人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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――ヘラクレスは俺達の頂点なんだ!




「成る程成る程・・・面白いことになりそうではないか」


真アーチャー

『ギル!あぁ・・・!ギル!』

 

 

 

ヴィマーナを下ろし、マスター達に合流した自分を待っていたのは、涙と歓喜の歓待だった

 

 

 

『無事で・・・!よくぞ無事で・・・ぁあ・・・!』

 

 

「フッ、心配をかけたか?言ったはずだ。我は盟約を違えぬとな」

 

 

「ギールーーーーー!!!」

 

 

「ぐぉっ!」

 

「お帰り!お帰り・・・!良かった!本当に良かった!」

 

 

「――全く。大袈裟なヤツばかりよな。我が凱旋を果たすのは真理の如く当然と言うに」

 

――かなりの死地であったのです。無理もないですよ。英雄王

 

「フォウ!(キミもお疲れさま。コイツの本領は面倒だったろ。部員の皆から映像は貰ってるから安心してね)」

 

――ありがとう。フォウ

 

 

「どしたの?ダーリン」

 

「いや・・・まさかギリシャ最大最強の英雄をタイマンで仕留める化け物がこの世界にいるとか、常識が根底から揺らいでる」

 

「オリオンさん。英雄王は化け物なんかじゃありませんよ」

 

 

「うん!ギルは私達自慢の!」

 

「王である!!控えよ凡英霊共!そして平伏せ!ギリシャの英雄、何するものぞ!フハハハハハハハハハ!!」

 

「いいね!総督!アンタサイッコーだよ!!」

 

――器が称賛を受けているのは、とても誇らしい

 

称賛と憧憬は、総て英雄王に。――自分は、寄り添うだけで身に余る光栄です

 

 

「顔を会わせたのはフランス以来か・・・いや。そちらにも私はいたな」

 

「やぁ、この特異点のキーキャラ、ダビデだよ」

 

「む。・・・あぁ、貴様らもはぐれか」

 

『も?もってなんだい、ギル。キミもはぐれサーヴァントに出逢ったのかい?』

 

「・・・その話はいずれしてやる。方針は定まったか?」

 

「あぁ。――リッカとマシュが鍵となる作戦だ」

 

 

「ほう?では」

 

『待って。ギルの魔力がとても消耗しているわ。日も暮れるし、話はまた明日にしましょう』

 

「我は構わぬ。すぐにでも・・・」

 

『無理を、しないでください――』

 

「そうだよギル。過労死しちゃうよ?」

 

「よし!我は寝る!」

 

「なんだなんだ?王様は過労死嫌いか?」

 

「たわけ!現代社会の闇を好む輩などいるまい!」

 

「あぁ、王の仕事は本当にね!嫌だよねあぁ嫌だ嫌だ!」

 

『自由とか、許されないからねぇ・・・よし、今からベッドとハンモックを送る。決行は明日ということで!皆は休もう!』

 

 

「フォウ(そろそろクライマックスかなぁ。カルデア大冒険日記編纂しなきゃ。ふふふ。今回は大量だぁ!)」 

 

「フォウさん、ご機嫌ですね」

 

 

「・・・マシュちゃん。それいんじゅ」

 

「キュ?(ぁ?)」

 

「なんでもないです!」

 

「リッカー!一緒にお風呂はいろー!」

 

「ホント!?やった!」

 

「女神と入浴なんて、光栄ねリッカ」

 

「マシュもマシュも!」

 

「い、いいのですか?」

 

「俺も俺も!」

「キャウキャウ!(ボクもボクも!)」

 

「好きにするがいい。我はやることがある。マスター、あとで時間を」

 

「おう、さま――――――!!!!」

 

「アステリぐぉおあぁあぁあぁあぁ!!」

 

「よかった!よかった!ぶじで、ぶじで、ほんとうに、よかった!」

 

「ぐぉおぁあ死ぬ!絞め殺される!待て、よせ、止めろ鯖折りは止めろよせぐぉおぁあぁあ!」

 

――凄い、アーサー王以来だ!王にこんなダメージを与えるなんて!凄いぞアステリオス!

 

 

「アステリオス、ずっと貴方の心配していたのよ。おうさまおうさまって。耳にたこができちゃったわ」

 

「ははっ!人気者じゃないか色男!アンタの回りはお宝だらけだねぇ!」

 

「おうさま――!!!」

 

「解った!解った!貴様の安堵は伝わっただから離さぬか!!筋力A++で締め上げるな我はつらい!!離せ!離せアステリオス――!!」

 

「――あちらの船とは大違いだな」

 

「うんうん。どうせなら、楽しいほうがいいよね」

 

 

「よぉし野郎共!飲んで飲んで歌い明かすよ!明日がアタシ達の全額勝負だ!!」

 

「「「「「「アイアイ・マム!」」」」」」

 

 

「おうさまぁあ――!!」

 

「ぐぁあぁあぁあ!何故我は仕合と関係無い所で死線をさ迷うのだ――!!」

 

――これが、抑止力・・・!

 

 

――愛すべき仲間たちとの歓談は、いつまでも続いた・・・

 

 

 

そして、夜の森の開けた広場

 

 

 

「マスター、いるな」

 

マスターを呼び出す

 

「どしたの?ギル」

 

「いや、何。少しばかり面白い試みをしてやろうと思い至ったのでな」

 

――自分は察した。

 

――本気で敵方が可哀想になる。完全なだめ押しだ

 

 

「ヘラクレスは呼び出しているな」

 

「う、うん」

 

 

「⬛⬛⬛⬛⬛・・・」

 

 

『・・・本当にやるの?いえ、それが正しい運用なのは間違いないのだけど』

 

「無論だ。恐らく最高に愉しい催しになるぞ」

 

ニヤリと笑う器

 

「な、なんの話?」

 

「なに、簡単な話だ」

 

――そう。最高に痛快な反則だ

 

「これより、ヘラクレスめのクラスを変質させ、ギリシャの大英雄!ヘラクレスを再臨させる!まぁ要するに理性と知性を蘇らせるのだ!」

 

 

「は、ぇえっ!?出来るの!?」

 

「メディアの助力あらばな。であろう?」

 

『それは、まぁね・・・クラスを変えるくらい、魔法でもなんでもないし。でも、大分材料がいるわよ?』

 

――確か、令呪に神代のエーテル結晶大量、魔術式、そして聖杯だったか

 

 

「総て我が提供する!!」

 

 

『あるの!?というか、何故そこまでするのよ!?貴方がいれば、戦力なんて十分じゃない!?』

 

全くもってその通り。だが、この王にとって、戦力なんてどうでもいいのだ

 

「何、道化が理性を失ったヘラクレスめで粋がっていたものでな。ならばこちらは、より質のいいヘラクレスを用意するまで。そら、反応が見ものであろう?更なる無様を期待できるというもの!」

 

――自分が愉しいならば、いくらでも財を提供する。それがこの器、英雄王なのだ

 

 

『貴方本当に性格悪いわね・・・』

 

「あぁ、道化の傍らにいたのは貴様であったぞ」

 

 

『やっぱり!?』

 

「幼い貴様であった」

 

『白歴史――!!!マリーに!マリーに見られる前に始末しなくちゃ!!』

 

「前線に出張るか?その手の対処法は贋作者に聞くがよい。――で、どうだ?」

 

 

――準備は整った。後は

 

「貴様に意志はあるか、ヘラクレス。そして、マスター」

 

「私?」

 

「こやつは知っての通り魔力喰らい。バーサーカーでもそうなのだ。・・・ん?どちらがマシだ?まぁよい。――恐らく本来のこやつを使役するなど、生命を削るに等しかろう」

 

 

――そう。メディアの見立てでは、カルデアの電力を1割ヘラクレスに独占させねばならなくなるらしい

 

 

「どこかで唐突に果てるやも知れぬ。どうだ?大英雄の覚醒に、生命を懸ける覚悟はあるか?」

 

――結局のところ、決めるのはマスターだ。自分はあくまでサーヴァント。使役に関しては彼女に一任せねばなるまい

 

 

「・・・ヘラクレス」

 

 

「⬛⬛⬛⬛⬛」

 

「――うん!ヘラクレスのクラスを変えよう!」

 

 

マスターの意志は、快諾であった

 

 

「戦力のためじゃなくて、ヘラクレスと話したい!大冒険を聞いてみたい!きっとスゴいよ!ヘラクレスだもん!」

 

『・・・全く、この弟子は・・・』

 

「――だそうだヘラクレス。貴様もよいな?」

 

「⬛⬛⬛⬛⬛・・・」

 

 

「――友の乱心」

 

「!」

 

「貴様が諌めずして、誰が諌めると言うのだ。ヘラクレス」

 

 

――そうだ

 

迷い、惑い、踊らされている彼を。どうか貴方が諌めてほしい

 

どうか、友である彼を止めてやってほしい。それができるのは、貴方だけだ

 

「――⬛⬛⬛⬛」

 

「?ヘラクレス・・・?」

 

「・・・」 

 

「マスターならば心配あるまい。こやつは世界の命運を背負うマスター。今更貴様の負担なぞ意に介する事はあるまいよ」

 

 

「――心配してくれるんだね。ありがとう、ヘラクレス」

 

「・・・」

 

「一緒に、行こう!バーサーカーじゃなくて、立派な大英雄として!」

 

「――⬛⬛⬛⬛(グッ)」

 

力強いサムズアップ

 

 

――決断は決まった

 

 

「よし!では始めるか!マスター!服を脱げ!」

 

「う、うん!・・・うん!?」

 

「貴様の身体に特注の令呪を授ける!早速転身の儀を始めるぞ!」

 

「な、成る程!解った!」

「⬛⬛⬛⬛⬛」

 

「あっ・・・紳士・・・」

 

 

 

――そして

 

 

『いい?今伝えた通りに、ヘラクレスに告げなさい。三画総てを使ってよ』

 

 

「わ、解った!」

 

 

「何故我が魔法陣などを書かねばならんのだ・・・」 

 

ガリガリと木の棒を使って書く器。・・・自分が動けるならば・・・

 

 

『よし、行くわよ。気を楽になさい』

 

「うん。やるよ、ヘラクレス」

 

「⬛⬛⬛」

 

 

「できたぞ!そら、受け取れ!」

 

手頃な聖杯を取りだし、ヘラクレスに手渡す

 

 

「――すぅ、はぁ」

 

深呼吸し、身体に刻まれた令呪を輝かせる

 

 

 

「――令呪を以て、命じる」

 

輝く令呪

 

 

「ヘラクレス『眼を覚まして』」

 

一つ目の令呪にて、狂化の法を打ち消す

 

「続いて令呪を以て命じる」

 

更に、令呪を輝かせる

 

 

「『貴方が守護し、救い続けた人達を思い出して』」

 

二つ目の令呪にて、英雄として打ち立てた様々な功績、偉業。その総てを思い出し

 

 

「最後の令呪を以て命じる」

 

最後の願いを、ヘラクレスに託す

 

 

「『天の衣(神の祝福)を受け入れて』」

 

 

用意した真エーテル結晶、聖杯が輝き、ヘラクレスは英雄としての本来の使命と威光を受け入れ――

 

 

辺りに輝きが満ち溢れ――

 

 

 

「――その願い、確かにこの身に受け入れた」

 

肌の色が人間味を帯び、突起が消滅し

 

 

『あぁ・・・やってしまったわ・・・イアソン完全に終わったわ・・・』

 

「――英雄王。この身に与えられた恩赦、感謝の至り」

 

みなぎる覇気、揺るぎ無い威圧。そして――礼節と理性を感じさせる居振る舞い

 

 

「よい。貴様の使命、果たしてみせよ。ヘラクレス!」

 

「――承った」

 

――そこに現れしは、古今無双、最強最大の大英雄

 

 

「サーヴァント、アーチャー。真名をヘラクレス。――我が身に理性と知性を宿せし主君よ、心から感謝と敬服を」

 

ひざまずき、手を取る 

 

「共に往こう。慈愛と決意に満ちた、我がマスターよ。これより先は、私は貴方と共にある」

 

「は、はひっ・・・!よろしくお願いいたします!」

 

 

「ふはは!畏まりおって!――役者は揃った!決戦と行こうではないか!!」

 

「メディア。ありがとう」

 

『い、い、いいのよ・・・英雄王の達しだし・・・』

 

「・・・やっぱり怖がられているのか・・・」

 

――あれ、紳士?

 

 

 

――心機一転した仲間を加え、決戦に挑む・・・!




「――まずは一つだけ、粗相を赦していただきたい。マスター、耳を閉じてくれ」



「?う、うん」


「――――おのれ女神ヘラ!!!何故俺は英雄として昇華されてもおまえとワンセットなのか!!!!!」

「!!?」


「ワンモア!!ワンモア!!やり直し希望!!知恵と勇気を得たまま、一から冒険をやり直したい!!!」


『――~~~~~!!』

「喧しいわ!!深夜ぞ!!」

「あぁ大丈夫。喉をいじってここだけに響き渡るようにしたから問題はない。・・・すまないなマスター。では・・・ん?」

「(気絶)」

「ま、マスター――・・・!!」

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