人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
この小説を通じて、たった一人の人生を救う善行を果たしてくださったからです。
極楽浄土はちょっと悟りが必要なので行けるかどうかは解りませんが…
尊さを理解してくれた皆様が、地獄に行くなどあり得ぬと信じています。
それともう一つ報告を。この度この小説の表紙イラストをクリエイターさんにご注文致しました!納品は3月中旬になるそうなので、一緒にわくわくしながら待ちましょう!
この調子で小説オリジナルキャラクターを注文していきたいと考えているので、どうかお楽しみに!それでは本編どうぞ!
~第一の地獄 等活地獄
【第一層、等活地獄。ここでは殺生、無益な争いを好みその行為を反省しなかった者が落ちる地獄となっております。人間界の地下1,300㎞に位置し、広さは十三万平方kmとなっております。そしてこの広さは7層までは同じ広さとなっていて、此処に落ちた亡者は互いを憎み、害をなす業を背負わされ、絶えず争いを行っております】
鉄の爪、刀剣といった装備をした亡者が凄惨な殺し合いを行っている等活地獄。だれかを傷付ける事を強いられ続ける。争いを行わない者は、獄卒に両端から切り裂かれ引き裂かれている。
【亡者の寿命は500歳ですが、地上と比べ時間が緩やかな為、この地獄の刑期を終えるには地上時間に換算し、一兆6653億1250万年の時間を有する事となるのです】
凄惨な殺し合いを行い、死して尚自他共に害する地獄。それこそが等活地獄。無闇な殺生は、自らへの業となり返ってくるのだ。
【罰は恐ろしくあるべきですわ。恐怖は抑止の手札にしませんと!】
【弾みで花や虫を踏まないようにしたいね、ケルベロス】
【【【ワゥ!】】】
~第二層 黒縄地獄
更に降りた先には、同じ様に広大な空間が広がる地獄の第二層。映姫曰くここは黒縄地獄。盗みを働きしものが落ちる地獄であるという。
【黒縄地獄の責め苦は、等活地獄の十倍。獄卒に常に追い回され、捕まった際には熱く焼けた地面に押し倒され──】
焼けた縄を鞭の様に身体に打たれ、その跡はまるで黒き縄を掛けられたかのような有様となっている。故に由来した名こそが黒縄地獄。盗人たる罪人を裁く黒き縄の地獄である。
「まぁその後は縄の跡にそってガリガリ分割するんだけど、ちょっとそこらは描写するにはエグいから割愛、という事でよろしく頼みます」
【ふむふむ、なるほどなるほど…そのような手段が…なるほど…!】
【ぺ、ペルセポネー?】
ノリノリでメモするペルセポネーに若干の畏怖を抱きつつ、さらなる地下へと降りていく一行。ちなみに、この地獄における亡者の刑期は13兆3225億年である。
~第三層 衆合地獄
「此処は衆合地獄。今までの罪に加え邪淫…淫らな行いをした者が落ちる地獄となっております。ここでの苦しみは、黒縄地獄の十倍となっていて…」
【倍の倍で!バイバイですのね!】
【ぺ、ペルセポネー?】
拷問レパートリーが増える事により、ギリシャの神々にいつか味わわせるリストの充実にテンションの上がったペルセポネーに驚くハデス。ここの責め苦も、大いに凄まじい。
「脇にある山が見えますか?あの山は即座に崩れ亡者を圧殺します。そしてあそこにある刃の樹木をご覧ください」
其処には、触れただけで斬り刻まれる刃の樹木を、美女の幻影に惑わされた亡者が血塗れで登っている。出会う寸前に今度は下に現れ、また引き裂かれるの繰り返しを延々と行っている。
「そして此処には鉄の巨大な像があり、すべてを踏み潰さんと暴れ回っているのです。地上時間で刑期は106兆5800億年となっております」
【…思ったのですけれど。その刑期はキチンと果たされますの?地球や宇宙が出来るより長いのではなくて?】
「ふふっ、流石の慧眼ですねペルセポネー様。ですがその説明はまた後程。さぁ、次なる場所からやや簡素になってくる地獄がございますのでガンガン参りましょう…!」
第四層 叫喚地獄
「ここは酒により身を滅ぼした者、悪事を働いた者が落ちる第四層の地獄となります。ご存知かもしれませんが、先の地獄より苦しみは十倍。一層と比べて千倍にもなりました」
【最早即死してすぐに蘇るの高速往復なんじゃないかと思えてくるね…】
其処には、煮え滾る熱湯で満たされた大釜、燃え盛る猛火が充満した鉄室に閉じ込められ文字通り叫喚の様相をもたらす。そしてその声を聞き獄卒は更に怒り狂い、責め苦をもたらす。
「ここには特製の獄卒がおり、金髪と目から焔を吹き出す巨大な存在がいるのです。弓矢で射抜く、棍棒で殴りかかるなどといった様子。そして…」
この地獄の刑期は852兆6400年となっている。何百倍にも膨れ上がった罪状は、亡者を永遠に思える時間苦しめるのだ。
第5層 大叫喚地獄
「此処は嘘をついた者が落ちる地獄となっています」
【まぁ!?清姫ちゃんの想い人がいるのではなくて!?】
「更に炎は熱く、より獄卒達は猛り狂います。叫喚の上位互換…更に恐ろしき地獄なのです」
【……】
「どうなさいました?」
【…生き、死に果てるまでただの一度も嘘をつかない生物など果たしているのだろうか。もっと言うならば…この地獄の罪状を犯さず天国に行ける魂とはなんなのだろう…?】
冥界の王も思い耽るほどの驚愕のガバガバ判定。刑期は何と6821兆1200億年。今の地球が誕生してから最近に至るまでの150万倍の時間である。ゴールデンな体験もビックリである。
第6層 焦熱地獄
「焦熱地獄は、今までの罪に加え仏教の教えと異なった考えを説き、実践したものが落とされる地獄であります。教祖、信徒といった者が当たりますね。無論苦痛は十倍です」
【異教徒を許さぬ考えは、どこの思想にもあるんだね。人間は異端者を許さない種族だからね…】
【唾棄すべき狭量ですわ!皆違ってみんな良いではありませんの!このケルベロスの首たちのように!】
【【【ワゥ~】】】
此処では絶えず獄熱に焼かれ、串刺しにされ、鼻や、口や耳といったパーツを焼かれるという。この地獄の炎に比べれば、今までの炎や熱湯は水か雪かのようと謳われるほどのものである。そして、ほんの数センチこの炎を地上に持ち出せば、その瞬間火は人間界全てを焼き尽くすとされる。スルトもビックリである。
「この地獄の刑期は5京4568兆9600億。桁が違うとはこの事です。最下層に近いだけあり、凄まじいと言えるでしょう」
【是非はともかく、責め苦としては非の打ち所がない…このシステムを考えついたものはまさに天才だね…】
第7層 大焦熱地獄
【ネタ切れ感が出てまいりましたわね?】
「言わんでくださいな、あたいらもそんな感じはしてますから」
「こ、こほん。ここの苦痛は焦熱地獄の十倍。強姦を行った者が落ちる地獄。苦しめられた罪人の声は遥か4万kmにも届くと言われています」
更に、この地獄に落ちる者は死の三日前から同じ苦しみを味わう。刑期は43京6551兆6800億年。もはや途方もない年月であり、きっと宇宙創生すら超えているだろう。
「──そして、次が最後。最下層である【阿鼻】。またの名を無間地獄と呼ばれる場所でございます──」
~最下層 無間地獄
「こここそが地獄の底、無間地獄。広さは26万平方キロメートルという倍の広さを誇りし最後の終点地。罪状は…親殺し、聖者殺し。並びに仏を傷付ける者が落ちる地獄となっています」
其処は辿り着くのも容易ではなく、人間界から無間地獄に落ちるまでは2000年かかるとされるほどの広さ。今までの地獄の1万倍の苦痛。この地獄に比べると今までの地獄の苦痛が幸福に思えるほどの別格の苦痛が待っているという。
「ここの獄卒は64個の目、65kmの巨体を持つ鬼がいます。その鬼の吐く炎に焼かれ、舌を抜き出され、百本の釘を打たれ、大焦熱地獄を越える熱を持つ山を上り下りさせられるといった苦痛を味わうこととなります」
この地獄の刑期は、349京2413兆4400億年といった途方もない、途轍もない時間を責め苦が襲い続けるのだ。親殺し、聖人殺し、仏の冒涜はそれ程までに重い。
【成程…区分けが大切なのですね。それにこれ程のレパートリー。考えついた方に拍手喝采と病院の通院をお勧めしたいですわ!】
【【【ヘッ、ヘッ、ヘッ…】】】
【ああっ、ケルベロスがグロッキーに!申し訳ありませんが早急に地上に戻りませんこと!?】
【あぁ、そうだね。戻ろうか。…】
向き直る瞬間、彼の目に入った…鬼に引き裂かれる一組の亡者。あらゆる責め苦を、絶え間なく受けている者。
「あの一組は自身の両親を殺した罪で阿鼻へと落ちてきました。どういう訳か重りらしきものを纏わりつかせ一息に。彼等が何か?」
【…いや、気のせいだろう。きっと…】
地獄の遥か下にて責め苦を受け続けるその男女はどこか──
【…他人の、空似だろう】
カルデアにいる、とある少女に似ていた。
ペルセポネー【当然ですが、きっちりと区分整頓された地獄でしたわね。今日はとても有意義な時間をありがとうございますわ、ヤマザナドゥ!コマチ!】
映姫「こちらこそ。仲睦まじい家族の触れ合いはとても善き清涼となりました。こちらからも感謝を」
小町「?どうかしたかい?ハデス様?」
ハデス【…亡者達は、あの長い時間ずっと苦しむのかい?】
星が生まれるよりも遥かな時間、苦しみ続ける事に疑問をもったハデス。四季映姫は応える。
「刑期とは、あくまで救いのない魂に課せられるもの。『反省』し、『悔い改めた』者にはきちんと救いが与えられますよ、ハデス様」
ハデス【あぁ、良かった。その救いとは…?】
映姫「善行を積んだ者は、無事を祈られます。供養をされます。供養されている間は、地獄の責め苦から逃れられます。その間に悔い改め、人の心を思い出せば、きちんと新たに生まれ変わる事が出来るのですよ」
ハデス【重ねた善行、人徳は無駄にはならない。…あぁ、良かった。それなら…リッカちゃんは大丈夫だろうね…】
それだけが気がかりだった。彼女は自らの否応無く、親とされる者を3人殺した。地獄の法で裁かれるならば無間地獄。世界の為に戦う先が地獄ではあまりに報われないと。それだけが気がかりだったのだ。
【あの少女が普通に死ぬなんてあり得なくてよ、ハデス?ヴァルハラ、冥界、高天原、アルテミスの神殿。引く手数多でしてよ?】
小町「確か鬼灯からもスカウトの誘いが来てなかったかい?」
ハデス【うん。そうだね。本当に、安心した。──よし、なら今日の御礼に、皆さんに僕が料理を振る舞おう!腕によりをかけてね!】
ペルセポネー【よろしいのですの!?やりましたわケルベロス!久しぶりのハデスの手料理ですわ!】
【【【ワォーン!!】】】
小町「じゃあ閻魔ちゃんにも連絡入れます?映姫様?」
「ひとまずあなたはツケを払いなさい。それがあなたが出来る善行です」
「はーい…」
ハデス【今日は、本当にありがとうございました。お互い、冥府の管理者として頑張っていきましょう!】
「「はい!」」
少女に、仲間達にも救いはある。その事実を、ナニヨリの収穫とするハデス一家であった──