人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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カルデア

じゃんぬ「私も行くー!!」

ロマン「待った待った!君レベルの霊基が強すぎるサーヴァントだとマシュ攻略に支障が出るかもしれない!抑えて抑えて!」

じゃんぬ「ぐぬぬ…!絆が強すぎると入れない、ポケモンのレベル制限というやつね!」

ロマン「そうそう!カーマ君は愛を操る神霊だから、夢という作用に相性がいいんだけど、あと一人は欲しい。いるかなぁ、強いではなく便利なサーヴァント…」

じゃんぬ「いるわ!心当たりが!」

ロマン「いるかい!?だれだい!?」 

???「やはりギャルゲーか。いつサポートする?私も同行する」

ロマン「き、君は──!」


個性で殴り合う各世代の主役達

「それでは授業を始めます。各々、マスターとして何をすべきかの論文を書いてください。それを書いたら後は自習で結構です。マスターとして自分に必要な事を求め、時間を有効に使ってくださいね。出来なかった、足りなかったで死ぬのは皆さんですので、有意義な授業になる事を期待していますよ」

 

それだけを告げ、教師天草は教室を離れる。どうやら自身に必要なものは自身で見つけろといった方針らしい。確かに基本的な実力を備えたなら、其処から先は自身の適性の話になるだろう。誰かに教えてもらう事は、中々難しい事なのかもしれないため、納得はできる自習だ。

 

(よし、皆を観察してみよう。このクラスに集まった事に、何か意味があるかもしれないし)

 

流石にグドーシやじゃんぬは授業中だと思うので連絡は控え、マスターが一堂に介したこの状況を注意深く観察することにしたリッカ。この世界がどこまでマシュが願い、ギャラハマスクが介入したものなのかを見切るきっかけでも掴めればと推察し、一見は頬杖をつき無気力を装い、最後方の座席から教室を見渡す。すると、自由の定義を解釈した皆が一斉に団欒を作り始める。

 

「…よっと」

「あいた!?」

 

シンジが消しゴムを前方の桜に投げつける。コンっと小気味よい音を立て、桜の頭に直撃したと同時にしらばっくれるシンジ。当然、隣の席の士郎は抗議する。

 

「おいシンジ。妹とか女の子とか抵抗されにくい相手にイタズラは卑怯だぞ。やりたいなら俺にやればいいだろ」

 

「僕がやったなんて決めつけるなよな衛宮〜。大体、こんなヌルい消しゴムも避けられないようじゃ、マスター狙いのアサシンにあっさり狩られちゃうのが目に見えてるよねぇ」

 

「いいんです、先輩。兄さんの言う事にも一理はありますから」

 

「桜…」

 

「えぇ、大丈夫。先にやってきたのはそちらなので…」

 

「え?──わぁあぁあ沈むぅうう〜!!?」

 

「受けて立ちますね兄さん。貴重な学生の時間をいただきます」

 

桜の影から伸びた暗闇が、シンジを座席ごと呑み込み沈めていく。『お仕置きがかり』と名札を貼られたシェイプシフター達が、引きずり込むようにシンジを呑み込んでいった。間桐桜、どうやらやるときはやるタイプである。

 

「同じクラス同士で何をやっているのかしらね…ま、時間の過ごし方は未来に現れるわけ。怠惰を貪るか研磨に費やすか。優雅な選択なんて考えるまでも──」

 

「ぐぅ」

 

「どうだいカドック。新しい茶葉を使ったとびきりの紅茶は。朝の気だるさに効く暖かさだろう?」

 

「美味しいな…」

 

極めて真面目に魔導書を開きマウントを取ろうとした所、安らかに眠っているはくのんにティータイム空間を作り上げるマイペース空間を展開する二人の最上級マスターのフリーダムっぷりに、凛の持論はちょっと揺らぐ。

 

「ま、まぁ…優雅たれって言うし休息も必要だし?授業中に急に紅茶を飲みたくなる時もあるわよねおほほほってフォローに無理があるわ私!!」

 

「ふがっ。麻婆」

 

「朝から元気だね、遠坂君。令呪を使うときは元気よく、という教えをよく守っている。念話も使うとスムーズでいいと私は思うよ」

 

「マイペース過ぎかアンタ!百歩譲ってお茶会がいいとしても丸々机まで変えるのアンタくらいよ!どうしてそういう変なところで無駄な辣腕を振るうのに躊躇いが無いのよアンタは!」

 

「ふふっ、私が学園のマスター諸君になんと呼ばれているか知らない訳では無いだろう、遠坂君。人呼んで黙っていれば君主の逸材!地面に擦り付けられたダイヤモンド!私への評価は極めて正しくドンピシャ!ならばこそ!破天荒な振る舞いに躊躇いなど無いのさ!分かるかい遠坂君。宝石大好きな君らしい例えを選んでみたんだが」

 

「腹立つ気遣いありがと!死ぬほど勿体無いって事がよーくわかったわ!もう見てなさい、卒業までにどっちが凄いか決めてやるんだから!」

 

「期待しているよ遠坂君。機械工学系列でなければきっと君は学園随一の記録を叩き出せる逸材だ。卒業科目に期待しようね!」

 

(僕には遠い世界の話だが…せめてモラトリアム完遂くらいは果たさなくちゃ、ここにいる意味が無いからな…)

 

「麻婆もプレローも…ない。再び寝る。すやぁ」

 

火花を散らすキリシュタリアと凜。そして、紅茶を嗜むカドック、夢の世界に旅立つはくのん。トップランクと自分を凡才だと思っているカドック、マイペースな月の王様の周囲は芳醇な香りが漂っていた。

 

「よし、出来たぞ!『血統の積み重ねや魔術回路の質量は決定的な要因とはなり得ない。血統や才能は覆すことができる』…!提出するぞ!」

 

「出来たのか。ウェイバー」

 

「あぁ、見てみろよジーク。これは僕が考えた論文だ!才能や血統が覆らないなんて固定観念をなんとしても壊してやる!僕を見下した奴等を、僕がいつか見返してやるんだ!」

 

「動機がやや不純に聞こえるが…。確かにこれは嬉しい持論だな。オレのような血統無しや才能もそれほどな、体質頼りの輩が勇気を貰える論文だ」

 

「だろう?要するにバカにするやつは自分がバカだって事を把握してない本物のバカってことだ。バカって言ったヤツが本当のバカなんだ!だからそんなバカに負けないよう、頑張っていこうなジーク!」

 

「あぁ、もちろんだ。…しかし、バカと言ったヤツが馬鹿とは知らなかったな。気を付けるとしよう。だがウェイバー、君もバカと言わなかっただろうか」

 

「…あっ。ぼ、僕は良いんだよ別に!今は雌伏の時なんだから!一気に羽ばたくんだ!能ある鷹は爪を隠すんだよ!」

 

家庭や血統マウントを取れなくとも、自身にできる精一杯を貫かんとするウェイバー、ジーク。その他にも積極的にサーヴァント科に見学に行っているオフェリアやアイリスフィール、別クラスに意見交換をしにいった者も含め、どの者達も非常に鮮烈で生きているかの様な選択を取っている。文句のつけようのない、学園生活の一幕だ。見てきた自分がそう思うのだ、間違いない。

 

(6月も近いし、また日本に帰ってみようかな…皆、元気にしてるよね)

 

護った平和と平穏を味わいに行くのもきっと素敵な時間になる。自分にこう思わせてくれた時点で、マシュの考えた学園生活の優しさは身に沁み…

 

「あ、そうだ。リッカ。確かさっきキリエライトと話してたろ」

 

「衛宮君!」

 

「ああいうタイプは中々きっかけは掴めないからもどかしいかもしれないけど、諦めずに構ってあげてくれ。なんというか、桜を思い出すほっとけなさっていうか…ほら、リッカの分も作っておいたからさ」

 

そうして渡されたのは、クラス一人ひとりの分のお弁当。なんとリッカとじゃんぬ、グドーシの三人がおかずで再現された凄まじい力作の弁当がポンと渡されたのである。

 

「えっ。お、お金取れるよこれ!?」

 

「必要ないって。俺たちは一緒に頑張る仲間じゃないか。何か困った事があったら、相談してくれよ」

 

その無償極まる優しさの具現たる最高級キャラ弁と士郎の気遣いの優しさに二度見を繰り返し…

 

「ほう…シロウ手製のキャラ弁ですか。大したものですね。学園生活にはこれだけを楽しみに登校する方もいるくらいです。もちろん、栄養バランスもいい。私もアヴァロンに持って帰りたい珠玉の逸品です」

 

「いつの間に!?」

 

腕組みし、頷き突然現れるセイバー…つまりアルトリアの解説に度肝を抜かれるリッカであった──。




お昼

天草「いやぁすみません。どうやって世界を救うか考えていたらこんな時間になってしまいました。皆さん、有意義に過ごせましたか?」

「「「「「はーい!!」」」」」

「よろしい、では、お昼御飯にしましょうか」

リッカ(一体感が…一体感が凄い…!)

ともかくお昼休み。これでじゃんぬやグドーシと作戦会議ができる。そう思った矢先──

「リッカさん。あなたにお客さまが待っていますよ」

「えっ?──」

指さされた廊下側を見てみると…──

不良サーヴァント「「「「リッカー!飯食おうぜー!!!」」」」

リッカ「ほわぁぁあぁあ!!?」

廊下を埋め尽くす、御飯食べたいサーヴァント達が作るパリピの輪。

ジーク「大人気だな、リッカ…」
カドック「あれが彼女の武器だからな。真似できないけれどな…」

リッカ「わ、分かったよ!皆で!皆で食べよー!」

これは放課後ぶっ続けかな…。そっと確信と諦め、じゃんぬとグドーシに謝るリッカであった──

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