊れ、砕け始め、グリーザへと吸い込まれ消えていく。手でむしり取られるように、消ゴムでごっそりと消えていくように。
【アハハハハハハハハハハハハハ・・・ヒャハハハハハハハ】
霊夢には最早一刻の猶予すら与えられなかった。ロマン達が設置した強化結界が次々と破られ破壊されていく様を見ながら、最後の結界を破壊されないための補修を即座に行う。
「やる事が、多すぎるっ・・・!」
作戦立案の為の時間稼ぎ、破壊されていく空間の補修。グリーザから放たれる数多無数の攻撃の回避。それらすべてを要求され、拮抗が崩れてしまえば即座に全てが御破算となる極限状態。それらを全て行い、同時に処理する事。流石の霊夢と言えど尋常ならざる問題であり、最早思考と反射が同時に行われているような状態だ。
【フヒハハハハハハハハハハ。アーッハハハハハハ】
そして、その拮抗が敗れる時が来た。グリーザは全身にエネルギーを凝縮、反転を行い全てを対消滅する攻撃を放たんと輝き出す。
『こちら楽園カルデア!解ったよ皆のいる場所が!その虚無の中に擬似的に発生したとされる地点があって、皆は其処に──!』
ロマンの言葉と、放たれるそれは同時だった。臨界寸前にまで達したグリーザが、そのチカラを全て解き放つ美しき終焉。破滅を告げる鐘を打ち鳴らし、もたらされる破滅の終局。
【ヒャッヒャッヒャッ──アハハハハハハハハハ】
「ッッッ────!!」
それは、個人に与えられる規模の攻撃ではない。全てを反転させ、形あるもの、生命の全てを終わらせる絶望的反転の光…全てを消滅させる光。
「ダメ、間に合わな───!!」
霊夢が叫ぶのと、全く同じ瞬間に。グリーザ・カタストロフは解き放った。全てを対消滅させる、終極にして終幕の根源的破滅招来光線。それは、天邪鬼の願いし瞬間の到来。即ち───
【アハハハハハハハ。アハハハハハハハ…アハハハハハハハ、ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ】
形あるもの全ての、虚無への回帰。即ち──零の終焉。形を成した破滅の到来。それは天邪鬼のもたらした、完全なる平等。
グリーザから放たれた光は、中心に全てを飲み込み──
───その瞬間。幻想郷の全てが消失した──
───その、刹那。
『Air access granted』
虚無を照らす、豪奢と至尊の光輝。
『ZI-O OHMAFORM』
『KING』
『OO-ELS QUANTA』
黄金に輝くライザーに認証されし、至極のメダル。虚無に呑まれし幻想郷の全てを覆うかのように七色の光が満ち溢れ──
『GIRUGAMESH UNBREAKABLE HERO』
万全盤石の旅路を、完全無欠の勝利へと導く──
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