人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オフェリア「マシュ?そうね、見てないわ。コンラとのレッスンもあるのに、何をしているのかしら」



コンラ「探知のルーンを使ってみますね!むむむ…見えました!お部屋にいますよ!」



オルガマリー「はいマスターキー。寝すぎるのも身体に毒と教えてあげて」



グドーシ「あれよあれよという間に特定されましたな」

リッカ「楽園で無いのはセイバーアルトリアさんだけなんだよねぇ。マシュめ、狸寝入りとは中々策士…しかしこのマスターキーの前には無力!」

グドーシ「拙者、入ってよろしいのですかな?」

リッカ「むしろ女性の部屋に顔パスで入れるのグドーシくらいじゃない?聖人来訪的な意味で」

グドーシ「それもしかり。それでは、眠り姫を拝見しに参りましょうぞ」

リッカ「眠り姫というか寝かせたなすびだけどね!さぁ、お邪魔しまーす!おらなすびぃ!(小声)」

グドーシ「親しき仲にも礼儀あり、ですな(小声)」


晴らせ曇天!マシュとアナザー・ギャラハ仮面 〜曇天霧散・晴天快晴〜
贋作イベント~壮絶!ギャラハ仮面のカップリング探索ー


「むにゃあー…むにゅむにゅ、すぴー…」

 

マスターキーを使いマシュの部屋にお邪魔せしリッカ、そしてグドーシ。楽園名物フリーダムなすびことマシュは今、ベッドにてオフトゥンに包まれてすやすやと眠っていた。布団の乱れの一つない美しい熟睡姿勢である。鼻提灯すら美しいと見るものが見れば言うかもしれない。

 

「めっちゃ姿勢正しく寝てらっしゃいますよこのなすび…もしかしてずっと寝ていたのなすび…私達がグリーザと戦っている間!仮眠したの…私以外のマスターと…」

 

「それはしていないでござろうが…ふむ、いささか眠りの深度が深めなのが気がかり。これは仮眠や熟睡の類を越えている様にも思えますな」

 

レクリエーション、マスター達の交流会ともなればまっさきに鼻息荒く絡んできそうなマシュが今回はなんと1セリフもないというメインヒロインにあるまじき影の薄さを披露した理由がこの安眠であるならば、そこはかとなく嫌な予感がリッカの背筋を伝う。そう、リッカにとって睡眠とは異なる世界からのSOS、世界中がリッカを待っている的なエマージェンシーコールでもあったりするのだ。もしそれが、マシュにも起きているのだとしたら。

 

「マシュ。マシュー。先輩が会いに来たよー。起きてー」

 

「( ˘ω˘)スヤァ」

 

「起きなさい、起きなさいなすび…オフトゥンから解き放たれてあれ…」

 

「( ˘ω˘)スヤァ」

 

「胸とお尻が…大きくなってる!?(クウガ並感)」

 

「( ˘ω˘)スヤァ」

 

「…おかしいでござるな。マシュ殿と言えばリッカ殿のメインヒロインの座を虎視眈々と狙う肉食系野菜後輩。自室にリッカ殿が遊びに来るとはまさにサファリパークに極上霜降り肉放逐の如し。サバンナの飢えたライオンが如き貪欲さで食らいつくが楽園マシュ殿である筈。睡眠にうつつを抜かす訳が…」

 

マシュの胸をぷにぷに指でつつき、お尻をペチペチ叩くリッカを尻目にふむと悩むグドーシ。彼は性欲完全オフをパッシブスキルとして宿す涅槃常連。リッマシュの現場を見てもアルカイックスマイルを微塵も崩さず思案に耽る。マシュの今の状態は何事か。思案しているその時──

 

『彼女の意識は今、囚われてしまっている。彼女のひたむきな藤丸リッカを想う感情を…贋作英霊『ギャラハ仮面』が歪んだ形で取り込んだ為だ』

 

「誰!?」

 

「百合の間に挟まる男性が如き畜生の行い。拙者明王になるも已む無しかと。まぁそれはともかく…姿を見せていただければ」

 

二人にかかる声。その声は勝手知ったる声音で状況を説明し、指示のままにモニターを展開する。そこには立てかかっていた円卓を投影機にし、映し出されし存在。

 

『映像のみで失礼する。僕はギャラハッド、マシュに宿っている英霊だ。オルテナウスに搭載されている聖杯の力で、一時的に会話が可能になっている』

 

ギャラハッド。円卓の厄い椅子に座ってもピンピンしているランスロットの息子であり、デミ・サーヴァントであるマシュに力を貸す高潔なる英霊。白髪に目隠れの、マシュに良く似た守護の騎士。それが今、会話を成しているのだ。

 

「ギャラハッドさん…!?うちの後輩が大変お世話になっております…!」

 

「これはこれは、真なる聖杯を見つけど何も願わなかった高潔さを有する清廉の騎士殿。お逢いできて光栄にござるよ」

 

『こちらこそ。現世にて唯一悟った青年、そしてマシュの無二の相棒藤丸リッカ。緊急時ゆえウィンドウでの対話を許してほしい。先に話したとおり、彼女は今この聖杯と共鳴した贋作英霊、ギャラハ仮面の作った精神領域に囚われているんだ。助け出さなければ、マシュの眠りは解かれないだろう』

 

極めて真面目なトーンから繰り出されるギャラハ仮面、贋作英霊といった与太話めいた言葉に困惑を隠せないリッカを優しくなだめ、会話を促すグドーシ。説明は続く。

 

『彼女自身はレクリエーションを非常に楽しみにしていた。待ちに待ったグランドマスターズの共同作戦、首席だった私がとうとう皆様を引っ張る凄く強くてカッコいいクールなマシュになってしまいましゅねと彼女は遠足前日ばりに眠れない夜を過ごしていた…』

 

「どこのロストベルトのマシュなんだろうそれは…」

 

『そしてマシュは寝る前に強く強く願ったんだ。『ここで私と先輩のバッチリなコンビネーションを強くアピールし、メインヒロイン争いに決着をつけます!つけましゅ!ふんす!』と、目が冴えに冴えてしまう程に強く願い、意識を燃やした』

 

「楽園マシュ殿はクール、儚いといった属性から快活、パッションといったチェンジを果たしましたからな。解りまするぞその願い」

 

『…そのあまりに強い願いに、私も共鳴してしまったんだ。『マスターと協力するマシュ、いい』と。すると──格納された聖杯と僕の霊基が共鳴してしまい、産まれてしまったんだ。藤丸という存在とマシュというカップリングのみを推進する、原材料オルテナウスで制作された機械仕掛けの贋作英霊…ギャラハ仮面が』

 

最早イベントの方向性が完全に定まったのは明白のワードを羅列しつつ、大真面目にモニターギャラハッドは伝える。このままではマシュの精神は帰ってこないのだと。

 

『ギャラハ仮面はカップリング推進暴走を行い、マシュの精神を掌握し無意識下にいくつかの領域を作り上げた。マシュが考える藤丸リッカと行いたい様々なシチュエーションの微小特異点の数々を、聖杯の力を使って』

 

「誰もが一度は考える『理想の環境』『意中の相手との妄想』…それらが今、マシュ殿を捕らえていると」

 

「奥手なのかアグレッシブなのか解らないよなすび!本人いるんだから直接頼めばいいじゃん!?」

 

『彼女は受けタイプだったんだ。普段の押せ押せな態度は懐に潜り込ませ自身を美味しく味わってもらう為の撒き餌…誘い受けなんだ彼女は』

 

「如何様でもよろしいのですが、騎士にしては随分俗な言語がしきりに飛び出して来ておりますような…」

 

『それをギャラハ仮面が曲解した結果、深層意識にある『マシュが考えるパートナーの形とシチュエーション』を再現し、龍マシュてぇてぇの箱庭を生成してしまったというのが事のあらましだ。このままでは彼女が夢の中でしかゴールできない夢遊病ヒロインとなってしまう!君たちの力を貸してくれ…!ギャラハ仮面から、マシュの意識と精神を取り返すんだ!』

 

オルテナウスが起動した聖杯贋作英霊『ギャラハ仮面』により拐われたマシュの精神を取り戻すため、マシュが考えたシチュエーションの微小特異点群を解決するという要請をギャラハッドは行った。すなわちこれは、羽休め代わりにして、待望のマシュのマシュによるマシュの為のプチイベントという事なのだろう。

 

(じーん…)

 

「いかがなされた、リッカ殿?」

 

「いやぁ…もうマシュが特異点を生成する側になるくらい女子力と自意識を高めた一人の人間になったんだなって…!もう私とセットじゃなきゃダメななすびは何処にもいなくて、それでいて私を求めてくれてる!なんかそれが、凄く嬉しい!」

 

「成程、自立を果たした子供達が両親に親孝行を忘れないといった尊さなのですな」

 

『僕と聖杯の力で、君達をマシュの精神世界に送ってあげることができる。マシュにとってのヒーローでありヒロインであるリッカ。そして、マシュがリッカの男性パートナーとして推進するグドーシ。君達なら必ずマシュを助けられる。…マシュを、助けてくれるかい?』

 

頷き合い、覚悟を決めるリッカとグドーシ。マシュとはギルガメッシュと並ぶリッカのメインサーヴァント。グドーシにとってもリッカのヒロインである。見捨てていい理由など何処にもない。

 

『ありがとう。では早速行くとしよう。マシュの精神世界たる、シチュエーションギャラリーに…!』

 

ギャラハッド、すぐさまリッカ達を誘う速攻にて現場へと放り込む。リッカとグドーシ、連絡もままならず聖杯へと吸い込まれていく憂き目に合う。

 

「いきなり!?待って!まだオルガマリーやギルに報告が──!」

 

「はっはっは。さて、此度は本当にプチイベントであるのかどうか。のんびりと拝見させていただきましょうぞ──」

 

光に包まれるリッカにグドーシ。マシュが望む世界の数々とは、果たして──




次回!

マシュ「私は名探偵マシュ!相棒のリッカ先輩と執事のグドーシさんと共にあらゆる難事件を解決していきます!私の茄子色の脳細胞が閃くとき、あらゆる謎は初歩となります!」

リッカ「脳細胞壊死してないそれ?」

グドーシ「マシュ様、リッカ殿。福引で洋館ファミリーチケットが当たりました。まいりませぬか?」

リッカ「確実になんか起こるやつじゃんこれぇ!?」

マシュ「素晴らしいです!行きましょう!大丈夫ですよ先輩、そう簡単に事件は起こりませんよ。ファンタジーやメルヘンではないんですか」


~洋館にて起こる殺人事件!!

リッカ「テロップとマシュの言が一致してなーい!!」

シグルド「(戦士だけに戦死)」

XX「被害者は槍の一突きで即死させられています。かなりの情愛の籠もったランサークラスが犯人でしょう!」


ブリュンヒルデ「あぁ、あなた…」

スルーズ「なんで、なんでこんなことに…」

ヒルド「槍で殺すだなんてそんな残酷な事するなんて!」

オルトリンデ「うー、わんわん!」

リッカ「どういう事!?この配役ツッコミ待ちなの!?」

囚われた旅館でおきた殺人事件に、名探偵マシュの頭脳が冴え渡る!

マシュ「──確信しました!犯人は、この中にいます!!」

その茄子色の脳細胞からは、誰も逃れられない!

名探偵マシュ~愛憎のロマンシア編・何故シグルドは致命傷を負ったのか

リッカ「タイトルでほぼネタバレしてないこれー!?」

グドーシ「近日更新、お楽しみにでござる」

マシュ「事実は、いつも一つ!!」

リッカ「マシュの暴走は、はじまったばかり…!?」

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