人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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我様の台詞を執筆しているときと同じくらいイアソンのクズムーブを執筆するのが楽しい



「⬛⬛⬛⬛⬛⬛(すまない・・・私の友が不快な思いをさせて本当に申し訳ない・・・性格には問題しかないが紛れもなく英雄なんだ・・・性格には問題しか無く、過ぎた力を手に入れ図に乗ってはしゃいでいる運命に翻弄された魂が捻れてしまった小心者で権力を持って暴走しているだけで・・・)」

「⬛⬛⬛⬛⬛(ヒュドラやネメア獅子にソロで向かわせるくらいしないと本気を出せない困ったヤツなんだ・・・許してやってほしい・・・)」

「あ、う、うん・・・申し訳なさそうなのは伝わるわ。ケーキ食べる?」

「ヘラクレス、こちらにきてアップルパイを食べよう・・・」

「あなたたちは大変ね・・・なんだか私も寒気が止まらないのだけど」


英雄(クズ)と嵐とレアクラス

――海のとある場所、一隻の神秘的な船が浮かぶ

 

 

「失礼しますね、私のマスター」

 

 

杖を手にした、小柄で可憐な少女が慎ましく笑う

 

 

「あぁ!待ちかねたよ私のメディア!その様子だと、首尾よくいったんだね?」

 

笑顔で迎えるのは、金髪に緑の瞳、白い衣装で身を纏った青年だ。彼は弾むように言葉を発する

 

「はい、報告いたします。ヘクトール様が女神の奪還に失敗致しました」

 

「そうかそうか!失敗したか!・・・は?失敗?」

 

途端、彼の顔から笑みが消え、醜く歪む

 

 

「おい、『メディア』。どう言うことだ?失敗?失敗だと?」

 

「はい。ヘクトール様は撤退、こちらにてすぐ合流するとの――」

 

瞬間、『メディア』と呼ばれし者の顔を、渾身の力で平手打つ青年

 

 

「あっ――」

 

杖を投げ出し、甲板に倒れ伏す

 

「どう言うことかと聞いているんだ!!たかがグズどもから女神一匹何故奪えない!?ヘクトールは何をしていた!?」

 

 

「ヘクトール様を阻んだ英雄がいたようです。名は、人類最古の英雄王――」

 

すかさず足で、メディアの右手を踏みにじる

 

 

「誰が邪魔したかなんて聞いていないだろう!!オレは!ヘクトールが何をしていたかと聞いていたんだ!!人類最古だかなんだか知らないが、古臭さが取り柄なだけのゴミ英雄に!この『アルゴノーツ』の一員が遅れを取ったと言うのか!?どうなんだメディア!!」

 

「はい、大丈夫です。奪還のチャンスはいくらでもあります。貴方が心配する必要はありません。貴方は無敵、貴方は最高の英雄なのですから」

 

手を踏みにじられながら、笑顔で応えるメディア

 

 

「――そうだ、そうだとも。私は王、私は無敵の英雄だ。寄せ集めの連中なんかに負けるはずがない。ヘクトールがしくじった。私に落ち度はない。そうだね?私のメディア?」

 

 

「はい!アルゴノーツ船長、イアソン様に敵はいません!」

 

うっとりと、自分を害したイアソンを見つめるメディア

 

「そうだ!そうだとも!あぁすまないねメディア、痛かったろう。大丈夫かい?酷いことをしてしまって悪かったね。悪気はなかったんだ」

 

「はい、イアソン様!私、平気です!」

 

笑い合う、お互いを瞳に映さぬ仲睦まじい二人

 

「ありがとう、私のメディア!辛くなったらいつでも言っておくれ。少しだけ、ほんの少しだけなら休憩を考えてやってもいいからね!」

 

「はい、イアソン様!私、頑張ります!」

 

口ばかりの労いと、底抜けの笑顔が交わされ即座に船が動かされる

 

「ではヘクトールを迎えに行こうか!・・・どいつもこいつも俺の足を引っ張りやがって・・・人類最古の英雄王だって?オレ以外の王など、ゴミクズにも劣ると言うのに」

 

 

(まぁいい。浮かれていられるのも今のうちだ。奴等は絶望にうちひしがれる事になる。こちらには――人類最大最強の英雄がいるのだから!)

 

「なーにが人類最古の英雄王だ!そんなもの、俺の前に這いつくばらせてムチで打ち、徹底的に身の程を教えてやるからな!王はこの、イアソンだけが絶対なのだから!!ははははははは!!」

 

 

――無敵の英雄、イアソンの笑いがオケアノスに響き渡った・・・

 

 

 

場所は更に変わり、『黄金の鹿号』

 

 

こちらは――

 

 

 

「姉御ぉ!このままじゃ船が保ちやせんぜ!!」

 

「やかましい!今考えてる!!えっと、嵐は範囲狭くて、場所によっては追い風だから・・・」

 

 

「皆さん、私の鎖で身体を繋いでください。投げ出されることが無くなります」

 

 

「先輩!私に掴まってください!」

「うん!」

 

 

「きゃ――――――!!アステリオス、私をしっかり掴まえてなさい!離したら許さないんだから!いい!いい!?」

 

「う、ん・・・!」

 

 

突発的に発生した嵐のただ中で、懸命に踏ん張っていた 

 

 

「きゃー!!きゃぁあぁあ!!駄メドゥーサ!鎖できつく縛りすぎ!肌に跡がついたらどうしてくれるのよ!緩めなさいはやくいたいからはやく――!!」

 

「は、はい!」

 

「きゃぁあぁあおちる!おちるぅう!緩めすぎよ落ちたらどうするのよもっとキツくしなさいこの駄メドゥーサ~!!」

 

「・・・・・・はい・・・」

 

 

「ダーリーン!胸に飛び込んできていいよー!」

 

「リッカちゃん抱き締めて!」

 

「アルテミスにクーリングオフ!」

 

「ぷぎゅう!!」

 

「ナイスリッカちゃん!恋愛運高めてあげるね!」

 

(女神のメンドくさい肩入れ(呪い)を回避して祝福だけもらいやがった・・・出来る!!)

 

 

「ギル!大丈夫!?」

 

 

 

「ん?無論だ。嵐に揺られ飲む酒もオツなものよ」

 

「待ってください英雄王。何故今酒を飲むのです」

 

「愉しいからだが?」

 

「――これで大分まともなのだから質が悪い・・・!」

 

――すみません。この器にとって愉悦は本能、呼吸のようなものなのです。諦めてください

 

 

特設玉座に身体を預けながら悠然と酒を煽る英雄王。同時にドレイクが声を張り上げる

 

 

「よぅし決まった!総督!悪い報せと良い報せ、どっちが聞きたい!」

 

――悪い報せと良い報せ? 

 

「どちらからでも構わぬが、楽しみは後に取っておくものだ。悪い報せを告げよ」

 

 

「あいよ!速度的に、あっちのヘクトールの方が速い!今ここで見失ったら追い付けなくなっちまう!」

 

「であろうな。その程度が悪い報せならば問題あるまい。――いや、我には良い報せが読めたぞ」

 

 

――追い付けない――まさか

 

 

「察しがいいね!良い報せは――嵐の海のライディングさ!帆を張って、荒波に乗ってかっ飛ぶよ!!」

 

 

「ちょっと待て!それのどこが良い報せだよ!?死ぬにはいい日を良い報せとかいうの止めてくれません!?」

 

「やかましい!蹴り飛ばされたくなきゃ支度しな!いいね総督!!」

 

「ふはははははは!!よい!退路が無ければ進むのみ!であろうオルガ!」

 

『止まるんじゃ・・・も、もう!からかわないでください!』

 

 

「野郎共!準備しな!全員でこの嵐を乗りきるよ!!」

 

「「「「「おぉっ!!姉御は運に関しては最高だぜ!」」」」」

 

 

「関してはってなんだい!?今言ったヤツ全員飛び下りな!!」

 

 

「フォウ!(まったく、穏やかじゃないなぁ。まぁいいや、揺れるおっぱい見てよう)」

 

――余裕だね、フォウ

 

「(楽園から叩き落とされた衝撃に比べたら別に屁でもないね。・・・あ、ムカムカしてきた)」

 

 

命綱ならぬ命鎖を巻きながら、帆を張る船員とサーヴァント達。

 

 

「さて、では我は遠見でもしてやるとするか。汗水垂らすは雑種の役目よ」

 

眼を閉じ、辺り一帯の状況を瞬時に把握する

 

 

――前方に、今にも朽ち果てかねない巨大な船が浮いている。進行方向に立ち塞がる形だ

 

 

 

「開拓者!前方に幽霊船があるぞ。対処するがよい!」

 

「またその眼で見たのかい!?ハッ、幽霊船なんてのは大体飢餓やらなんやらで人がいなくなった無人船だ!ビビる必要は」

 

――すかさず器がテープレコーダーとホログラム投影機器を取りだし

 

「そら」

 

ドレイクの目の前に幽霊の虚像を・・・って何やってるんですか!?

 

 

「きゃんっ!!?」

 

 

「「「「「!!???」」」」」

 

 

「よし」

 

ポチり、と録音オフを押す器

 

 

「よい悲鳴だったぞ開拓者。お化け屋敷にて震える生娘のような心地よい声であった!」

 

「ななななな、なんだい今の!?今のなんだい!?」

 

 

「ドレイク船長が変な声だした!」

「生娘みたいな声だした!!」

 

 

「あ、アタシの悲鳴なんてどうだっていいんだよ!!」

 

「む――遊んでいたら幽霊船が目前ではないか」

 

 

 

 

目の前に力なく揺られる、巨大な幽霊船、このままではぶつかる――!

 

 

「先輩!?」

 

 

その時、リッカが船首に向けて走り出す!

 

 

「来て!『カルナ』!!」

 

右手を輝かせ、呼び出せしは太陽の輝きを持てしインドの大英雄――

 

 

「ほう、良い選択だマスター!」

 

 

「カルナさん!?先輩、何故!?」

 

 

「そやつも我と同じレアクラスを持つからだ!放て!光線(ビーム)の英霊『光学兵(ランチャー)』!!」

 

 

「そゆこと!カルナさん、お願い!」

 

「承知した」

 

 

合図と同時に、莫大な魔力を炎として放出し、船からカルナが飛び立つ

 

 

「くっ、ぅう・・・!!」

 

「少しだけ耐えろ、マスター。――武器など不要」

 

 

そのまま、目の前の幽霊船目掛けて

 

 

「――真の英雄は『眼』で殺す――!!」

 

 

奥義を眼光として視覚化した『梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)』が、粉微塵に巨大な船を燃やし尽くし、消し飛ばす――!

 

遥か水平線の彼方まで、海の水を蒸発させながら地を疾走する梵天が、辺り一帯を眩く照らしあげる!

 

――その一瞬の輝きにて、器の瞳が、数㎞先に進むヘクトールの船を映す

 

――位置はあっている!

 

「――見えたぞ!ヘクトールめの船はこの先だ!進め!『黄金の我号(ゴールデン・ゴージャス)』!!」

 

 

「総督アンタマジで覚えときなよ――!!」

 

 

「激したか?すまぬな!心当たりがありすぎて何が気に障ったか解らぬわ!笑って許せ!ふはははははははははは――――!!!」

 

 

「誰かその金ぴかを放り出しとくれ――!!」

 

 

「進め――!ヤイサホー!!」

 

「先輩――!?」

 

 

慌ただしく、船は嵐を駆けていく

 

 

――黒幕との、対決は近い・・・!

 




「――」

「カルナさん、嬉しそうだね?」

「いや、・・・かつてオレをランチャーと呼んだマスターを思い返していてな」

「どんな人だった?」


「肥えていたな。――プレミアムロールケーキを無限に食べていた」

「え、何それ」


「――だが、オレにとって。かけがえのないマスターだったのは確かだ。――行くぞマスター。必ず誰かが、誰でもないお前を待っている」

「――うん!!」

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