人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
リッカ「え?なんで?」
ギャラハッド『マシュは学園生活というのを、聞きかじった程度のあやふやなイメージで構成している。それはラブコメであったり、ハートフルであったり、ダンガンロンパであったりバトル・ロワイアルであったり…』
リッカ「学園生活のメンバーが楽園組だったら生き残るの無理じゃん!?」
ギャラハッド『ギャラハマスクの介入が穏やかであることを祈るしかない。こう、平和な感じで…こう、穏やかな感じの』
グドーシ「学校の階段であったならお任せあれ。蓮生まれのGさん、或いはフラスコ生まれのGさんとして無双してみせましょうぞ」
リッカ「私は…出来るんだろうか!」
ギャラハッド『え?』
「普通の女の子として出来るかなぁ!?甘酸っぱい学園シミュレーションできるかなぁ!?」
ギャラハッド『…………………光りあれ』
リッカ「肯定してほしかったなぁーーーー!?」
グドーシ「大丈夫、大丈夫でござるよ。リッカ殿なら大丈夫──」
「姉ちゃん!起きなよ姉ちゃん、遅刻するよ?十分前に起きるとかあんまり良くないって散々言われてたろ?」
意識がぼんやりしたリッカに掛けられる声。先の喫茶店ではない空間…目を開けてみれば、そこには白い天井があり、そして心配そうに顔を覗き込んでくる、小学生程の男の子。その顔を、どこかで見たような既視感が去来しながら身体を起こす。
「姉ちゃんは高校2年で、宙ぶらりんな時期なのは解るけどさ。万が一っていうのもあるし怠けないほうがいいよ?そりゃあ、スポーツ推薦だろうと受験だろうと問題ないのは凄いけどさー」
「…えっと…君は?」
「えっ。寝ぼけ過ぎだよ姉ちゃん。僕だよ僕、藤丸陸!姉ちゃんの弟じゃんか。もう、しっかりしてよー」
跳ね起きるリッカ。名字こそ違うがこの人懐っこい言動、ベビーフェイス。間違いない。ジード…ウルトラマンジードの主人公、朝倉陸その人だ。年代的には、子役をやっていた頃の中の人の年代だが…
「桃子ねぇちゃんも金時兄ちゃんももう行っちゃったよ?早く行かないと父さんがおっかない顔して怒りに来るよー?」
辺りを見回す。そこは整然と片付けられた女の子の広い部屋の光景──に、大量のライダーやウルトラマングッズなどが置かれたカルチャー濃いめのお部屋。それが自分の部屋だと理解するのに数拍かかり…
「あ、姉ちゃん!?」
ベッドから跳ね起き、あわててリビングに向かう。大家族に相応しい家ゆえ、なんと自分の部屋は3階にあった事に驚きながら、階段を駆け下りる。
「母上!?」
リッカにしてみれば、血の繋がった親に対する感情はまともなものである筈がないのでマシュの妄想の配役に不安を覚えながら扉を開ける。息を切らしやってきた娘を迎えたのは──
「まぁ、おはよう。リッカ?どうしたのです?そんなに慌てずとも、あなたのママはここにおりますよ?」
そこにいたのは、血縁ではなく心で繋がった母、源頼光がエプロンを付けて料理を作っている光景だった。優しく笑う、お前の母ちゃん源頼光が最高の褒め言葉になるママ以上のママの存在に、涙を浮かべへたり込むリッカ。
「よ……よかった……」
「どうしたのです?そんな不安に満ちた表情を浮かべて…悪い夢でも見たのですか?」
【俺様達の娘とあろうものが情けない…しゃんとしろ。そんなザマでは、自身の運命は切り拓けんぞ】
安堵のリッカの横っ面をぶん殴る衝撃が去来する。イケボの悪役声でリッカを叱咤した人物、それは人物というには些か語弊のある存在。
「う、ウルトラマン…ベリアル…?」
【親を呼び捨てで呼ぶのは行儀が悪いぞ。チビが真似し始めたら大変だろうが。二度は止めるんだぞ】
親。困惑するリッカが懸命に情報を整理すると…今回の学園モノの家族構成は、リッカの母が源頼光であり、父がウルトラマンベリアル。恐らく兄に金時、妹に桃子とリク君がいるという状態で始まったのと推測される。正直とんでもない家族構成だ。宇宙と日本の平和は問題なさそうだ。
【ゼロのヤツ、家を飛び出してオレだけの道を歩むなんぞほざくくせに仕送りだけは欠かさねぇと来た。見習うんじゃねぇぞ。間違いなく苦労するからな】
(ゼロにぃもいた!)
「元気な事は良いことです。お盆と正月には帰って来てくれるのですから、その時に無理をしていないか訪ねましょう?」
「姉ちゃん!かばんかばん!忘れてるよ!」
【だからいつも言ってるだろうが。起きる時間は余裕を持てってな。朝飯食わねぇと、力が出ねぇぞ】
「ふふっ、いいんですよあなた。若いうちは、なんでもやってみるものです。遅刻や早起きも今しか出来ないのなら、どんどんやっていいのです。おにぎりとお弁当、作っておきましたから持っていくのですよ?」
どうやら自分は今、遅刻の瀬戸際にいるらしい。学園モノである事は把握しており、その場所にすら行かないというのはまずいだろう。あまりにもカオスな家庭状況に突っ込んでいる暇すら無いようだ。リッカは覚悟を決め…否。
「ジーッとしてても、ドーにもならねぇ!」
「そうそう!姉ちゃん、頑張ってね!僕も勉強頑張るから!」
【息子よ。とりあえずお前は顔を洗って着替えてこい。またドンシャインを見ていたな。俺様は御見通しだぞ】
「うっ…これはその、人生!人生だから!」
【小学生がマセた事をほざいてんじゃねぇ。土日の訓練、覚悟しておけよ】
「えーーーっ!ドンシャインショーはー!?」
「と、とにかく!行ってきまーす!!」
あわてて弁当とおにぎりを確保し、家を飛び出すリッカ。もうなんというか、家のイベントを消化するだけでも壮大な時間がかかりそうな濃い家族に挨拶を残し、家を飛び出す。
(マシュ!あなたが主役の妄想でなんでこんなに私の描写が充実しているの!?いや嬉しいんだけど!)
次の妄想は学園モノ。生半可な覚悟での攻略は難しいことをなんとなく感じながら、リッカは歩き出す。──だが、彼女は決して裸一貫で放り出された訳ではない。
「おや、やって来ましたな。先程ぶりです、リッカ殿」
「先程ぶり…?今日は始まったばっかりよグドーシ。変じゃない?」
門前で待っていてくれた二人、それは制服をきっちりと着込んだ美男子と、着崩しに着崩した不良スタイルの美少女。誰かなど、愚問に他ならない救いのパートナー。
「グドーシ!じゃんぬ!おはよう!」
「おはようございます。学園ものとは、昔を思い出しますなぁ。拙者はともかく、こうしてリッカ殿とまた学校に行けるとは…いやはやいやはや」
「???あなた達、なんだか妙に達観してるのよねぇ…とにかく、遅刻はめんどくさいからそろそろ行きましょう。学校は楽しいところだものね?」
グドーシはどうやら自分と同じ、妄想の攻略対応をしていた存在と確信できた。じゃんぬは流石に妄想の登場人物ではあったが…それでも、どんな世界でも何より近い位置、幼馴染といったポジションにいる辺り、マシュにとってのじゃんぬは、ライバルであり自分にとって必要不可欠な存在と認識されている事が嬉しくなった。
「よし…!じゃあとりあえず、行ってみよっか!私達の学園生活に!」
「御意にござる。カーマ殿の立ち上げた占い部にも助っ人に行かなくてはなりませんからな」
「私は…まぁやりたい事はあなた達と見つけるって事で。のんびり生きましょ、のんびりね」
次なるステージは、青春の学校生活。リッカもグドーシも、いつか夢見た、そして望んだ平穏の報酬の再現。
「あー、なんで課題なんてあるのかしら…授業で起きてるのもしんどいのに…」
「それは、自身の進路を狭めない為でござるよ。勉強と成績が良ければ進路は選べますが、逆は悲惨にござる。結局のところ、自分の為にしかならないのですよ。まぁ…今生は社会競争に終わりが無いのが苦界たる所以なのですが」
「…はぁ。世界って退屈なのね…」
「まぁまぁ。退屈や平和が何よりも大切で尊いって、いつか解る日が来るよ。じゃんぬが出来ることもきっと平和の中で見つかるよ!」
「…うん。リッカが言うならそうなのかもね。よーし、今日も真面目に生きるわよー」
三人は歩いていく。それは皮肉にも、リッカやグドーシが望んだ平穏の一時──
グドーシ「此処が我等が通う──タイプムーン学園。学園長の『輝く一芸か愉悦の素養があれば良し!』の理念のもと、個性のあふれる皆が通う学園にござるよ」
ヘラクレス「いけなぁああぁい!!遅刻遅刻ぅー!!」(通勤渋滞を薙ぎ倒しながら)
アストルフォ「いけなぁーい!遅刻遅刻ー!(飛びながら)」
リッカ「うん、空を飛行宝具組が埋め尽くして陸を強靭な皆さんが薙ぎ倒してるね…」
じゃんぬ「もう慣れたわよ、この個性の暴力には…うわっと!?」
セイバーオルタ「どけ、アンニュイ女!轢き殺されたいか!」
じゃんぬ「敷地でバイクに乗るなー!!」
リッカ「濃いッ…!ちびちゅき時空かと思ってたらダンガンロンパみたいなとこだった…ッ!」
グドーシ「無事に生きて帰れますかなぁ…」
マシュ「………(じー)」
リッカ「?」
マシュ「!!(隠れ)」
リッカ「──マシュは、どういうポジションなんだろう?」
エミヤ「君達。チャイムはもうすぐ鳴るぞ。気を付けたまえ」
「おかん!!」
エミヤ「誰かオカンか!」
カオスな学園生活が今、始まる!?