人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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マシュ「すやぁ…」

リッカ「すぴー」

グドーシ「涅槃」

ギル「見事なまでに熟睡しているではないか。オルガマリーめの推測は真実なようだな」

ロマン「おや、どうしてだい?」

ギル「我等が龍が安眠を果たすことこそ異常事態の証であろうよ」

ロマン「酷すぎない!?と、ともかく。脳波パターンを検出するとして…夢の特異点を攻略だなんてメルヘンだなぁ!」

──疲労が物凄い勢いで回復しているのは何故でしょう…?

《マシュめに宿った騎士の力であろうよ。──ふむ、かの覚者めもいるのだ、問題はあるまい。見守りつつ、疲労回復に努めさせてやるか…》

カーマ「あぁ──見たかった光景がここに…邪魔なナスがいますけど、夢が覚めてしまうから我慢します。写真、写真を…」

ギル《…寝込みを襲う輩を捌かねばな》

──お、お付き合いいたします!もちろん!

フォウ(マシュ!この泥棒猫っ!)

──フォウ!?





名探偵マシュ!〜後日編・ネクストステージ・マシュ!〜

「福引きで引いた旅館への旅からの殺人事件、無事に我らが温泉卵探偵が解決したのはいいけれど…無かった事になって残念だったわね、マシュ」

 

先の激動の推理より翌日。拠点であるアーネンエルベに戻ったマシュ達は荷解きが終わり平穏へと立ち戻っていた。先の殺人事件…否、傷害未遂事件は被害者が存在しないという理由から事件そのものが立ち消える事となったのだ。

 

「いやまぁ普通に考えて傷害罪くらいは適用されると思うんだけど。ぜーんぶキレイに纏めたわね、警部さん?そんなコトってあり得るわけ?」

 

「ワルキューレを一人の人物ではなく、屋敷やオーディンの備品として処理したわ。人権の無いものは裁きようが無い…大体、被害者も加害者も納得ずくの結末に難癖をつけるほど出世や立場に困っていないわ」

 

それは大分法律に真っ向から立ち向かう裏ワザめいた決断ではあるが、上層部あたりにコネクションがあるならそれくらいはこなすのだろう。桜の代紋、上級国民の恐ろしさに辟易しながら、じゃんぬは息を吐いた。

 

「しかし温泉卵とはいい呼称でござるな。手間暇を掛け加えねばならぬ卵…我々の推理スタンスにピッタリにござる」

 

「ホントホント!マシュは固茹でってタイプじゃ全然ないからしっくり来すぎ!まだまだ一人前には遠いよねぇ」

 

…北欧家族は、事件の通報の時点で抹消を行われた。そもそも、あの夜に連絡も報告も受けていないという事実に改竄され、平穏無事に帰還し他言無用の箝口令を敷くことで決着を見た。一度北欧に彼等は帰り、オーディンにアップデートを嘆願しに向かったのだ。心という存在を自らのものであると伝えることで、ワルキューレ自体に変革をもたらすのだという。だが、その結末の代償としてマシュの探偵としての実績も霧散し、めでたく街のなんでも屋に逆戻りである。だが、その結末が不満であるかと言えばそんなこともなく。

 

「見てください皆さん!シグルドさんたちから写真付きの手紙がやってきましたよ!」

 

マシュ自身も笑顔でその事実を受け止めている。欲しいのは実績でも、功績でもない。ただ、すれ違いや悲しい齟齬といった事実を食い止め笑顔の結末をもたらすことこそを至上とした優しい探偵としての在り方。記録や風評に残らなくとも、彼女の手には確かに推理の果てに掴んだ真実がある。

 

「どれどれ?…あぁ、善哉善哉。確かに我々がいた意味はあり、素晴らしい報酬となっていますな」

 

其処には、シグルドとブリュンヒルデと三人のワルキューレが笑顔で写っている写真が添付された近況報告書が届いていた。オルトリンデ、ヒルド、そしてスルーズ。欠けることのない家族の姿の証明。

 

「ありがとう、温泉卵探偵さんだってさ!良かったねマシュ、美味しそうな名前がついて!」

 

「ふっふっふっふっ…半熟卵、固茹で卵、そして温泉卵!どれが一番美味しい卵かを考えれば一番素晴らしい探偵が誰か一目瞭然というものですよね!皆さん、せーの!!」

 

「「「半熟卵ー!」」」

 

「ええっ!?け、警部!警部は解りますよね…?」

 

「固茹で卵が好きよ、私」

 

「そんなぁ!?」

 

ガックリと肩を落とすマシュ。皆で困難に立ち向かう探偵…ミステリー小説に満ちるハードボイルドでも偏屈でもない、素直で真っ直ぐな善性を信じる探偵。

 

「ふふっ…でも、あなた達の頑張り次第では好きになるかもね、温泉卵。だから今回の様に、あなたにしか掴めない結末と未来を目指しなさい。思案と観察を忘れずにね」

 

「はいっ!大丈夫、心配ありません!私には頼もしい仲間達が三人いるんですから!私達が集い、揃う限り!どんな哀しみも涙も笑顔に変えてみせます!そう!この温泉卵探偵、マシュ・キリエライトにましゅっとお任せです!」

 

「他力本願って言わないかしら、ソレ」

 

「こんなに頼りなくて大丈夫かなぁ…ちゃんと依頼来るぅ?」

 

「まぁ閑古鳥が鳴こうとぺんぺん草が生えようと問題はありませぬ。金銭面や資産に困ることはありませんからな」

 

皆さん!涙目になるマシュを囲み笑い合う仲間達の姿を満足気に見据えながら、オルガマリーは喫茶店を後にする。

 

「ご馳走様。相変わらず美味しかったわよ、珈琲」

 

「それは何よりにござる。またのお越しを心よりお待ちしているでござるよ、オルガマリー殿」

 

「大体リッカのコミュニケーション能力あれば犯人の特定なんてあっさりだったでしょ?あんたは推理能力より、劇団で演技力を磨くほうがいいんじゃない?」

 

「そ、そんな事はありません!私の粘り強い説得力、善性を信じる心!それは名探偵に必要な要素です!そう、それは相手の痛みを知るという大切な共感力…」

 

「真犯人に刺されてざんねん!マシュの推理は終わってしまった!だね!」

 

「南無…」

 

「た、助けてくださいよ先輩ー!グドーシさんも拝まないでくださーい!」

 

(けらけらけらけらけらけらけらけら)

 

「じゃんぬさんも笑っていないで助け舟を出してくださーい!」

 

背後に響く、平穏の探偵達の声を聞きながらオルガマリーはドアを閉め、歩き出す。

 

『ふむ、温泉卵探偵ちゃんは良いスタートを切ったようだネ。一人や二人の犠牲も無しにハッピーエンドに辿り着くとは、その手腕は見事と言うべきだ』

 

「あなたも人が悪いですね。研修に丁度いい手頃な事件を彼女に充てがうなんて。おまけにそれを無くさせくたびれ儲け、だなんてひどい事」

 

『そう言わないでおくれよ。何事も経験サ。ワルキューレは一つや二つ壊れたとしても備品が壊れた程度の処理で事足りる。稽古や訓練にはドールと相場は決まっているだろう?北欧の家族はいい試金石になってくれた。幸い、家主も頑丈だったからネ。このまま…『現代のホームズ』の称号に辿り着いてほしいものだヨ』

 

「…。次は彼女らに何を担当させましょうか」

 

『そうだな…最近騒がしい輩がいるだろう?怪盗という芸術家が。それを徹底的に批評してもらうのはどうかな?舞台と宝は、こちらが用意するから君はいつものように彼女に接触してもらえればいい』

 

「解りました。…しかし、回りくどいですね。あなたの仕込みは」

 

『この現代は随分と歯応えと活力が足りていない。だから私にいいようにされてしまう。完全犯罪は小気味よいが、それだけではやはりプランニングが鈍るというものさ。より良い発展と進歩には、競合相手が必要なのサ』

 

「だから、あなたがそれを作ると」

 

『その通り。現代社会に潜んだ悪を討つ、正義と善の探偵…現代社会のホームズを産み出す。そして私はそれを討ち、完全犯罪を実証、達成する…うん、これもまた私の老後のボケ防止の遊びとしては上々かナ』

 

「…私としては、あなたに良いように牛耳られた今の世界を打ち砕く風となる事を期待します。この警察手帳が、本当の意味で輝きを取り戻す日が来ることを」

 

『出来るとも。今度の探偵達はきっと大丈夫さ。…これ、言ったの何回目だっけ』

 

「575回です。いい加減、この遊びに終止符が打たれる事を期待しましょう。そしてあなたが滝に落ちることも」

 

『あはは、最後のは期待しないで欲しいナー。…それではね、我が最愛の愛娘』

 

「えぇ、また。──モリアーティ警視総監」

 

【おーい。電話終わったー?これから某国の親善大使が乗る旅客機落としに行くけど、来ます?】

 

「任せます。まだ業務が残っているので。…大臣暗殺に向かった娘さんのフォローに向かいます」

 

【はーい。よろしくお願いしますねオルガマリーさん。よーし、戦争道具売り捌いちゃうぞー♪】

 

「…頑張りなさいね、マシュ。期待しているわよ」

 

──温泉卵探偵の照らさんとする闇はあまりに濃く、深い。この世界は未だ、蜘蛛糸の上に──

 




ギャラハッド『クリアできた様だね、おめでとう』

リッカ「マシュの想像が想像してたのと違う!」

ギャラハッド『グドーシ君が想像した通りだ。ギャラハマスクが脚本を書き換え、難解なものとしてしまったのだろう』

グドーシ「うぅむ、女性のイメージを揺らがすとはなかなか破廉恥な方でござる。説法が必要でござるかな」

ギャラハッド『もちろんだ。マシュのほわほわさを奪う輩を生かす必要はない。なんとしても討ち果たそう。そして、これが君たちへの報酬だ』

リッカ「おぉ!!」

グドーシ「これは…良きものですなぁ」

『概念礼装 暴け!名探偵マシュ!』

『チュッパチャップスを咥え、探偵服に着られたマシュが指差す一枚絵。その視線に揺らぎはなく、自信に満ちた推理は揺らがない』

リッカ「よーし!このままマシュのスチールを集めていこう!次の世界は!」

グドーシ「気分はディケイドですなぁ」

ギャラハッド『次は…これだ!』


〜待ちに待った学園イベント!

頼光「さぁ、行ってらっしゃい。私のリッカ」
ベリアル【娘よ…弁当を忘れるな】

リッカ「はい!よーし!行くぞぉ!!」

リッカの学園生活にて、遂にベストパートナー論争に決着!?

クー・フーリン「オレと…アトゴウラしねぇか?」

エドモン「共犯者よ!!今こそ盗んだバイクにて閉塞の安息を打ち崩せ!!」

花盛りの君は、一体誰と契りを交わす!?

くろひー「バ美肉…しねぇか、リッカたん」

シャルルマーニュ「お前を!ワールドカップに連れて行ってやる!!」

君は誰と──グランドオーダーする!?

グドーシ「ふふっ、相手は決めましたかな?」

リッカ「グドーシ、私ね──」

マシュ「先輩…あの星空の下で、待っています──」


人理を照らす、開闢の星〜スターダスト・メモリーズ

〜近日更新予定〜

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