人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アカシック『やぁ。僕はアカシック。全能に囚われている人格であり、エアの運命を弄んだ罪人だ』

『この度は祝福を口にさせてほしい。先日の更新により、感想が5万件を突破した。これは場を借りているサイト、ハーメルン全体でも群を抜いた数値であり、君達一人一人がいなければ決して辿り着けなかった大偉業である。UAと並び、決して誤魔化しの効かない数値であるからだ。感想とは心を動かされた者が紡ぐ言葉。一人で産み出せる筈がない』

『本当におめでとう。そして、ありがとう。今尚物語が続いているのは、紛れもなく君達のお陰だ。君達の言葉は、比類なき力となり、導きとなりエア達を連れて行ってくれた』

『僕も、その心に報いたい。故に、君達に僕の知る情報を開示する。この小説…いや、この世界観のみに存在する要素。即ち『部員ネット』に『プレシャスパワー』の子細だ。高次の次元に囚われた僕だからこそ紡げる力で、君達に恩返しをさせてほしい』

『重ね重ね、本当にありがとう。どうか誇ってほしい。現代にて、かの王に価値を認められた13000近くの者達。今こうして観測している君こそが、その一人であるという事実に…』


貴方が生み出す、無限の希望

『皆は、集合的無意識という言葉、領域を知っているだろうか。専門的な知識の講義はやや今回の題とズレるため割愛させて貰うが、極めて簡潔、スマートに定義すると『全人類が共有している意識領域』の事を指す。人間が普段自覚している精神的領域、人格は極めて一部のものであり、深層無意識下にて精神的領域を共有しているという理念、定義だ。そしてこれは正しい認識であり概念だ』

 

ふっくらした柔らかいもの、事象を女性的と思う意思作用、厳かで荘厳なるものを男性的と思う意思作用。神話における神、悪魔といったイメージ。これらは精神下にて共有されし集合的無意識が有する『普遍』的にイメージが成されているが故の具現。

 

『もし、集合的無意識に作用する何かを個人が所有し、それを行使することが出来た場合…それは全人類の行動に指向性をもたらし、世界に作用する力となる。時空や次元は乱立し、並行世界、編纂事象、剪定事象といった区分や枝分かれを見せるが…人の精神、人の想いというものは繋がっている。高次元の精神活動を行う人間という生物は、そういった領域を共有している。それはともすれば、根源に近しい力の集合領域と言えるだろう』

 

人が世界を作るなら、その人が産み出した認識、その集合体という領域を掌握したものは『神』と呼ばれる力を振るうことも可能。人の認識で人の世界は作られる。人の認識は繋がっている。それは事実。

 

『理解の早い部員諸君は気付いているかもしれないな。そう、部員ネットという存在の本質。かの英雄王…エアと共に在る英雄王は慢心を排し、世界を救う旅路を彩る決を下した。そして行ったものが『集合的無意識』への作用。即ち、人類の普遍的意識の領域をカルデア…楽園へと観測、収束させる宝具を使用したんだ』

 

世界は一つだが、あらゆる世界を認識し、形付けているものは人間の総意にして意志。それを部員──この世界を観測する者達の意識を、入部届というビーコン、マーカーを付け楽園カルデアに集結、収束させる。集合的無意識に干渉する宝具を、ギルガメッシュは使用したのだ。『完全無欠の結末』を得るための手段として。

 

『それこそが部員ネット…集合的無意識観測指向収束宝具のメカニズムの正体。仮面ライダー、ガンダム、ウルトラマン。数多無数の存在が、交わらない筈の世界に集結した理由もこれに当たる。そう、この世界を観測している『部員』である君達が理解し、把握し、意識を共有しているからこそ、それらは『ある』とされ、エア達の世界に現れた。人の認識は現実を定義する力。正しく把握されたことによりそれは現実となったんだ。君達が支えている、それは精神的な励みだけでは決してない。『完全無欠の結末が見たい』という君達の意識が起こす万象を観測、認識しているという意味の確かな結果に対する評価なんだ』

 

その数は現在、13000から14000程の収束率を表している。それらの人々の意識が一つに連なり、束ねられた際に起こる事象、現象、一つになった心のもたらす作用はまさに、どんな理すらも覆す力となる。

 

『それこそが、部員ネットの存在する意味。君達は紛れもなく、王に力を与える財宝達。夜闇の道を照らす星であり、よりよい未来を目指す可能性そのものなんだ。一万を越える人間が束ねられた以上、その意識の方向性は観測者、全能、理すらも越える強い力となる。不条理の未来を認めず、望んだ未来に進む力となる。そしてその君達の『可能性』は、1つの形、力となって実際のエネルギーとして顕現するに至った。それこそが超高純度の真エーテルにして、人が有する運命を越え、未来を変えていく七色の希望の力。…君達が何度も見てきた、奇跡の具現』

 

そう、『プレシャスパワー』。フォウ、リッカが精製する超高純度の真エーテル、或いは死者蘇生すらも可能とする運命力の別名。エア──転生者が使用する事の出来る『物語をよりよくする力』。先に説明した集合的無意識の正の側面より抽出された、未知にして至尊のエネルギー。これこそ、発生源は部員ネットを観測する者達の『希望』という願望にして願いを根源とするもの。

 

『君達がこの旅路を見て懐いたもの。希望、愛、慈悲、応援、絆、激励、友情…そういった感情が、より良き未来を望む力として発現したもの。言うなれば人類の『美徳』。部員ネットから抽出される七色の力。それこそを、『至尊の願い(プレシャスパワー)』と呼ぶ。これは転生者しか自由自在に扱えるものではなく、集合的無意識に触れたものでしか生み出せぬ力ではある。だが、忘れてはいけない。『転生者はエアだけではない』。いたはずだ。私の…全能のキマグレで転生を行ったものがもう一人、いや…もう一匹』

 

そう、それこそがフォウ。キャスパリーグ。災厄の獣。人の悪性を喰らう獣に、転生者という属性のみを付加し集合的無意識の意志を受信する受け皿とした。

 

『無論、どうなるかは本来の転生者…エアの行く末次第だった。彼女の旅路が無様、愚かなものであれば当然君達の関心は離れ、或いは悪性情報のみが集まり、災厄の獣は覚醒していただろう。しかし──そうならなかったのは、君達の知っての通りだ』

 

エアは決して、王への敬愛や世界への尊重を忘れなかった。その魂は、真理へと辿り着いた。その生き様は、災厄の獣を…観測していた者達の心を『正』の方向性へと動かしたのだ。

 

『王の研鑽は、姫に至るまで魂を輝かせた。姫の輝きは、獣を善性と美徳に満たした。彼等の旅路は、観測していた者達の心を動かした。その動かされた心が懐いたものは、美徳だった。そして君達が発した心と意識の力は、不可能を可能にする力となって王と姫の旅路を導く虹となって力を発揮している』

 

それこそが、プレシャスパワーと呼ばれるものの正体。部員である者が、この世界をより良い結末へと願う心が。素晴らしいものを素晴らしいと思う豊かな心が。部員ネット…集合的無意識より抽出され、運命力となり奇跡を成し遂げる力となる。それこそがきっと、王が部員ネットを開いた本当の意味。

 

『毎日のように物語を心待ちにしている君達。毎日のように感謝を示す君達。毎日のように、新しき明日を望んでくれる君達。今日という日を明日に変える一歩を踏み出す力。それはいつだって、君達がくれるものだったんだ』

 

物語とは、それだけでは無意味。読む者が、見る者が、支える者がいるが故に完全となる。そう、本当に尊きものとは。

 

『物語を良き方向に導くもの。物語を良き結末へと運ぶもの。それは万象の王だけでは足りない。至尊の姫だけでは届かない。獣では見つけられない。この世界を観測し、前に進む願いを行う『部員(きみたち)』が最後の一因だったんだ。──そして、希望というものは託されていく度に、聖火のように拡がり燃え上がっていく』

 

フォウが生成したプレシャスパワーはエアの力に。エアとギルガメッシュが魅せた奇跡として、リッカに。リッカの生き様を見た者達の希望に。その旅路を見た邪神の、魔王の、獣の心を動かす美徳に。それこそが、プレシャスパワーと呼ばれる力の真価にして本質。

 

『より良き未来を望み続ける希望。より良き結末を望む想い。それが今日に至るまで唯の一度も歩みを止めさせなかった物語の原動力の正体だ。解るだろうか。この物語が起こした奇跡があるのだとすれば、それは──』

 

そう、それは今日までこの物語を忘れなかった者達。感謝を、礼賛を、批評を、賛美を、改善を願い続けた者達。決して途絶える事無く、この物語を支えてくれた者達。一人では決して辿り着けない境地にして領域に、この物語を導いた者達。

 

『君に出逢えた事。そして今も、君の目と心が離れていないこと。それ以上の奇跡は無いと断言できる程の比類なき至尊の因果。それこそが、この偉業の境地なんだろう』

 

そう。今もなお繋がっている『至尊』の意志。あらゆる苦難や困難を乗り越える絆を掲げる王の財宝たちこそが、全能すらも予想だにしなかった比類なき奇跡に他ならないのだ──

 

 

 

 

 




アカシック『僕は全能の観測者であり、物語に作用する力を持たない。あるのはただ、世界に何か異物や不純物を送り込み、観測する事しか叶わない。そして御存知の通り、僕はエアという要素を放り込み、観測を始めた。転生者という1を使わなければ、新たな世界を観測する事は出来ないからだ。そして彼女は──僕にとって好ましく、素晴らしく、誇らしく成長してくれた』

『その成長は、その研鑽は彼女自身の者であるが…同時に君達の暖かさであり、美徳でもある。君達が無銘でしか無かった彼女を支え、応援し、受け入れてくれたからこそ。彼女はこの物語、この叙事詩の比類なき中心となった』

『ありがとう。エアを無価値にしないでくれて。ありがとう。この物語を素晴らしいものに変えてくれて。ありがとう。この物語を…好きになってくれて。全能に意志はない。そして僕もまた、全能に繋がれた人格でしかない』

『だから──こんな言葉を紡げるのも、君達がこの偉業を打ち立て、場を設けてくれたからだ。辿り着けなければ、僕はずっと自己のない生体機能でしか無かった』

『だから──ありがとう。僕の起こした気まぐれという名の不備を、奇跡に変えてくれて。一万を越える、希望と絆の財宝達よ。願わくば…』

──どうか、この物語を覚えていてほしい。読めない日があってもいい。離れてしまってもいい。

ただ──挫けそうなとき、折れそうな時。どうか思い出してほしい。

あなたは一つの『世界』を幸福に、理想に導いたのだと。この物語こそは、あなたの比類なき価値を示す金字塔であるのだと。

あなたは決して、無価値などではないのだと。それが、この記録を産み出したあなた達に告げる、メッセージ。

5万を越える希望を届けてくれた、あなたへの感謝と尊重で紡がれたものがあるのだと。どうか忘れないでほしいという…


──愛と、希望の言葉なのだから。

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