人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ギャラハッド『今から君たちはマシュの考えた夢の世界の役割を演じてもらう。俗に言う…異世界転生だ』

リッカ「転生かぁ…今はもう、魅力的に思わないなぁ」

グドーシ「ロールプレイングゲームとも言いますな。ギャラハッド殿は何を?」

ギャラハッド『僕は一度物語が始まってしまえば干渉できない。君達がマシュの望む理想のエンディングに辿り着く事を祈っている。ちなみに理想のエンディングには報酬として…』

「「報酬として?」」

『マシュのオリジナル一枚目スチールメモリアルが貰える』

「「CG回収!?」」

リッカ「マシュの!!」

グドーシ「思い出の一枚…」

リッカ「やるしかないよ!グドーシ!!マシュのオリジナル概念礼装!!」

グドーシ「素敵な一枚絵とは…解っているでござるなぁ…(ほっこり)」

リッカ「マシュのコスプレ七変化!よーし!全回収するぞぉー!!!」

ギャラハッド『ふふ、僕も楽しみにしているよ。それでは、』




名探偵マシュ!~導入編・ぶっちゃけ探偵は趣味~

ここはどこにあるかも解らない、秘密の隠れ家にして施設カフェ、アーネンエルベ。今日も平和という宝石箱に輝く人々という宝物をうっとりと見つめ、秘蔵のスポーツドリンクをゴクリと飲む素敵な一時を過ごすハードボイルドな少女探偵の姿が一人。

 

「今日も、固茹で卵な私を誘っています。解決してと願う数多の事件。笑顔を忘れた天使たちの声無きSOSのハーモニー…つまり!絶好の探偵日和と言うわけですね…ですね!」

 

いきなり発情期のねこ+青少年の特級呪物に書きなぐったポエミーな発言を醸し出す、ブカブカな探偵ハットに探偵マント、伊達モノクル。探偵衣装に見事に着られている彼女はマシュ・キリエライト。高校生の頃に読んだシャーロック・ホームズに感銘を受け、卒業後すぐさま探偵業を開業した行動力の化身。デカ過ぎんだろな回転椅子にてタイプライターとハードボイルド教本片手に日々勉強中の新米探偵である。この事務所代わりの喫茶店は、無償で借り受けているもの。それは誰に?もちろん彼にである。

 

「はっはっは。閑古鳥と仲良く出来るのはマシュ殿の美点にござるよ。事件は起こらぬが最善にござる故」

 

グドーシ。マシュの執事であり、高校生卒業後に宝くじと株、セラピスト、セミナー活動と不動産でいち早くサラリーマン一生涯十人分の資産を手に入れ、それを二人の生活資金と探偵業に当てるハイスペックな青少年。ぶっちゃけグドーシの活動資産が強大すぎて探偵業が収入ゼロでも全く問題ない程のスペシャルスポンサーである。彼自身は身の回りのものを全く有さない性分であり、善意でマシュともう一人を応援している。もう一人はというと…

 

「そういうセリフはさ、ローマ字タイピングを卒業してから言うものだよイキリなすびちゃん?依頼、今日もペット探しに浮気調査に痴呆老人捜索とかだったじゃん?」

 

藤丸リッカ。女子高生時代にあらゆるスポーツ部門にその爪痕を残しトロフィーを総ナメにし、彗星の如くに伝説を残し三年生に海外留学し戦地の救難活動で死線を潜り抜け卒業し帰還したストロングレディ。特に進路を決めていなかったところ、マシュに探偵業に誘われ助手として歩み始める。もっぱら肉体的依頼の解決は彼女の仕事であり、探偵というよりなんでも屋な扱いを受け評判の向上に役立っているスーパー助手。どちらかというとヤクザの事務所に単身乗り込み壊滅させるタイプなのだが、マシュの探偵業に愉快さを見出し一緒にいるのである。ぶっちゃけ、リッカとグドーシがマシュの探偵業を支えている大黒柱。マシュはもっぱら安楽椅子探偵街道驀進中である。

 

「ふっふっふ、能あるキャプテン・ファルコンはF-ZEROマシンを隠すと言いますよ先輩?私の茄子色の脳細胞は冴え渡る推理の場を待ちわびているのです。具体的には!殺人事件が起こる鉄板の洋館などに!」

 

「一応ここ日本だからね。洋館とかそうそう無いと思うんだよね。まぁアーネンエルベはどう見ても洋風カフェだけど」

 

「ははは。衣食住は十分でありますゆえ、その様な絶好の機会が舞い込むのをゆるりと待ちましょうぞ。焦らずとも、探偵というのは行く先に死体の十や二十は転がるものでござる」

 

「コナンの少年探偵団の皆大丈夫かな…あの歳で死体ばっか見てたらトラウマになっちゃうよ…」

 

「臥薪嘗胆…すなわち、薪を枕にして寝ろという事ですね?それもまた真理なのでしょう。何故ならこの名探偵キリエライトの茄子色の脳細胞とは、誰もが目を背けるような難事件にこそ輝くものなのですから!」

 

そう、この若き三人の過ごし方、完全に老後の余暇の過ごし方である。稼ぎを気にすることもなく、取り立てを気にすることもなく、広い居住でのんびりと依頼を待つ。老成しきった幸せな日々を送る家族めいた姿がここにある。事件を求めるとは、それ即ち平和であることにほかならない。

 

「洋館に行きたいわけ?ならうってつけのやつが商店街福引でやってたわよ。一等が確か、北欧旅館家族御案内とかなんとか」

 

二階の部屋から降りてくる、白髪ロングのパンキッシュな装いの女性。彼女はリッカの用意した朝ごはん、フレンチトーストにサンドイッチ、目玉焼きにベーコンソーセージパンを頬張る。そう、彼女もまた大切な住人の一人。

 

「おはよーじゃんぬ!特集番組見たよ!凄かった!」

 

じゃんぬ。正式名称ジャンヌ・ダルク。世界を股にかける最高峰パティシエであり、同時にリッカの親友である。同級生であったリッカの海外留学にパティシエ修行の名目で付いていき、各国で天才的なセンスと狂気というべき向上心で瞬く間にパティシエ聖女の名を手にしたスイーツマイスターである。独学かつリッカにしか作る気のない幻の聖女のスイーツは語り草で、【ヤンキー美女パティシエ】なる特集番組を組まれる程の人物である。本人はそんなしがらみをウザがり、こうしてリッカと共に世捨て人めいた専属パティシエとして相部屋で過ごしているのである。

 

「ま、家賃や小遣いくらいにはなるわけよ。フフン、また新しい本場の材料仕入れたから期待しててね、リッカ。グドーシ」

 

「私も!私も期待しています!」

 

「うっさい穀潰し!椅子でくるくる回ってるなんちゃって名探偵にあげるスイーツなんて無いわよ!エクレアでその服びしゃびしゃにしなさい!」

 

酷いです!?と事実陳列に打ちのめされるマシュ。そう、彼女は壊滅的に人付き合いが悪く【菓子の狂犬】との渾名もあるロックな彼女なのである。彼女が生涯懐いたのはリッカしかいないと言っていい程の気性の荒さを持ち、グドーシのお抱えになっているのもこれが理由である。【指先スイート、口先ハバネロ】がもっぱらのネットの評判だ。しかし彼女の開設したエフチューブチャンネルでは懇切丁寧かつ初心者に向けたレクチャー動画を中心にアップされていることから【チワワ】【距離感が掴めてない大型犬】めいた生暖かい評価をされ、100万人登録を突破しているマルチな才覚持ちである。なお稼ぎの大半を「美味しく食べてくれたお礼」とリッカやグドーシのポケットマネーとして提供している黒聖女である。

 

「はーぁ!じゃんぬはこんなに才覚溢れるビューティーなのにマシュはなー!まだ見習い探偵だもんなー!いつ大成するのかなー!」

 

「今は雌伏の時。のんびりでいいでござるよ。人生とはそういうものにござる」

 

「ま、安心なさいな。あんたはきっちり私達が食わせてあげる。スイーツで肥え太る前に立派な探偵になりなさい?さもなきゃ、リッカに愛想つかされちゃうわよ~?」

 

「ぐぬぬぬぬ…!いいでしょう!なら皆さんをあっ!と言わせるためにもいってきます!その洋館をゲットする福引を!探偵は…脚ですからね!!」

 

元気よく駆け抜けていくマシュの背中を見送る三人。いや、正確には。

 

「もー!助手置いてけぼりなんてとこだけホームズ真似しなくていいじゃん!待ちなよ暴走なすびー!」

 

それが当然とばかりに、その背中を追いかけるリッカ。残されたグドーシとじゃんぬは共にコーヒーを嗜む。

 

(例え自身の望んだ世界でも、決して都合の悪い相手を排除しない。リッカ殿を守護しギャラハッド殿を宿すに相応しき善良さにござるなぁ…)

 

「何よ、どったの?アンタが女をジロジロ見るなんて珍しい」

 

「ははは、拙者七欲が無いだけで別にホモではござらんよ。…マシュ殿は、そなたも好きなのでござるなぁ」

 

「はあっ!?私はリッカ一筋なんですけどっ!?」

 

おやおや、よもや拙者が百合に挟まる赦されざる存在となろうとは。エプロンとコーヒーカップを握る美男子ホムンクルスは、彼女の見る優しい世界に微笑んだ──




福引会場

ジーク「残念賞だな、また」

じゃんぬ「くっ、グドーシを連れてくれば良かったわ…!私ラックはまるでクソなのよねっ…!」←リッカがオタクショップに消えたので代理で来た

マシュ「ふっふっふ。私の茄子色の脳細胞は必殺の必勝法を導いてしまいましたよじゃんぬさん!」

じゃんぬ「うそ!?腐ってるような色なのに役立つじゃない!どんなの!?」

マシュ「それは──これです!!」

『十万円分』

「全部やります!!!!!」

じゃんぬ「全世界の探偵に謝んなさいよアンターーーー!!??」

一回目

ジーク「おめでとう。北欧旅館旅行が当たったな。グドーシに連絡しておく」

じゃんぬ「残りの9万9千円どうするつもりなのよアンタはー!!!」
マシュ「うぐぅ!必要経費、必要経費でおねがいしましゅ…!」

ジーク「探偵に、旅館か…波乱が起きなければいいんだが」

アストルフォ「ジークー!またバイトクビになっちゃった!」

ジーク「大丈夫、予想はしていた」

じゃんぬ「まぁいいわ!とりあえず持ち帰るわよ…全自動卵割り機!!」

マシュ「はい!帰って先輩に御報告です!わーい!」

こうして、探偵一行は旅館へと向かうこととなった。が、ジークの懸念は極めて正しく──

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