人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ニトライザー(紫ボイス)『霊夢。アクセス認証』

霊夢「なんで紫なのよ声…まぁいいわ。一気に決める!」

『温羅メダル』『伊吹メダル』『紫メダル』

「神と妖怪、どちらも担いし巫女の使命。温羅さん(親愛)。大明神様(畏怖)!紫!!(半ギレ)」

『温羅』
『伊吹大明神』
『私』

「………あれ?」

『トリガー、トリガーを押すの…』

「あそっか!──ふっ!」

『霊夢 鬼神巫女(デモンゴッド・プリステス)

現れし霊夢、それは草薙の剣を帯刀し金棒を背負い成人女性の体格を有し額に二つ、側頭部に六つの角を持つ巫女服を纏った鬼が如き姿。衣服は博麗に伝わりし戦闘衣装である、先代巫女に近付いた姿。

霊夢『ぶっ倒す前に、中身を引きずり出さなきゃね!うおぉりゃあぁあ!!』

背にした金棒を力任せに振るい、拒絶の力場を叩き壊し霊夢が虚無へ、スキマを使い突入を果たす──!



不平等と平等の満ちる世界へ

『おぉおおぉおおぉおーーっっ!!!』

 

虚無の中に風穴が空き、怒号の咆哮が響き渡る。ギル、リッカ、フィリアと同じ──理屈を超えたパワーを手にした霊夢が、全てを取り戻しに殴り込んで来たのだ。時空を引き裂き、断ち切る事によって。

 

「迎えが来たようだね。もうすぐ、こんなうら寂しい平等の種は消えてなくなる。日々がなんてことなく過ぎていく、いつもの日常が戻ってくるんだ」

 

「……」

 

「正邪や。あんたの志は、誰もが思う事だ。皆が仲良しで、幸せで、そんな幸せを分け合えたならどんなにいいだろうって。皆が一度は考える綺麗な夢だ」

 

針妙丸は彼女に告げる。理不尽な出生、理不尽な迫害、理不尽な生態、理不尽な不平等に『否』を叩きつけてきたひねくれものの天邪鬼へ。

 

「でも、人は成長する度、大人になる度忘れてしまう。いいや、解ってしまうんだ。夢は夢のまま。綺麗な願いは、大抵叶いはしないものだって。この世界は光も影もあるし、私達のような弱いやつや、彼女達のような強いやつがいる。本当に平等な世界なんて、作ってしまってはいけないし作れないんだ」

 

「…負け犬め。残酷だと知っていて抗わなければ何も変わらないじゃないか。くだらないアイツの、何の意味もない死を、無価値になんてする気はない。私は何度だって…」

 

「だから、見てごらん。誰か一人が作る必要なんてない。誰か一人が苦しみ続ける必要も、全てを消し去る必要なんてないんだ」

 

針妙丸が指差す場所には、霊夢が空間を引き裂き手を伸ばしている。虚無に呑まれた者たちを、救うために。

 

『何ボサッとしてんのよ!人生も裁きもこれからなんだから、さっさと出てきなさい!いつまでもここにいたらこのバケモノ始末できないでしょうが!』

 

「巫女…」

 

「平等はあるんだよ。世界に平等はあるんだ正邪。確かに序列は生まれたが、幻想郷は大妖怪や、鬼神様が私達のような世界にいられない弱者を受け入れる為に作られた。どうしようもない時には、人間も、神様も、妖怪も、手を取り合う事が出来る。其処には格差も序列もない。平等は、誰かと誰かで作るものなんだ。こんな真っ暗な世界、こんな寂しい世界は本当にあんたが胸を張れる世界かい?正邪や」

 

強者である巫女が、自身ら弱者を救う為に手を伸ばしている。相手が悪役であろうと、元凶であろうと。世界は誰かに手を差し伸べられる優しさを持っている。一匹の天邪鬼が、かつての少女を決して見捨てる事をしなかったように。

 

──その悪性を、悪逆を以て世界に正義と秩序の必要を実証する存在を反英雄と呼ぶ様に。絶対悪という存在も、世界を救う唯一の善も存在しないように。世は全てが不平等であり、故に『全てが尊き世界の一部』なのだ。この世全ての悪が、今世界を救う最先端にいるように。この世の全てには意味がある。正邪の嘆きも、奮闘にも。幻想郷の団結という意味があった。誰かが何かをする限り、其処には必ず意味が生まれるのだ。

 

「帰ろう、正邪。その娘の願いを叶えるべき世界は、こんな真っ暗な世界じゃない。あの、不平等で残酷で、それでも毎日に幸せが眠っている…虹のような世界だろう。あんたが救った子が生まれた、地上の虹の世界だ」

 

「私が救った?馬鹿を言え。私はアイツを騙していただけだ。アイツは殺されて、救われるなんて…」

 

「救われたと私は思うよ。私も、あんたの嘘で救われた質だからね。『弱者の虐げられない楽園を作る』。…弱者は大人しくしているのが幻想郷のルール。それに反抗する発想も思想も無かった私達弱者の世界を広げたじゃないか、あんたは」

 

世界が理不尽でも、残酷でも。力がなくても、どんなに醜い手段でも。世界を変えようとする意志があるならそんな事は関係ないと。正邪は告げたと針妙丸は告げる。弱くたっていい。どれだけ無様でも、愚かでも。挑み、頑張ることは誰にだって出来るし許されている。弱者である天邪鬼が告げた、弱者を助ける真理。 

 

「一度の失敗がなんだ、正邪。その約束が胸にある限り、その反骨心がある限り。何度だって挑むだろう、あんたなら。こんなエライことをやらかした。幻想郷にいれるかどうかも解らないが、そんな事あんたには関係ないだろう?誰にも頼らず、幻想郷にやってきたあんたならさ」

 

「…。そうかも、しれないな」

 

そこで、やっと気付く。全てを呑み込む虚無が本当に平等をもたらしたとして。そこにかかる虹はあるのだろうか。虹を見上げる時、思い出せるものがあるのだろうか。

 

あの娘が見上げていた空の虹は、ただ虹だけを見ていた訳ではないのでは無かったか。そこにある雲や、空や、風や花や草木。ひょっとしたら…傍にいた誰かを見上げていたのではなかっただろうか。彼女のいう『虹』とは。空の七色だけではない。ただ、そこにある世界の色を見ていたんじゃないのだろうか。暗いことも、明るい事もちゃんとある。残酷だけどそれだけじゃない。長生きも出来ず、人間に殺されたあの娘が最後に自分に見せてくれた美しさのある世界。この虹のような世界を、見ていたのでは無かっただろうか。

 

「それなら…壊してはいけない。何にも無くなる世界なんて、受け入れて貰える訳が無いな。…私は、間違っていたんだな。平等は…ちゃんとあったんだ」

 

きっと、娘と同じような境遇の者はきっとたくさんいる。悲しみや嘆きはたくさんある。苦しいことや悲劇もきっとたくさんある。

 

「さぁ、行こう!皆が待っている、あの世界へ帰るんだ!」

 

だけどきっと、同じくらいに喜びや楽しみもきっとある。自分が、誰かが作ってやる必要なんてない。誰もが作っていくのだ。不平等と、平等が宿るこの世界を。皆が作って広げていくのだ。

 

「あんたみたいなひねくれものもいなきゃ、世界はきっと面白くない。あんたが望む世界とやら、目指して今日を生きて御覧よ!」

 

「──言われなくても、そのつもりだ!」

 

そんな世界が好きで、そんな世界が嫌いだ。だから自分はいつか、そんな世界をひっくり返す。ひっくり返す事すら出来ない無に頼ったことが間違いだった。

 

「まずは、この作戦に幕を引かなきゃいけないな。私が敗北したことを認めて…また次に行く為に!」

 

「あんたのやることは秩序と世界の破壊だ。何度だって世界を護る輩に邪魔されるだろうし、あんたは負け続ける筈だよ」

 

「それがどうした!何度だって立ち上がり、何度だって挑めばいい!弱者には挑み、強くなる自由がある!何かを護ることに縛られた強者を、いつか倒して世界を変える!いつかなるんだ、『弱者を踏みにじらない強者』に!」

 

そうすれば、きっと。あの娘も笑ってくれるだろうか。あの時、嘘でしか救えなかったあの娘に、心から言うことが出来るだろうか。

 

(お前のお陰で、私は強くなろうと思えたよ。お前に会えて良かった。お前が生きていてくれてよかった。お前がこの世にいてくれて良かった。どんなに短くたって、どんなに儚くたって関係ない)

 

ただ、お前に感謝を告げたかったのだ。生まれてきた事への称賛を。自分の価値観を、変えてくれたあの日のお前に。

 

(私は地獄行きだろうが、必ずお前に伝えるよ。いつか強くなって、自分の脚でお前に会って伝えるから)

 

…生まれてきてくれて、ありがとう。どうせ誰にも言われなかっただろうから、私がいつか言ってやる。誰にも望まれなかった命は、私がいっぱい愛してやる。誰にも望まれない世界は、私が変えてやる。

 

『引っ張り出すわよ!せーのっ!!』

 

打出の小槌で作った、マスター達がいる茶屋ミニチュアを抱えた針妙丸を抱き抱え、霊夢の手を取る正邪。虚無から、光あふれる世界に飛び出す刹那。

 

〈ありがとう、天邪鬼さん〉

 

「───!」

 

──彼女にとって『最悪に醜い(最高に尊い)』幻聴が…耳に届いた気がした──

 

 




霊夢『だらぁあぁああぁあっ!!!!』

文「引きずり出しました!?」

グリーザ【ヒャッ…ヒャッ…】

早苗「流石は私の宿敵です!相手も骨抜き…!皆さん、今ですよ!!」

霊夢『リッカ!白野!もう十分休んだでしょ!決めるわよ!』

リッカ『おぉっ!!』
『EXDRIVE STRIKER!』
白野「対巨大戦闘は叶わぬ…」
フィリア『では、私と一体化しましょう!』
「ナイスアイディア」

ギル『首尾良く使命を果たした様だな。行くぞエア!裁定の時は今だ!!』
──はいっ!フォウとのお散歩の約束の為にも!
『UNBREAKABLE HERO』

正邪が自身の感情を爆発させた事により、許容限界を越えエラーが発生したグリーザに、今全戦力が叩き込まれる──!

紫「全員、思いっきり放ちなさい!」

フィリア『行きますよザビエルさん!力を貸してください、ゼロさん!ヒカリさん!皆の力で、フラッシュ・フィリア──!!』はくのん『フランシスコビーム』
ウルティメイトシャイニングゼロ『復活はさせねぇ!全員で吹き飛ばしてやる!シャイニングワイドショット──!!』
にとり『私ウルトラマンになってる!すげー!!!』
ヒカリ『集中するんだ、にとり!』 

リッカ『なのはさん、ビッキー、フィリアさん…!サナちゃん!文さん!アリスさん!一緒に!』
『』
早苗「はい!」文「承知!」アリス「わかったわ!せーの!」

『「「「グロリアス!エクセリオン───!!!」」」』

霊夢『草薙・抜刀──夢想・天生斬──!!!』

ギル『原初を語る──』
エア『元素は混ざり、固まり──』

『『万象織り成す星を産む──!!』』

『ZI-O OHMA FORM』『KING』『OO-ELS QUANTA』

ギル『裁定の刻だ!解放するは原初の地獄!畏怖にて解せよ、必殺の力──!!』

エア『至極を冠する、開闢の刻(クァンタム・エヌマ・フラッシャー)──!』

限界を越えた力の収束。紫が展開したスキマに目掛けて放たれ、グリーザに叩き込まれる幻想郷の弾幕達。

【フヒャハハハ、アッハハハハハ───】
正邪「私達の負けだ、グリーザ。…お前の喜びと私の世界は、受け入れられてはいけなかったんだ──」

その全てを受け、グリーザは宇宙の孔もろとも塞ぎ切られ。大爆発と共に爆発霧散する。

紫「──ここに、異変の解決を告げます。皆様、本当にお疲れ様でした…」

紫の宣言と同時に、今…長きレクリエーションは終わりを告げたのだった──

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