ハデス【まさかギルガメッシュ王が、地獄巡りの約束をしていてくれたなんて。前々から興味があったんだよね、嬉しいなぁ】
ペルセポネー【オリエンタル・ヘルを楽しむ。それもまた冥界の者としての見識を広げることに繋がるのですわ!】
~
小町「イザナミ様、白黒不足で映姫様の元気が無いんですよ。なんだかあの方が主導でできるイベントの一つや二つ、存じでありませんか?」
イザナミ「あなや…閻魔ちゃんはとても真面目ですものね…解りました!おばあちゃん王様にお願いします!待っていてくださいね!」
~
ハデス【あちらの王も快く受けてくださったそうだよ。暖かいなぁ。だから好きなんだ、日本…】
ケルベロス【【【ワゥ】】】
【粗相の無いようになさいませ、ケルベロス?それでは…参りますわ!】
『ワープホール』
【あっ、意外と現代的なんだね…】
【ここが日本の冥界…即ちサンズリバーですのね?なんと、橋がかかっていたり船が置いてあったりと随分オリエンタルな場所ですこと。日本というものは何においてもWabisabiを重んじると伺っておりましたが、あながち間違いでも無いのですわね】
平和になった幻想郷…異変が起きる前のインターバルとも言うべきこの期間。それらは当然のんびりとした自由時間と言うことでもあり、サーヴァント達ものんびり歓楽の一時を過ごす。神社、花畑、人里といった場所が人気な場所でもあるが、まさかまさかの彼岸、三途を観光に選んだ家族が一組。
【静かでいいなぁ…川のせせらぎ、喧騒の無い隔離された世界…僕、こういうの好きだなぁ…ね、ケルベロス?吠える声は小さめにね】
【【【クゥン】】】
そう、ハデス一家。ギリシャの冥府の神もまた見識を広める為にちょくちょく家族団欒を兼ね外出を行っているのだ。此度は日本の冥界、あの世といった概念を知るための懇親会を申し込んだのである。それは勿論誰にかというと。
「よくぞいらっしゃいました。生と死を支配する異国の支配者、ハデス様とそのご家族。此度はこの四季映姫・ヤマザナドゥが同行、先導させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」
緑髪に、濃紺の衣装。閻魔が被る職帽を被った白黒はっきりつける四季映姫・ヤマザナドゥが現れる。今回はイザナミの思し召しとして表舞台に現れなかった為、こうして終わった後のスケジュールを立てていたのだ。即ち、親睦会である。
【シキエーキ・ヤマザナドゥさんですわね。御丁寧にありがとうございますわ。私はペルセポネー。冥界の神、ハデスの妻をしておりますのよ。そしてこちらはケルベロス】
【【【ゥー】】】
「まぁ、彼が噂の地獄の番犬。かねがね活躍は聞いております。…どれが本物なのでしょう?」
【【【わう!】】】
【三つで一つなのですよ、ヤマザナドゥ。私はハデス。ギリシャの冥界を統治する…その…神です。今日はペルセポネー、ケルベロス共々よろしくお願いします】
「素晴らしい美丈夫ですのね。冥界は人柄がよく厳粛な方しか治められないのは自明の理。あなたはさぞや家庭的な方ですね。解ります…この四季映姫には解ります」
【えぇ、えぇ!ギリシャで一括するのではなく、ただしヘスティア神と冥界は除くと付け足しくださいませ。それでは参りましょう!ジャパニーズ・ヘル!楽しみでしてよ!】
【地獄を見に行くんじゃないよペルセポネー…あの世の仕組みというか有名スポットをだね…】
【【【ワゥ】】】
「ふふっ。白黒つけられなかった分、こちらにて挽回致しましょう。それではこちらに──」
そうして始まった、あの世彼岸巡り。日本の死後文化を幻想郷の閻魔が直々にギリシャにレクチャーを行う──
~衣領樹
ペルセポネー【まぁ。あそこに服が掛けてある木がありますわ!あれは服を生やす木なのですの?変わった樹木ですわね?】
映姫「ペルセポネー様、あれは衣領樹といい、あの世に招かれた霊魂の魂から剥ぎ取った衣服を掛ける樹木なのですよ」
ペルセポネー【まぁ!服を剥ぎますの!?過激なのですわね…!】
「亡者の業は衣服に宿り、その重さを量るのがあの衣領樹なのです。裁くのは閻魔ではありますが、三途の川の渡り方にも影響を及ぼすのですよ」
ハデス【ボートや、カロンを雇ったりするといった処遇かい?】
「えぇ、ハデス様。かけられた橋を渡るか、勢いが弱い河を渡るか、急流を泳ぐか。閻魔に至るまでも様々な計りが亡者を試します。それほどに、あの世の決まりとは厳格なものなのですよ」
ハデス【エレシュキガルちゃんも言っていた事だね。せめて冥界では、絶対的なルールが無くては成り立たない。ペルセポネーやケルベロスあってこそのギリシャの冥界だからね】
【【【ワゥ!】】】
【おほほほ!当然のことをそんな当たり前のように!ありがとうハデス!そして自信を持ちなさいな!】
映姫「…私情ですが、随分とケルベロスさんは…大人しいのですね?むしろ可愛らしいといいますか…」
ペルセポネー【ハチミツと音楽が好きな良い子ですのよ。撫でて御覧になります?】
【【【ゥー】】】
「…あっ、ごわごわでモフモフ…」
~賽の河原
ペルセポネー【まぁ…十に満たぬ子らが一身に石を積み上げておりますわ。ヤマザナドゥ、これは?】
映姫「これは親より早く逝去した罪を犯した子が受ける罪垢の場。子供達は父母の供養の為に小石を積み上げ塔を作ります。しかし───」
獄卒【なんだこのストーン配置は!アーティスティックさがまるで足りていない!もっとファザーとマザーを想うセンチメンタリズムを込めた哀しみの黄金比を形にしろ!ボツ!!】
亡者たち『『『『『はい!』』』』』
「あのように、獄卒がやってきて石を壊してしまいます。無限に繰り返される徒労と悔恨。菩薩が至るまで続く終わることなき責め苦を、彼等はあじわっているのですよ」
【随分とこだわりの感じるストーンタワー制作現場のように見えるけれど…】
「更生の一環です。はじめは黙々と積むものだったのですが、段々と自らの個性を発揮し始めチームを組み始めた為、獄卒側もプロフェッショナル監督役を雇い、彼等のアート石積みを監査、ボツを飛ばすという形態に移行しています。白銀比、黄金比、そしてバベル・タワーを作るか菩薩が降臨するかの勝負となっているんですよ」
ハデス【な、なるほど…ちょっとやってみてもよろしいですか?】
四季映姫「勿論。体験用の積石セットはこちらに」
ペルセポネー【ファイトですわよ、ハデス!】
【【【ワゥ!】】】
『ハデス?』『冥府のパイオニアの機能?』『参考にしたい…!』『インスピレーションを貰えそう!』『是非ともアイディアをいただきたい!』
ハデス【ちゅ、注目が…注目が重い…】
『後に石を積み上げて作られたケルベロスとペルセポネーは、地獄石積みアート最優秀賞として鎮座される事となった』
~三途の川の渡り方
四季映姫「それではいよいよ、罪人の裁きの場…三途の川に渡る前の裁きを体感していただきます。その前に、当然ながら皆様は罪人ではないので、河を渡る船を御用意致します」
ペルセポネー【サンズリバー・ボート!気が利きますのね!】
ハデス【け、ケルベロスは乗れますか…?】
ケルベロス【【【(犬かきでいくつもりの顔)】】】
「ご安心ください。私がこう『渡れる!』と言ったなら渡れます。白黒のうち、渡れるの白。素晴らしい決定です。小町?小町ー?」
ハデス【コマチ?ボートの名前かい?】
四季映姫「船頭を担当する死神にございます。今回皆様を運ぶ船を漕ぐ…外来に言う、カロンの立ち位置ですよ」
ペルセポネー【知っていまして?日本の冥府にはロクモンセンを持つ決まりがありますのよ?ハデス】
ハデス【ロクモンセン?何かの神器かな?】
小町「文字通り小銭でございますですよ、ギリシャの冥府神様。渡る際にはそれをあたいに渡したり渡さなかったりするのが通例でござりまするですわ。おほほほ」
ハデス【あっ!あなたは…その鎌は!?】
「如何にも私が冥府の船頭、有能お船漕ぎの小野塚小町と申します。有能なあた、私が皆様を安全確実に…お届け致しますよ?」
ハデス【し、死神は鎌を持つという文化が日本にも根差しているなんて!凄いぞ!タナトスの系譜は絶えていなかったんだ!】
【なんで剣じゃなくて鎌を振り回すんだろうな。素手でよくない?】と愚痴っていたタナトスの体制は途絶えていなかった事に心弾ませるハデスであった。小町の船に乗り込み、一同は裁判所へと向かう──
映姫(流石に冥府神の前で無様は晒しませんでしたね。やるではないですか小町)
小町(まーそりゃそうでしょう!あたい、やればできますからね!)
映姫(なぜそれをいつもやらないのです?やればできるなら初めからやりなさい!)
小町(すみません!?)
ペルセポネー【静かですのね…喧騒の音がしませんわ】
ハデス【日本の冥界は慈悲深い。労働もさせず、腹いせに傷つけず。法整備が行き届いているね】
小町「あいたた…おや、そちらの冥界は違ったので?」
【まぁ、ね…その、脱走、脱獄、自身の処遇が気に食わない神が暴れるとか日常茶飯事だったから…】
小町「大変でしたねぇ…」
ペルセポネー【ま、ケルベロスに私が来て更に更にマシになりましたわ!今では立派な善き地獄!整備とは素晴らしくてよ!さぁ、閻魔の裁き!お手並み拝見ですわ!】
四季映姫「…頑張らなくては!」
次回へ続く!
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